札幌市の老人ホームの特徴
札幌市の地理的特徴と介護施設の特徴
札幌市は北海道の都道府県庁所在地で、政令指定都市です。また人口では北海道全体の3分の1が集まっており、道内の最大都市だと言えます。
南北線や東西線といった地下鉄が通っており、函館本線やバスもあるので、交通手段の充実も申し分ありません。
また札幌市は、北海道の中で最も老人ホームが多い地域(市)です。その数は高齢化に伴い、増加しています。
加えて、介護老人福祉施設に関しても、近隣の市町村に比べて数が多いです。
費用は施設によって様々ですが、道内のほかの市町村に比べるとやや高めだと言えます。しかし、買い物や交通の利便性も高く、ほかの市町村ではなく札幌市を選ぶメリットは十分にあるでしょう。
さらに施設ごとに対象とする利用者の特色は違い、なおかつ施設数が多いため、希望に合うような施設を選べる可能性は高いです。
「暖房費」や空室状況について
北海道は日本一の降雪日数を誇るとても寒い地域です。
そのため、老人ホームでは月額利用料の一部として「暖房費」が請求されるところがあります。ここが北海道及び札幌市の大きな特徴になってくるので注意してください。
また札幌市は高齢者が多く、老人ホームの需要は高いです。よって決して空室は多くなく、入居待ちになる可能性も大いにあります。
なお、市内は交通網が発達しており、各施設へのアクセスは比較的容易です。そのため、インターネットでの情報収集はもちろん、実際に現地に足を運んで話を聞いてみることもおすすめします。
札幌市の介護施設価格概観
札幌内の学研ココファンの施設について、入居金・月額費用の平均をそれぞれ見ていきましょう。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
札幌市 |
144,667円 |
144,667円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
札幌市 |
126,075円 |
126,075円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
札幌のココファンの施設は、入居金・月額費用共に全国平均よりも低く、比較的安価に施設を利用できる地域だと言えるでしょう。
札幌市の高齢者人口
札幌市まちづくり政策局によると、2020年10月1日時点の高齢化率は27.6%です。
同じ時期の札幌市の人口が全体で約197万5千人と言われていますので、大体54万5千人の高齢者がいらっしゃることになります。
札幌市の高齢化率は、2015年時点で25.1%です。ちなみに同時期の日本全国の高齢化率は26.0%でした。
2005年時点での札幌市の高齢化率は17.3%であったため、わずか10年のうちに6ポイントも上昇していることになります。
この数字は今後さらに高まっていくと考えられており、具体的には2025年時点で30.5%、2030年時点で32.7%、2035年時点では35。1%に達すると予測されています。
また札幌市の人口は2015年をピークに徐々に減少していくと見られており、試算では2035年の人口は182万人程度です。
生産者人口の割合は年々減少
高齢者の増加および人口の減少に関連することとしては、15〜64歳までの生産者人口の総人口に対する割合が挙げられます。
当然のごとく、この数字は年々低下しています。2005年時点では70.1%でしたが、2015年時点には63.7%まで下がりました。
今後はさらに、2025年時点で59.6%、2035年で56.3%まで低下すると予測されています。
札幌市特有の高齢化事情
高齢化に関する札幌市特有の現象としては、75歳以上の人口が急速に増加していることが挙げられます。
それを総人口に対する割合で表し、2015年時点の数字を「1」とした場合、2025年時点には1.5、2035年時点には1.7まで上昇すると見込まれています。これは全国的に見ても高いレベルです。
事実、高齢化問題が深刻と言われる東京都で同じ数字を出しても、2025年時点では1.3強、2035年時点では1.4弱ほどにしかなりません。よって札幌市の75歳以上の増加率は顕著だと言えます。
高齢者の一人暮らしの増加も懸念材料
上記の内容に加えて、今後は一人暮らし高齢者の人口が増加することも考えなければなりません。
全世帯に対する高齢者単身世帯の割合を見ると、2015年時点では10.4%です。
この数字が2025年時には13.4%、2035年時には15.8%にまで上昇する可能性があると言われています。
札幌市の介護保険事業者・施設の状況
<介護施設の種類別施設数>
施設の種類 |
施設数 |
訪問型介護施設数 |
995 |
