老人ホーム見学のチェックポイント22選|設備やサービス・おすすめ時間帯も紹介

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「老人ホームを見学する際のチェックポイントについて知りたい!」

「介護施設を選ぶ際のポイントが整理できない!」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

老人ホームなどの介護施設に入居するにあたり、見学をすることは非常に重要です。

見学を通して様々な情報を得られることから、チェックポイントや押さえておくべき特徴を知っておきましょう。

こちらの記事では、介護施設を見学する際のチェックポイントについて解説していくので、入居を検討している方はぜひ参考にしてください!

介護施設の見学についてざっくり説明すると
  • 施設の人員配置や設備など、チェックポイントはいくつかある
  • パンフレットに書いてある内容だけを信じてはいけない
  • 見学の際には、入居者に配慮しマナーを守ろう
  • 施設の雰囲気だけでなく、職員の働きぶりもチェック

介護施設選びの際には見学するべき

見学を行う高齢者

介護施設を探している方にとって、施設の特徴や自分が快適に暮らせるかどうかは気になるでしょう。

予算や立地条件などの条件が合っていたとしても、楽しく安心して生活できるかどうかは本人にとっても家族にとっても重要なポイントです。

一般的に、短期間での利用を想定している施設を除いて、介護施設には長期間に渡って入居することになります。

場合によっては終身で利用することも有り得るので、細かな情報収集は欠かせません。

資料請求を行うことも重要ですが、実際に施設に足を運んで中の様子を見てみないと実態が分からないことは多いので、施設見学はマストです。

施設見学は、施設の雰囲気やスタッフの対応、入居者の生活状況を確認する貴重な機会であり、入居前の不安や疑問を解消するのに役立ちます。

入居後に短期間で退去せずに済むようにするためにも、積極的に施設見学を行いましょう。

見学前に施設の概要を把握しよう

パンフレットを持つ女性

施設見学の際には、前もって直接質問して確認するべき事項をまとめておきましょう。

施設に関する知識や情報を持っていないと、自分のチェックすべきポイントや職員に尋ねるべきポイントなどが分からずに無駄な見学になってしまう恐れがあります。

事前に見学を予定している施設のパンフレットや重要事項説明書などに目を通し、施設の概要を把握しておくことは重要です。

重要事項説明書には、

  • 職員の人数
  • 勤務形態
  • サービス内容
  • 入居者の平均年齢と要介護度
  • 利用料金
  • 介護にかかわる職員体制

上記のような重要な情報が記載されている有用な書類なので、隅々までチェックしましょう。

パンフレットで見るべきポイント

見学の前に資料請求することがおすすめですが、施設が作成しているパンフレットには施設に都合の良い内容ばかりが記載されていることがあります。

キャッチーな表現には特に注意して、確認するべきポイントをまとめておきましょう。

以下の各見出しで具体的なポイントを解説していくので、参考にしてください。

「特定施設入居者介護の指定」

特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設であれば、施設が直接介護保険サービスを提供してくれるでしょう。

要介護度が高く介護保険サービスの利用が欠かせない方であれば、特定施設入居者介護の指定を受けている施設を軸に探すのがおすすめです。

「終身利用可能」

「終身利用可能」という文言があっても、安易に読み飛ばすのではなく内容を細かくチェックしましょう。

各老人ホームには「退去要件」が定められており、例えば認知症が悪化すると退去を求められてしまうケースがあります。

また、長期間の入院が必要となった場合に退去しなければならない施設もあるので退去要件については要確認です。

「24時間対応」

パンフレットに「24時間対応」という記載があると安心できますが、実際の24時間対応の中身をチェックすることが重要です。

例えば、同じ文言でも下記の様な違いがあります。

  • 介護スタッフが24時間施設内に常駐している
  • 看護スタッフと介護スタッフが24時間施設内に常駐している
  • 医師と24時間体制で連絡がつく

安心して生活を送るためにも、特に持病を持っている方であれば夜間の職員の配置体制などのチェックは欠かせません。

また、夜間の医療対応についても確認し、様々な施設と比較検討してみましょう。

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介護施設を見学する方法

見学の際には予約が必ず必要になるため、電話して日時の調整をしましょう。

突然訪問してしまうと施設の対応が十分でなく情報が得られない可能性が高いため、事前に予約しておくと安心です。

なお、見学予約の際には下記のポイントを伝えておくと良いでしょう。

  • 見学日時
  • 訪問人数
  • 交通手段(駐車場の有無など)
  • 試食申し込みの有無
  • 欲しい書類(重要事項説明書、財務諸表など)

