さいたま市の老人ホームの特徴
さいたま市の老人ホームの特徴と動向は以下の通りです。
さいたま市の地理的特徴と介護施設の特徴
さいたま市は埼玉県の県庁所在地で政令指定都市、都心から30kmの東京のベッドタウンです。人口は令和3年10月1日現在で、1,331,797人となっています。
大都市ということで介護施設は多いですが、入居希望者の数もまた多いので、入居待ちが発生する場合もあります。老人ホームなどの料金については、安い施設から高い施設まで様々です。
また政令指定都市であるさいたま市には、西区・北区・大宮区・見沼区・中央区・桜区・浦和区・南区・緑区・岩槻区という10の行政区がありますが、それぞれによって介護に関する状況は微妙に異なります。
市全体としては、「高齢者福祉事業計画」や「介護保険事業計画」が策定・実施されており、高齢者の方々が暮らしやすい地域づくりが目指されています。
さいたま市の介護施設価格概観
以下では、さいたま市内にあるココファンの介護施設で必要となる入居金・月額費用の平均値・中央値をそれぞれまとめました。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
さいたま市 |
1,571,171円 |
|
276,000円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
さいたま市 |
194,743円 |
194,378円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
上記を見ると、全国平均と比較すると、さいたま市内のココファンの介護施設は、入居金・月額費用ともに高めだということがわかります。
ただし、費用が高くなるとその分サービスの充実度が上がるということもあるので、この点は一概にデメリットだとは言えません。
さいたま市の高齢者人口
出典:さいたま市(令和3年11月)
上記の通り、さいたま市の高齢者人口は年々増加しています。2019年には30万人の大台を突破し、今後はさらに増え続けていくでしょう。
またさいたま市に30万人以上いる高齢者のうち、過半数は75歳以上の後期高齢者の方々です。
なお、2025年には総人口が減り始めるとも推計されているため、将来的には高齢者を支える世代の負担がさらに上がると考えられます。
さいたま市の介護施設の状況
<さいたま市の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(さいたま市) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
355 |
2.75 |
3.25 |
通所型介護施設数 |
338 |
2.62 |
3.43 |
入所型介護施設数 |
159 |
1.23 |
2.17 |
特定施設数 |
128 |
0.99 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
321 |
2.49 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
92 |
0.71 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
1,394 |
10.81 |
12.40 |
出典:日本医師会 さいたま医療圏
上記は令和2年9月時点でのさいたま市内の介護施設数に関する情報です。
ご覧の通り、さいたま市内には1,300以上の介護施設がありますが、その数は決して多いとは言えません。
後期高齢者(75歳以上)1,000人あたりの介護施設数を表すと、全国平均は「12.40」なのに対し、さいたま市は「10.81」になります。入所型介護施設数に絞っても、全国平均「2.17」に対して、さいたま市は「1.23」です。
よってさいたま市は全国平均に比べると、特に75歳以上の方にとっては、やや介護施設が少ない状況だと言えるでしょう。ただし、「特定施設(一部の有料老人ホーム・サ高住・ケアハウス・養護老人ホーム)」の数に関しては、全国平均を上回っています。
さいたま市の要介護認定者数
出典:さいたま市(平成29年10月1日)
平成29年10月1日時点において、さいたま市の要介護・要支援認定者の数は46,853人となっています。
画像を見てもらうとわかるように、要介護認定者数は今後どんどん増加していくと推定されています。
また2025年の推計は、58,174人です。また内閣府によると、65歳以上の人口は2042年まで増加し続けるそうなので、やがては6万人、7万人になっても不思議ではありません。
特別養護老人ホームの不足が課題
高齢化に伴って要介護認定者数が増えていけば、要介護認定者の方を対象にした特別養護老人ホームのニーズが高まっていくと考えられます。
事実、さいたま市内で最も利用が多い施設サービスは「特養」(2017年で次に5,300人程度)です。
特養には費用が安いというメリットもあり、今後はより一層利用者が集中すると考えられます。そのような状況になれば、さいたま市で特養の数が不足するのではないかと懸念されています。
さいたま市の高齢者相談委員会は?
