横浜市の老人ホームの特徴
横浜市の老人ホームには、どのような特徴があるのでしょうか。
また、横浜市の老人ホームは現在どのような状況なのかについてもご紹介します。
横浜市の地理的特徴と介護施設の特徴
まず、横浜市の地理的特徴についてご紹介します。
横浜市の地理的特徴
横浜市は神奈川県の県庁所在地であり、政令指定都市です。
横浜市は東京23区を除くと、全国の都市で一番人口が多い市であり、2021年11月1日現在の人口は377万5,763人、世帯数は176万7,962世帯です。
大都市であることから交通網が充実しており、JRや横浜市営地下鉄、羽田空港方面へも伸びる京急線などがあります。
また、横浜中華街では中国雑技や中国のグルメを楽しむことができ、春節(旧正月)にはイルミネーションやカウントダウンイベントもあります。
金沢区などの各地では花火大会などもあり、横浜市は一年を通してイベントごとが盛り沢山な地域です。
横浜市の介護施設の特徴
横浜市に住んでいる65歳以上の高齢者の人数は約90万人、高齢化率は約24%であり、県平均の24.6%よりやや低めです。
市内の有料老人ホームの施設数は全国でも多い264施設となっています。
内訳は介護付き有料老人ホームが175施設、住宅型有料老人ホームが89施設で、全施設の定員を合計すると17,000人です。
出典:厚生労働省「全国の有料老人ホーム一覧」
横浜市内の介護施設の費用設定は、リーズナブルな価格から高額なところまで幅広いことが特徴です。
グループホームやさまざまな高齢者用住宅が揃っており、選択の幅が広くなっています。
高齢者に優しい街づくりをしていることも特徴的
横浜市では、1997年には福祉のまちづくり条例が制定され、街中の建築物や道路、講演、公共交通機関などで高齢者の方が住みやすい街づくりを推進していることも横浜市の特色の一つです。
駅などの施設ではバリアフリー化が進んでおり、多くの方がより安心して過ごせるよう工夫がなされています。
また、高齢者の方の社会参加を目指した「よこはまシニアボランティアポイント事業」や老人クラブ活動など、さまざまな取り組みもあります。
さらに、横浜市では高齢者の方の在宅生活をサポートする制度が充実しています。
介護保険では住宅改修のサービスがありますが、それとは別に横浜市独自で住環境整備事業として助成制度を実施しており、住宅改造工事にかかる費用の一部が助成されます。
このように、横浜市は高齢者の方が住みやすい都市であると言えます。
交通網が発達しており、さまざまな場所に足を運びやすくなっていますので、インターネットでの情報収集はもちろんのこと、実際に現地に行き自分の目で確認したり、話を聞いてみたりすることがおすすめです。
横浜市の介護施設価格概観
横浜市のココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値を、全国の施設と比較すると以下のようになります。
<入居一時金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
横浜市 |
226,994円 |
209,000円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
横浜市 |
174,061円 |
174,350円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
横浜市でココファンの介護施設を利用する場合、入居一時金は平均程度、月額費用はやや高めだと言えるでしょう。
横浜市は全国の他の地域と比べて地価が高いため、このように少し高めの費用となっています。
横浜市の高齢者人口
横浜市の高齢化率は、2015年時点で24.9% です。2021年度の高齢者数は約93万人(24.7%)と発表されています。
同時期の日本全国の高齢化率は26.0%ですので、横浜市の方が若干高齢化率が低いということになります。
あた2025年には、高齢者人口は7万人増の100万人(高齢化率26.7%)になると見込まれています。
2025年の横浜市の総人口は現在と同程度かやや減少すると予想されていますので、横浜市の高齢者は大幅に増えるということです。
すでに現在でも、高齢夫婦のみの世帯や高齢単身世帯の急増が指摘されています。
また、現在急増中なのが後期高齢者(75歳以上)の人口です。2021年時点では48.3万人(12.9%)になっています。
2025年には、この後期高齢者の人口・割合ともに、さらなる増加がみられると考えられています。
出典1:横浜市の人口・高齢者の状況(令和3年)