また、一人だと情報を処理しきれないこともあるので、見学は家族を誘って(2~3人)で行くことをおすすめします。

複数人で見学すれば自分とは異なる意見も得られるので、客観的に施設を評価できるためです。

ただし、幼児や小学生がいると施設利用者の迷惑になってしまう可能性があるため、極力避けると良いでしょう。

施設見学時の注意点

それでは、実際に施設を見学する際の注意点について見ていきましょう。

見学の際に守るべきこと

介護施設は多くの利用者がいるプライベートな空間なので、下記のような基本的なマナーは守りましょう。

  • 予約時間は守る
  • 写真を撮る際は許可を取り、利用者の方の顔が入らないようにする
  • 大声で話さない
  • 個室に勝手に入らない
  • 入居者の方に勝手に話しかけない

見学中は積極的に質問を

疑問点を解決しないまま入居を決めるのは非常にハイリスクなので、見学中に気になるポイントがあれば積極的に質問しましょう。

疑問点を放置したせいで、入居後に強いストレスを感じて施設替えを迫られるケースもあることから、疑問や不安は適宜解決してください。

分からないことはできる限り職員に伝えることで、職員も気を利かせてくれるでしょう。

見学中に気になることを積極的に質問し、入居前に納得のいく情報を得ることで、入居後の生活がスムーズかつ安心して始めることができます。

持ち物

見学日の持ち物としては、以下のようなものが考えられます。

  • 履きなれた靴(周辺環境確認のための散策)
  • 筆記用具
  • 確認事項をまとめたメモ(見学のチェックリスト)
  • カメラ
  • メジャー(家具を持ち込むスペースの確認)

