要支援2とは?介護サービス・認定基準から要介護1・要支援1との違いまで全て解説!

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

「要支援2ってどんな状態のことを言うの?」

「要支援2の基準や受けられるサービスについて知りたい!」

介護制度については要介護認定を受けてみないとわからないことが多いため、要介護認定を受けた方やそのご家族の方は、さまざまな疑問を持つことでしょう。

そこで、今回は要介護認定の中でも要支援2について解説します。

要支援2で受けられる介護サービス、認定基準、介護サービスの限度額、要支援1・要介護1との違い、要支援2のケアプラン、ひとり暮らしは可能なのかなど、要支援2について気になる点を詳しくお伝えします。

要支援2と認定された方、そのご家族の方など、要支援2について知りたい方はぜひ参考にしてみてください!

要支援2についてざっくり説明すると
  • 要支援2は、要支援1の次に症状が軽い状態
  • 要支援2と要介護1では、要介護認定基準時間に違いはない
  • 要支援2の区分支給限度額は10万5,310円ほど

要支援2とは

要支援2とは、どの段階のことを指すのでしょうか。

要支援2とはどのような状態なのか、要支援2の認定基準、申請と審査の流れ、要支援1・要介護1との違いといった基本情報について解説します。

要支援2は身の回りのサポートが必要になる状態

要支援2の概要

要支援1~2、要介護1~5の7段階に分かれている要介護認定の中で、要支援2は要支援1に次いで2番目に症状が軽い段階です。

要支援は、介護は必要ない状態ではあるものの、日常生活において支援が必要な場面がある状態です。

また、介護予防サービスを利用することにより、日常生活を改善することができると考えられる場合に認定されます。

要支援2で一人暮らしを継続できる?

要支援2の具体的な状態としては、要支援1と同じく身体的な衰えがあるものの、要支援1と同じく食事やトイレなどは一人ですることが可能です。

そのため、一人暮らしが不可能な状態とは言えないでしょう。

ただ、要支援1よりは身体機能の低下があり、立ち上がる際や両足で立つ際、歩く際などには手助けが必要になります。

また、要支援2は、家事をしたり身だしなみを整えたりするときにも、一定の手助けが必要です。

要支援1は、家事をする場合一部にのみ手助けが必要な状態です。要支援2は、このような点においても要支援1よりも重い状態なのです。

そのため、要支援2で一人暮らしを継続するためには、日常生活の中でのリスクを最小限に抑えるための工夫や、身近な人の協力が必要になります。

要支援2の基準

要介護度を認定する基準の一つとして 「要介護認定基準時間」 があります。

「要介護認定基準時間」は介護に必要な時間を定めたもので、これによって要介護度が決まります。要支援2の要介護認定基準時間は32分以上50分未満です。

また、要介護度を認定するには、要介護認定基準時間のみで判断されるわけではなく、その他の要素によりその要介護度に相当すると判断されれば要介護認定を受けることになります。