出典2:推計人口による年齢別の人口(令和2年1月1日現在)横浜市
横浜市の介護保険事業者・施設の状況
横浜市の介護保険事業所や施設はどのくらいあるのかまとめました。
なお、こちらの情報はすべて令和2年4月1日時点の情報です。
介護保険施設
施設サービス |
県内所在事業者数(施設数) |
市内所在施設 |
|
|
|
施設数 |
定員(床) |
介護老人福祉施設 |
433 |
159 |
16,401 |
介護老人保健施設 |
197 |
87 |
9,571 |
介護療養型医療施設 |
14 |
5 |
248 |
介護医療院 |
6 |
1 |
24 |
施設サービス合計 |
650 |
252 |
26,244 |
居宅サービス等事業者
居宅サービス |
県内所在事業所数 |
市内所在事業所数 |
訪問介護 |
1,983 |
800 |
訪問入浴介護 |
132 |
51 |
訪問看護 |
2,469 |
920 |
訪問リハビリテーション |
913 |
322 |
居宅療養管理指導 |
10,502 |
4,042 |
通所介護 |
1,092 |
397 |
通所リハビリテーション |
305 |
133 |
短期入所生活介護 |
492 |
169 |
短期入所療養介護 |
210 |
88 |
特定施設入居者生活介護 |
565 |
197 |
福祉用具貸与 |
350 |
141 |
特定福祉用具販売 |
354 |
145 |
居宅サービス合計 |
19,367 |
7,405 |
居宅介護支援事業者の状況
横浜市を実施地域とする事業所数は1,107個です。
ケアマネージャーの人数は常勤・非常勤・合計でそれぞれ以下のようになっています。
常勤・非常勤 |
人数 |
常勤 |
2,975人 |
非常勤 |
772人 |
合計 |
3,747人 |
実施地域による区別事業所数は以下の通りです。
地域 |
事業所数 |
鶴見 |
163 |
保土ヶ谷 |
170 |
青葉 |
151 |
神奈川 |
163 |
旭 |
168 |
都築 |
140 |
西 |
123 |
磯子 |
162 |
戸塚 |
184 |
中 |
127 |
金沢 |
117 |
栄 |
131 |
港南 |
169 |
緑 |
136 |
瀬谷 |
118 |
※この他、横浜市全体を実地地域としている事業所は102事業所です。
令和2年4月1日時点では横浜市内の介護保険施設は、介護老人福祉施設が最も多く、159施設、定員は16,401人でした。次に多いのが介護老人保健施設で87施設、定員は9,571人です。
3番目に多いのは介護療養型医療施設で、横浜市内には5つあります。しかし、介護療養型医療施設は2023年度で廃止が決定しています。
介護療養型医療施設の利用者が主に転居するのは介護医療院ですので、横浜市内の介護医療院は令和2年4月1日時点で1施設しかありませんが、今後施設数や定員は増加するでしょう。
また、横浜市の居宅サービス等事業者の居宅サービスで最も多いのは居宅療養管理指導で、このサービスをしている事業所は4,042事業所でした。
居宅療養管理指導とは、要介護認定されている人に対し、自宅で日常生活が送れるよう、医師、看護師、管理栄養士などが訪問して療養の仕方について指導するものです。
また、居宅看護支援事業者については、ケアマネージャーは常勤が多く、どの区でも事業所は100を超えています。
横浜市の介護サービス利用者数
こちらのグラフは横浜市の介護保険サービスを利用している方の人数です。
2005年は現在の介護保険制度が始まった年で、介護保険サービスの利用者は約6万人に留まっていました。
しかし、10年後の2015年には約12万人、その5年後の2020年には16万人もの利用者がいます。
2025年には、団塊の世代(戦後のベビーブームに生まれた世代)が75歳以上のいわゆる後期高齢者となるため、横浜市では、さらに介護保険サービス利用者は増えて19万人ほどになると予測しています。
横浜市で利用されている介護保険サービスは、2005年の介護保険制度開始当初から訪問介護、通所介護などの在宅サービスが最も多く利用されています。
次に多いのが施設サービスです。これは、横浜市が介護保険施設を多く設置してきたからこその結果であると言えます。
また、最も利用が少ない居住サービスですが、これはグループホームなどの利用を指します。
しかし、2025年に後期高齢者が急増すると予測されているため、グループホームなどの特定施設と呼ばれる施設の利用者も増えていくでしょう。
横浜市の高齢者相談委員会は?