中でも、確認するべきポイントをまとめたチェックリストは必須です。

チェック事項に見落としがないように、前もってメモ帳などに書き留めておき、当日は忘れずに持っていきましょう。

見学のおすすめ回数・時間帯

続いて、見学のおすすめ回数やおすすめの時間帯について紹介していきます。

回数

施設見学は1箇所だけで済ませるのではなく、比較検討するために3箇所くらいは足を運びましょう。

あまり多くの施設に行き過ぎると情報が整理できずに収拾がつかなくなる恐れがあるため、3箇所程度が丁度いいです。

もし満足できる施設が見つからなかったら、追加で気になる施設の見学を行うと良いでしょう。

時間帯

食事やレクリエーションが行われる時間帯は、利用者や職員の様子が把握しやすいのでおすすめです。

また、忙しい時間帯は施設全体の雰囲気を掴みやすいので、入居した際の具体的なイメージも持ちやすいです。

入浴設備の確認をする場合は入記者の方が使用していない時間帯に見学する必要があるため、各施設に確認しましょう。

建物・設備に関するチェックポイント

老人ホームの建物

高齢者施設によって建物や設備の充実具合は異なるので、細かいポイントまでチェックしましょう。

周りの環境・アクセス

見学に行く際には、最寄り駅や駅からの距離などのアクセスを確認し、家族が通いやすいかどうかなどをチェックしましょう。

アクセスが便利な立地であれば、家族が訪れやすく必要なサポートが期待できる上に、本人の孤独感や不安を和らげることができます。

自立した生活が送れる方であれば、施設周辺を散策して買い物できる場所や散歩コースなどをチェックすることも重要です。

各種設備の確認

トイレ・洗面台・収納・緊急通報装置など、各種設備の配置されてや使い勝手も安心して暮らすために欠かせないチェックポイントです。

また、家具の持ち込みの可否や入れるスペースについてもチェックしましょう。

見学時は居室の環境に目が行きがちですが、共有スペースの居心地や使い心地を確認することも重要です。

さらに、介護度が重くなった場合の対応(機械浴の有無など)やリハビリ(機能訓練)の方法など、設備の充実度の確認も行いましょう。

施設の使いやすさ

居室や共有スペースの使いやすさなど、施設の環境が自分の生活スタイルに合っているのかは重要なポイントです。

施設の設備の使いやすさは快適な暮らしに直結する重要なポイントなので、趣味を楽しむための設備や万が一の事態に備える設備など、細かい箇所まで確認しましょう。

施設によって差が出やすいので、自身の価値観や生活スタイルを鑑みることが大切です。

清潔感・衛生環境

排泄介助が必要な方も入居しているケースが多いので、施設の清潔感や衛生環境も重要なチェックポイントです。

特に、トイレの便器汚れなどは、汚れたときに速やかに掃除しないと汚れや臭いが染みついてしまうので、チェックすることで清掃の行き届き下限を確認できます。

また、トイレの清掃具合のみならず、廊下や共用スペースの清潔さも確認してください。

きちんと整理整頓されているか、ゴミや食べかすが落ちていないか、車椅子でも簡単に移動できるかなど細々としたポイントまで確認しておくと安心です。

安全面

高齢者は転倒しやすいので、安全面に対しても備えができているかチェックしましょう。

居室だけでなく、共有スペースに手すりが設けられているかどうかも確認してください。

多くの高齢者施設はバリアフリー構造になっていますが、細かいところまでバリアフリー化できていない施設も存在します。

自身が納得できるまでチェックし、安心して暮らせるかどうかをイメージしてみましょう。

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職員・介護スタッフに関するチェックポイント

介護をする職員

職員や介護スタッフに関しても、チェックするべきポイントは多くあります。

施設長の考え

施設長は現場の責任者なので、施設長の考えや理念がサービスに反映されることになります。

見学の際には、施設の理念や運営方針、職員の教育や研修の仕組みなどを施設長から直接聞くと良いでしょう。

また、施設が持っている特徴や売りにしているポイント、注意事項などは施設選びにおける重要な判断材料となります。

併せて、施設長の人柄も確認することで安心して入居できるか判断できるでしょう。

職員の愛想・対応の良し悪し

見学の際には、職員の入居者に対する接し方などもチェックすると良いでしょう。

明るい表情で丁寧な対応していれば、その施設で快適に暮らせる可能性が高いです。

入居者と職員がコミュニーケーションをしっかりと取って、信頼関係を築いているかどうかを確認しましょう。

入居者と職員のコミュニケーションが円滑で信頼関係が築かれている場合、入居者は日常生活で安心感を感じやすく、ストレスが少ない環境と言えます。

職員の労働・教育状況

施設見学にあたっては、介護スタッフではなく入居相談員が対応するケースが多いため、入居相談員の対応も確認すると良いでしょう。

また、介護職員については笑顔でサービスを提供できているかなどを確認し、入居者が安心して過ごしているかを見るのがおすすめです。

また、表面上の働きぶりだけでなく、職員の就労環境や教育事情も確認しましょう。

勤続年数が長く、離職率が低い職場であれば就労環境が整備された施設と判断できます。

施設内の雰囲気

施設内の雰囲気と自身の価値観などが合っているかも重要なポイントです。

