ショートステイとは|利用できるサービスや利用条件・料金まで全て解説

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「ショートステイはどのような使い方をすれば良いの?」

「ショートステイを利用すると、どのようなサービスを受けられるの?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

ショートステイのサービスを提供している施設は多くありますが、具体的にどのようなケースで利用するのか知りたい方も多いでしょう。

介護保険が適用されるかどうかで料金も違ってくるので、利用条件などを確認しておきましょう。

こちらの記事では、ショートステイの特徴や利用条件、また実際に利用している人の目的などを詳しく解説していきます!

ショートステイの特徴についてざっくり説明すると
  • 自宅での介護が一時的に難しい場合などに活用されている
  • 介護保険が適用される施設であれば、安く利用できる
  • 連続で利用できる日数は最大で30日

ショートステイとは

ショートステイ概要

ショートステイとは、自宅での介護が一定期間できなくなった際に、その期間だけ被介護者が老人ホームや介護施設に入所することを言います。

ショートステイは最短1日から、日単位で利用でき、食事・入浴・介護などのサービスを受けることができます。

介護をする人が何らかの理由で介護できない期間が生じたときや、介護施設の入居待ちの時などに使われています。

また、ショートステイは、介護を担当する家族や介護者にとっても、一定期間の休息やリフレッシュの機会を提供することができます。

ショートステイを利用することで、介護者が一時的に負担を軽減し、介護に対するモチベーションやエネルギーを回復することができます。

介護保険制度が適用されるもの・されないもの

ショートステイには、短期入所生活介護・短期入所療養介護・それ以外のショートステイの3種類がありますが、介護保険が適用されるショートステイは以下の2つです。

  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護

一方で、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などが実施している有料ショートステイは介護保険が適用外となります。

短期入所施設や特養など、介護保険が適用されるサービスは自己負担額が抑えられるので人気が高く、予約も埋まりやすいので利用できないケースもあります。

一方で、介護保険適用外のショートステイは出費は嵩みますが、予約も取りやすく気軽に利用しやすい点が人気を得ています。

利用者のニーズに合わせたサービスやアクティビティが提供されることがあり、施設によっては高級感のある宿泊施設のような雰囲気を味わえる場合もあります。

介護保険適用外のショートステイも、介護者の負担を軽減するための手段として、検討する価値があるでしょう。

ただし、介護保険適用外の施設を利用する際には、自己負担額やサービス内容、利用条件などを事前に確認しておくのが良いでしょう。

併設型と単独型がある

ショートステイの中でも、短期入所生活介護では単独型と併設型の2種類があります。

単独型はショートステイを専門とする施設で、併設型は特別養護老人ホームなどと併設されているケースが多いです。

受けられるサービスに大きな違いはありませんが、併設型は老人ホーム運営でベッドを使うため数に限りがある点に注意してください。

単独型のショートステイは、介護に特化した専門的なサービスが提供されることが多く、介護スタッフの質や設備面の整備が充実していることが特徴です。

一方で、併設型の場合は、老人ホームとの共用スペースやプログラムがあることが多く、様々な交流が生まれることもあります。

また、普段から併設型の施設を利用している場合は、慣れているので通いやすいメリットがあります。

利用者のニーズや好みに応じて、単独型と併設型のどちらが適しているかを検討すると良いでしょう。事前に施設の見学や相談を行うことで、施設が適したものがどうか判断しやすくなります。

居室の種類と受けられるサービス内容

居室の種類一覧画像

短期入所施設・介護保険適用外のショートステイでは、機能訓練やレクリエーションなどのサービスを受けることができます。

一方で、短期入所療養介護ではリハビリや医療ケアなどの医療的サービスを中心に受けることができます。

また、特養などは部屋のタイプが4種類に分かれており、特徴をまとめると以下の表のようになります。

部屋の種類 特徴
ユニット型個室 居室は一人部屋だが、食堂や浴室などは共有スペースとなっているタイプ。自宅での生活に近く、10人で1つのユニットを構成する
従来型個室 ユニット型以外の個室
ユニット型個室的多床室 ユニット型個室と設備等は同じだが、それぞれの居室が完全に仕切られていない
多床室 ユニット型以外で、居室が4人以下の相部屋になっている

