介護処遇改善手当とは?職員への支給額・分配方法や特定処遇改善加算についても解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「介護処遇改善手当とは、どのような意味を持つ手当なの?」

「介護処遇改善手当は、いくらくらい支給されるの?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

介護人材の不足が社会問題となっていますが、給与アップや待遇を改善する意味を込めて介護処遇改善手当が創設されました。

介護職に携わっている方は、自分が対象となっているのかやいくらくらい貰えるのか、どのような計算方法なのか、気になる方も多いでしょう。

こちらの記事では、介護処遇改善手当の意味や支給額、支給方法などを解説していきます。

介護職に就いている方・これから目指している方に役立つ内容となっているので参考にしてください!

介護処遇改善手当の意味や支給額についてざっくり説明すると
  • 介護サービス事業者が得た利益を介護職員に還元する仕組み
  • 事業者に「いくらくらいもらえるのか」「自分が対象なのか」確認してみよう
  • 手当がもらえないケースも有るので、事前に確認しておくと安心
  • 今後の介護職員の待遇を改善する動きは進んでいくと考えられる
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介護処遇改善手当の意味とは

介護処遇改善手当とは、処遇改善加算を介護サービスの利用料に上乗せして請求し、得られた利益を介護職員に分配する仕組みです。

処遇改善加算は5段階あり、段階に応じて加算を請求して職員の賃金改善に充てられます。

介護処遇改善手当の背景・目的

介護処遇改善手当という仕組みが設けられた背景には、介護職の収入が他の業種と比較して低いことや離職率が高いこと、これらが原因となって人材不足な状況が続いている状況があります。

2025年には約243万人、2040年には約280万人の介護職員を確保することが必要とされています。

しかし、令和3年度時点での介護職員数は214万人でありこのままでは人員が大幅に不足し、介護サービスの質の低下が避けられない状態になっています。

出典:厚生労働省介護人材確保に向けた取り組み 第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

高齢化が進んでいく日本において介護人材の不足は大きな問題となるので、介護人材を確保する意味合いは非常に大きいです。

まずは賃金を改善して介護職員の処遇を改善することで、雇用を安定させる意味も込めて介護処遇改善手当が導入されました。

介護処遇改善手当は介護職員のモチベーション向上にもつながり、高品質かつ安心して介護サービスを受けられる社会を実現するために必要な施策の一つとして位置づけられています。

介護処遇改善手当を受け取る条件

介護処遇改善手当を受け取るには、前提として働いている事業所が処遇改善加算を得ている必要があります。

処遇改善加算は5段階あり、加算要件を満たした段階の加算率で加算される仕組みです。

また、加算要件には3つのキャリアパス要件と職場環境等要件があり、加算を取得するためには計画書と報告書を自治体に提出する必要があります。

事業所が加算分を賃金改善の目的に使っていなかったり、算定要件を満たさない場合には加算の取り消しや不正受給としての返還を求められることもあるので注意しましょう。

処遇改善加算の加算要件

介護処遇改善手当にはキャリアパス要件と職場等改善要件が設けられていますが、詳細は下記の通りです。

算定要件 内容
キャリアパス要件① ・職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
キャリアパス要件② 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
キャリアパス要件③ 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を 判定する仕組みを設けること
職場環境等要件 賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取組を実施すること。例としてキャリアアップ支援や働きがいの醸成などがある

※就業規則などの明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む。

出典:厚生労働省 介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要

なお、キャリアパス要件③の昇給の仕組みの例としては、具体的に下記のようなものが挙げられます。

  • 勤続年数、経験年数などに応じた昇給
  • 介護福祉士などの資格取得に応じた昇給
  • 実技試験や人事評価の結果に応じた昇給

スキルアップを目指したり長く働くモチベーションを高めることができる仕組みと言えるでしょう。

また、介護職員処遇改善加算を受け取るためには、処遇改善内容等を雇用している全介護職員に周知する必要があります。

職場環境など要件については以下のような区分に分かれています。 以下の区分ごとにそれぞれ1つ以上取り組んでいることが介護職員など特定処遇改善加算の条件となります。

区分 具体的内容
入職促進に向けた取り組み 法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策仕組みなどの明確化 など
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
両立支援・多様な働き方の推進 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 など
腰痛を含む心身の健康管理 短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 など
生産性向上のためいの業務改善の取り組み 業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減
やりがい・働きがいの醸成

ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 など|

出典:厚生労働省介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要

介護処遇改善加算の加算段階と加算率

加算段階と算定要件

上記のように、要件をどれだけ満たしたかによって加算段階が決まり、中でも加算(Ⅰ)が最も加算率が大きいです。

なお、サービス区分ごとの加算率は下記の表の通りです。

サービス区分 加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 加算(Ⅲ) 加算(Ⅳ) 加算(Ⅴ)
訪問介護
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
13.7% 10.0% 5.5% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
訪問入浴介護 5.8% 4.2% 2.3% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
通所介護
地域密着型通所介護
5.9% 4.3% 2.3% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
通所リハビリテーション 4.7% 3.4% 1.9% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
8.2% 6.0% 3.3% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
認知症通所型通所介護 10.6% 7.6% 4.2% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
小規模多機能型居宅介護
複合型サービス
10.2% 7.4% 4.1% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
認知症対応型共同生活介護 11.1% 8.1% 4.5% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
介護福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設
短期入所生活介護
8.3% 6.0% 3.3% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
介護保険施設
短期入所療養介護(老健)
3.9% 2.9% 1.6% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
介護療養施設
短期入所療養介護(病院など)
介護医療院
短期入所療養施設
2.6% 1.9% 1.0% 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,9 加算(Ⅲ)により算出した単位×0,8
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介護処遇改善手当受給までの流れと金額

介護処遇改善手当受給の例

介護処遇改善手当受給までの流れは、上のイラストの通りです。

なお、利用者がデイサービス(通所介護)を自己負担割合1割・自己負担額1,000円で介護処遇改善加算の加算(Ⅰ)を取得している事業所を利用したケースを表しています。

この場合、加算率が5.9%となります。

事業所が請求できる処遇改善加算の計算方法

加算率は、事業所が認定されている処遇改善加算の加算段階と行っているサービス内容で決まります。

介護サービス費に対して決められた割合分を請求できる仕組みですが、分かりやすくするために事例を挙げて計算方法を解説していきます。

事例1:利用者が訪問介護を自己負担割合1割・自己負担額1,000円で介護処遇改善加算の加算(Ⅱ)を取得している事業所を利用したケース

介護給付9,000円+処遇改善加算900円=9,900円

自己負担1,000円+処遇改善加算100円=1,100円

処遇改善加算の1,000円は職員に支給

事例2:利用者が特定施設入居者生活介護を自己負担割合1割・自己負担額1,000円で介護処遇改善加算の加算(Ⅱ)を取得している事業所を利用したケース

介護給付9,000円+処遇改善加算540円=9,540円

自己負担1,000円+処遇改善加算60円=1,060円

処遇改善加算の600円は職員に支給

以上の計算方法で算出しますが、介護処遇改善加算として受け取った分は必ず職員の処遇改善として使う必要があります。

1円でも残してしまうと違反となり、返還や認定取り消しに繋がってしまう恐れがあるので要注意です。

介護処遇改善手当はいくらもらえる?

