上尾市の老人ホームの特徴
上尾市の地理的特徴と介護施設の特徴
上尾市がどんな地域であるか、また上尾市での介護の特徴について紹介しましょう。
上尾市は都心部であるさいたま市へのアクセスもよく、ファミリー層の居住も多いのが特徴的です。
しかし一方で、農業も盛んな地域となっており、のどかな風景が広がっている場所もあります。
上尾市の人口は、上尾市ホームページによると、2021年12月1日時点で230,483人です。
上尾市の特徴として、福祉サービスが他の地域には見られないほどに充実しているため、高齢者にとっては非常に住みやすい市であることがあげられます。
また、入居金・月額費用ともに全国の相場よりも比較的安価で、予算が心配な家庭でも安心して介護が利用可能です。
市独自の介護予防事業にも力を入れる上尾市は、「アッピー体操」「みのり倶楽部」など高齢者が積極的に参加できる催しや、高齢者家庭の生活支援のために専門のコーディネーターを配置するなどさまざまな介護サービスを行っています。
上尾市の介護施設価格概観
上尾市におけるココファン介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
上尾市 |
148,500円 |
148,500円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
上尾市 |
145,214円 |
145,214円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
上尾市の介護にかかる費用は、入居金・月額費用どちらも全国平均額より安価です。
また、平均値・中央値にも差がないため、施設によって大きく利用料が異なるなどと言ったこともなく、安心して施設選びができます。
とくに入居金においては全国平均で30万円近くの費用が一般的なのに対し、上尾市では15万円ほどと半額に近い費用で利用できるのが魅力です。
上尾市の高齢者人口
上尾市の高齢者人口は、他の都市同様に増加傾向です。
上尾市の65歳以上の高齢者は、2015年の調査では57,571人でしたが、2020年には62,858人と5年で約5,000人以上増加しています。
将来推移としては、2025年に63,949人、2030年に65,177人と緩やかに増加していくとの予想です。
また、上尾市の高齢者人口増加率は25.6%と発表されています。
高齢者増加率の全国平均は26.0%なため、やや下まわる結果となっていますが、今後の高齢者人口増加・少子高齢化・人口減少を踏まえると事態は深刻です。
出典:日本医師会
上尾市の介護保険事業者・施設の状況
上尾市における2020年9月時点での各介護サービス施設状況を以下で示しています。
<上尾市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(上尾市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
6 |
2.55 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
67 |
2.75 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
32 |
1.32 |
2.17 |
特定施設数 |
6 |
0.25 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
52 |
2.14 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
9 |
0.37 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
228 |
9.37 |
12.40 |
上尾市は、全国平均と比較すると大幅に介護施設が少ない状況です。
訪問介護・通所介護・入所介護などどのサービスにおいても施設数の全国平均を下回っており、高齢者人口が将来的に増加していくことを踏まえると今後は施設の増設などが急がれます。
傾向としては、デイサービスなどの通所介護施設が最も多く、続いて自宅にヘルパーさんが訪問して介護を行う訪問介護が多いです。
上尾市の要介護認定者数
上尾市では、高齢者の増加に伴って要介護認定を受ける人も増えています。
上尾市における要介護認定者は、第8期上尾市高齢者福祉計画・介護保険事業計画によると、2020年時点で9,620人と報告されていますが、2025年には12,134人にまで達する予測です。
