越谷市の老人ホームの特徴
夏は全国有数の猛暑地となり冬にはマイナス5度を下回る越谷市は、高齢者の方が外出するには厳しい地域と言えるでしょう。
一方で、高齢者の健康に対する取り組みやサポートが充実しており、介護を受ける上では魅力的な地域とも言えます。
高齢者が健康に、充実した生活を送れるようさまざまな取り組みを行っている越谷市を、最後の住居の場所にと考えている方も多いでしょう。
今回は、埼玉県越谷市の老人ホーム事情について、地理的特徴・介護施設の傾向・価格概念・施設状況や、介護を利用する高齢者のためのサービスなどを紹介します。
越谷市の地理的特徴と介護施設の特徴
令和3年11月1日現在で人口345,405人の越谷市は、日本国内で初めて健康保険制度を導入した都市で、昔から福祉に力を入れている地域です。
そのため、介護施設も充実している傾向にあります。
また、現在も健康・福祉への意識が高い越谷市では、独自にワーキングチームを形成するなどして福祉に取り組み、高齢者の介護・医療・生活支援サービス・介護予防事業などをうまく連携させることに成功しています。
なかでもとくに注力されているのが介護予防で、いつまでも元気で長生き、老人ホームの要らない高齢者の方を増やす働きかけとして、運動指導・食生活指導などを行う教室も多く開催されます。
このように福祉への意識が高くさまざまな支援サービスを展開する越谷市なら、高齢者の方にとって充実した生活が送れる地域となる可能性も大きいでしょう。
越谷市の介護施設価格概観
越谷市のココファン介護施設における入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値を以下に示しました。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
越谷市 |
188,375円 |
188,375円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
越谷市 |
152,918円 |
152,918円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
上記の表をみてわかるように、全国のココファンの施設の中でも越谷市は入居金・月額費用共に全国と比較して安めの費用で利用することが可能です。
さまざまな費用が掛かる介護ですが、このように費用の平均値が低い地域では安心して介護サービスを利用できます。
越谷市の高齢者人口
越谷市の高齢者人口は、令和3年度11月時点で87,679人と発表されています。
2020年には高齢化率が25%を超えた越谷市は、全国平均27.3%と比較すると高齢者人口が少ない印象です。
しかし今後の高齢化率を見ていくと、翌年11月時点で割合がさらに大きくなり、今後は高齢者人口が年々増加していく予想です。
そのため、今後は介護予防・在宅介護サポートなどの取り組みが重要となっていくでしょう。
出典:人口と世帯数 越谷市公式ホームページ(令和3年11月)
越谷市の介護施設の状況
越谷市の介護施設状況について、以下の表にまとめました。
なお、表は令和2年9月時点でのデータです。
<越谷市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(越谷市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国平均) |
訪問型介護施設数 |
66 |
1.99 |
3.25 |
入所型介護施設数 |
48 |
1.45 |
2.17 |
通所型介護施設 |
87 |
2.62 |
3.43 |
特定施設数 |
22 |
0.66 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
58 |
1.75 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
23 |
0.69 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
304 |
9.16 |
12.40 |
出典:日本医師会 越谷市
上記の表からわかるのは、全国平均と比較すると越谷市の介護施設数はやや少ない傾向にあるということです。
とくに訪問型・入所型の介護施設や居宅介護支援事業所は、全国平均を大きく下回っていますが、特定施設だけは全国の平均値を上回っており有料老人ホームやケアハウスなどは充実していると言えます。
しかし越谷市では近年、自宅で介護サービスを受ける居宅サービスやデイサービスなどの通所サービスの利用が増加しており、また今後利用者もさらに増加することが見込まれています。
越谷市の要介護認定者数
越谷市の要介護・要支援認定者数は、令和2年時点で13,416人と発表されています。
要介護認定者数・認定率ともに年々増加している越谷市では、将来認定率が20%を超える推計も出ていて、今後はさらに介護のニーズが大きくなる予想です。
越谷市の今後の課題は、
などです。
介護サービス利用者が増加している越谷市では、とくに訪問介護サービス・居宅サービス・施設サービス・福祉用具販売などの利用が増えていて、今後は施設や設備の増加などが課題となるでしょう。
また、グループホームなどの利用者増加から、認知症に関する対策も急がなければなりません。
出典:越谷市(令和2年)
越谷市の高齢者相談委員会は?