通所型介護施設数 |
799 |
入院型介護施設数 |
752 |
特定施設数 |
80 |
居宅介護支援事業所数 |
484 |
福祉用具事業所数 |
173 |
合計 |
3,284 |
出典:日本医師会
日本医師会によると、75歳以上千人あたりの施設数を比較した場合、全国平均よりも札幌市は数が少なくなっています。
また、施設ごとに同様に比較を行うと、通所型介護施設数、居宅介護支援事業所が特に不足している、という状況です。
一方で、訪問型介護施設数、入所型介護施設数は他地域よりも充実している、という特徴があります。
札幌市の介護サービス利用者数
介護サービスは大きく居宅サービスと施設サービスの二つに分類できますが、札幌市においては居宅サービスの利用者数の増加が顕著です。
具体的には2000年時点では1万4,057人だった居宅サービスの利用者数が、2018年時点では5万1,006人まで増えています。
この人数はさらに増え、2025年には7万5,624人になる見込みです。
また施設サービスの利用者数もじりじりと増えており、2018年時点で1万8,782人であった人数が、2025年時点には2万1,291人に達すると見られています。
なお、要介護認定者のサービス利用率は、全国平均よりも低い数字ですが、徐々に平均に近づいてきています。例えば、2010年度には全国平均89.9%に対し札幌市は83.8%、2013年度は91.9%に対して88.4%でした。
生活支援コーディネーターの配置に市は尽力
札幌市は、民間企業や住民組織、NPOなど、様々な団体と連携しながら、以下のような一般介護予防事業を運営しています。
- 介護予防教室
- 介護予防講座
- すこやか食育
- 健康入浴
- 地域リハビリテーション活動支援事業
また札幌市の介護予防事業には、上記以外に、「要支援」の認定者を対象にした介護予防・生活支援サービス事業もあります。
なお、そうした介護予防事業は多様な行為主体によって担われるため、混乱を避け、高齢者の方が円滑にサービスを受けられるように、札幌市は「生活支援コーディネーター」の配置にも力を入れています。
事業者と高齢者の方の橋渡し役になる生活支援コーディネーターは全国的にはあまり配置が進んでいないと言われているので、札幌市はこの点では先端的な部類にあると言えるでしょう。
札幌市オンブズマン制度の設置
札幌市には条例によって定められた「オンブズマン制度」があります。
オンブズマン制度とは、市の業務や職員の仕事内容などについて、異議申し立てができる制度です。
スウェーデンから世界に広がったこの制度は、1970年代から日本にも導入されはじめ、札幌市でも2001年3月から開始されました。
札幌市のオンブズマンが行う業務は以下の通りです。
- 市民からの苦行申し立ての受理・調査
- 市政の監視
- 調査で判明した市の業務の問題に関する是正措置の勧告
- 市の制度の改善に向けた意見表明
勧告や意見表明の公表
こうした制度があるため、市民は介護予防事業や高齢者福祉政策などについて、正当に市に苦情を言うことができます。
札幌市の地域包括ケアシステム
札幌市の地域包括ケアシステムは、以下の5要素によって構成されています。
この記事に特に関連するのは「住まい」ですが、札幌市は有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、特養、老健などの介護施設を積極的に整備・増設しています。
75歳以上の急増や孤独死といった問題に対処すべく、在宅で生活できなくなった高齢者の方の住み替え先を確保するためです。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
サ高住は安心・快適に暮らせる高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の方に安心して暮らしていただくための住環境、及び安否確認・生活相談などのサービスを備えた住宅です。
一般に「自立・支援タイプ」と「介護・認知症タイプ」の2種類に分かれており、入居者の要介護度に合わせて最適な住宅を選択することができます。
入居一時金0円で初期費用が抑えられる
サービス付き高齢者向け住宅は、多くの場合入居一時金0円で利用することができます。
ほとんどの施設で初期費用は敷金のみですので、他の種類の施設よりも利用を開始しやすいです。
月額費用は賃料・サービス料金・光熱費などが必要となり、外部の介護・医療サービスを利用する量が多くなるほど料金が高くなります。
なお、学研ココファンのサ高住は月額費用も厚生年金額を基準とした価格設定となっているため、他社よりも月々の費用を抑えることが可能です。