また介護度ごとの割合に関しては、要支援1・2や要介護1が多いのですが、今後は75歳以上の後期高齢者も増加していくことに伴って重度の介護者も増えていくと予想されます。
増え続ける要介護者に対応していくため、上尾市では今後
- 介護施設の増設
- 介護における人材育成
- 地域包括システムの構築
- 介護予防対策事業の推進
などが課題となるでしょう。
上尾市独自の介護サービスについて
上尾市では独自に立ち上げた介護サービス事業が存在しています。
- 上尾市あんしん証
- 高齢者見守りシステム
- 高齢者向け生活支援制度
- 配食サービス
上尾市あんしん証は、60歳以上の高齢者に無料配布しているもので、提示することで施設にシニア料金で入場出来たり高齢者向けの優待が受けられたりします。
また、外出時の緊急連絡用カードとしても活用でき、地域全体で高齢者を見守る体制作りに一躍買っているシステムです。
その他にも上尾市では65歳以上の高齢者への在宅支援として、ひとり暮らしや寝たきりの高齢者のための緊急時通報システム・徘徊高齢者の探索サービスなど高齢者見守りシステムを設置しています。
また、ひとり暮らしの高齢者への日用品給付・住み替えにおける家賃補助などの生活支援制度を設けて、高齢者がいつまでも安心して住み続けられる街づくりを推進中です。
高齢で食事を作れない・買い物に行けないなどといった高齢者には、地域のお店の協力のもとで行う配食サービスもあり、栄養バランスの観点から健康な体作りに取り組めるようにしています。
上尾市の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、高齢者を支えるサービスを地域で一体化されたシステムのことです。
団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が国をあげて取り組まれています。
このような地域包括システムは、市町村や都道府県が地域の自主性に基づいて、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。
上尾市でも地域包括システムの構築に取り組んでおり、地域の課題や推進状況を話し合う場を設け、定期開催しています。
地域ケア会議は、埼玉県内のすべての市で各自行われているもので、地域包括システム構築を進めていく中ででた課題点や事業の推進状況を話し合う場です。
地域ケア会議では、高齢者自立支援におけるサポート・アドバイザーの養成・ケアマネージャーの活動支援などさまざまな議題について話し合いが行われ、今後の街づくりの指針を定めるのに重要なものとなっています。
中でも、上尾市は特にひとり暮らしの高齢者に対する生活支援については力を入れています。
自立支援型地域ケア会議は、管理栄養士・歯科衛生士・理学療法士など専門的な知識を持った人のアドバイスを得ながら高齢者のケアプラン作成などについて話し合う会議です。
各会議は、上尾市の地域包括支援センターで定期的に開催されるもので、地域が一丸となって高齢者にとっていつまでも住みよい街づくりをするためになされています。
胃ろうの方の老人ホーム選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
胃ろうを行っている方が、老人ホームを選ぶ際に重視すべきポイントについて解説します。
そもそも胃ろうでも老人ホームに入れるの?
2012年頃までは、老人ホームの約70%で胃ろうの方の受け入れを制限していました。
その要因は、胃ろう対応出来る環境が整っている老人ホームが少なかったためです。
しかし、2012年に行われた介護保険法の改正により、現在は胃ろう対応が出来る老人ホームが増加してきています。
とはいえ、胃ろうのケアは看護師や医師が行う医療行為であるため、どこの老人ホームでも受け入れられるわけではないのです。
胃ろうの方の老人ホームへの入居は、近隣の医療機関との連携や、介護職員の人員体制、看護師等医療職員の配置、老人ホームの設備といった、老人ホームの受け入れ体制が整っていることが条件になります。
胃ろうの方や、体調に不安がある方は、希望する老人ホームの医療の連携、介護体制について十分に確認した上で入居を検討しましょう。
胃ろうの基本情報
胃ろうについて、詳しく解説していきます。
胃ろうが必要な状態
胃ろうが必要になるには、下記のような状態にあることが考えられます。