気になる介護処遇改善手当の金額ですが、厚生労働省の資料によると下記の表のような金額となります。

段階 加算Ⅰ 加算Ⅱ 加算Ⅲ 加算Ⅳ 加算Ⅴ
介護職員一人あたり加算額(月) 37,000円相当 27,000円相当 15,000円相当 13,500円相当 12,000円相当

上記の金額はあくまでも目安であり、必ずしもこの金額通りに支給されるわけではない点に注意しましょう。

処遇改善手当は事業所や職員によって異なるため、詳しくは勤務先に確認するしてください。

介護処遇改善手当の支給方法・支給時期

介護処遇改善手当の支給方法には、下記の3パターンがあります。

  • 基本給の増額
  • 賞与に反映する
  • 特別手当として支給

しかし、厚生労働省の資料によると、加算を受けている事業者の内、支給方法として取り入れているのは下記の通りです。

  • 定期昇給の実施が約70%
  • 手当の新設・増額が約30%
  • 賃金水準の引き上げが約16%

つまり、本来の目的である「賃金水準の引き上げ」としての活用は2割以下に留まっているのが現状です。

その理由としては、介護処遇改善手当の支給方法・時期・金額の分配が管理者に任せられている点が挙げられます。

そのため、介護職に従事している職員も処遇改善手当に関する知識を深めて「いくらもらえるのか」「対象となるのか」事業所に確認する姿勢が重要です。

手当は毎月もらうことができる?

介護処遇改善手当の支給時期や支給方法については管理者に任せられているため、従業員が手当てを受け取れる時期や頻度は各事業所で異なります。

毎月の給与に上乗せして支給される場合もあれば、ボーナスのように一時金として支給されることもあるので、支給方法はまちまちと言えるでしょう、

結局のところ、介護処遇改善手当は「収入を増やす」という目的さえ達成できれば、細かい方法については決まりは設けられていないのです。

しかし、一定のルールや基準を設けることで、介護職員が公平に手当を受け取れるようにする必要もあります。

そのため各事業所は、手当の支給時期や方法を決める際に、公正かつ透明性のある基準を設け、従業員に十分な説明を行うことが求められています。

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介護処遇改善手当をもらえない人は?

下記のような方は介護処遇改善手当をもらえないので注意しましょう。

  • そもそも勤め先の事業所が介護処遇改善加算を受け取っていない
  • 介護の事業所に勤務しているが、介護職ではない
  • 介護処遇改善手当の配分の際に、事業所が選んだ配分対象になっていない

以下の事業所は介護処遇改善手当の対象外となります。

  • 処遇改善を取得していない介護事業所
  • 訪問介護
  • 訪問リハビリテーション
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売
  • 居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援

このように、事業所によって大きく事情が異なる点は把握しておくべきです。

また、介護施設に勤めていても内勤事務など、介護現場に出ていない場合は手当をもらえないので注意しましょう。

自分が処遇改善手当を貰えるのか知りたい場合は、勤め先に個別に確認することをおすすめします。

せっかく国が介護職員の処遇改善のために設けた制度なので、自身がもらえるかもらえないかは細かく確認しましょう。

新しい制度の特定処遇改善加算とは

2019年10月から、新しく介護職員等特定処遇改善加算という制度が始まりました。

特定処遇改善加算とは、介護に携わる人材を確保するために技能や経験のある介護職員の処遇改善を目的としています。

介護報酬を更に手当が上乗せ支給され、介護職員の賃金改善のために充てられることになっています。

介護処遇改善手当に上乗せされる仕組みで、加算率は下記の図のように二段階に分かれています。

特定処遇改善加算の算定

参考:第168回介護給付費分科会(2019年2月13日)資料

特定処遇改善加算を受ける条件

特定処遇改善加算を受けるためには、下記の条件をクリアする必要があります。

  • 従来の処遇改善加算の(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得していること
  • 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」の各区分について、1つ以上の取組を⾏っていること
  • 介護職員処遇改善加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等を通じた⾒える化を⾏っていること

また、特定加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)の二種類が存在しており、(Ⅰ)を受けるためには下記の要件をクリアしなければなりません。

