小規模デイサービス(地域密着型通所介護)とは|サービス内容や料金・利用条件も解説
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介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
高齢者の施設があらゆる形となって誕生している中、デイサービスも利用者のニーズに合わせて細分化しています。
その中で今回は小規模デイサービス(地域密着型通所介護)に注目して取り上げます。
通常規模・大規模デイサービスと小規模デイサービスとではどんな違いがあるのか、料金やサービス内容、利用条件も含めて解説します。
- 地域密着型通所介護という名前の通り、利用者の地域に密着した施設がある
- 定員は10名程度で、アットホームな雰囲気で楽しめる
- 通常のデイサービスと同じく介護保険が適用され、所得に応じて自己負担額の費用が発生する
小規模デイサービス(地域密着型通所介護)とは
小規模デイサービス(地域密着型通所介護)とは、利用定員が18人以下であり、月利用者の平均人数が300名以内のデイサービスを指します。
デイサービスには小規模から大規模まであり、月利用者の平均人数が300名以上からなる通常規模以上のデイサービスは都道府県の管轄となりますが、小規模デイサービスは地域密着型通所介護として、市区町村の管轄で運営されています。
小規模に街ぐるみで介護に取り組めるため、利用者のニーズに対して柔軟に対応できることが特徴です。
参入の背景
小規模デイサービスの管轄は2016年4月に都道府県から市区町村に変更されましたが、その背景には利用者が住み慣れた地域で終身を迎えられるまで暮らせるように支援していく「地域包括ケアシステム」の推進があります。
このことから、小規模デイサービスは市区町村との関係性を深めていき、地域資源を活かしながら事業を展開していくことが期待されているサービスと言えます。
小規模デイサービスの利用目的
デイサービスと同様に、小規模デイサービスでも自宅から出て家族以外の人と交流する機会を作ることができるので、社会的な孤立感を解消できます。
また、介護をしている家族の身体的精神的負担の軽減や息抜きの時間(レスパイト)を確保できます。
さらに介護施設が市区町村と連携を図ることで、住み慣れた町で最後まで暮らすことができるため、安心して利用できるのも特徴です。
これにより、利用者は大切なつながりや地域の支えを感じながら、より充実した日々を送ることができるのです。
小規模デイサービス(地域密着型通所介護)のサービス内容
小規模デイサービス(地域密着型通所介護)で受けられるサービスは、通常のデイサービスとほとんど変わりはありません。ただし、小規模で取り組むことで利用者の細かいニーズに応えやすくなっています。
ここではそれぞれのサービス内容についてご紹介していきます。
食事
小規模デイサービスでは、施設によっては調理場による手作りの料理が出るなど、栄養バランスの取れた美味しい食事をとれます。
また、人数が少ないことから利用者との距離が近くなり、普段から会話の弾む環境となります。食事をする際も利用者同士で会話が弾みやすいです。
小規模である点を活かして、利用者の個々の健康状態や好み、特殊な食事制限やアレルギーへの対応など、家族や利用者の要望に応えるような形で食事の提供を行うところもあるため、満足度の高い食事が期待できます。
入浴
小規模デイサービスでは職員の介助を受けながら入浴することが可能です。
一般的な家庭にある浴槽では、介助をしながら浴槽に入れようとしても、浴槽のサイズが小さかったり、風呂場が滑りやすかったりして転倒事故などが起こりやすかったりと、大変負担がかかってしまいます。
これに対し、利用者が頭を洗う際に座る椅子には背もたれがついているなど、小規模デイサービスの風呂場には介助しやすいような工夫がされています。
このような設備の整った浴室で、利用者の状態に合わせて入浴の介助をしてくれます。
機能訓練
機能訓練とは、歩行訓練やマッサージなどによって、日常生活に必要となる動作に対して改善と維持を図るための訓練のことです。(医師の指導による「リハビリ」とは異なります)
身体に伴う訓練だけではなく、脳トレと言った頭を使った機能訓練が含まれる場合もあります。
具体的には、ラジオ体操や歩行訓練、脳トレ、マッサージ、口腔体操といったものがあります。
楽しみながら身体や脳の機能を刺激し、多様な活動を通じて利用者の健康と生活の質を向上させる取り組みが行われています。
レクリエーション
施設によってレクリエーションの内容に特色があり、小規模デイサービスではその内容を幅広く行ってもらえます。
施設によって行われるレクリエーションの例としては、色分けされたカードを当てる、指を使った暗算、部首の漢字を次々に出していく、といった脳トレレク、お手玉を駆使したレク、ホワイトボードに絵を描いたり字を書いたりして楽しむレクなど、身体機能の回復や維持ができるものとなっています。
具体的なサービスであったり取り組みに関しては、希望する施設の見学や体験にて確認することをオススメします。
健康状態の確認
血圧や脈拍を測定することによる健康状態の確認であったり、介護に関することや普段の生活に対するアドバイスや相談に乗ってもらえる、といったサービスもあります。
介護に関する知識をもつ人にアドバイスを受ける機会は、日常生活の中で見つけるのは意外と難しいため、利用者の家族にとっては大変ありがたいサービスとなっています。
デイサービスを利用している時は職員さんによる健康状態を確認してもらえて安心できますし、自宅にいる時の対応なども事前に相談できることは大変心強いと言えます。
送迎
小規模デイサービスでは、自宅から施設へ向かうときも、施設から自宅へ帰る時もどちらも車で送迎してもらえます。