越谷市では、介護を利用する高齢者が相談できる場として、専門スタッフ在中の窓口を市内各地に設けています。
窓口は市内各地に設置された地域包括支援センターや、福祉部の地域包括ケア推進課に置かれており、保健師や社会福祉士の資格を持ったスタッフが対応を行います。
これらの窓口では、振り込め詐欺被害・訪問販売・虐待被害・予防接種など幅広い相談内容に対応可能で、高齢者本人だけでなく家族・介助者・近隣住民など誰でも気軽に相談できるとされています。
また地域包括総合支援センター以外にも、ゴミ出しが困難な高齢者のお宅に訪問しゴミ回収を行うリサイクルプラザや、リハビリについて理学療法士に相談できるゆりのき荘・くすのき荘などもあり、越谷市では高齢者のさまざまな悩みに対応可能です。
越谷市独自の介護サービスについて
市内で実施したアンケートによると、越谷市在住の高齢者の半数近くが「サポートを受けながらの自宅介護」を希望していることが分かりました。
このようなニーズに合わせ、
- 自宅生活者への生活サポート
- 健康で自立した生活のための介護予防
を目的に越谷市独自の介護サービスを設置しています。
以下は、越谷市独自の高齢者向けサービスの一例です。
- がん検診・健康診断の推奨
- 高齢者向けの体操教室開催
- シルバーカレッジ開催
- 商店街に交流所設置
越谷市では、病気の早期発見・早期治療を目的とした健康診断やがん検診などを推奨する取り組みを行っています。
これは、検診を多くの人に受けてもらうことで、病気による介護度の上昇を予防し、将来要介護になる人口を抑えようとする働きかけです。
このほか、高齢者の筋力低下防止目的で高齢者向けの運動教室を開き、歌に合わせて楽しくできる楽唱体操などを行っていたり、埼玉県内の大学と協力してシルバーカレッジを開催したりしています。
また、積極的に社会と接することが介護予防には大切なため、高齢者が孤立しないよう商店街の空き店舗に交流所・ふらっとを設置しました。
越谷市ではさらに、老人クラブへの支援金・シルバー人材の就労支援・認知症支援者の育成などにも力を入れ、健康でいつまでも介護がいらない高齢者を増やすよう独自の支援事業に取り組んでいます。
越谷市の地域包括ケアシステム
越谷市では、介護保険法・老人福祉法に基づいた高齢者向けサービスを提供するなどして、地域包括ケアシステム構築を目指しています。
地域包括ケアシステムとは、住まい・医療・介護・予防・生活支援などの高齢者を支えるサービスを地域で一体的に提供するシステムです。
地域包括システムの構築は国を挙げて取り組まれており、団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるよう、各介護サービスが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しています。
越谷市で行っている地域包括ケアシステムための取り組みのひとつが災害時要支援者避難支援制度です。
災害時要支援者避難支援制度は、もしも災害が起こった際に一人で非難することが難しい高齢者の避難を支援するもので、あらかじめ高齢者やその周囲の人が地域包括支援センターなどで相談しておくことで利用できます。
このような地域包括ケアシステムは、地域の特性を知る市町村・都道府県が地域の自主性に基づいて作り上げていくことが必要です。
胃ろうの方の老人ホーム選びのポイント
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
胃ろうを行っている方が、老人ホームを選ぶ際に重視すべきポイントについて解説します。
そもそも胃ろうでも老人ホームに入れるの?