さいたま市には、「福祉サービス苦情調整委員会」という機関があります。これはさいたま市民が、福祉サービスの利用についての苦情や不満を相談できる機関です。
苦情相談員会には、介護や福祉、法律などの学識を持った人たちが所属していて、介護サービスの契約など、専門的な知識を有する場面でアドバイスをもらうことができます。
相談は利用者本人のみならず、配偶者や親族(3親等以内)などでも可能です。介護施設に関することはもちろん、通所のサービスや在宅のサービスに関しても相談することができます。
ただし、相談可能な範囲は、過去1年以内に利用したものに限られており、それ以前に利用した福祉サービスについて苦情を言うことはできません。
なお、相談日時は月・火・木・金の10〜12時と13〜16時、相談場所は福祉サービス苦情相談窓口(電話)と浦和ふれあい館、料金は無料です。
さいたま市独自の介護サービスについて
さいたま市は、「介護予防把握事業」と「介護予防普及啓発事業」という2つの介護予防事業を独自に行っています。介護予防把握事業とは、支援を要する高齢者の名前や状況を確かめるための事業のことです。
一方で介護予防普及啓発事業には、65歳以上の方を対象に市内の施設を使って月数回開かれている「すこやか運動教室」などが含まれます。転倒事故や身体の不調を予防したり、介護に関する知識を広めたりするための事業です。
またこれらの事業に加え、理学療法士や作業療法士から助言を得られる機会となる「地域リハビリテーション活動支援事業」や、ボランティアの人材を育てる「地域介護予防活動支援事業」などもあります。
なお、さいたま市のこうした事業は、基本的に「自主性」と「継続性」を重視して実施されます。高齢者の方々が主体的に続けて参加できる内容にすることで、より良い介護予防につなげていこうというのがさいたま市の狙いです。
さいたま市の地域包括ケアシステム
さいたま市は、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援の5つを一体的に提供できる地域包括ケアシステムの構築を急ピッチで進めています。
その地域包括ケアシステムにおいて、さいたま市がその中核機関として重要視しているのが「シニアサポートセンター」です。これは市内27カ所に設置されています。
シニアサポートセンターでは、じきに介護が必要となるであろう要支援者への介護予防ケアプランの作成や、介護・福祉・医療についての総合相談など、様々なことに対応可能です。高齢者の方の消費者被害対応や高齢者虐待の早期発見などの業務も行います。
多様な事業者による生活支援・介護予防
地域包括ケアシステムの重要な構成要素である「生活支援」と「介護予防」についてですが、さいたま市では多様な事業者がそれらに関するサービスを提供します。民間企業のみならず、ボランティア、NPO法人、社会福祉法人など、色々なところから生活支援・介護予防サービスが提供されるようにさいたま市は尽力しています。
そのため、市内の高齢者の方々や彼らを支える方々は、安否確認や外出支援、配食からコミュニティカフェや交流サロンに至るまで、様々なサービスを利用することが可能です。
在宅介護が安心してできる体制もある
さいたま市内には、35カ所に「在宅介護支援センター」が設置されています。これは在宅介護に関する様々なサービスを提供する施設です。
具体的には在宅介護の当事者を対象にした不安解消のための総合相談や、それぞれに適した保険・福祉サービスの紹介、事業者との連絡調整などのサービスが提供されます。
高齢者生活支援コーディネーターも配置
さいたま市には、生活支援・介護予防サービスの提供を促進させるために、市内全域に「高齢者生活支援コーディネーター(さいたま市地域支え合い推進員)」が配置されています。
高齢者生活支援コーディネーターは、地域における高齢者の方々の状況を把握してサービスのニーズを探ります。さらには地域活動に積極参加して、直接的なサポートを行うことも高齢者生活支援コーディネーターの役割です。
また高齢者生活支援コーディネーターの組織的なサポートを行う「さいたま市高齢者生活支援推進協議会」も運営されています。この協議会は、市内全体での情報共有や資源開発を推進するためにも活用されます。