事業所が車で送迎してくれるため、家族が自動車を持っていない、免許がない状態でも安心できます。
また、利用者の負担にならないようにするため、乗車時間が長くなりすぎないように配慮されています。
移動に困難を抱える方々にとって、安全で便利な選択肢となるため、地域社会のサポートとしても大変価値があります。


小規模デイサービスの料金
小規模デイサービスも、通常のデイサービスと同じく介護保険が適用され、自己負担額は費用の1割となっています。
ただし、所得に応じて負担額は変わり、所得が多い方は費用の2割から3割を負担しなければなりませんので注意が必要です。
地域や要介護度によって費用の変動はありますが、目安として次のような価格となっています。時間区分ごとに表になっておりますのでぜひご参考にしてください。
なお、小規模デイサービスは通常規模のものよりも料金が割高となっています。
<2時間以上3時間未満>
介護度 | 単位数 | 1割 | 2割 | 3割 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 4~5時間の7割 | 266円 | 532円 | 798円 |
要介護2 | 4~5時間の7割 | 305円 | 610円 | 915円 |
要介護3 | 4~5時間の7割 | 345円 | 690円 | 987円 |
要介護4 | 4~5時間の7割 | 365円 | 730円 | 1,111円 |
要介護5 | 4~5時間の7割 | 423円 | 847円 | 1,270円 |
<3時間以上4時間未満>
介護度 | 単位数 | 1割 | 2割 | 3割 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 362単位 | 362円 | 724円 | 1,080円 |
要介護2 | 415単位 | 415円 | 830円 | 1,245円 |
要介護3 | 470単位 | 470円 | 940円 | 1,410円 |
要介護4 | 522単位 | 522円 | 1,044円 | 1,588円 |
要介護5 | 576単位 | 576円 | 1,152円 | 1,728円 |
<4時間以上5時間未満>
介護度 | 単位数 | 1割 | 2割 | 3割 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 380単位 | 380円 | 760円 | 1,140円 |
要介護2 | 436単位 | 436円 | 872円 | 1,308円 |
要介護3 | 493単位 | 493円 | 986円 | 1,479円 |
要介護4 | 548単位 | 548円 | 1,096円 | 1,644円 |
要介護5 | 605単位 | 605円 | 1,210円 | 1,815円 |
<5時間以上6時間未満>
介護度 | 単位数 | 1割 | 2割 | 3割 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 558単位 | 558円 | 1,116円 | 1,674円 |
要介護2 | 660単位 | 660円 | 1,320円 | 1,980円 |
要介護3 | 761単位 | 761円 | 1,522円 | 2,283円 |
要介護4 | 863単位 | 863円 | 1,726円 | 2,589円 |
要介護5 | 964単位 | 964円 | 1,928円 | 2,892円 |
<6時間以上7時間未満>
介護度 | 単位数 | 1割 | 2割 | 3割 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 572単位 | 572円 | 1,144円 | 1,716円 |
要介護2 | 676単位 | 676円 | 1,352円 | 2,028円 |
要介護3 | 780単位 | 780円 | 1,560円 | 2,340円 |
要介護4 | 884単位 | 884円 | 1,768円 | 2,652円 |
要介護5 | 988単位 | 988円 | 1,976円 | 2,964円 |
<7時間以上8時間未満>
介護度 | 単位数 | 1割 | 2割 | 3割 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 645単位 | 645円 | 1,290円 | 1,935円 |
要介護2 | 761単位 | 761円 | 1,522円 | 2,283円 |
要介護3 | 883単位 | 883円 | 1,766円 | 2,649円 |
要介護4 | 1003単位 | 1,003円 | 2,006円 | 3,009円 |
要介護5 | 1124単位 | 1,124円 | 2,248円 | 3,372円 |
<8時間以上9時間未満>
介護度 | 単位数 | 1割 | 2割 | 3割 |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 656単位 | 656円 | 1,312円 | 1,968円 |
要介護2 | 775単位 | 775円 | 1,550円 | 2,325円 |
要介護3 | 898単位 | 898円 | 1,796円 | 2,694円 |
要介護4 | 1021単位 | 1,021円 | 2,042円 | 3,063円 |
要介護5 | 1144単位 | 1,144円 | 2,288円 | 3,432円 |
サービス加算の費用
小規模デイサービスではサービス加算というものがかかることが多く、入浴介助や個別機能訓練、口腔機能向上などの個別に対応しているものに加算しています。
さらに食事代、おやつ代、紙おむつ代といった日用品の実費がかかることもあります。