寝たきりの状態で起こる床ずれの原因の1つとなるのが、栄養不足があります。
胃ろうで足りない栄養を補うことで、床ずれの悪化を防いだり、場合によっては体の機能回復に繋がることがあります。
認知症や意識障害、脳血管疾患や神経筋疾患などの影響で口から食べることが難しい場合や、点滴では栄養が不足するときに胃ろうで対応することがあります。
加齢や病気の影響で、嚥下機能が低下した場合に、誤嚥を防ぐ目的の1つとして胃ろうで対応することがあります。
腸ろうの場合
腸ろうは、お腹に小さな穴を開けて、そこから小腸まで栄養を通す管(カテーテル)を通し、直接小腸まで栄養を送る処置です。
本来は胃ろうで対応することが多いですが、胃がんなどの理由で胃ろうを作ることが出来ない患者さんへの処置として、腸ろうを作ることが多いです。
介護的なケアは胃ろうと同じように行うことが多いですが、腸ろうの場合は胃ろうよりゆっくりと栄養を流さなくてはならず、時間と手間がかかります。
人員確保の面で、受け入れが難しい施設が多いのが現状です。
その他の経管栄養の場合
経管栄養は、口からの食事が難しくなった場合、胃までカテーテルを通して栄養を送る方法です。
胃ろうも経管栄養の1つです。
胃ろう以外では、鼻から胃までカテーテルを通す、経鼻経管栄養などが代表的です。
経鼻経管栄養の場合は、手術をすることなく行えるので、身体機能の回復により取り除くことも可能です。
胃ろうも経管栄養の1つですが、経管栄養の方の受け入れを容認している施設でも、胃ろうの方の受け入れをしていない場合があるため、注意が必要です。
胃ろうの方の在宅介護は非常に大変
胃ろうは誤嚥の心配がなくなり、介護が楽になると言われることがあります。
楽になる部分ももちろんありますが、家族による胃ろうの管理は、非常に大変です。
管理が不十分だと、感染症などのリスクもあります。
本人の状態を悪化させてしまう可能性も考えられます。
そのため、介護サービスを利用するなどして、プロに任せることも必要です。
胃ろうのメリット
胃ろうのメリットとして、主に以下のようなものが挙げられます。
栄養素の確保がしやすい
胃ろうの最大のメリットともいえるのが、栄養素の確保がしやすいという点です。
口から食べることが困難になると、必要な栄養素が不足しがちです。
胃ろうの場合は、胃に直接送り込むことが出来るため、必要な栄養素を確保したり、必要なカロリーを摂取することに役立ちます。
口から食事もできる
口から食べることが困難になった方が胃ろうの処置をすることが多いですが、胃ろうの方も口から食事をすることが出来ます。
胃ろうは腹部にあるため、喉や食道にカテーテルが通っていない分、経鼻経管栄養などと比べると口からの食事はしやすいと言えます。
また、嚥下訓練もしやすい特徴があります。
洋服で隠すことができる
胃ろうは腹部についているため、洋服を着てしまえば見た目では胃ろうがあるかどうか分からない点がメリットといえます。
鼻からカテーテルを通す経鼻経管栄養は、隠すことが難しく、違和感などから引き抜いてしまう方もいますが、胃ろうは目立ちにくく、引き抜く心配が少ないというところがメリットです。
運動やリハビリへの影響が小さい
胃ろうがあっても、基本的な運動やリハビリで体を動かすことは可能です。
胃ろうは洋服で隠すことが出来る点や、カテーテルが見えていないことからも、運動やリハビリに支障が少ないことも特徴です。
また、口からも食べることが出来るため、嚥下訓練を行うことも可能です。
入浴可能
医師の許可があれば、入浴することも可能です。
入浴の際は特別な処置をすることなく、普段通り入浴をすることが出来ます。
カバーをすることなく入浴が出来るため、介護する人の負担軽減にも繋がります。
清潔を保つことは皮膚トラブルの防止にもなりますし、胃ろうが付いている周辺の化膿防止にも繋がります。
誤嚥性肺炎の予防に効果がある
胃ろうは胃に直接栄養を送るため、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
嘔吐物などの胃酸による化学性肺炎の防止にも効果があります。
ただし、唾液等の誤嚥による細菌性肺炎はリスクが上がる可能性がありますが、口腔ケアを行ったり、口から少量でも食事を摂ることで細菌性肺炎のリスクを予防することに繋がります。
胃ろうのデメリット
一方で、胃ろうには以下のようなデメリットも存在します。
手術の必要がある
胃ろうは腹部に小さな穴を開けて設置するため、穴をあける外科手術が必要です。
手術には抵抗がある人も多く、その点がデメリットといえます。
