生活保護でもデイサービスを受けられる?介護サービスの自己負担額や介護保険料も紹介

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「生活保護受給者でもデイサービスは受けられるの?」

「生活保護を受けていることで介護保険に影響はある?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

セーフティネットとして重要な役割を果たしている生活保護制度ですが、「生活保護=困窮」というイメージがあるのは確かです。

近年は生活保護の申請に至る高齢者が増えていることから、生活保護受給者でもデイサービスなどの介護サービスを受けられるかどうかについて知っておく必要があります。

こちらの記事で、生活保護でもデイサービスを受けられるか、また介護保険料の支払いなどについて解説していくので、参考にしてください。

生活保護者の介護サービスについてざっくり説明すると
  • 近年は高齢者の生活保護件数が増えているので、生活保護受給者の介護事情について知っておくことは重要
  • 介護保険サービスは利用可能なので、困窮しても安心
  • 自治体が認めたサービスしか受けられない点には注意
  • デイサービスも一般の方と同じように利用できる

そもそも生活保護とは

生活保護の人々

生活保護とは、様々な理由で生活苦に陥っている方が最低限の生活が送れるようように支援する制度です。

「生活保護法」によって規定がされており、健康で文化的な生活が送れるように、困窮の程度によって必要な生活費を支給してもらえる仕組みとなっています。

生活保護の種類

生活保護には、困窮の度合いなどに応じて下記の8種類に分けられます。

  • 生活扶助
  • 住宅扶助
  • 教育扶助
  • 医療扶助
  • 介護扶助
  • 生業扶助
  • 出産扶助
  • 葬祭扶助

他にも、災害を原因とした修繕費などの急な出費が必要となった際には別途で扶助を受けることができます。

なお、生活扶助費には一般生活費となる食料費・被服費・燃料費・水道料・家具什器費などが含まれているので

「基本的な生活費は賄える水準」と言えるでしょう。

参考:厚生労働省「生活保護制度」

高齢者の生活保護

何らかの事情で生活保護を受けている世帯の中でも、43.5%を高齢者が占めています。

「高齢者=貯金を多く持っている」というイメージがありますが、必ずしもそうではありません。

年金の給付水準が低下してしまっていることが大きな理由で、年金だけでは生活が賄えない高齢者が増加している辛い現実を窺い知ることができます。

また、高齢になればなるほど思うように就労できなくなってしまう事情もあり、これらの理由から高齢者が生活保護を受けるようになってしまっているのです。

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生活保護受給者による介護サービス利用

サービスを受ける人

生活保護受給者でも上記のイラストのように様々な介護サービスや介護施設の利用が可能となっています。

なお、必要となる費用や押さえておくべきポイントについても解説していきます。

介護保険のサービスは利用可能である

介護保険サービスを利用する際に生活保護の受給有無が問題になることはないので、生活保護受給者でも介護保険のサービスは利用可能です。

一般的に40歳以上になると介護保険料を納めることになるので、その対価として介護サービスを受けることが可能となっています。

なお、生活保護受給者は介護保険料が保護費である「生活扶助」から賄われており、介護サービスを受ける際の自己負担額は保護費である「介護扶助」から賄われています。

なお、介護サービスの自己負担額の一部に関しては自身で支払う必要があるケースも出てきます。

サービスが制限されることも

基本的に、介護サービスを利用した際の自己負担額は1割となっています。

そして、生活保護受給者で自己負担額を支払うのが難しい場合は「介護扶助」によって賄われる仕組みとなっています。

自己負担額無しで介護サービスを受けるためには条件が設けられており、各自治体の生活保護課が「必要である」認めた介護保険サービスに限定されるのが基本です。

ケアマネージャーが作成したケアプランが役所に認められれば、自己負担額分の負担が免除される仕組みなので、本人の希望通りに全てのサービスを受けられるとは限りません。

年齢によって自己負担額が異なる

年齢と生活保護を受給しているかどうかによって、介護保険料・介護サービス費が異なります。

区分ごとの介護保険料・介護サービス費を表にまとめると下記のようになります。

区分(年齢) 介護保険料 介護サービス費
65歳以上(生活保護を受けていない) 年金から天引きで納付 所得によって自己負担分1~3割を支払う
65歳以上(生活保護を受けている) 生活保護費の「生活扶助」から納付 生活保護費の「介護扶助」で自己負担分1割がまかなわれる
40~64歳(生活保護を受けていない) 公的医療保険に上乗せして納付 所得によって自己負担分1~3割を支払う
40~64歳(生活保護を受けている) 納付しない 「みなし2号」となる
生活保護費の「介護扶助」で全額まかなわれる