以上のように各部屋に特徴があることから、自分が過ごしやすいものを選ぶと良いでしょう。

ショートステイの利用場面・目的

ショートステイの利用場面

ショートステイを利用する場面は様々ですが、利用者の状態が悪化した際や介護をしている親族が休息を取るために利用されることが多いです。

具体的には、以下のような事例でショートステイを利用する方が多いので、参考にしてください。

〈介護側〉

  • 介護をしている家族が体調を崩した時
  • 介護者が旅行などに出かけることになった時
  • 仕事や冠婚葬祭などで介護者の都合がつかない時
  • 介護者が心身の疲労を感じて休息を得たいと思った時

〈介護される側〉

  • 利用者(被介護者)の病状が悪くなった時
  • ヘルパーが来ない日が一定期間続く時
  • 施設に入居した時のイメージを掴んでおきたい時
  • 孤独を感じた時

ショートステイを上手に利用するには

介護保険制度を利用でき、自己負担額を抑えられることからショートステイの人気は高いです。

1〜2ヶ月先まで予約が一杯で、希望通りに利用できないこともザラにあるので、気軽に好きなタイミングで利用するのは難しいです。

特に、連休や年末年始などは予約が取れないことが多いので、利用する場合は混雑時を避けて予約することをおすすめします。

また、施設によっては料金が割高である代わりに様々な事態に柔軟に対応してくれる場合もあるので、緊急度に合わせて上手に施設を使い分けましょう。

さらに、ショートステイを利用する前には、利用する施設の評判や口コミ、アクセスや設備などを事前に確認しておくことが重要です。

また、利用前には施設に対して、利用者の状況や要望、希望するサービス内容などを適切に伝え、スムーズな利用を実現することが大切です。

利用するショートステイ施設の利用条件やルールも把握することで、より快適にショートステイを利用することができます。

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ショートステイするための条件と期間

次に、ショートステイを利用するための条件などを確認しましょう。

要支援1・2または要介護1~5の必要あり

介護保険が適用されるショートステイを利用する場合、要介護認定を受けている方が対象となります。

具体的には、以下の2つのいずれかに該当していなければ利用できません。

  • 要支援1・2または要介護1~5の65歳以上
  • 40歳以上65歳未満で特定疾病で要介護認定を受けた人

有料ショートステイなら介護度に関わらず利用可能?

有料老人ホーム等が提供している介護保険適用外のショートステイであれば、要介護状態でなくても利用可能なところがあります。

この場合、介護保険が適用されないので自己負担が大きくなる点に注意しましょう。

また、要介護状態でなくても利用できるかどうかは施設によるため、必ず事前に確認してください。

実際に、要介護認定を受けていないと有料ショートステイを利用できない施設も多いです。

要介護状態でなくても利用できる場合であっても、一部の施設では健康状態や利用目的に制限がある場合があります。

滞在期間は1日から連続30日間まで

ショートステイの利用可能期間は最短で1日からとなっており、連続利用の場合は30日間まで利用可能です。

また、介護保険の適用範囲内で利用する場合は介護度によって利用可能日数が変わり、以下の表のようになります。

要介護度 利用可能日数
要支援1 6日
要支援2 11日
要介護1 17日
要介護2 20日
要介護3 28日
要介護4 30日
要介護5 30日

なお、上表の日数を過ぎても、費用を全額自己負担するのであれば30日間までなら連続利用が可能です。

ケアプランを作ってもらう

介護保険が適用されるショートステイを利用する場合、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらう必要があります。

ただし、1~3日間程度の短期間であれば、ケアプランがなくても利用できる場合があるので、施設に確認しておくことをおすすめします。

また、介護保険適用外のショートステイであれば、ケアプランは不要です。

そのため、この場合は、手続きが簡便で利用しやすいという特徴があります。

ショートステイの費用は?