インスリン注射とは
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
健康な人であれば、体内では常に必要な量のブドウ糖が調整され、血糖値が安定しています。
食事により血中に取り込まれたブドウ糖に対して、膵臓からインスリンが分泌されることで、血糖値が正常な状態に保たれますが、この血糖値のコントロールにインスリンが必要な患者に対して、外部から注射でインスリンを補う治療法がインスリン注射です。
インスリン療法と呼ばれることもあり、注射でインスリンを補うことで、健康な人のインスリン分泌パターンを再現します。
インスリンを注射するペースは個々の状態で異なり、1日1~4回注射が必要になります。
インスリン注射が必要な疾患の種類
インスリン注射が必要になる疾患で代表的なものは糖尿病です。
糖尿病には、下記の2種類あります。
疾患名 |
主な症状 |
1型糖尿病(インスリン依存型) |
インスリンの分泌が絶対的に不足・欠乏 |
2型糖尿病(インスリン非依存型) |
遺伝的素因と生活習慣によりインスリンの効きが悪くなる |
1型糖尿病
1型糖尿病は、子供や若い方に多く見られる糖尿病です。
インスリンを分泌するβ細胞が破壊され、膵臓でインスリンが生成できない状態になり、高血糖状態が続きます。
そのため、インスリン注射によってインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌はありますが、正常な量が分泌されていなかったり、働きが悪かったりして血糖値が下がらない状態になります。
遺伝的な要因の他、生活習慣によって発症することがあり、主に中高年での発症が中心です。
注射によってインスリンを補うこともありますが、生活習慣の改善が治療の中心になります。
糖尿病患者は増加傾向にある
日本で糖尿病にかかっている患者は1990年代後半には、厚生労働省調査によると690万人でしたが、年々増加傾向にあり、2016年の糖尿病人口は糖尿病予備群と呼ばれる人も含めると2,000万人以上になるともいわれ、日本人の5~6人に1人が糖尿病予備群以上の状態と推察されます。
年齢別に見ると、60歳以上の患者が多く、70代以上では糖尿病患者は400万人以上となり、高齢になるほど発症確率が上がる疾患でもあります。
そのため、老人ホームなどの介護施設でも、インスリン注射が必要な方の受け入れが増加傾向にあります。
インスリン注射が必要な方の介護施設選びのポイント
インスリン注射が必要な方でも、介護施設に入居することが出来ます。
入居する場合の施設選びのポイントを紹介します。
血糖値を適切に保とう
糖尿病の方にとって、低血糖状態は命にかかわる事態になります。
患者本人による、運動や生活習慣の改善などで血糖値を適切に保つ努力も重要ですが、施設に入居する場合には、
- インスリン注射をしっかり継続出来ること
- 食事療法が行えたり、適切な摂取が出来ること
- 低血糖による急変時に対応がしっかりしていること
こうした対応で、血糖値を正常に保つための管理をしている施設や、低血糖による緊急時の対応がしっかり出来る施設を入居条件にしましょう。
自己注射できる状態か念入りに確認しよう
インスリン注射は医療行為になるため、接種出来るのは医師か看護師、もしくは本人、病院で指導を受けた家族になります。
介護施設に入居後も本人が継続して自己注射が出来れば問題はないのですが、身体に麻痺が出たり、認知症になったりして、本人による自己注射が出来なくなった場合の介護施設の対応は十分に確認する必要があります。
老人ホームなどの入居施設でも、接種出来るのは医療従事者のみなので、介護職員は摂取することが禁止されています。
そのため、施設に入居する場合は、看護師が常駐しており、インスリン注射の対応が可能なことが絶対条件になります。
また、糖尿病と認知症には、実は深い関わりがあります。
高血糖状態が長く続くと、認知機能が低下しやすくなることが分かっています。
糖尿病の方と、そうではない方を比べると、
- アルツハイマー型認知症には約1.5倍
- 脳血管性認知症には約2.5倍
糖尿病の方のほうが認知症を発症しやすいという報告があります。
