介護保険サービスとは|利用条件や自己負担額・認定までの流れをイラスト付きで解説
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「介護保険サービスにはどんなものがあるの?」
「自己負担額って何で決まるの?」
「利用条件とサービスを受けるための手順を知りたい!」
このようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?介護保険サービスとは、利用基準を満たした人が介護保険を適用して介護サービスを受けることができる制度のことです。
今回は、介護保険サービスの概要や利用条件などについて徹底的に解説します。また、介護保険サービスを利用するために必要な手順についてもまとめていきます。
この記事を読めば、介護保険サービスに対する正しい知識を得られるでしょう。
- 介護保険を適用して受けられる介護サービスのこと
- 利用条件があり、高齢者なら誰でも受けられるというわけではない
- 介護保険制度は3年ごとに改正され、2015年には「日常生活支援総合事業」という新しい事業が展開された
介護保険サービスとは
介護保険を利用して受けられる介護サービスのことを介護保険サービスと言います。40歳以上の国民は介護保険に加入して保険料を納めることが義務付けられています。
介護が必要になった際には、納めた保険料や税金をもとにして原則1割で介護サービスを受けることができます。また、自己負担額の割合は所得に応じて異なります。
介護保険サービスには様々な種類があり、多様な介護サービスを受けることが可能です。その種類や内容は年々充実しており、利用者のニーズに合わせたサービスが提供されるようになっています。
介護サービスの具体的な種類の詳細については下記で解説します。
介護保険サービスを利用するための条件
介護保険サービスを利用するためには以下の条件があります。
- 介護保険料を支払っている第1号被保険者(65歳以上)もしくは第2号被保険者(40際から64歳)
- 居住する市区町村から要支援・要介護状態の認定を受けること
第1号被保険者が要支援・要介護状態になった場合は、原因を問わず介護保険サービスを利用することができます。一方、第2号被保険者は、次に挙げる16個の特定疾病のうち、どれかが原因で要支援・要介護状態になった場合に介護保険サービスを利用することができます。
特定疾病
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 変形性関節症
出典:厚生労働省
介護保険被保険者証を受け取るには
65歳以上になると、一人一人郵送で被保険者証が交付されますが、本来であれば40歳~64歳の人には発行されません。しかし、前述したように40歳~64歳でも特定疾病に該当する場合は、先に要支援・要介護認定を受けることで発行されます。
また、どちらの場合も被保険者証が交付されただけでは介護保険サービスを利用することはできません。介護保険サービスの利用には介護認定を受けることが必要不可欠ですので、忘れずに手続きを行いましょう。要介護認定の手続きについては以下の見出しで詳しい解説を行います。
介護保険の給付限度額と自己負担額
介護保険の給付限度額は介護度に比例し、より介護度が重いほど大きくなります。給付限度額内のサービス利用料は所得に応じて1~3割の自己負担となり、それ以上のサービスを利用する場合は全額自己負担額となります。
下記の表は1ヵ月に利用できる介護保険の給付限度額と自己負担額一覧です。介護保険は点数制となっており、1点の単価は10円~1,140円で、賃金の地域差によって異なります。なお、今回は1点を10円で換算したものを表にしています。
介護度 | 給付限度額 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
---|---|---|---|---|
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
出典:厚生労働省
負担限度額認定制度が適用される場合も
介護度が重くなるにつれて介護にかかる費用が高額になります。そのため、毎月年金から介護サービスにかかる費用の自己負担額を賄うことが大変な家庭も少なくはありません。
そのような利用者の負担を減らすため、負担限度額認定と言われる制度が設けられています。負担限度額認定は、収入や資産が少なく毎月の介護サービス料を支払うのが困難な家庭などを対象とした制度です。この制度を利用することで、介護保険施設を利用する場合の食費や居住費に対して支払いの限度額が設定されます。
自分が住んでいる市区町村の窓口で申請・発行を行い、認定証を持っていると支払限度額以上の支払いは免除されます。
ただし、介護保険の給付限度額や自己負担額は地域や年度によって異なることがあります。具体的な金額や割合は地方自治体の介護支援専門員や福祉課などで確認するとよいでしょう。
