町田市の老人ホームの特徴
町田市は東京都の中では八王子市に次いで二番目に人口の多い市です。
23区から移転してきた私立大学も多いことから、若者が多い町という特徴もあります。
電車で新宿駅へは30分程度、横浜駅へも20分程度でアクセスすることができる町田市は、通勤・通学に便利で住みやすい街として、子育て世代にも人気があり、人口も増加中です。
また町田市は1960年代に「福祉のまちづくり」を掲げて指針を制定し、自治体が積極的に福祉計画に着手した歴史があります。
老人ホームをはじめとする介護・福祉施設充実しているという一面もあります。特に、特別養護老人ホームが多く設置されています。
町田市の介護施設価格概観
町田市の介護施設の価格を見てみましょう。
町田市と全国平均の学研ココファンの介護施設における、入居金・月額費用それぞれの平均値と中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
町田市 |
252,322円 |
247,800円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
町田市 |
197,517円 |
181,250 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
全国の学研ココファンの施設と比較すると、町田市の施設は入居一時金が平均と同等からやや高め、月額費用は高めとなっています。
一般的に介護付有料老人ホームの入居金一時金は無料の施設もありますが、高いところで数百万円とバラつきがみられます。
月額利用料は20万円程度が主流です。
24時間看護や介護を受けられるなど充実したサービスのある東京都内の施設としては、町田市の介護付有料老人ホームのコストパフォーマンスは高いのではないでしょうか。
町田市の高齢者人口
若者世代が多く、緩やかに人口が増加している町田市ですが、団塊の世代の高齢化が進む今後、高齢者人口の割合は増加の一途をたどることが予測されています。
実際の数値を見てみましょう。
2010年に高齢者人口はおよそ8万人で高齢化率は21.1%でした。
しかし、2020年までの10年間で、高齢者人口は10万人を超え、高齢化率も26.1%まで上昇しています。
さらに、2025年には高齢者人口は11万人を超え、高齢化率もさらに上昇する、といった推定もなされています。
高齢化が進む町田市において、介護サービスの充実が重要な課題になっています。
::出典:町田市住民基本台帳::
町田市の介護保険事業所・施設の状況
町田市の介護保険事業所と、施設数を見てみましょう。
<施設種類別の施設数>
施設種類 |
施設数 |
訪問型介護施設数 |
118 |
通所型介護施設数 |
154 |
特定施設数 |
59 |
居宅介護支援事業所数 |
101 |
福祉用具事業所数 |
19 |
介護施設数(合計) |
485 |
訪問型介護施設は、訪問介護(ヘルパー)などの居宅介護サービスを派遣する事業所のことを言います。
デイサービスをはじめとする通所型介護施設や、ケアマネジャーの所属する居宅介護支援事業所など、市内には在宅療養をサポートする事業所が多く設置されています。
老人ホーム数も全国的にみると多い町田市ですが、高齢人口も多いため、全国平均と比較すると75歳以上の後期高齢者1,000人あたりの施設数は少ない現状があります。
そのため、介護施設数が高齢化率と比較すると充実している地域であるとは言えない状況です。
::出典:日本医師会 2020年9月時点::
町田市の要介護者認定数
町田市の要介護認定者数を紹介します。
町田市の介護保険制度における要介護・要支援認定者数は増加し続けています。
2020年の要介護・要支援認定者数は2万人を超え、2010年と比較するとおよそ1.6倍です。
認定者数の内訳を年齢区分別にみると、後期高齢者の14.1%が認定を受けおり、後期高齢者の方が多くを占めていることがわかります。
認定者数の増加は、後期高齢者人口の急増によって起こっていると言えるでしょう。
今後も高齢者人口の増加が見込まれているため、将来的にさらに認定者数は増加することが予測されています。
町田市の高齢者増加に対して介護サービスの供給が間に合うかが懸念されており、自治体はさまざまなサポート体制の整備に取り組んでいます。