また、軽度の認知障害がある場合は、認知症へと発展する可能性があります。
高血糖状態だけが認知症に直結しているわけではなく、実は重症な低血糖状態でも、認知症になるリスクが高くなると言われています。
認知機能の低下によって、糖尿病の治療の必要な内服やインスリン注射、食事の管理などが出来なくなると、糖尿病の悪化にも繋がるため、施設に入居する際は十分な確認が必要になります。
インスリン注射の頻度も施設選びに重要
インスリン注射を行う回数は、患者それぞれで異なり、1日複数回必要な方もいます。
1日の中で接種するタイミングも異なります。
本人による自己注射が出来ない場合には、看護師に接種してもらう必要があるため、自分が接種するタイミングに看護スタッフが勤務していることが入居条件になります。
たとえば、1日2~3回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設や、看護師が常時勤務している施設を選びましょう。
1日4回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設を選ぶようにします。
治療も兼ねてくれる施設を選ぼう
単に糖尿病患者でも受け入れてくれる、という施設ではなく、食事、運動療法にも力を入れている施設を選ぶことが望ましいです。
糖尿病の治療には、インスリン注射や服薬を行っていても、運動療法や食事療法も継続して行うことが大切です。
食事療法のために、糖質の管理やカロリー制限などに対応している施設や、運動も出来る施設を検討しましょう。
また、糖尿病によって起こる、潰瘍や感染、壊疽など糖尿病足病変を予防するフットケアなどを行っている施設も魅力的です。
インスリン注射が出来る介護施設の費用のポイント
インスリン注射に対応可能な、ココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
267,567円 |
194,250円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
162,088円 |
156,578円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
学研ココファンでは、多くの施設で充実の医療体制を整えています。
そのため、インスリン注射に対応できる施設で探した場合でも、費用が高くなることはありません。
インスリン注射が必要な方の入居条件
インスリン注射が必要な方に対して、施設側から入居条件を指定することは特にありません。
ただ、インスリン注射を行う回数によっては、施設側の対応が課題になることもあり、入居が難しくなることもあります。
糖尿病の進行によっては、現在と異なる症状がみられることがあり、著しい高血糖になった場合、口の乾きや多飲・多尿・体重減少・昏睡などの症状が出ることがあります。
また、治療によって低血糖を起こす可能性があることや、糖尿病の三大合併症を引き起こす可能性もあります。
変化する症状に対して、様々な状態を過程した上での施設選びが重要になっていきます。
まずは入居を検討した段階で、症状をしっかりと伝えて相談してみることが大切です。
介護施設に入居する際のリスク
いくら食事、運動療法に力を入れている老人ホームでも、看護師が24時間常駐している老人ホームでも、老人ホームはあくまでも生活をする場所です。
病院とは異なるため、専門的な治療を行うことは出来ません。
そのため介護施設に入居中、もし症状が悪化した場合や、医療ケアが常時必要になった場合、入居する施設では対応しきれずに退去しなくてはならない場合もあります。
入居を継続出来た場合でも、病院ほど専門的なケアが受けられたり、常に医師や看護師がいる病院とは異なるため、生活の場として安らげる老人ホームか、医療面で安心できる病院か、という判断が必要になる可能性があります。
QOLの低下により、老人ホームでの暮らしにくさを感じることもあるかもしれません。
想定出来る様々な状況に応じて、ご本人が納得出来る適切な判断が出来るように、入居する施設の医療スタッフとは、しっかりコミュニケーションをとっておくようにしましょう。