ただ、胃ろうの手術は内視鏡を使って行うため、30分程度の短い時間で終わります。
合併症のリスクも
胃ろうで起こる可能性がある合併症には、汎発性腹膜炎や創部感染症などのリスクがあります。
合併症に関しては胃ろうに限らず、他の経管栄養法でも発生する可能性はあります。
むしろ、胃ろうの場合には合併症のリスクが他の経管栄養法よりも少ないとされています。
口腔ケアが必要
口から食べる機会が減少することで、口臭や細菌の増加など、口腔トラブルが発生しやすくなります。
こうした口腔トラブルは、食べる機会が減ることで唾液の分泌が減り、自浄作用が低下することで起こります。
口腔内のトラブルを防ぐためにも、適切な口腔ケアを行うことが大切です。
逆流することがある
胃に注入する栄養剤は液体のため、逆流する可能性があります。
逆流してしまうと誤嚥に繋がることもあるので、栄養剤を注入している最中と、注入後は30度以上上半身を起こしておく必要があります。
また、体質的に胃に入れたものが逆流しやすい症状を持っている人もいます。
このような場合は、とろみのついた栄養剤で症状が抑えられる場合があります。
胃ろうの設置は本人の意思確認も重要
日本の胃ろう利用者は25万人以上とも言われており、世界的に見ても日本は胃ろう患者が多いことが知られています。
ただ、日本では胃ろうを望まないとする人が8割以下と少ない傾向があり、本人の意思と尊厳の重視に注目されています。
胃ろう設置の最大の目的は生命維持であることが大半ですが、決して胃ろうが延命治療とは断言できません。
胃ろう患者の介護施設受け入れも増えてきたため、介護施設入居にあたって胃ろうの選択肢を辞めるという必要性はほぼ無くなりました。
そのため、本人の意思をしっかり確認し、家族も納得した上で検討することが大切です。
胃ろうが必要な方の介護施設の入居条件
胃ろうは医療行為のひとつで、2012年までは主に看護師が行うケアでした。
現在は、看護師などの医療従事者以外に、家族や所定の研修を受けた介護職員が胃ろうの対応が出来るようになりました。
とはいえ、どの介護施設でも受け入れられるわけではありません。
胃ろう患者が断られる理由には、
- 看護師が日中、もしくは24時間常駐がない
- 介護職員への研修が進んでいない
- 胃ろう患者のための設備が整っていない
このような理由から断られることがあります。
胃ろうの方が施設を探す場合には、検討段階から胃ろうを使用していることを伝え、入居後安心して暮らせる環境かどうかをしっかり確認することが大切です。
胃ろう対応可能な介護施設選びで重視する点
それでは実際に、胃ろうの方が施設選びをする場合、どのような施設を選ぶべきか紹介していきます。
口腔ケアに精通している
胃ろうの方で、口から食べる機会が減ると、口腔内の状態が悪くなりがちです。
口から食べる機会が減ることで、口の中を清潔に保つ重要な役割を持っている唾液の分泌が減るためです。
口の中に細菌が繁殖すると、虫歯や口内炎になったり、口臭の原因になったりします。
肺炎にかかる可能性などもあります。
そのため、口腔ケアによって口腔内を清潔な状態に保つ必要があります。
口腔ケアをしっかり行っている施設を選ぶ基準にしましょう。
入居者の体を清潔に保とうとしている
胃ろうを設置していると、入浴が出来ないイメージがあります。
実際には胃ろうに特別な保護をしなくても、普段通り入浴をすることが出来ます。
入浴後も、胃ろうを入れ替えたり、消毒をしたりすることなく、普段通りのケアで充分です。
むしろ、胃ろうが不潔な状態になると、感染症などの心配もあります。
そのため、身体を清潔な状態に保つ必要があり、入浴や清拭によって体を清潔に保とうとしているかどうかは、必ず確認が必要です。
栄養剤にこだわっている
胃ろうで使われる栄養素には、タンパク質が分解された状態で含まれる「消化態栄養剤」と、分解前のタンパク質がそのまま含まれている「半化態栄養剤」の2種類あります。
この2種類の栄養剤から、胃ろうを設置している方の消化能力などを見て、どの栄養剤を使用するか、医師や看護師と連携をとりながら選択してくれる施設が望ましいです。
また、胃ろうの方にとって栄養剤等の補給は健常者の食事と同じです。
胃ろうのチューブに詰まらないように注意して調理されたものであれば、医師の診断の元、何を入れても大丈夫です。
普通の食事を作るように調理したものや、野菜ジュース、スポーツドリンクなども入れることが出来ます。
こうした胃ろうの方の"食事"にも気を配っている施設であれば、安心することが出来ます。