要支援・要介護認定を受けるまでの手順
では、介護保険サービスを受けるために必要な要支援・要介護の認定を受ける手順についてまとめていきましょう。
①各市区町村などに申請
まずは各市町村の窓口や地域包括支援センターで申請を行います。申請の際には、所定の申請用紙の他に介護保険被保険者証の提出も必要です。このとき、第2号被保険者で介護保険被保険者証の交付を受けていない場合は、医療保険症の提出が必要になるケースもあります。
また、窓口への申請は本人が行います。本人が申請できない場合は、家族や成年後見人、ケアマネージャーなどが代行で申請を行うことも可能です。
②市町村職員や主治医による認定調査
申請が終わると、訪問調査や審査を基に介護度が決定されます。審査は次の手順を踏んで行われます。
- 訪問調査:自宅への訪問調査は市町村の職員によって行われます。利用者の心身の状態や環境について聞き取りを行います。所要時間は1時間程度です。
- 主治医により意見書を作成:訪問調査の内容を基にかかりつけ主治医が意見書を作成します。主治医が居ない場合は市町村から指定された医師により意見書が作成されます。
- 一次判定:訪問調査や主治医意見書の内容をコンピュータに入力し判定を行います。
- 二次判定:主治医の意見書や一次判定の結果を基に医師や福祉の専門家が審査を行います。
③結果通知
訪問調査や一次・二次判定、最終的な審査が全て終われば介護度の決定が行われます。申請から通知が来るまでにはおよそ1ヶ月程度の期間を要します。
要介護状態の区分は非該当、要支援1・2、要介護1~5の8つに分けられ、認定された介護度により、利用できる介護保険サービスは異なります。
区分 | 利用可能なサービス |
---|---|
要介護1~5 | 介護給付 |
要支援1・2 | 予防給付 介護予防・日常生活支援総合事業 |
非該当 | 市区町村が行う介護予防事業 |
要支援者対象の予防給付とは
前述したように、要介護状態は非該当、要支援1・2、要介護1~5の8区分に分けられます。要介護1~5の状態よりも介護度の軽い要支援1・2の認定を受けた場合、介護保険サービスは利用できません。その代わり、身体機能の低下を予防し要介護状態への進行を防ぐ目的を持つ予防給付というサービスが利用できます。
予防給付でも訪問・通所サービスの利用は可能な上、介護予防福祉用具の貸与・販売、住宅改修などのサービスが利用可能です。
自己負担額も介護保険サービスと同様1~3割となっていますが、支給限度額が要介護よりも低く設定されているという違いがあります。
介護保険サービスの利用方法
次は、実際に介護保険サービスを利用するための方法について見ていきましょう。
要介護認定を受けた方
まず、要介護の認定を受けた方は、居宅介護やデイサービス、特別養護老人ホームなど、多岐にわたるものから、希望するサービスを選択します。
その際、ケアプランを作成する必要があります。ケアプランの作成はケアマネージャーと相談をしながら行います。このとき、自分の希望をしっかりとケアマネージャーに伝えておきましょう。
また、担当のケアマネージャーの決め方は居宅サービスを利用するか入居サービスを利用するかにより異なります。次の見出しで確認していきましょう。
施設への入居系のサービスを利用する場合
施設への入居系サービスを利用する場合、入居を希望するグループホームや介護付有料老人ホームなどに問い合わせを行います。希望の施設への申し込みが完了したら、その施設にいるケアマネージャーと相談をしながらケアプランの作成を行います。
ケアプランの作成が終わると、それを基に施設サービスが利用できるようになります。
居宅サービスを利用する場合
在宅で介護サービスを利用する場合はまず居宅介護支援事業所に連絡をし、担当のケアマネージャーを決定します。担当のケアマネージャーが決まれば、介護に関する希望や自分がどうなりたいかなどの相談をしながらケアプランを作成します。
ケアプランの作成が終わると、それを基に介護サービスが利用できるようになります。
要支援認定を受けた方
要介護1~5の認定を受けた人と要支援1・2の認定を受けた人では、利用できる介護保険サービスが異なります。それに伴い、サービス利用開始までの手順も異なるので注意が必要です。
要支援認定を受けた場合は、まず住んでいる地域の地域包括支援センターに連絡します。その後、地域包括支援センターにいる職員と相談しながら介護予防ケアプランを作成します。
介護予防ケアプランの作成が終わると、それを基に介護予防サービスの利用が可能になります。
介護保険が使えるサービス一覧
介護保険の種類 | 都道府県・政令市・中核市が指定・監督 | 市区町村が指定・監督 |
---|---|---|
介護給付(要介護認定の方) | 居宅介護サービス 施設サービス | 地域密着型サービス 居宅介護支援 |
予防給付(要支援認定の方) | 介護予防サービス | 地域密着型介護予防サービス 介護予防支援 |