横浜市には 「福祉調整委員会」 があります。これは、福祉保健サービスに関する苦情を受け付けるものです。
例えば
- 担当のホームヘルパーの働きぶりへの不満
- 介護保険施設のサービス内容への不満
などの苦情に対応します。
福祉調整委員会は、サービスの利用者と施設・事業所の間に立ち、第三者機関として苦情の内容について調査し、解決案の提案をします。
なお、サービス利用者やサービス利用を希望する人しかこの福祉調整委員会に苦情を申し立てることはできません。
例えば、施設の近所に住んでいる人など、サービス利用をしていない人はこの福祉調整委員会を利用することはできませんので注意が必要です。
単身世帯高齢者向けサービスを積極的に導入
横浜市における介護予防の取組には介護予防・日常生活支援総合事業があります。
介護予防・日常生活支援総合事業は
- 介護予防・生活支援サービス事業
- 一般介護予防事業
の2種類に分かれています。
介護予防・生活支援サービス事業は、要支援1、2の認定を受けた人、一部の事業対象者に対して提供されます。
また、一般介護予防事業は65歳以上全ての人に対して提供されます。
横浜市は
- 身近な地域で取り組む健康づくり
- 社会参加の機会を増やして介護予防
- サポート(掃除・調理・配食など)を受けて自分らしく生活
これら3つのテーマから介護予防事業を行っています。
横浜市の地域包括ケアシステム
横浜市では、2025年までに介護・予防・医療・生活支援のサービスをまとめて出来るシステムづくりを目標としています。
先に述べたように、2025年は団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となるため、高齢者人口が大幅に増える見込みです。
そのため、このような地域包括的なケアシステムが必要なのです。
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムとは、高齢者の方を支援するために必要なサービスである、住まい・医療・介護・予防・生活支援を、地域でまとめて提供できるシステムのことです。
厚生労働省では、地域包括ケアシステムについて
保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。
引用:厚生労働省「地域包括ケアシステム」
としています。
横浜市は地域包括ケアシステムの実現のために積極的に取り組んでおり、高齢者の方への各種サービスの情報提供などを行っています。
そのため、高齢者を包括的に支援する機関である地域ケアプラザなどの地域包括支援センターはすでに130カ所あります。
横浜市では 「横浜型地域包括ケアシステム」 を2025年までに構築するとし、2025年の横浜市の目指す街として
地域で支え合いながら、
介護・医療が必要になっても安心して生活でき、
高齢者が自らの意思で自分らしく生きることができる
引用:横浜市
としています。
地域包括ケアシステムの実現のための具体例
また、地域包括ケアシステムを実現するための一つとして、横浜市は、市内の中学校の学区を目安とし「日常生活圏域」としています。
そして、各校区には「生活支援コーディネーター」を置き、生活支援・介護予防に取り組んでいます。
また、高齢者の方にとってはかかりつけ医の存在も重要です。
そのため、在宅医療連携拠点を横浜市内の18区に置き、各拠点が効果的に機能するよう力を入れています。
そのことにより、在宅介護世帯と医療の橋渡しができ、高齢者の方のかかりつけ医を増員することが可能になるのです。
地域包括ケアシステムは高齢者の方が自分らしく暮らせるためにある
この地域包括ケアシステムが機能することにより、2025年に後期高齢者の人口が増える頃、要介護認定度が高い方でも、住み慣れている横浜市でこれまでと同じように自分らしい生活を送ることができます。
そのために、現在国をあげて、この地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいるのです。
今後、高齢者の方の人口が増えるに従って認知症患者のさらなる増加が見込まれています。
そのため、認知症患者を地域で支えるために、地域包括支ケアシステムが必要なのです。
人工透析していても老人ホーム(介護施設)に入れるの?
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
人工透析をしている高齢者の方でも、老人ホーム(介護施設)に入居することは可能です。
ただし、透析の人に対応している施設が少なく、選択肢が少ないというのが現状です。
「食事に関する制限がある」、「付き添いなどでスタッフが半日以上もかかりきりになる」などの理由から、人工透析を行っている方への対応が難しいため、入居条件が設けられています。
人工透析とは?