なお、送迎については基本料金に含まれていますので、送迎によるサービス加算はありません。
小規模デイサービスの利用条件
小規模デイサービスを利用するためには要介護認定を受けていて、なおかつ事業所と同じ市区町村に住んでいる必要があります。
要介護認定は要支援1から2、要介護1から5の7段階に分かれています。
要介護認定を受けるには基本的には65歳以上であるという条件がありますが、64歳以下であっても特定疾病を抱えている場合は認定申請することができます。
また、小規模デイサービスは、高齢者が住み見慣れた町で在宅生活を継続していくことが目的であるため、原則として事業所がある地域に住んでいる高齢者が対象となっています。
小規模デイサービスのメリット・デメリット
メリット
小規模デイサービスは別名「地域密着型通所介護」ということで、地域に密着した形で施設があるので、利用者だけでなく家族も一緒に安心して通うことができます。
施設が近くにあることから送迎に掛かる時間が短くなり、もし利用者に何か緊急なことがあってもすぐに家族が駆け付けられます。
また、定員10名程度の少人数対応であるため、他の利用者や職員との距離が近くなり、アットホームな雰囲気で楽しく利用できます。
さらに一人一人に対応してもらいやすく、認知症や重い介護が必要とされる方であっても個別でケアしてもらえる点もメリットと言えるでしょう。
このようなアットホームな雰囲気と少人数対応の特徴により、小規模デイサービスでは利用者が自分らしく過ごすことができるだけでなく、家族も利用者の安心を共に感じながら参加することができます。
デメリット
小規模デイサービスは、いつも同じ顔の人と顔合わせすることで親しみやすくなる反面、仲良くなれる関係を築けないと孤立してしまう恐れもあり、通うことで逆にストレスに感じる可能性もあります。
また、大人数でできるレクリエーションや、みんなでワイワイ楽しい雰囲気を作り出して楽しく過ごしたい方には不向きです。
加えて大規模や通常規模のデイサービスと比較して費用が割高な点もデメリットとなっています。
そのため、小規模デイサービスの選択にあたっては、個々のニーズや社交性、費用面を総合的に考慮し、最適なサービスを見極めることが重要です。


大規模デイサービスとの違い
1日の利用定員が20人から30人のデイサービスのことを大規模デイサービス(大規模通所介護)といいます。
スタッフの数も利用者の数も多くて活気があり、施設や設備が小規模・通常規模デイサービスと比較して充実しているのが特徴です。
また、運営母体も大企業である場合が多いため、スタッフの教育もしっかり行われていて、安心感があります。
一緒に働く介護スタッフの方々によるレクリエーションの企画も、小規模デイサービスではなかなか体験できない大掛かりなものとなります。
小規模デイサービスの申し込みの流れ
小規模デイサービスに申し込むには要介護認定を受けていることが前提です。
担当ケアマネージャーか地域包括支援センターに相談をし、ケアマネージャーから連絡してもらうなどをして、小規模デイサービスの施設をピックアップして見学や体験を利用しましょう。
その後ケアマネージャーにケアプランを作成してもらい、通所する施設が決まったら利用申し込みをして、小規模デイサービスの施設と契約します。
なお、曜日によって職員さんや利用者も変わりますので雰囲気も違ってきます。そのため、見学や体験利用をするときは、実際に利用を検討している曜日にすることをおすすめします。
小規模デイサービスの一日の過ごし方例
一般的な小規模デイサービスの1日の流れを表にまとめてみました。
時間 | サービス内容 |
---|---|
8:30 | 自宅までお迎え |
9:30 | 体温等の健康状態のチェック |
10:00 | 午前の入浴や機能訓練 |
12:00 | 昼食時間 |
13:00 | 午後の入浴やレクリエーション |
15:00 | おやつの時間 |
15:30 | レクリエーション |
17:00 | 自宅までお送りする |
機能訓練や食事の内容、レクリエーションの企画は施設によって異なりますが、概ねどこの施設も上記の表のような1日を過ごします。
ゆったりしながらも、楽しみの多い充実した1日を送ることができます。
デイサービス併設の介護施設一覧
サービス付き高齢者向け住宅の中には、デイサービスが併設されていて好きなタイミングでデイサービスを利用することができる施設も存在します。
学研ココファンが運営するサービス付き高齢者向け住宅でも、デイサービス併設の介護施設は多いです。
関東圏を中心に各地にデイサービス併設の介護施設を構えているので、ぜひお近くのココファンをチェックしてみてください。
デイサービス併設の介護施設をチェック!ココファンのデイサービスについてより詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
小規模デイサービス(地域密着型通所介護)まとめ
- 地域密着型通所介護という名前の通り、利用者の地域に密着した施設がある
- 定員は10名程度で、アットホームな雰囲気で楽しめる
- 通常のデイサービスと同じく介護保険が適用され、所得に応じて自己負担額の費用が発生する
小規模デイサービスは、利用定員が10名程度であり、一人一人に丁寧な介護を提供できることが魅力のサービスです。
アットホームで楽しい雰囲気のある取り組みがある一方で、その施設で馴染めなくなるとストレスを感じてしまうデメリットもあります。
事前に担当ケアマネージャーと相談してから施設の見学や体験を利用して、安心して通える施設かどうかを確認して快適な生活が送れるようにしましょう。
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介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)