::出典:介護保険情報 要介護(要支援)認定者数(人)(各年 1 月 1 日時点認定結果保有者数)::
町田市を元気にする「町トレ」での介護予防
町田市では介護予防や介護の重症化防止のために町田を元気にするトレーニングとして、「町トレ」の普及・啓発を行っています。
町トレとは、町田市オリジナルの運動メニューです。ゆっくりとしたスロートレーニングで、誰でも続けやすい内容になっています。
町トレを週1回ほどのペースで行うことで、生活にリズムを付け、閉じこもりを予防することがねらいです。
仲間で集まって町トレに申し込むと、オリジナルDVDなどがもらえるなど、グループ単位で実施しやすい取り組みにより、地域ごとに活動が継続されるような介護予防が推進されています。
町トレの他にも、市内の高齢者福祉センターでは音楽体操教室が実施されています。
音楽健康指導士の指導のもと、懐かしい曲や音楽に合わせたリズム体操・ストレッチや脳トレ体操を行う内容は、介護予防に効果的です。
高齢者福祉センターでは音楽体操教室以外にも、趣味活動や教養講座などが企画されているので、高齢者の方憩いの場となっています。
介護予防にまつわる講座も開催されており、看護師による血圧測定や健康相談などを受けることも可能です。
町田市の地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるよう、地域内で助け合う体制のことです。
高齢化率が今後も増加していく日本において、全国的に地域包括ケアシステムの推進が行われています。
地域包括ケアシステムは、それぞれの地域の実態に合った医療や介護、そして生活支援が一体的に提供される体制を目指しています。
町田市の地域包括ケアシステムを見てみましょう。
町田市は交通アクセスが良い街で、路線バス網が充実しています。
路線バスが通らない地域はコミュニティバスがフォローしており、高齢者の方の外出を促進しています。
学生や子育て世代の多い町田市には、駅周辺に若者向けの店舗が多くありますが、昔ながらの商店街との融合もみられ、高齢者の方向けの店舗と共存した独自の商業圏が形成されているようです。
このような町づくりに加えて、町田市の特徴にあわせた介護サービスの充実も推進されています。
町田市は高齢者だけの世帯が増えるにつれて、訪問介護や通所介護(デイサービス)などの需要が高まっており、高齢者の方が住み慣れた家での生活を続けていくためのサービスが拡充されています。
寝たきりの原因となりやすい転倒を予防するために、段差の解消をはじめとする自宅のバリアフリー化工事などの住宅改修を行った場合にはその費用の一部助成を受けることが可能です。
また、高齢者の方が安心して生活を送るためのサポート体制も構築中です。
市内を4つの生活圏域に区分し、4圏域すべてに地域包括支援センターを設置するなどを行っています。
高齢者の方やそのご家族が、介護や福祉について気軽に相談できる環境が整備されています。高齢化には地域差があるため、市ではそれぞれの状況を把握し、圏域ごとに対応中です。
さらに、地域全体で高齢者を見守る「見守り支援ネットワーク」や「あんしん相談室」の拡充、高齢者の方の情報をまとめた「高齢者あんしんキーホルダー」の普及・配布など、さまざまなサポートも充実しています。
介護度が上がり自宅での生活が困難になった方に対しては、快適に過ごせる有料老人ホームなどの増設も検討中です。
交通アクセスの良い町田市の有料老人ホームは家族の面会がしやすいメリットがあり、今後もニーズが高まっていくことが予測されています。
パーキンソン病の方の施設選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
そもそもパーキンソン病とは
パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経細胞の減少によりドパミンという成分が減少して起こる病気で手の震えなどが代表的な症状です。
人口10万人あたり約150人の方が発症すると言われており、発症すると要介護認定を受けるのが一般的ですが、まずはパーキンソン病の症状について確認しましょう。
パーキンソン病の症状