費用2

介護保険が適用される場合の費用は、基本的にサービス料金を含む基本料金のみの負担となります。

一方で、介護保険が適用されない場合の費用は、食費・施設費・日用品代などをすべて含みます。

なお、保険が適用される場合は自己負担額が1~3割に抑えられるので、かなりリーズナブルです。

具体的な料金は、施設によって差があるものの一泊二日で3,000~8,000円程度が相場となります。

基本料金と実質負担額

基本料金とは介護サービス費のことで、食事・入浴介助のための費用を指します。

基本料金は施設の種類や介護度によって変わりますが、短期入所生活介護より短期入所療養介護のほうが高くなります。

なお、1日あたりの基本料金は以下の表の通りです。

  • 短期入所生活介護併設型
介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室・ユニット型多床室
要支援1 446円/日 446円/日 523円/日
要支援2 555円/日 555円/日 649円/日
要介護1 596円/日 596円/日 696円/日
要介護2 665円/日 665円/日 764円/日
要介護3 737円/日 737円/日 838円/日
要介護4 806円/日 806円/日 908円/日
要介護5 874円/日 874円/日 976円/日
  • 短期入所療養介護 介護老人保健施設
介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室・ユニット型多床室
要支援1 577円/日 610円/日 621円/日
要支援2 721円/日 768円/日 782円/日
要介護1 752円/日 827円/日 833円/日
要介護2 799円/日 876円/日 879円/日
要介護3 861円/日 939円/日 943円/日
要介護4 914円/日 991円/日 997円/日
要介護5 966円/日 1,045円/日 1,049円/日

なお、以上の表は、自己負担割合が1割の場合の自己負担額となります。

サービス加算の費用に注意

施設によって様々なサービスを受けることができますが、利用したサービスに対する料金を支払う必要があります。

1回あたりの利用料金は小額でも、長期に渡って積み重なると高額となるため、老後資金の枯渇を防ぐためにも必要なサービスと不必要なサービスを意識して選ぶと良いでしょう。

なお、サービス加算にはいくつか種類がありますが、代表的なものは以下の通りです。

  • 口腔機能向上加算
  • 栄養スクリーニング加算
  • 栄養改善加算
  • 認知症加算
  • 入浴介助加算

また、ショートステイの費用については、以下の記事でより詳しく解説しておりますので、併せてご確認ください。

ショートステイの費用はどのくらい?介護保険の適用範囲や料金を抑える方法まで紹介!

ショートステイのメリット・デメリット

続いて、ショートステイを利用するメリット・デメリットについて確認しておきましょう。

メリット

介護者のリフレッシュになる

ショートステイを利用すると、施設にいる介護のプロに被介護者の世話を任せることができるため、介護者のリフレッシュになります。

介護を行うと肉体的にも精神的にも疲れてしまうため、日々の介護から解放されて心身を休めることは非常に重要です。

介護疲れを感じている人や、自分の時間を楽しみながら生活に活力を加えたい人におすすめです。

施設の方々との交流を楽しめる

ショートステイの利用者は、施設の入居者の人たちと食事やレクリエーションなどを楽しむことができます。

このようなグループで楽しむ機会があることで、コミュニティができ老後の人生を豊かにすることが可能となります。

新たな人たちと交流を持つことで認知症予防にもなるので、利用するメリットは大きいと言えるでしょう。

入居前に施設を体験できる

ショートステイは実際に入居する前に体験することできるので、事前に相性の良し悪しをチェックできます。

いきなり自宅以外の施設を利用することに抵抗を示す被介護者は多いですが、事前に体験しておくことで心理的ハードルを下げる効果が期待できるでしょう。

利用を考えている場合は実際に体験して、本人から感想を聞いてみてください。

デメリット

利用にストレスを感じてしまうことも

利用者は知らない人たちと交流することになるので、勝手が分からずにレクリエーションを楽しめないケースがあります。

参加の仕方が分からずにストレスを感じてしまうことも有り得るので、溶け込めるかどうかは必ず確認しておく必要があります。

事前に体験することで相性の良し悪しをチェックできるので、ぜひ体験しておきましょう。

介護保険適応の施設はなかなか予約が取れない

介護保険が適用されない施設であれば比較的予約が取りやすく、利用するための理由も融通が利きやすいです。

しかし、介護保険が適用される施設は人気が高く、思うように予約が取れないことも多いため注意しましょう。

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ショートステイとデイサービスの違い

ショートステイとデイサービスは混同されがちですが、それぞれの最大の違いは利用できる時間帯にあります。

デイサービスは日中の利用しかできませんが、ショートステイは短期入所で宿泊を伴う利用が可能です。

なお、日中に受けられるサービスには違いがありません。

日々の介護負担を軽減する場合はデイサービスを利用し、旅行などで家を空ける場合はショートステイを利用するなど、場面によって使い分けると良いでしょう。

申し込み手続きの流れ

それでは、実際にショートステイを利用する際の流れについて紹介します。

申込みの流れについて知っておくことで、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。

手順 内容
問い合わせ まずは施設に利用相談をする。電話でもメールでも良い
申し込み ケアマネージャー経由で必要書類の提出
入所判定会 入所判定会議で入所の可否を判断
連絡 利用日程の決定
入所 利用開始