要支援2の要介護認定基準時間は、要支援2の一段階上の要介護区分である要介護1と同じ基準時間です。

ただ、要支援2と要介護1は要介護認定基準時間は同じですが、状態が全く同じというわけではありません。

要支援2は、まだ介護が必要な状態ではありません。 しかし、あとで詳しく述べますが、要介護1になると日常生活の基本的なことにも介護が必要になります。

また、認知症がある場合や、主治医により半年以内に体調が悪化すると診断されると要介護1になる可能性が高いと言えます。

このように、さまざまな違いを前提にして要支援2の基準が定められています。

申請・審査の流れ

要介護認定を受けるには、まず最初に各自治体にある介護保険の窓口で申請を行います。

申請は本人だけではなく、家族や地域包括支援センターが代理で申請することも可能です。

申請が受理されると、本人の症状を確認するため自治体による訪問調査が行われます。

かかりつけ医がいる場合は、意見書の作成も必要です。かかりつけ医がいない場合は、市町村指定の病院で診断を受けます。

要介護度の認定は、まずコンピュータによる1次審査ののち、市町村による介護認定審査会が開かれ2次審査が行われて判定されます。

その結果が本人の元に送付されますが、結果が届くまでは一カ月ほどです。

要支援1との違い

要支援1と要支援2では、食事やトイレなど、日常生活における基本的なことは一人でできるという点が共通しています。

しかし、要支援2は、要支援1よりも身体的機能の低下が見られるという違いがあります。

要支援1では立ち上がる際などに手助けが必要ですが、要支援2では、立っていることや歩くことにも手助けや支えが必要な状態です。

また、家事の面でも要支援1と要支援2では違いがあります。

要支援1では、家事を行う際、手助けや見守りが必要なことがある程度ですが、要支援2では手助けや見守りが必要となる場面が多くなります。

要介護1との違い

「要介護2の基準」のトピックで述べたとおり、要支援2と要介護1の要介護認定基準時間は同じです。

しかし、要支援2と要介護1には大きな違いがあります。それは理解力の低下です。

要支援2では理解力の低下については特徴とはされていません。しかし、先に述べたとおり、認知症がある場合要介護1と認定されるケースが多いこともあり、要介護1では理解力の低下が見られることが特徴とされています。

また、身体機能も要支援2よりも要介護1の方が低下しており、要介護1では歩くことや立ち上がる動作をするときに介助が必要です。

その他にも、要介護1では入浴やトイレなど日常生活の基本的なことでの介護が必要なことも多くなります。

したがって、要介護1の方々は、身体的機能の低下に加えて認知機能の低下も見られるため、介護者による適切な介護が必要です。

一方、要支援2の方々は、認知機能の低下については特徴とされていないため、介護というよりは日常生活のサポートが必要とされます。

介護が不要か必要かは、要支援2と要介護1の大きな違いです。

要支援2で受けられるサービス

要介護認定を受けると、介護給付サービスを受けられるようになります。

要支援の場合は、介護はまだ必要ない状態ですので、受けられるサービスは、予防給付サービスです。

要支援2で受けられる予防給付サービスには、どのようなものがあるのでしょうか。

要支援2の区分支給限度額

要介護認定を受けると、それぞれの要介護度に合った給付を受けることができます。

それぞれの要介護度には区分支給限度額が設けられており、要支援2の区分支給限度額は一ヶ月につき10万5,310円ほどです。

この区分支給限度額までは、要介護者の収入により1~3割の自己負担でサービスを受けることができます。

1割負担の場合は、10万5,310円の1割ですので、1万531円です。

なお、区分支給限度額を超えたサービスを受けると、その分は自己負担になります。

また、区分支給限度額は地域などによって多少があるため、具体的な金額を知りたい場合、お住まいの自治体などにお問い合わせください。

要介護認定と区分支給額については、こちらの記事でより詳しく解説をしていますので、合わせてご覧ください。

要介護認定とは?仕組み・実施方法や認定基準・要介護と要支援の違いまで徹底解説!

利用できる在宅介護サービス

要支援2の方が介護保険を利用して受けられる在宅介護サービスには、以下のものがあります。

種類 介護保険適用時の区分 サービス名
訪問型 介護予防訪問介護 介護予防訪問入浴介護
介護予防訪問リハビリ
介護予防訪問看護
介護予防居宅療養管理指導
通所型 介護予防通所介護 介護予防通所リハビリ(デイケア)
短期宿泊 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

要支援2では、要介護状態ではないため、介護予防サービスを受けることになります。

在宅介護予防サービスは大きく分けて「訪問型」「通所型」「短期宿泊」の3種類です。

また、自治体や民間企業、NPOなどが行っているデイサービスなど、自費で利用できる介護予防サービスもあります。

これらの介護予防サービスを積極的に活用し、症状の悪化を抑え、要介護に進まないようにしましょう。

生活支援サービスの利用

先ほど述べた通り、要支援には介護保険適用外のサービスもあります。2017年から、介護保険法では 「総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)」 が定められました。

総合事業とは、各市町村ごとにさまざまなサービス・支援を提供するというものです。

例えば、生活支援サービスでは買い物や掃除などのサービスがあります。ただ、これらは介護保険適用外ですので、サービスを受ける際の費用は全額自己負担となります。

要支援2の方々は、身体機能や認知機能の低下があるため、総合事業の中でも生活支援サービスの利用が求められることが多いです。

生活支援サービスは、市町村が委託している介護サービス事業者やボランティア団体、民間企業が行っているため、どのようなサービスが受けられるのか知りたい場合は、サービスを受けたい団体や企業に問い合わせると良いでしょう。