2012年頃までは、老人ホームの約70%で胃ろうの方の受け入れを制限していました。
その要因は、胃ろう対応出来る環境が整っている老人ホームが少なかったためです。
しかし、2012年に行われた介護保険法の改正により、現在は胃ろう対応が出来る老人ホームが増加してきています。
とはいえ、胃ろうのケアは看護師や医師が行う医療行為であるため、どこの老人ホームでも受け入れられるわけではないのです。
胃ろうの方の老人ホームへの入居は、近隣の医療機関との連携や、介護職員の人員体制、看護師等医療職員の配置、老人ホームの設備といった、老人ホームの受け入れ体制が整っていることが条件になります。
胃ろうの方や、体調に不安がある方は、希望する老人ホームの医療の連携、介護体制について十分に確認した上で入居を検討しましょう。
胃ろうの基本情報
胃ろうについて、詳しく解説していきます。
胃ろうが必要な状態
胃ろうが必要になるには、下記のような状態にあることが考えられます。
寝たきりの状態で起こる床ずれの原因の1つとなるのが、栄養不足があります。
胃ろうで足りない栄養を補うことで、床ずれの悪化を防いだり、場合によっては体の機能回復に繋がることがあります。
認知症や意識障害、脳血管疾患や神経筋疾患などの影響で口から食べることが難しい場合や、点滴では栄養が不足するときに胃ろうで対応することがあります。
加齢や病気の影響で、嚥下機能が低下した場合に、誤嚥を防ぐ目的の1つとして胃ろうで対応することがあります。
腸ろうの場合
腸ろうは、お腹に小さな穴を開けて、そこから小腸まで栄養を通す管(カテーテル)を通し、直接小腸まで栄養を送る処置です。
本来は胃ろうで対応することが多いですが、胃がんなどの理由で胃ろうを作ることが出来ない患者さんへの処置として、腸ろうを作ることが多いです。
介護的なケアは胃ろうと同じように行うことが多いですが、腸ろうの場合は胃ろうよりゆっくりと栄養を流さなくてはならず、時間と手間がかかります。
人員確保の面で、受け入れが難しい施設が多いのが現状です。
その他の経管栄養の場合
経管栄養は、口からの食事が難しくなった場合、胃までカテーテルを通して栄養を送る方法です。
胃ろうも経管栄養の1つです。
胃ろう以外では、鼻から胃までカテーテルを通す、経鼻経管栄養などが代表的です。
経鼻経管栄養の場合は、手術をすることなく行えるので、身体機能の回復により取り除くことも可能です。
胃ろうも経管栄養の1つですが、経管栄養の方の受け入れを容認している施設でも、胃ろうの方の受け入れをしていない場合があるため、注意が必要です。
胃ろうの方の在宅介護は非常に大変
胃ろうは誤嚥の心配がなくなり、介護が楽になると言われることがあります。
楽になる部分ももちろんありますが、家族による胃ろうの管理は、非常に大変です。
管理が不十分だと、感染症などのリスクもあります。
本人の状態を悪化させてしまう可能性も考えられます。
そのため、介護サービスを利用するなどして、プロに任せることも必要です。
胃ろうのメリット
胃ろうのメリットとして、主に以下のようなものが挙げられます。
栄養素の確保がしやすい
胃ろうの最大のメリットともいえるのが、栄養素の確保がしやすいという点です。
口から食べることが困難になると、必要な栄養素が不足しがちです。
胃ろうの場合は、胃に直接送り込むことが出来るため、必要な栄養素を確保したり、必要なカロリーを摂取することに役立ちます。
口から食事もできる
口から食べることが困難になった方が胃ろうの処置をすることが多いですが、胃ろうの方も口から食事をすることが出来ます。
胃ろうは腹部にあるため、喉や食道にカテーテルが通っていない分、経鼻経管栄養などと比べると口からの食事はしやすいと言えます。
また、嚥下訓練もしやすい特徴があります。
洋服で隠すことができる
胃ろうは腹部についているため、洋服を着てしまえば見た目では胃ろうがあるかどうか分からない点がメリットといえます。
鼻からカテーテルを通す経鼻経管栄養は、隠すことが難しく、違和感などから引き抜いてしまう方もいますが、胃ろうは目立ちにくく、引き抜く心配が少ないというところがメリットです。
運動やリハビリへの影響が小さい
胃ろうがあっても、基本的な運動やリハビリで体を動かすことは可能です。
胃ろうは洋服で隠すことが出来る点や、カテーテルが見えていないことからも、運動やリハビリに支障が少ないことも特徴です。
また、口からも食べることが出来るため、嚥下訓練を行うことも可能です。
入浴可能
医師の許可があれば、入浴することも可能です。
入浴の際は特別な処置をすることなく、普段通り入浴をすることが出来ます。
カバーをすることなく入浴が出来るため、介護する人の負担軽減にも繋がります。
清潔を保つことは皮膚トラブルの防止にもなりますし、胃ろうが付いている周辺の化膿防止にも繋がります。
誤嚥性肺炎の予防に効果がある
胃ろうは胃に直接栄養を送るため、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