人工透析とは、病気などの影響により著しく低下した腎臓の機能を、医療機器によって補助する、もしくは腎臓に代わる働きを行う療法のことです。
腎臓には、老廃物や不要な水分などを除去する働きがあります。腎臓の機能が低下すると、このフィルターが上手く働かず、老廃物が体内に溜まってしまいます。このように、腎臓がその機能を失うことを腎不全と言います。
腎不全になると、不要物が体の中にどんどん溜まってしまうため、人工的に対外へ毒素を排出しなければなりません。この治療が人工透析です。
腎不全になった場合、人工透析の他に臓器移植をする方法もありますが、日本では実施件数が少なく、ほとんどの人が生涯人工透析を続けています。
また、人工透析は血液透析と腹膜透析の2種類に分けられます。
以下の円グラフからもわかるように腹膜透析はあまり普及していません。
それぞれの特徴については以下の見出しで解説していきます。
血液透析
人工透析を行う場合、日本では血液透析という方法が主流となってます。血液透析は以下の流れで進められます。
- 動透析機器をつなぐための出入り口として動脈と静脈をつなぐ内シャント造設術という手術を行う。
- シャントと透析装置を繋ぎ、ポンプを使って血液を機器に送り込む。浄化装置によって送り込んだ血液の老廃物や余分な水分を取り除く。
- 不純物が取り除かれて綺麗になった血液を、再び体内に送り返す。
血液透析の場合は、1回あたり4~5時間、週に3回程度の透析療法を医療機関で行います。治療に割く時間が多いというデメリットはありますが、医療従事者が治療を行ってくれる・トラブルの際は医療スタッフが対応してくれるなどのメリットもあります。
腹膜透析
腹膜透析を行う際は、複雑な機器を必要としないため、自宅で治療を行うことも可能です。血管を使う血液透析と異なり、腹膜透析は自分の腹膜を使って血液を綺麗にします。
- 腹部にカテーテルを指し、そこから透析液を入れる。
- 老廃物などが浸透してきた透析液を排出する。
血液透析と違って自宅でも治療ができるというメリットがありますが、自己管理が疎かになった場合、腹膜炎などの合併症が起こるリスクもあります。
また、腹膜透析を続けると腹膜が次第に固くなってきます。そのため、腹膜の状態を考慮し、5~7年程度を期限として血液透析などへ移行する必要があります。
前述したように、日本で行われている人工透析は血液透析が主流となっており、腹膜透析は3%程度しか導入されていません。しかし、患者のQOL(生活の質)の向上という観点から考えると、一般的に行われている血液透析よりも腹膜透析の方が高齢者の方のメリットは大きいと言う専門家もいます。
人工透析が必要な疾患は?
腎機能が低下し、腎不全が引き起こされると、人工透析が必要となります。腎機能が低下してしまう原因には以下のものが挙げられます。
疾患名 |
主症状 |
糖尿病性腎症 |
糖尿病に関連して発症する腎障害。網膜症や神経障害と並び三大合併症として認知されている病気。夜間尿・むくみ・尿毒症などが生じる。 |
腎硬化症 |
高血圧などの影響により、腎臓の細小動脈に障害が生じ、腎機能が低下する病気。動機・肩こり・倦怠感・むくみ・尿毒症などが生じる。 |
慢性糸球体腎炎(慢性腎炎) |
糸球体の炎症により、タンパク尿や血尿が長期間(1年以上)持続する病気。血尿・蛋白尿・むくみ・頭痛・倦怠感などが生じる。 |
多発性のう胞腎) |
遺伝性腎疾患。両側の腎臓にのう胞が多発し腎機能が低下していく病気。腎のう胞が増加してくると腹部膨満、倦怠感、高血圧などが生じる。脳動脈瘤の合併も多く見られる。 |
人工透析が必要な方が老人ホームを選ぶ際のポイント
前述したように、人工透析が必要な高齢者の方でも介護施設を利用することが可能です。
ただし、人工透析を行っている人の場合、食事制限や合併症のリスクなどがあるため、受け入れ可能な施設が少ないというのが現状です。
数少ない選択肢の中から利用者に合った施設を選ぶためには、重要なポイントについてしっかりチェックをし、ご本人が納得できる施設を選ぶことが大切です。
この見出しでは、施設を探す際に注意したい6つのポイントについて紹介していきます。
人工透析が必要な方のケアに慣れている
介護施設選びの際に最も重要なポイントは、人工透析が必要な方のケアに慣れているかどうかです。