  • 事業所がサービス提供体制強化加算、特定事業所加算、日常生活継続支援加算、入居継続支援加算のいずれかを取得していること(ただしサービス提供体制強化加算は最も高い区分、特定事業所加算は従事者要件のある区分に限られる)

上記の加算を1つも取得していない場合は、特定加算(Ⅱ)となります。

特定処遇改善加算の加算率

特定処遇改善加算も従来の処遇改善加算とは別に加算率が設定されており、詳細は下記の表のようになります。

サービス区分 加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ)
訪問介護
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
6.3% 4.2%
訪問入浴介護 2.1% 1.5%
通所介護
地域密着型通所介護
1.2% 1.0%
通所リハビリテーション 2.0% 1.7%
認知症通所型通所介護 3.1% 2.4%
認知症対応型共同生活介護 3.1% 2.3%
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
1.8% 1.2%
小規模多機能型居宅介護
複合型サービス
1.5% 1.2%
介護福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設
短期入所生活介護
2.7% 2.3%
介護療養施設
短期入所療養介護(病院など)
介護医療院
短期入所療養施設
1.5% 1.1%
介護保険施設
短期入所療養介護(老健)
2.1% 1.7%

参考:花王プロフェッショナル業務改善ナビ

特定処遇改善加算の分配方法

特定処遇改善加算は、技能や経験を豊富に持っている人材や勤続年数の長い介護職員の処遇改善を目的としています。

つまり、介護職員のキャリアアップを応援する側面も持っており、職場内においても柔軟な分配が可能になっています。

しかし、本来の目的・意味から外れた利用や制度の趣旨にそぐわない活用を防ぐために下記のようなルールが設けられています。

要件 賃金改善額
介護福祉士の資格を有し、勤続10年以上の介護職員を配置
※勤続10年は事業所で事由に設定可(1)
1人以上は月額平均8万円以上、又は年額440万円以上への賃金改善
(1)以外の介護職員 改善平均額は、(1)の1/2以下
介護職員以外の職種(対象範囲は自由に設定可) 改善平均額は、(2)の1/2以下
(2)の平均額を超えなければそれ以上でも可

処遇改善の一番のターゲットである「経験・技能のある介護職員」は、グループa勤続の勤続10年以上の介護福祉士が該当します。

ただし、「勤続10年以上」の判断は事業所の裁量が認められており、細かいルールに関しては事業所に確認しましょう。

例えば、「他の事業所での勤務期間も勤続年数に加算する」「勤続が10年に満たない場合でも、能力等の人事評価に基づいて加算の対象とする」などの裁量が認められています。

また、bとcのグループを設定しないことも認められており、例えば介護職員の処遇改善に注力したい場合であればグループcを設定しないことも可能です。

看護師やリハビリスタッフなども手当を受けられる

特定処遇改善加算は、分配方法の条件を満たせば看護師やリハビリスタッフなどの他業種の処遇を改善するために利用することができます。

つまり、看護師などの介護の広く携わっているスタッフの処遇改善も期待されており、今後もますます「介護に携わる人材の処遇改善は進んでいくでしょう。

ただし、特定処遇改善加算はあくまでも「介護職員の処遇改善」が第一の目的です。

加算率を見ると分かる通り、特定処遇改善加算は介護処遇改善加算よりも低い割合で設定されているので看護師の方は過度な期待は禁物と言えるでしょう。

自分の手当の額をまずは確認してみよう

処遇改善手当は毎月の給料に上乗せして一緒に振り込まれることが多いですが、ボーナスや一時金として支給されることもあります。

制度についてそこまで気にせず、意識せずに受け取っている方もいるかもしれませんが、ぜひこの機に「いくらもらっているのか」チェックしてみましょう。

まずは給与明細や就業規則を見直して、そもそも自分が対象となっているのか、もらっている場合はいくらなのか、どのような支給方法なのかを確認すると良いでしょう。

手当の額に納得できない場合は?