重症度は症状によって5段階に分けられていますが、具体的な症状は下記の通りです。
安静時振戦(ふるえ)
安静時振戦とは「ふるえ」のことで、じっとしている時にふるえが止まらなくなる症状です。
なお、ペンや箸を使う時などの動作時にはふるえが消えるという特徴があります。
初期段階であれば体の左右のどちらかにふるえ症状が出ますが、2~3年後には反対側にもふるえの症状が出るようになります。
親指と人差し指で丸薬をまるめるような「丸薬丸め運動」や、踵で床を小刻みに打つような「タッピング様振戦」が代表的です。
無動
無動とは、日常生活での動きが少なくなり、動作が遅くなってしまうことです。
顔の筋肉に無動症状が出ると「仮面様顔貌」と呼ばれる、顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなります。
他にも、字を書く際にだんだん文字が小さくなっていく「小字症」や、声が小さくなる「小声症」などの症状が代表的です。
筋強剛
筋強剛は、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れて、筋肉の緊張が進んでしまう症状を指します。
関節のこわばりや脱力感の症状が代表的ですが、抵抗が一定に感じられる「鉛管現象」や、歯車のように引っかかるような抵抗が断続的に見られる「歯車現象」が代表的です。
このような、パーキンソン病による筋肉の硬直を「筋固縮」とも呼びます。
姿勢保持障害
姿勢保持障害が起きるとバランスが取りにくくなり、体が傾き転びやすくなります。
また、歩行時にどんどん加速して小走りになってしまい、自分では止まれない「突進歩行」も特徴です。
転倒のリスクがかなり高まることから、転倒しないように支えたり見守ることが重要です。
パーキンソン病の方の入居の条件
パーキンソン病を患っている方でも、基本的には老人ホームへの入居が可能です。
本来であれば「65歳以上、介護認定あり」が老人ホームに入居する条件となっていますが、パーキンソン病は厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、介護認定を受けているパーキンソン病患者であれば40歳~65歳未満でも入居可能です。
ただし、入居する方が要介護認定を受けている40歳~65歳未満の男性の場合、女性スタッフが多い老人ホームへの入居は難しい場合があるので注意しましょう。
施設に入らず一人暮らしはできるのか
老人ホームなどの施設にはできるだけ頼らず、一人暮らしを続けたいという方も多いでしょう。
パーキンソン病が進んでしまうと、薬の服用タイミングが分からなくなってしまい症状が悪化して危険な状態に陥る恐れもあります。
そのため、もしパーキンソン病を発症したら施設に入るのが無難と言えるでしょう。
施設に入らことに抵抗を覚える方であれば、ショートステイの利用でも構わないため、誰かに頼ることをおすすめします。
パーキンソン病の方の補助金について
介護保険給付の他にも、パーキンソン病に罹患すると生活を支えるための補助金が出ます。
パーキンソン病の重症度の分類は、以下のように5段階に分けられていますが、Ⅱ度以下または生活機能障害度Ⅰ度以下でも、医療費の支払金額が一定以上となると医療費助成の対象となります。
なお、医療費助成制度を利用するためには、住居地の保健所に申請書や診断書などを提出して行うことになります。
介護保険制度や補助金は介護をする上で重要な役割を果たしているので、しっかり情報を集めましょう。
パーキンソン病の方が老人ホーム選びで重視すべき点
パーキンソン病は、病状の進行と共に身体の自由が無くなってしまうので、常に転倒事故の危険があります。
また、食事や着替えなどの日常動作をこなす際にも時間がかかってしまうため、適切なサポートを受けられる施設を探しましょう。
また、身体が思い通りに動かないことで気持ちが落ち込んでしまい鬱状態に陥ってしまうこともあるため要注意です。
住環境に配慮されている
老人ホームを選ぶ際には、パーキンソン病患者でも安心して移動できるかどうかをチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消がされており、浴室などが安全に配慮された設計になっている住環境であれば、安心して暮らせるでしょう。