介護保険が適用されるサービスには様々な種類が存在します。上記の分類からさらに細分化され、訪問介護・ショートステイなど利用者に応じたサービスが提供されます。在宅・居宅など多様なサービスの中から自分に合ったサービスを吟味して利用するサービスを選択することが大切です。
表にある地域密着型サービスとは、平成18年4月にできた介護保険サービスの一つです。事業所のある市区町村が指定・監督を行い、市区町村と事業者が一体となって利用者を支援する介護サービスとなっています。
地域によって利用者やニーズはことなるため、それぞれの地域の特徴にあった介護サービスが提供されています。
以下の見出しでは、代表的な介護サービスについて詳しく解説していきましょう。
施設サービスは要介護者向け
施設サービスは「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」に入所している要介護状態の高齢者向けのサービスです。それぞれの施設の特徴について見ていきましょう。
施設サービスの種類と利用シーン
参考:LIFULL介護
それぞれの施設で提供されているサービス内容は異なるため、自分の状態や希望に応じた施設を選択することが大切です。
各施設で提供される介護保険適用サービスをまとめたものが次の表になります。
種類 | 内容 |
---|---|
介護老人福祉施設入居者生活介護 | 特別老人ホームに長期間受け入れる 食事や排せつの介護、リハビリテーションやレクリエーションなどの提供を行う |
介護老人保健施設入居者生活介護 | 介護老人保健施設に一定期間受け入れる 医療処置及び食事、排せつの介護などの提供を行う |
介護療養型医療施設入居者生活介護 | 介護療養型医療施設に受け入れる 医学管理下におけるリハビリテーション及び食事、排せつの介護などの提供を行う |
介護医療院 | 長期間の療養が必要な人を受け入れる 医療ケアと介護の提供を行う |
上記の表を見ると分かるように、施設によってサービス内容が異なるだけでなく受け入れられる期間にも差があります。
居宅サービスは種類が豊富
居宅サービスとは、要介護・要支援の認定を受けた人が、現在住んでいる自宅で受けられるサービスのことです。サービスの種類は多岐に渡り、その内容によってさらに「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」に分類することができます。
では、各サービスの詳細についてまとめていきましょう。
訪問サービス
訪問サービスはその名の通り、利用者の自宅を訪問して介護や支援を提供するサービスです。
要介護者や要支援者は自宅で生活を送りながら、買い物などの生活支援や食事、排せつなどの介護、さらには健康管理や衛生管理指導などの看護を受けることが可能です。リハビリや入浴などのサービスも受けられます。
利用者の要介護度やニーズに応じて提供されるため、個々の状況に合わせたサービスを受けられるのが大きな特徴です。
訪問サービスの種類とそのサービス内容は次の表の通りです。
訪問サービス | サービス内容 |
---|---|
訪問介護 | 利用者の自宅に訪問し、買い物や掃除、食事や排せつなどの介護サービスを提供する |
訪問入浴介護 | 利用者の自宅に訪問し、移動式浴槽を用いて入浴などのサービスを提供する |
訪問看護 | 利用者の自宅に訪問し、医師の指示に基づく医療処置及び医療機器の管理、床ずれ予防や処置などのサービスを提供する |
訪問リハビリテーション | 利用者の自宅に訪問し、リハビリテーションの指導・支援などのサービスを提供する |
通所サービス
通所サービスは、利用者が日中施設に通うことで、介護などのサービスを受けることができます。
通所サービスには「通所介護(デイサービス)」「通所リハビリテーション」の2種類ありますが、そのどちらも要支援者・要介護者の食事や排せつなどの介護、健康管理や衛生管理指導などの看護、リハビリや入浴などのサービスを提供しています。
短期入所サービス
短期入所サービスは、短期的に利用者を受け入れ、施設内で宿泊させてくれるサービスです。在宅で介護を行う場合、冠婚葬祭や急な用事、介護を行う家族の体調不良などで一時的に介護の継続が難しい状況が発生することがあります。
そのような場面ではこの短期入所サービスが役に立ちます。他にも介護者に休息が必要な場合や旅行に出かけたい場合でも利用することが可能です。
短期入所サービスには「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類あり、食事や排せつの介助、リハビリやレクリエーションなどのサービスを提供しています。
その他のサービス
上記以外にも居宅サービスには様々な種類が存在します。
種類 | 内容 |
---|---|
特定施設入居者生活介護 | 有料老人ホームやグループホームにおいて、日常生活の世話や機能訓練、療養上の世話をする |