国の介護保険制度によって、40歳以上になると介護保険料の納付義務が発生します。

40~64歳で生活保護を受ける場合は国民健康保険から抜けなければならず、「無保険」の状態になり介護保険に加入していないことになります。

しかし、これらの方々が病気やケガをして治療が必要になった場合は医療保険ではなく生活保護費の「医療扶助」から全額が賄われる仕組みになっています。

つまり、生活保護を受けている方は介護保険料を負担せずに介護サービスを受けられるのです。

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生活保護受給者がデイサービスを利用する場合

デイサービスの内容

デイサービスとは、要支援・要介護認定を受けている方が日帰りで施設に通い、食事や入浴などの介護や介護予防プログラムを受けるサービスです。

朝~夕方まで滞在するものや半日のみ利用するものなど、利用時間やサービス内容も事業所ごとに異なっています。

運動器具を用いて筋力トレーニングを中心に行ったり、レクリエーションを通じて認知機能の維持を図る介護予防を行うなど、コンセプトも施設ごとに様々です。

デイサービスのサービス内容

デイサービスでは、食事・入浴・機能訓練・レクリエーション・送迎の5つのサービスが主に行われています。

バランスが良くしっかりと栄養が摂取できる食事がとれたり、職員の介助を受けながら入浴することも可能です。

また、機能訓練やレクリエーションを通して楽しみながら身体の機能の維持も図れます。

生活保護を受けていても、他の方と何ら変わりないサービスを受けられるので安心です。

生活保護受給者のデイサービス利用時の費用

厚生労働省のホームページによると、デイサービスを1割負担で利用した場合の費用は下記の表のようになります。

要介護区分 3時間以上4時間未満 4時間以上5時間未満 5時間以上6時間未満 6時間以上7時間未満 7時間以上8時間未満 8時間以上9時間未満
要介護1 364円 382円 561円 575円 648円 659円
要介護2 417円 438円 663円 679円 765円 779円
要介護3 472円 495円 765円 784円 887円 902円
要介護4 525円 551円 867円 888円 1,008円 1,026円
要介護5 579円 608円 969円 993円 1,130円 1,150円

デイサービスの利用料金は介護度と利用時間によって定められており、基本的な料金は自己負担額が1割の場合は1日あたり1,500円程度です。

先述したように、生活保護受給者でもデイサービスの利用が可能なので、費用負担も生活保護費から賄われることになります。

生活保護で老人ホームに入居することも可能

老人と施設

生活保護受給者でも老人ホームに入居することは可能です。

とはいえ、様々な条件もあるため、注意するべきポイントについて知っておきましょう。

入居可能な介護施設は存在する

生活保護受給者が入居できる老人ホームは下記の2種類です。

それぞれの特徴をしっかりと把握し、よりベターな施設を選びましょう。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)とは、自治体や社会福祉法人が運営している公的施設です。

困窮者や介護度が高い方向けの施設で、利用にあたっての費用が安いことから非常に人気が高い点が特徴です。

入居にあたって待機を強いられることが多いので、早い段階から入居申し込み手続きをしておくと良いでしょう。

対象となる入居者は原則要介護3以上ですが、生活保護受給者でも入居可能となっています。

~~内部リンク9番~~

有料老人ホーム・サ高住など民間施設

有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は民間企業が運営する施設です。

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特養と比較すると費用が高めですが、有料老人ホーム・サ高住共に設備面は充実しており高齢者が安心して快適に暮らせる施設が多いです。