また、運動機能の衰えを防ぐためにも手すりの設置や家具類の配置が調整されている施設を選び、少しでも自立した生活を送れるようにしましょう。
パーキンソン病に熟知したスタッフがいるか
パーキンソン病の症状や対応を熟知しているスタッフがいれば、充実したケアを受けられるでしょう。
薬物効果に合わせて生活リズムを作るサポートもしてくれるので、患者にとって非常に頼れる存在となります。
また、病状を熟知していれば起こりやすい事故を予防するために細心の注意が払ってくれるので、安心して生活できるでしょう。
しっかりとしたリハビリを行えるか
パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリを適度に行うことが重要です。
自力でできることに関しては、時間がかかっても自力で行うようにサポートしてくれる施設を選びましょう。
なお、施設の人手や人員配備の体制が不十分だと対応が遅れてしまう場合があるためスタッフの人数もチェックしてみてください。
実際に、スタッフの介助が待ちきれずに、パーキンソン病の方が1人でトイレに向かい転倒してしまったと事例もあります。
医療連携が緊密に取れている24時間体制で看護スタッフが常駐している老人ホームを選ぶと、より安心でしょう。
選ぶ際の優先順位を決めよう
老人ホーム選びで困らないためにも、重視するべきポイントを整理して比較項目に優先順位を付けることをおすすめします。
具体的には、下記のポイントを意識してみてください。
特に、パーキンソン病の方は日常的な見守りや介護が必要不可欠なので介護体制の充実度に関しては重要度が高いです。
安心して暮らせるかどうかを最優先に考えて、施設選びを進めていきましょう。
おすすめの有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の2種類に分かれます。
介護体制やサービスを提供するための人員体制が整備されている介護付き有料老人ホームの方が、パーキンソン病の方には適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にも介護体制が充実している施設はあるので、必ずしも選択肢が介護付き有料老人ホームに限られるわけではありません。
様々な施設を比較検討した上で、ベストな施設を選んでいきましょう。
パーキンソン病の方が施設入居するリスク
パーキンソン病の方がさらに認知症を併発してしまうと、残念ながら問題行動が増えるため介護者の負担が重くなります。
また、嚥下障害も抱えてしまうと恒常的に食事介助が必要となるので、食事内容にも配慮しなければなりません。
このような症状を併発してしまっている場合、サポートを提供する余力がない施設からは入居を断られてしまうケースもあります。
また、入居後にパーキンソン病と認知症を併発した状況になるケースもあるため、入居前に退去要件に関しては必ず確認してください。
認知症を併発しても入居を継続できるか、必要な介護や支援を受けられる契約か否かは重要なポイントなので、漏れなくチェックしましょう。
室内での転倒にも注意
パーキンソン病を患ってしまうと運動機能や感覚機能が低下してしまうので転倒のリスクが高まります。
特に、コロナ禍において在宅時間が増えたことで室内での転倒事故も増えているので要注意といえるでしょう。
もし階段で転倒してしまうと大怪我にも繋がるので、同居家族のサポートや気配りが欠かせません。
予防するための運動・食事
パーキンソン病患者の方が室内での転倒を予防したり、大怪我のリスクを低減するためにも日ごろからリハビリを行う必要があります。
無理のない範囲で適度な運動やストレッチを行って筋力と柔軟性を維持したり、階段昇降やウオーキングなどを行い下半身の筋力を動かすことを意識しましょう。
また、全身の筋肉や関節を使かす動作を行えるラジオ体操も効果的なので、ぜひ実践してみてください。
食生活に関しても工夫を凝らす必要があります。
特に乳製品や、果物・肉などの摂取が少ないと、パーキンソン病になりやすいと言われています。また、チロシンは、大豆製品に多く含まれておりタンパク質の一種で、ドパミンなどの神経伝達物質の原料となる栄養素でなので積極的に摂取すると良いでしょう。
好き嫌いを避け、バランスの良い食事を心がけましょう。