居宅療養管理指導 | 利用者の自宅に訪問し、療養上の管理を行い、利用者の居宅での自立した生活を促す |
居宅介護支援 | 利用者と介護サービス事業者、関係機関との調整を行う 利用者や家族の希望に応じた、自立した日常生活のためのケアプランを作成する |
住宅改修費支給 | 利用者の自宅に介護に必要な小規模な改修を実施する |
福祉用具貸与 | 利用者に、介護に必要な福祉用具をレンタルする |
特定福祉用具販売 | 利用者に介護に必要な福祉用具を販売する |
要支援・要介護の認定を受けた場合、介護サービスを提供する施設の利用はもちろん、福祉用具の貸与や介護に必要な住宅修繕費の支給などのサービスを受けることが可能です。
居宅系サービスは豊富な施設から選べる
施設サービス以外の介護施設に入居し、特定施設入居者生活介護を受けることが可能です。入居する施設の選択肢は豊富で、介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、ケアハウス(軽費老人ホーム)などが存在します。
一般的に、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅には介護サービスはついていません。そのため、外部の介護事業者と契約を交わし、在宅介護サービスを受ける必要があります。
一方でココファンのサービス付き高齢者向け住宅のように、有料老人ホームとほぼ変わらない充実した介護サービスがついたサ高住も存在します(老人福祉法の指導監督を受けた施設)。
ココファンなら常駐しているケアスタッフから毎日24時間体制で介護サービスを受けられるので、要介護度の高い方でも快適に生活することが可能です。
ココファンのサービス付き高齢者向け住宅を探す!地域密着型サービスという新制度も
介護保険サービスには2005年に新設された地域密着型サービスというものも存在します。これは、事業所のある市町村の要介護者・要支援者に提供されるサービスで、市町村が指定・監督を行います。
高齢者が身近な地域で生活できることを目的とし、訪問・通所・短期入所によるサービス、認知症向けのサービス・特定施設や介護施設におけるサービスなど、多様なサービスが展開されています。
それぞれのサービスの内容について以下の見出しで説明していきます。
施設・特定施設型サービス
参考1:どんなサービスがあるの? - 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム) 厚生労働省
参考2:どんなサービスがあるの? - 地域密着型特定施設入居者生活介護 厚生労働省
地域密着型の施設・特定施設型サービスは、特別養護老人ホームや有料老人ホームに入居している要介護者または要支援者が対象となります。利用者には、生活支援や介護、リハビリテーション、看護、入浴などのサービスが提供されます。
種類 | 内容 |
---|---|
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 | 利用人数29人以下の特別養護老人ホームの入居者に、介護や機能訓練、療養上の生活支援などのサービスを提供する |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | 利用人数29人以下の介護付有料老人ホーム・ケアハウス・サ高住などの入居者に、生活支援や機能訓練などのサービスを提供する |
訪問・通所型サービス
参考1:どんなサービスがあるの? - 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 厚生労働省
参考2:どんなサービスがあるの? - 小規模多機能型居宅介護 厚生労働省
参考3:どんなサービスがあるの? - 夜間対応型訪問介護 厚生労働省
訪問・通所型サービスでは、自宅で暮らす要介護者・要支援者を訪問または施設への通所により介護サービスを提供します。さらに、中には複合型サービスと呼ばれるものも存在します。これは、複数の居宅サービスや地域密着型サービスを組み合わせて提供するサービスのことを言います。
種類 | 内容 |
---|---|
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 日中・夜間を通じ、1日に数回の定期訪問と随時訪問による介護と看護を一体で提供するサービス |
小規模多機能型居宅介護 | 1つの施設で訪問・短期・単式入所の全サービスを提供する |
夜間対応型訪問介護 | 夜間の定期訪問または緊急時における随時訪問を通して介護サービスを提供する |
認知症対応型サービス
参考1:どんなサービスがあるの? - 認知症対応型通所介護 厚生労働省
認知症対応型サービスとは、自宅から通所している利用者、もしくはグループホームに入居する利用者に生活支援や認知症ケアを提供するサービスです。
種類 | 内容 |