勤続年数の長さや業務の内容など、手当の金額は総合的に鑑みて決められることになります。

もし、自身が受給している手当の額が少なく納得いかない場合は、転職を検討することも選択肢の一つとなります。

幸いなことに、介護職の求人数は多く経験者が食いっぱぐれることはほとんどありません。

転職活動を通して「自身の市場価値」を見直す良い機会にもなるので、現在の職場の手当の金額や待遇に不満がある場合は転職を検討しましょう。

なお、事業所が介護職員処遇改善加算の算定要件を満たしていているのも関わらず給与や手当に反映されていない場合は事業所が支給額を従業員に支払っていない可能性があります。

この場合、労働基準法に基づき従業員は支払われるべき金額を正当に受け取る権利があります。

もし従業員が支払われるべき金額を受け取っていないと感じた場合は、まずは上司や人事担当者に相談することが重要です。

それでも問題が解決しない場合は、労働基準監督署に相談することができます。

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介護職の方への追い風

岸田首相は「令和版所得倍増」「成長と分配」を謳い、様々な改革に着手しようとしています。

岸田首相も「看護・介護などの公的サービスの従事者は仕事が過酷である割には待遇が恵まれていないと考えており、官製市場のサービス価格(公定価格)を上げて待遇改善を図ろうしています。

公定価格を上げるために評価検討委員会を政府内に新設するという発言もあることから、今後も介護職員の待遇改善の動きは進んでいくでしょう。

また、岸田首相は介護職員の労働環境改善にも力を入れ、働き方改革を進めることで、介護職員の負担軽減やワークライフバランスの改善を目指しています。

さらに、介護職員の専門性の向上を支援するため、研修制度の充実やキャリアアップ支援の強化などにも注力しています。

これらの取り組みにより、介護職員の処遇改善や労働環境改善が実現され、高品質かつ安心して介護を受けられる社会の実現に向けて一歩近づくことが期待されています。

仕事のAI化は一部のみ

介護職員の人手不足という状況を受け、介護現場に職員の身体的負担を軽減するためのロボットやAIを導入する事例が相次いでいます。

これにより「人間の仕事が無くなるのでは?」という指摘がありますが、介護現場において利用者に快適に生活してもらうためには、人間と人間のコミュニケーションが欠かせません。

つまり、いくらAIやIT分野が発達しても、結局のところ信頼関係を築く根幹となるのは人間とのコミュニケーションなのです。

そのため、今後は介護業界において「肉体労働などはロボットに任せ、きめ細かいサービスは人間が提供する」という構図が実現されていくでしょう。

介護職員初任者研修や介護職員実務者研修などといった介護系資格有している人材の需要は高い状況が続くと考えられるので、積極的にスキルアップを目指しつつ現場経験を積んでいきましょう。

また、条件を満たす方であれば20%OFFで講座を受講できる「一般教育訓練制度」を使うことでお得に資格を取得しながらキャリアアップを目指せるので、併せて活用を検討してみてください。

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介護処遇改善手当の意味や支給額まとめ

介護処遇改善手当の意味や支給額まとめ
  • 支給方法は会社に任されているので、給与明細や就業規則を確認してみよう
  • 新しく特定処遇改善加算なども創設されており、介護職員の待遇改善は進んでいる
  • 自分が手当をもらっているのか、支給額はいくらなのかチェックしてみよう
  • 今後も介護職員の待遇改善は進むので、積極的にキャリアアップを目指そう

介護処遇改善手当をはじめとして、介護職員の待遇を改善して人材を確保するための政策が行われています。

金銭的なメリットを設けることで現に介護職員として働いている方のモチベーションアップにもなるので、この機会に自分が該当しているのかを確認してみましょう。

また、併せて自分がいくらもらっているのかも確認し、事業主がきちんと支給しているかチェックしてみてください。

今後も介護職員の処遇改善は進んでいくと考えられるので、ぜひ積極的にキャリアアップを目指していきましょう。

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この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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