どこまでのサポートを行ってくれるのか、適切な食事管理を行ってくれるかなどをしっかり確認しておきましょう。
特に、栄養バランスの良い食事を出してもらえるかチェックすることは必須です。
人工透析をしている方にとって、毎日の食事内容は非常に重要です。制限のある食事ばかりではなく、栄養バランスの取れた食事と適度な運動を摂ることが心身の健康へと繋がります。
施設を選ぶ際は、「水分・塩分・タンパク質・カリウム制限などのケアに熟練しているか」、「ご本人に適切な制限内容か」などについてしっかりと確認をしておきましょう。
入院をはじめとする急変時への対応がしっかり整っている
人工透析を必要とする方は、1回あたり4~5時間の透析を週に3回程度行うために通院する必要があります。場合によっては、一人の高齢者の方の付き添いに半日以上時間を要することもあります。こういった理由から受け入れ先が少ないのが現状ですが、中には透析患者に対するケアが万全な介護施設も存在します。
施設選びの際は、普段の生活だけではなく、入院時や緊急時の対応が整っているかについてもしっかりと確認しておきましょう。
また、通院時には、施設または医療機関が行う通院送迎サービスを利用することができます。
施設で通院送迎の対応をしてくれる場合は有料サービスという形で追加料金がかかります。一方、医療機関の送迎サービスを無料で利用できるところが多いです。
透析病院や透析クリニックと医療連携している
通院する透析病院や、透析クリニックとの医療連携が十分とれているというのも施設選びの際の重要なポイントの一つです。医療連携とは、かかりつけ医師と他の医療機関を繋ぎ、情報共有を行うことで、患者さんにとって最適な治療を提供することを言います。
また、人工透析を必要とする方は全身状態に影響してくる多彩な合併症のリスクがあります。
入居後に医療的依存度が高くなった場合や、介護度が上がった場合でも入居を継続できるかどうか事前に調べておきましょう。
介護スタッフは24時間常駐で急変時の対応が可能
老人ホームには様々な種類があります。24時間体制の介護サービスを提供していない施設を選んでしまうと、夜間などの緊急時の対応ができません。
人工透析を行っている人の場合、体のバランスが崩れることにより様々な症状が引き起こされることもあります。場合によっては合併症を引き起こすこともあります。
施設に入居する際には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなど介護スタッフが24時間常駐している施設を選びましょう。
看護スタッフが常駐したり訪問している
老人ホームには介護職員の他、看護師、生活相談員、ケアマネージャーなど様々なスタッフが在籍しています。そのうち、入居者の健康や服薬管理、健康管理などの医療的なケアを行っているのが看護師(看護職員)です。
人工透析をしている人の場合、治療や合併症に注意が必要なため、看護スタッフが常駐している施設や訪問看護を利用している施設を選ぶようにしましょう。
シャントの状態や血圧低下に気づいてもらうことが必要
人工透析の治療にはシャント(静脈と動脈をつないだ血液回路)の状態が安定していることが大切です。
シャント血流音やシャント部の皮膚の状態の確認、また治療時に水を抜くために血圧がさがりやすくなるため、体調の変化に細やかなケアが必要です。
人工透析が必要な方の介護施設入居条件
人工透析を必要としている方の場合、日ごろの健康管理が欠かせません。
また、透析に時間がかかるため、施設の職員が半日以上も付き添いで一人の方にかかりきりになる場合もあります。そのため、人工透析が必要な方の受け入れが可能な老人ホームは数が限られているのが現状です。
ただし、以下の条件が整っている場合は入居できる可能性は高くなります。
透析中の付き添いは不要
前述したように、透析の度にスタッフが付き添いを行うと、半日以上もかかりきりになってしまいます。透析中の付き添いが必要ない方であれば、その分スタッフが一人にかかる時間が減るため、施設への入居できる可能性が高いです。
また、近くの病院と連携している施設の場合、透析病院への送迎を病院が無料送迎してくれることもあります。施設選びの際はしっかりと確認しておきましょう。
送迎は医療機関あるいは介護タクシーを利用できる