---|---|
認知症対応型共同生活介護 | グループホームに入居する利用者に生活支援やリハビリ、レクリエーションなどのサービスを提供する |
認知症対応型通所介護 | 施設に通所する利用者に介護やリハビリ、レクリエーションなどのサービスを提供する |
介護保険制度の概要と今後の動向
最後に、介護保険制度の概要と今後の動向についてまとめていきます。
保険料の支払い開始年齢と金額
介護保険への加入が義務付けられ、保険料の支払いが開始するのは40歳からです。支払い方法は40歳~64歳までの被保険者と65歳以上の被保険者とで異なります。
まず、40歳~64歳までの被保険者の支払い方法についてですが、この場合は加入している健康保険と一緒に徴収されます。個別の保険料の決め方は各健康保険組合により異なります。
次に65歳以上の支払い方法についてですが、この場合は原則年金からの天引きで市区町村が徴収を行います。介護設備の整備状況、そして要介護者の人数などは全国共通ではありません。そのため、保険料の金額は自治体ごとに異なります。
また、低所得者の保険料軽減や被保険者の負担を軽減するために、国の調整交付金が使用されています。
所得別・自己負担の割合
介護保険サービスを利用した際、利用料に対する自己負担の割合は所得に応じて異なります。介護保険が施行された当初、自己負担額は全ての人が共通で1割負担でしたが、現在では人によって1~3割の自己負担となっています。
1割負担が一般的ですが、現役並みに所得のある高齢者などの場合は介護保険利用時の自己負担は3割となります。
介護保険制度の成り立ちと改正
介護保険制度成立のルーツは1960年代に遡ります。
少子高齢化の進行に伴って設立
高齢化率が5.7%の1960年代、日本の老人福祉制度が始まりました。その後70年代には老人医療費無料化が実施されることで、医療を必要とする高齢者が安心して病院を利用することができるようになりました。
しかし、次第に社会的入院や寝たきり老人などの増加になり、医療費の高騰が問題視されるようになりました。6%程度だった高齢化率は80年代を迎える頃には9.1%にも達し、医療を必要としない生活支援(介護)のための長期入院者が増え、入院可能な病床が不足してしまいます。
その後も高齢化率は上がり続け、90年代には12%にも達したのです。この数字を受け、福祉に関する制度は今後の政策転換を余儀なくされました。
そうして2000年に介護保険が施行され、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みが創設されたのです。この時介護保険が施行された目的は、「施設介護から在宅介護への移行」、「核家族にかかる介護負担の減少」でした。
3年ごとに見直しが行われる
高齢化が問題とされた日から現在まで、少子高齢化は想像以上の速度で進行しています。変化していく時代に対応するため、2000年から始まった介護保険制度は定期的に実情に合わせた内容へと見直しが行われます。
改正される頻度は3年ごとであり、制度が施行されてからこれまで5回大きな改正が行われてきました。
介護保険サービスは今後どうなる
現在の制度では、要介護認定で要介護1~5までの区分に該当しない人は介護保険の給付を受けることができません。しかし、要支援1・2の区分に該当した人が今後要介護にならないような支援・取り組みも必要です。
そのため、2015年の介護保険制度の改正により、要支援者を要介護者に刺せないための「介護予防」に重点が置かれるようになりました。そこで新しく設立されたのが「日常生活支援総合事業」です。
日常生活支援総合事業は、要支援の認定を受けた人はもちろん、認定を受けていなくても介護予防サービスを利用することができるのが特徴です。
また、少子高齢化に伴い高齢者を支援する若者が減少することにより、介護保険サービスは今よりも縮小すると予想されます。そんな中期待されているのが介護保険適用外サービスへの民間企業の参入です。
介護保険サービスについてまとめ
- 介護保険サービスは介護保険料を支払っている要支援・要介護状態の人が利用可能
- 介護保険サービスには様々な種類が存在している
- 自己負担額は所得に応じて異なる
- 2015年には要支援者と65歳以上のすべての高齢者を対象とする日常生活支援総合事業が設立
いかがでしたか?今回は介護保険サービスの内容について詳しく解説しました。
時代や少子高齢化に応じ、介護保険サービスの内容や目的も変化していきます。今後は要介護者に対する介護・支援だけではなく、介護予防の拡大や民間企業の活躍も期待されており、多様なサービスが期待できる制度です。
家族だけで介護するのは難しく、介護者の負担も相当大きくなります。介護保険を上手く利用することで、利用者とその家族が本人らしい日常生活を送れるような環境をつくることも大切でしょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)