基本的には以上のような流れで進んでいきますが、介護保険適用外のショートステイの場合はケアマネージャーを介す必要がありません。

直接自分自身で施設とやりとりできるため、よりスムーズに申し込みが可能です。

ショートステイ中の過ごし方

ショートステイ中は、概ね以下のような流れて1日を過ごすことになります。

時間 すること
6:00 起床。着替えやトイレの介助など
7:00 体温や血圧等のチェックを行う
8:00 朝食をとる
10:00 お風呂に入る(介護あり)
チェアバスや寝台浴もあり
12:00 昼食をとる
15:00 レクリエーション、おやつなど
18:00 夕食をとる
21:00 就寝

なお、ショートステイを利用する初日は、朝に自宅に送迎が来てくれる場合が多いです。

逆に、ショートステイ最終日は16時頃に自宅まで送ってもらえることが多いです。

利用者が安心して過ごせるようなサービスが充実しているので、介護負担の軽減を考えている方は積極的に利用を検討しましょう。

ショートステイの施設見学のポイント

ショートステイの施設を見学する際には、以下のポイントを特にチェックすると良いでしょう。

チェックポイント 詳細な内容
他の入所者 他の入所者の介護度やどのような関係性を築いているか
レクリエーション・リハビリの内容 頻度や何を行っているかなど、施設によって大きな差がある
食事 自分の口に合うかどうか
スタッフ 言葉遣いで気分を害さないか、スタッフ間の連携は上手くいっているか
衛生面 快適に過ごせそうか

上記の表で紹介したものを意識しながら、様々な施設と比較検討した上で自分と相性が良さそうな施設を選ぶようにしましょう。

また、比較項目の中でも「特に重視したい」優先事項を決めておくと、判断に迷った際にも軸がブレることがありません。

快適に過ごせれば「また使いたい」と感じることができ、介護者の負担を減らすこともできるので、以上で挙げた点に着目してみてください。

ショートステイ利用者の声

それでは、ショートステイを実際に利用した方々の声を見てみましょう。

健康状態に配慮して適切なサービスを提供してくれる

ショートステイには介護のプロが揃っているので、各利用者の健康状態に配慮した上で適切なサービスを提供してくれます。

在宅介護では手が回らないようなきめ細かいサポートまで行ってくれるので、被介護者も介護者も安心して利用できる環境が整っている旨の口コミが見られました。

本人が安心して利用できれば家族も安心してリフレッシュできるので、このような口コミがある施設を選ぶといいでしょう。

様々なイベントがあり生活が豊かになる

ショートステイでは、レクリエーションなどの利用者が楽しめるような催しが多く行われています。

ゲーム感覚で取り組める機能訓練や脳を刺激する歌など、気軽に参加できるものが多いので、これらの様々なイベントの参加を通して「生活が豊かになった」「笑顔が増えた」という旨の利用者の声が見られました。

また、これらのレクリエーションは他の利用者とのコミュニケーションのきっかけにもなるので、認知症予防や症状の改善に大いに役立つでしょう。

本人が楽しそうに過ごせているので安心

健康状態やレクリエーションなど、充実した生活を送れることから「自宅にいるより本人が楽しく過ごせているから安心できる」という声も多く見られます。

本人が楽しい気分で過ごせるのはもちろんですが、やはり普段見守っている家族が安心できる点は重要なポイントです。

「住めば都」という言葉がありますが、体験入居だけでは満足できなかったとしても、実際に利用していくにつれて馴染めるようになるでしょう。

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ショートステイの特徴まとめ

ショートステイの特徴まとめ
  • 様々なサービスを利用できるので、自分に合ったものを選ぼう
  • 施設の口コミや評判を調べて、馴染めそうかどうかを判断しよう
  • 介護者が疲れている場合は、積極的に利用してリフレッシュに努めよう

ショートステイを利用するメリットは大きいですが、利用者だけでなく家族も安心できる施設を選ぶことが重要です。

介護保険が適用されるためには、要介護認定を受けたりケアプランを作成する必要があるので、利用するための条件はしっかりと確認しましょう。

こちらの記事を参考にして、ぜひショートステイの利用を検討してみてください!

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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