介護予防リフォームについて

要支援2でも、介護予防のための住宅リフォームを 「介護予防住宅改修費」 という補助金で行うことができます。

要支援2では、歩くときや立ち上がるときに手助けが必要になるため、介護予防住宅改修費を利用して手すりを付けたり、家の中の段差をなくしたりするのがよいでしょう。

また、トイレを洋式に変えるなど、介護予防のためであればさまざまなリフォームをすることが可能です。

介護予防住宅改修費の限度額は20万円で、自己負担額は1~3割です。なお、20万円を超える額のリフォームになると、超えた額は全額自己負担となりますので注意しましょう。

リフォームの計画は全て要支援者やその家族が行っても問題ありませんが、ケアマネージャーが担当し、リフォーム業者の選定などに関わるケースも多いです。

「限度額を超えないようにリフォーム代の計算ができるか」「体の状態に合ったリフォームができるか」など、リフォームの計画に不安を感じる方は多いでしょう。

少しでも不安を感じる場合には、自分たちでリフォーム計画を立てるのではなく、ケアマネージャーに相談することをおすすめします。

適切なリフォームが行われることで、要支援2の方々がより安心して自宅で生活できるようになるでしょう。

利用可能な施設介護サービス

要支援2は要介護状態ではないため、利用できる介護施設の種類は多くありません。

例えば、介護老人保健施設や特別養護老人ホーム(特養)といった利用条件の厳しい介護施設には入居できません。

要支援2で主に利用できる介護施設は以下の2つです。

  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

また、条件付きで入居できるのは以下の3つです。

  • ケアハウス(軽費老人ホーム)
  • 養護老人ホーム
  • グループホーム(認知症がある方)

要支援2でこのような施設に入居すると、介護予防特定施設入居者生活介護というサービスを受けることができます。

介護予防特定施設入居者生活介護とは、食事や入浴など日常生活の支援や、機能訓練を行うものです。

このようなサービスを日常的に受けたい方は、施設への入居を検討してもよいでしょう。

要支援2でレンタル可能な福祉用具

介護保険サービスでは、要支援者・要介護者の状態に合った福祉用具をレンタルすることができます。

要支援2は要介護状態ではなくまだ症状が軽いですが、介護保険を利用して福祉用具を1~3割の自己負担でレンタルすることが可能です。

ただ、要支援2の場合必要な福祉用具の種類が少ないため、レンタル可能な福祉用具はあまり多くありません。要支援2で利用できる福祉用具は、以下のようなものです。

  • スロープ(工事なし)
  • 自動排泄処理装置(排便機能なし)
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 手すり(工事なし)

要支援2の段階では症状が軽い状態であるため、このような福祉用具があれば、ひとり暮らしも可能です。

自分に必要な福祉用具をできるだけレンタルし、なるべく自力での生活を行い、介護予防を行っていきましょう。

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在宅介護と施設入居のケアプラン比較

ここからは、要支援2の方が在宅で介護予防サービスを受ける場合と施設入居をする場合でのケアプランを比較していきます。

要支援2で一人暮らしのケアプラン

要支援2で、ひとり暮らしをしながら介護予防サービスを受ける場合、例の一つとして以下のようなケアプランが考えられます。

サービス名 利用頻度 利用回数 金額/1回 金額/月
訪問看護 1回/週 4回/月 4,350円 17,400円
訪問リハビリテーション 1回/週 4回/月 3,260円 13,040円
通所リハビリテーション 2回/週 8回/週 定額 44,890円
福祉用具貸与 定額 6,770円
合計 82,100円
自己負担(1割) 8,210円