どちらの施設も入居にあたっての家賃・雑費・医療費などは生活保護費から賄えるケースが多いため、有力な選択肢となるでしょう。

ただし、受け入れ数に制限がある場合もあるので施設へ問い合わせることが大切です。

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担当のケースワーカーに相談してから決める

上記のいずれかの施設に入居を考えている際は、まず担当のケアマネージャーやケースワーカーに相談しましょう。

費用の面だけでなく、自身の健康状態についても入居にあたっての重要は判断材料となるので、自身だけで話を進めないようにしてください。

現在住んでいる地域とは違う地域の施設に入居する場合、生活保護を受け続けるために移管の手続きが必要となるからです。

また、入居にあたっての諸手続きもあるため、施設への入居を考えている場合はまず担当に相談してみてください。

より費用が抑えられるココファンの介護サービス

学研ココファンの紹介画像

学研ココファンが展開しているデイサービスも、もちろん生活保護受給者でも利用可能です。

他のデイサービスと異なる点として、「脳元気タイム」のアクティビティを行っている点が特徴です。

「脳元気タイム」を通して、認知症予防や認知症の進行抑制に効果的なトレーニングを行うことができるため、心身の健康を保つことに繋がります。

家族の介護負担の軽減を考えている方や、身体的なリハビリと合わせて脳トレなどの認知機能維持も行いたい方におすすめのサービスと言えるでしょう。

また、学研ココファンの施設は、入居一時金0円のサービス付き高齢者向け住宅をはじめ、どの施設も費用を抑えて利用できます。

介護度の高い方まで安心して暮らせる、充実のサービスをより安価な費用で提供していますので、ぜひチェックしてみてください。

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いざとなったら生活保護を頼ろう

生活保護には「困窮の極み」「不正受給の温床」など、何かとネガティブなイメージが付きまといます。

財源が税金であるという特性上、給付の条件が厳しく設けられている上に周囲からも厳しい視線が向けられてしまう現実があるのは確かです。

しかし、憲法は生存権を認めているので、生活保護制度は普段の暮らしの社会的リスクを軽減してくれる重要な仕組みと言えます。

恥じらいなどの感情から申請を躊躇してしまう方は少なくありませんが、もし経済的不安がある場合は状況が悪化する前に相談することが重要です。

市役所の生活保護課の他にも、地域包括ケアセンターや生活サポートセンターなどの窓口で相談に乗ってくれるので、こちらも併せて活用しましょう。

単身高齢者は生活保護の状況になりやすい

未婚率の高まりもあり単身高齢者の人口は増えていますが、都市部を中心として単身高齢者は経済的に困窮しやすく生活保護に至りやすいです。

周りに経済的に頼れる存在がいなかったり、早期の段階で相談できる人がいないなどの理由から、状況が悪化してしまうケースが多いためです。

また、若い頃に年金保険料を納めていないと受給額も減ってしまうので、これらの要因も相まって生活保護の申請に至る高齢者が増えてしまっています。

今後結婚の予定がない方は、自力で老後資金を確保する必要があるので、この点もしっかりと押さえておくと良いでしょう。

高齢でも働けるチャンスはある

生活保護は困窮している方の生活を支える優れたセーフティネットですが、生活保護を受給している方は自立した生活を送れるように努めなければなりません。

身体的に就労できる状況であれば、ハローワークやシルバー人材センターなどを利用して仕事を探しましょう。

「65歳を過ぎると雇ってくれる会社なんてないのでは?」と考える方も多いですが、そんなことはありません。

パート求人が中心にはなりますが、高齢者の経験や知識が生かせたり、身体への負担が少なく65歳以上の方も多く就労している軽作業系の仕事も多く存在するので悲観する必要はありません。

また、日本は労働力人口が減少していくことから、業側から見ても「シニア人材の活用」は重要な課題となっています。

しっかりと求職活動を行えば自身の条件とマッチする求人と出会えるので、公的支援を受けながら自立した生活を営めるように努めましょう。

スキルが無い方は清掃・警備・マンション管理がおすすめ

シニア向け求人として人気が高いのが、清掃・警備・マンション管理です。

これらの仕事は特別なスキルを必要とせず、そこまで体力を必要としないので高齢者でも比較的馴染みやすい職種と言えるでしょう。

また、慢性的に人材不足であるという事情も就労しやすさを後押ししてくれています。

求人サイトやハローワークの求人情報を見ても、上記の仕事に関しては「シニア歓迎」「60歳以上多数在籍」などのフレーズが出ているので、「自分にはスキルが無いから」と考えている方でも安心です。

政府としても「生涯現役」を謳っていることから、今後ますますシニア向け求人は増えていくでしょう。

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生活保護者の介護サービスまとめ

生活保護者の介護サービスまとめ
  • 生活保護受給者でも様々な介護サービスを受けられるので安心
  • 施設への入居を検討する場合は、ケースワーカーやケアマネージャーに相談しよう
  • 学研ココファンが運営しているデイサービスは生活保護受給者でも利用可能
  • 生活保護に至っても、自立した生活に向けて就労などの努力をすることが重要

「生活保護になると介護サービスが受けられない」と考えてしまう方は多くいますが、実際にそんなことはありません。

受けられるサービスはある程度制限されてしまうものの、デイサービスをはじめとして様々な介護保険サービスを受けられるので安心です。

とはいえ、生活保護申請に至ると周囲から厳しい目で見られてしまうこともあるので、自立した生活へ向けて努力するアクションは必須です。

ケースワーカーなど様々な人の手を借りながら頑張っていきましょう。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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