先ほどの見出しでも述べたように、病院と提携している施設であれば透析病院が無料で送迎を行ってくれる場合があります。また、施設のサービスとして、要介護状態の方や体が不自由な方が利用できる介護タクシーを利用することができます。
介護タクシーは介護職員初任者研修などの資格を有した職員が運転を行う「通院等の乗降介助」サービスです。
上記の方法を利用して通院する場合、入居できる可能性が上がります。
通院する透析病院との連携がとれている
老人ホームの中には、近くの病院と提携している施設もあります。また、病院の経営母体が老人ホームを併設した透析クリニックを設置している場合もあります。
病院との提携が取れている場合、様々な職種のスタッフによるサポートが受けられます。
また、老人ホームと透析クリニックが併設されている場合、通院時に感じる苦痛や負担を取り払うことができるため、利用者のQOLの向上へと繋がります。
腎不全食への対応が可能
腎不全になると尿の量が減るため、1日に摂取できる水分を制限する必要があります。また、塩分を摂りすぎると、むくみや高血圧の原因となってしまうので減塩食を心がける必要があります。
腎臓が正常に機能せず、人工透析を行っている方は、上記の他にタンパク質やカリウム、リンの摂取量にも注意しなければなりません。
水分・塩分の制限に関しては比較的多くの施設で対応が可能ですが、タンパク質やカリウムの制限が必要な腎不全食への対応が可能な施設は限られます。
人工透析に対応可能な施設の費用相場
全国のココファンの介護施設と、入居金・月額費用を比較してみましょう。
<入居金>
施設の種類 |
平均値 |
中央値 |
人口透析対応 |
267,567円 |
194,250円 |
全ての施設 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
人工透析対応 |
162,088円 |
156,578円 |
全ての施設 |
169,518円 |
158,250円 |
ココファンでは多くの施設で病気に対応できる体制を整えていますので、人工透析対応可能であっても、費用が高くなることはありません。
人工透析が必要な方の施設入居時のリスク
ここまで人工透析の基本的な情報や施設選びのポイントについて解説してきました。この見出しでは、人工透析が必要な方が施設へ入居する際の注意点について見ていきましょう。
合併症に注意しよう
人工透析には腎臓の代わりに不要物や過剰な水分を除去しますが、腎臓の機能よりも負荷が大きく、急激な血液の変化が発生します。
それにより体のバランスが崩れて様々な症状を起こすことがあり、合併症を起こす恐れもあります。これは、体の細胞が血液濃度の変化についていけない場合に発症しやすいため、特に人工透析を始めて間もない方に多く見られる症状です。
その他にも原疾患及び動脈硬化に起因する多くの合併症が見られることから、人工透析を行う場合は循環器内科、消化器科、糖尿病内科、泌尿器科など様々な科と連携しながら病状の管理を行います。そのため、人工透析を必要とする方が老人ホームを選ぶ際には、医療機関との連携がとれている施設を選びましょう。
医療連携に関する説明を聞き、施設で対応できる医療ケアの詳しい内容や協力医療機関の診療科目、そして協力内容などをしっかりと確認しておくことが大切です。
認知症などと同時に発症する場合も多い
認知症などを同時に発症する、もしくは透析導入後に認知症の症状がひどくなる場合もあります。認知症の症状がみられる場合、透析の必要性が理解できずに混乱したり、介護側に当たってしまったりすることもあります。
4~5時間の透析中でも安静を保てない場合には治療継続が難しくなることもあります。
介護にあたる方は、優しく何度も説明する、高齢者の方の話を聞いて落ち着かせるなどの対応策をとって対応することが大切です。
入居後に具合が悪くなるケースにも注意
入居後に体の状態が悪くなり、医療的依存度が上がる、もしくは介護度が上がるケースもあります。状態が悪化してから受け入れ可能な別の介護施設を探すのはとても大変です。
そのような事態をさけるため、いざというときに必要な介護サービスや医療支援を受けながら入居を継続できる契約かどうか、施設選びの際に事前にしっかりと確認しておくことも大切です。