介護やレクリエーション中の入居者の表情や職員の態度などをチェックすれば、概ねの雰囲気は掴むことができます。

特に、「入居者の表情が明るさ」は入居者が楽しく過ごせているか判断する重要な判断材料となるので、見落とせないポイントです。

良い雰囲気の中で入居者も職員も過ごしていれば、ミスマッチのリスクは低いでしょう。

介護・医療サービスに関するチェックポイント

介護を受ける高齢者

介護・医療サービスについても必ずチェックしましょう。

介護サービス

民間企業が運営している施設では、介護施設の対象者や経営方針によって提供されているサービスに違いがあります。

適切な介護・医療サービスを受けるためにも、見学時に下記で挙げるポイントをチェックしましょう。

人員配置もチェック

介護付き有料老人ホームでは、利用者の人数に対して介護職員や看護職員などの人員配置基準が設けられています。

例えば、「要介護者3人に対して1人以上の介護職員または看護職員を配置しなければならない」という具合です。

基準をクリアするのは当然ですが、施設によっては基準よりも充実した人員体制を整えているところもあり、配置体制が手厚い方が安心できるのは言うまでもありません。

ケア体制の充実度を測るための指標として、人員配置も確認してみましょう。

医療サービス

施設によって、リハビリや医療的ケアに差があるので、医療サービスについても確認しておくと良いでしょう。

健康管理

入居者への訪問診療や健康診断の頻度など、健康管理にどれくらい力を入れているのか確認しておくと良いでしょう。

また、施設内に看護師が常駐している時間帯や、看護師不在時の緊急時対応など、有事の際の対応や連携についても重要なチェックポイントです。

これらは安心して暮らすための根幹となるポイントなので、細かく確認することが重要です。

リハビリ支援の充実度

高齢者施設に入居した後も、介護度の進行や症状の悪化を防ぐためにリハビリが欠かせません。

そこで、下記のような施設におけるリハビリの充実度も確認しておきましょう。

  • リハビリ設備の充実具合
  • リハビリの頻度
  • 作業療法士など、リハビリ専門スタッフの配置
  • 具体的なリハビリ内容

リハビリは運動能力や認知機能を維持する上で重要なので、しっかり確認してください。

医療機関との連携

医療体制が充実している施設の方が安心して暮らせるのは言うまでもありません。

老人ホームでは、医療機関と連携して往診や健康診断、緊急時のサポートなどを受けられる体制が整備されています。

しかし、医療連携の充実度や内容は老人ホームによって差があるので、自身のニーズを踏まえて確認するべきです。

具体的には、下記のポイントを確認すると良いでしょう。

  • 訪問診療の有無
  • 退去しなければならない疾患について
  • 服薬サポートの有無

自身の健康状態を鑑みて、安心して生活できるか納得できるまで質問してみてください。

終末期医療・看取り介護の実施

自宅や老人ホームなどで最後を迎えることを看取りと言いますが、全ての老人ホームが看取りに対応しているわけではありません。

そのため、見学の際には終末期医療・看取り介護の実施について確認すると良いでしょう。

老人ホームで最期まで過ごしたいと考えている方であれば、看取りに対応している施設を選ぶことを優先するべきです。

また、併せて終末期ケアの充実度もチェックしておくことで、より安心して過ごせるか判断できるでしょう。

ケアの種類

有料老人ホームでは、主に「ユニットケア」「フロア分けケア」「混在型ケア」の3種類のケアが行われています。

それぞれのケアの内容や方法について見ていきましょう。

ユニットケア

ユニットケアとは、入居者5~10名前後のグループ(ユニット)を組み、ユニットごとに介護をする体制を指します。

ユニットごとに共用トイレや浴室などが分けられており、介護職員も特定のユニットを担当してサービスを提供する点が特徴です。

入居者や職員と信頼関係を築きやすく、きめ細かい介護やサービスを期待できる点がメリットです。

フロア分けケア

フロア分けケアとは、各フロアごとにグループ分けを行った上でケア体制を整える仕組みです。

フロアの一部を「認知症フロア」としている施設もあり、認知症フロアは認知症ケアに精通している職員が対応するなど、適材適所の配置が行われます。

ユニットケアのように各フロアの担当介護職員がいるので、きめ細かい介護が期待できます。

混在型ケア

混在型ケアとは、介護度や身体状況などで入居者を分けないケア体制を指します。

職員数が少なくても対応できるため、リーズナブルに利用できる点が魅力です。

また、介護職員が担当ユニットや担当フロアを持たずにサービスを提供することから、すべてのスタッフが入居者全員と顔見知りになることができます。

そのため、多くの職員に自身の状況を把握してもらえる点が大きなメリットと言えるでしょう。

認知症患者の対応

認知症ケアをはじめとして、認知症患者への対応は施設ごとに差があります。

そのため、認知症を発症している入居者にとって、認知症対応は非常に大切なポイントと言えるでしょう。

具体的には、下記のポイントをチェックして安心して生活できるか判断してください。

  • 担当介護職員と信頼関係を築ける環境か
  • 徘徊防止などの安全対策
  • 安心して生活できる雰囲気か
  • 虐待などの介護事故の防止対策が設けられているか
  • 退去要件はあるか