参考:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

要支援2は症状がそれほど重くはないため、ケアプランでは看護の頻度が少なく設定されます。

一方、介護予防としてリハビリを行うことは多くなり、福祉用具のレンタルにかかる費用もかかります。

ただ、要支援2では、在宅で介護予防サービスを受けると費用があまりかからないため、在宅でサービスを受けることがおすすめだとも言えます。

在宅介護と施設入居の費用比較

要支援2の方が在宅介護を受ける場合と施設に入居する場合とでは、費用にどの程度の違いが出るのでしょうか。

年金などの収入が25万円あり、かつ配偶者がいる方のケースで比較してみましょう。

在宅介護 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム
収入 年金・その他 25万円 25万円 25万円 25万円
支出 月額利用料(家賃・管理費など) 0円 10万6,000円 7万円 8万円
生活費(食費・水道光熱費など) 20万4,865円 10万5,000円 7万5,000円 5万4,000円
介護サービス費(自己負担1割の場合) 4,021円 9,300円 2,320円 2万2,350円
その他(妻の生活費など) 0円 9万円 9万円 9万円
支出合計 20万8,886円 31万300円 23万7,320円 24万6,350円
収支 4万1,114円 ▲6万240円 1万2,680円 3,650円

出典:みんなの介護

このように、在宅介護と施設入居では、在宅介護の方が費用を抑えることができます。 このケースの場合は、在宅介護では4万円ほども黒字になりました。

しかし、介護施設にはさまざまな種類がありますので、費用を安く抑えられるところを選んで入居することも可能です。

費用が最も抑えられるのは在宅介護ですが、施設入居をすればさまざまなサービスが受けられるメリットがあります。

また、施設入居をすればその分家族の負担も減るため、要支援2の段階で施設入居を検討してもよいでしょう。

要支援2で施設に入居すべき?

「要支援2で施設入居をするのは早いのでは?」と感じる方も多いでしょう。しかし、実際には要支援2で施設入居をしている方は多く、要支援2で施設入居をするのは早いわけではありません。

また、先に述べたように施設入居にはさまざまなサービスが受けられたり、家族の負担が減ったりするメリットがあります。

「施設入居はまだ早い」と判断する前に、一度施設入居を検討してもよいでしょう。

しかし「どの施設がよいかわからない」という方が大半ではないでしょうか。そこで、次に要支援2の方がよく利用している施設や、要支援2の方はどのくらい施設を利用しているのか、具体的なデータをご紹介します。

要支援2の人がよく利用する施設

老人ホームや介護施設を検索するサイト「LIFULL介護」の運営などを手掛ける株式会社LIFULL seniorが2020年に行った介護施設入居に関する実態調査によると、要支援2の方はよく利用する施設は

  • 健康型有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  • 軽費老人ホーム

などです。同調査によると、施設に入居している要支援2の方は、全体で9.2% でした。

また、有料老人ホーム(介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム)に入居している方の中で要支援2の方は 11.4% でした。

そして、高齢者向け住宅(サービス付き高齢者向け住宅、高齢者向け賃貸住宅、シニア向け分譲マンション、軽費老人ホーム)に入居している方の中で要支援2の方は14.1% でした。

不安であれば施設の利用を検討すべき

要支援2の方は施設入居をしていないというイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、上記のように施設入居者の10%前後の方は要支援2の方であったりと、意外にも多くの方が施設を利用しているのが現状です。

今後の状態悪化が懸念される介護度でもあるため、不安がある方は施設の利用を検討すべきだと言えるでしょう。

要支援2の方の入居が多い施設の中でも、特にサービス付き高齢者向け住宅はより高い介護度の方にも対応できる介護サービスが揃っており、費用対効果に優れておりますので、おすすめだと言えます。

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要支援2についてまとめ

要支援2についてまとめ
  • 要支援2では、歩くときや立っているときにも手助けが必要なのが要支援1との違い
  • 要支援2はサービスを受けながらひとり暮らしをすることも可能
  • 介護施設はさまざまなメリットがあるため、要支援2で施設入居をしている人も多い

要支援2は、食事やトイレなど日常生活の基本的なことは自分でできるものの、歩くとき、立っているときなどは手助けが必要です。

手助けがないと転倒の恐れがあり、手すり、歩行器、歩行補助杖などの福祉用具を利用することが推奨されます。

また、要介護1に段階が上がらないよう、介護予防のためリハビリに取り組むことも必要です。

支援を受けながらひとり暮らしをすることも可能ですが、施設では要支援2の方に合っているサポートを受けながら生活できます。

実際に要支援2の方で施設入居をしている方は多いですので、在宅での生活が不安な方や、さまざまなサービスを受けながら生活したい方は、施設入居を検討してみてもよいでしょう。

この記事は専門家に監修されています

介護支援専門員、介護福祉士

坂入郁子(さかいり いくこ)

株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。

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