嘔吐物などの胃酸による化学性肺炎の防止にも効果があります。
ただし、唾液等の誤嚥による細菌性肺炎はリスクが上がる可能性がありますが、口腔ケアを行ったり、口から少量でも食事を摂ることで細菌性肺炎のリスクを予防することに繋がります。
胃ろうのデメリット
一方で、胃ろうには以下のようなデメリットも存在します。
手術の必要がある
胃ろうは腹部に小さな穴を開けて設置するため、穴をあける外科手術が必要です。
手術には抵抗がある人も多く、その点がデメリットといえます。
ただ、胃ろうの手術は内視鏡を使って行うため、30分程度の短い時間で終わります。
合併症のリスクも
胃ろうで起こる可能性がある合併症には、汎発性腹膜炎や創部感染症などのリスクがあります。
合併症に関しては胃ろうに限らず、他の経管栄養法でも発生する可能性はあります。
むしろ、胃ろうの場合には合併症のリスクが他の経管栄養法よりも少ないとされています。
口腔ケアが必要
口から食べる機会が減少することで、口臭や細菌の増加など、口腔トラブルが発生しやすくなります。
こうした口腔トラブルは、食べる機会が減ることで唾液の分泌が減り、自浄作用が低下することで起こります。
口腔内のトラブルを防ぐためにも、適切な口腔ケアを行うことが大切です。
逆流することがある
胃に注入する栄養剤は液体のため、逆流する可能性があります。
逆流してしまうと誤嚥に繋がることもあるので、栄養剤を注入している最中と、注入後は30度以上上半身を起こしておく必要があります。
また、体質的に胃に入れたものが逆流しやすい症状を持っている人もいます。
このような場合は、とろみのついた栄養剤で症状が抑えられる場合があります。
胃ろうの設置は本人の意思確認も重要
日本の胃ろう利用者は25万人以上とも言われており、世界的に見ても日本は胃ろう患者が多いことが知られています。
ただ、日本では胃ろうを望まないとする人が8割以下と少ない傾向があり、本人の意思と尊厳の重視に注目されています。
胃ろう設置の最大の目的は生命維持であることが大半ですが、決して胃ろうが延命治療とは断言できません。
胃ろう患者の介護施設受け入れも増えてきたため、介護施設入居にあたって胃ろうの選択肢を辞めるという必要性はほぼ無くなりました。
そのため、本人の意思をしっかり確認し、家族も納得した上で検討することが大切です。
胃ろうが必要な方の介護施設の入居条件
胃ろうは医療行為のひとつで、2012年までは主に看護師が行うケアでした。
現在は、看護師などの医療従事者以外に、家族や所定の研修を受けた介護職員が胃ろうの対応が出来るようになりました。
とはいえ、どの介護施設でも受け入れられるわけではありません。
胃ろう患者が断られる理由には、
- 看護師が日中、もしくは24時間常駐がない
- 介護職員への研修が進んでいない
- 胃ろう患者のための設備が整っていない
このような理由から断られることがあります。
胃ろうの方が施設を探す場合には、検討段階から胃ろうを使用していることを伝え、入居後安心して暮らせる環境かどうかをしっかり確認することが大切です。
胃ろう対応可能な介護施設選びで重視する点
それでは実際に、胃ろうの方が施設選びをする場合、どのような施設を選ぶべきか紹介していきます。
口腔ケアに精通している
胃ろうの方で、口から食べる機会が減ると、口腔内の状態が悪くなりがちです。
口から食べる機会が減ることで、口の中を清潔に保つ重要な役割を持っている唾液の分泌が減るためです。
口の中に細菌が繁殖すると、虫歯や口内炎になったり、口臭の原因になったりします。
肺炎にかかる可能性などもあります。
そのため、口腔ケアによって口腔内を清潔な状態に保つ必要があります。
口腔ケアをしっかり行っている施設を選ぶ基準にしましょう。
入居者の体を清潔に保とうとしている
胃ろうを設置していると、入浴が出来ないイメージがあります。
実際には胃ろうに特別な保護をしなくても、普段通り入浴をすることが出来ます。
入浴後も、胃ろうを入れ替えたり、消毒をしたりすることなく、普段通りのケアで充分です。
むしろ、胃ろうが不潔な状態になると、感染症などの心配もあります。
そのため、身体を清潔な状態に保つ必要があり、入浴や清拭によって体を清潔に保とうとしているかどうかは、必ず確認が必要です。
栄養剤にこだわっている
胃ろうで使われる栄養素には、タンパク質が分解された状態で含まれる「消化態栄養剤」と、分解前のタンパク質がそのまま含まれている「半化態栄養剤」の2種類あります。
この2種類の栄養剤から、胃ろうを設置している方の消化能力などを見て、どの栄養剤を使用するか、医師や看護師と連携をとりながら選択してくれる施設が望ましいです。
また、胃ろうの方にとって栄養剤等の補給は健常者の食事と同じです。
胃ろうのチューブに詰まらないように注意して調理されたものであれば、医師の診断の元、何を入れても大丈夫です。
普通の食事を作るように調理したものや、野菜ジュース、スポーツドリンクなども入れることが出来ます。
こうした胃ろうの方の"食事"にも気を配っている施設であれば、安心することが出来ます。