認知症患者の対応は介護のプロでも苦労することから、施設側の対応や方針について知っておくことは重要です。

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生活支援サービスに関するチェックポイント

レクリエーションをする高齢者

続いて、生活支援サービスに関するチェックポイントを紹介していきます。

行事・レクリエーション

老人ホームでは、季節に応じたイベントなどのレクリエーションが頻繁に行われているので、行事やレクリエーションの内容について調べてみましょう。

レクリエーションは、単に楽しむだけのイベントではなく運動機能や認知機能の維持や改善にも役立つイベントです。

また、新たな生きがい作りや楽しみを生み出すメリットも期待できるので、見学の際には各施設のレクリエーションの実施状況や頻度を確認しましょう。

食事

食事は健康維持の根幹となるもので、食事の質の良し悪しはQOLに直結します。

食事が口に合わないと大きなストレスとなってしまい、場合によっては心身の不調の原因になり得ます。

施設での食事内容を知るためにも、月間の献立表などを見せてもらったり、単調な食事にならないように季節感を持たせるなどの工夫が施されているかチェックしてみてください。

また、持病を持っている方であれば、個別食や治療食に対応してくれるのかも忘れずに確認しましょう。

家族との面会の有無・体制

入居者にとって、家族の面会に関することも重要なポイントでしょう。

面会する場所や家族の宿泊の可否など、細かいポイントまで確認しておくことをおすすめします。

施設によっては、家族と面会するための部屋としてゲストルームなどを設けている施設もあるので、家族を迎える体制や環境についても確認してみてください。

契約内容に関するチェックポイント

介護施設の契約書

老人ホームへの入居に関する契約は、チェックするべきポイントが多くあります。

契約内容に関するチェックポイントも押さえておきましょう。

入居条件

有料老人ホームは民間企業が運営しているので、施設ごとに入居条件が異なります。

自身の要介護度や健康状態を事細かに伝えて、そもそも入居できるかどうかを確認してみてください。

具体的には、下記のポイントを伝えながら相談すると良いでしょう。

  • 要介護度
  • 認知症の有無
  • 持病や病歴
  • 必要な医療対応

入居条件の他にも、以下で解説する退去要件についても確認してください。

退去要件

施設によっては「認知症が進行して周囲の方の迷惑になると判断する場合」など、退去要件が設けられているケースがあります。

また、入居後の体調や介護度の変化によっても退去を迫られてしまうことがあるため、退去要件の確認は欠かせません。

終身利用契約であっても、十分なケアができないと判断されると退去しなくてはならないため、トラブルを未然に防ぐためにも細かくチェックしてください。

利用料金

月額利用料や入居費用など、利用料金に関する事項はトラブルになりやすいので要注意です。

パンフレットに記載されている月額利用料には、医療費や日用品費などが含まれていないことが多く、また介護保険サービス費も追加で発生することになります。

その結果、当初の想定よりも「介護費用が嵩んでしまった!」と悩む方は多いので、見学の際には下記のようなポイントを確認すると良いでしょう。

  • 水道光熱費は料金に含まれているか
  • 日用品費の目安
  • レクリエーション参加費はの有無
  • 追加で必要となる費用の有無

お金の問題はシビアなので、納得できるまで質問しましょう。

入居一時金の償却方法

老人ホームの入居一時金には「償却」というルームが設けられていることが多いですが、仕組みが複雑なので理解できるまで職員に質問しておきましょう。

重要事項説明書に仕組みや計算方法は記載されていますが、これを読んだだけで理解できる方は多くないでしょう。

早期に対処することになったら入居一時金の一部が償還されるなど、様々なルールがあるので見学の際に疑問を解消してください。

連帯保証人について

多くの有料老人ホームでは、入居にあたって連帯保証人を立てる必要があります。

連帯保証人は、本人が施設の居住費用などを支払うことができなくなった際に保証人として金銭的負担を強いられることがあります。

そのため、配偶者や子が連帯保証人になるのが一般的です。

また、保証人は本人が病気や怪我などで様体が急変した時の緊急連絡先として求められることもあるので、施設から近い距離に住んでいる方が望ましいです。

介護方針

施設ごとに介護方針が異なるので、見学予定の施設の介護方針についても確認しましょう。

施設の方針と、自身の価値観やニーズが合致していれば快適に過ごせる可能性が高いので、必ずチェックするべき重要なポイントと言えます。

ホームページやパンフレットで調べるだけでなく、実際に施設の担当者の話して印象を確認してみてください。

また、理念なども併せて確認しておくと、よりミスマッチを防ぐことができます。

運営側の経営状況

有料老人ホームは民間企業が運営を行っていることから、倒産や事業継続が不可能になるリスクは少なからずあります。

施設の財務状況をチェックしたり、入居率と退去率などを見て健全な運営ができているかチェックすると良いでしょう。

入居中に施設が倒産してしまうと、いきなり住む場所が無くなってしまうことになります。

将来は確実に見通せないとはいえ、健全な運営が行われている施設の方が安心して生活できるとは言うまでもありません。

また、併せて運営主体の得意領域についても確認しましょう。

例えば、介護分野に特化している法人であれば質の高い介護サービスを受けられることが期待できるので、自分の求めているサービスと合致するかチェックするのもおすすめです。

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口コミなどで施設の実態を知ることも重要

資料請求や見学に加えて、口コミなどで情報を集めるのも有意義です。

第三者の声も参考にして、ミスマッチのない選択をしていきましょう。

施設のイベントに参加

有料老人ホームでは、季節ごとにイベントを催していることが多いので、これらのイベントに参加できるようであれば積極的に参加しましょう。

イベントに参加することで、入居者や家族の様子をチェックできるので、施設の雰囲気やイメージも掴むのに役立つでしょう。

イベントの際には外部の方の参加も認められるケースが多いので、興味のある施設があれば参加してみてください。

また、イベントに参加することで他の入居者と交流を深める機会も得られ、社会的なつながりを築く手助けにもなります。

施設の掲示板を見てみる

老人ホーム内の掲示板には、季節行事の様子やレクリエーションの様子が貼られていることがあります。

掲示板が華やかだったり、楽しそうな様子が見るだけで伝わるようであれば、自身も楽しむ過ごせる可能性が高いでしょう。

また、掲示板にはイベントの様子だけでなく食事の献立や1週間の予定などが貼られていることもあるので、生活の流れについて知るのにも役立ちます。

地域の住民に話を聞いてみる

施設の近隣住民も施設に関する情報を持っていることがあるので、見学の際に話を聞いてみると良いでしょう。

例えば、近くの喫茶店などに立ち寄って施設の評判を聞いたり、通りすがりの方に話を聞くのも有効です。

地域の方からの評判や口コミは施設の客観的な評価として非常に参考になるので、積極的に情報を集めましょう。

就職先として施設を職場見学

介護業界への就職や転職を考えている方も、積極的に施設見学を行いましょう。

新たな職場で働くにあたり、働きやすい環境かどうか、自身が溶け込めそうかどうかは非常に気になるポイントです。

これらのポイントを評価するためには、自分の目で見ることが最も確実なので、気になる施設があれば積極的に見学しましょう。

また、介護という同じ職種であっても施設によって運営方針などが違うことから、求められる役割や業務内容が違うケースは多々あります。

運営方針次第では、自分のイメージしていた介護の仕事ができなったり、就職後にイメージとのギャップを感じてストレスになることもあります。

早期の離職を防ぎ、ミスマッチなく働くためにも職場見学は欠かせないステップです。

このように、就職先を決めるという意味合いでの施設見学も非常に有意義なので、複数施設の見学に赴いて様々な情報を集めましょう。

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介護施設の見学まとめ

介護施設の見学まとめ
  • 聞くべきポイントをリスト化しておき、職員に尋ねて疑問を解決しよう
  • 医療サービスやスタッフの充実具合は生活の安心に直結する
  • 利用料金などはトラブルに繋がりやすいので、細かく確認しておこう
  • 資料や見学に加えて、口コミもチェックするのがおすすめ

安心して介護施設に入居するためには、見学して職員に質問して疑問を解決することが重要です。

人員の配置基準や受けられるサービスなど、細かいポイントまで自身のニーズに合致するか確認してください。

こちらの記事を参考にして、安心して暮らせる介護施設を探していきましょう。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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