ケアマネの転職に失敗しないために!失敗の原因・成功する職場選びのポイントを徹底解説
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「ケアマネの転職で気をつけたほうがいいことは?」
「職場選びのポイントは何どこ?」
ケアマネは介護資格の中では、難易度が高い上位資格に位置づけられています。
頑張って取得しても、転職に失敗すると働き続けることが出来なかったり、やりがいを感じられなくなったりすることもあります。
この記事では、ケアマネの種類や働き方を詳しく解説し、ケアマネの転職に失敗する原因や職場選びのコツを詳しく解説しています。
ケアマネは勤務先で働き方が若干異なる
ケアマネ資格の合格率は減少傾向にある
転職の流れを確認する
ケアマネへのよくある転職理由
この見出しでは、よくあるケアマネへの転職理由を紹介します。
介護支援専門員の資格を取得したから
介護支援専門員は、通称ケアマネ(ケアマネージャーの略)と呼ばれています。
介護支援専門員の資格を新たに取得したことで、本格的にケアマネとして勤務をするために転職することが、最も多い転職理由です。
ケアマネは国家資格ではありませんが、介護業界では難関資格とされており、介護業界の上位資格としても位置付けられています。
合格率は20%ほどで、取得するためには勉強はもちろんですが、介護業界での経験も重要です。
資格を取得したからには、しっかりケマネとして勤務したいという思いが、転職理由として多くなります。
前職の給料が低かったから
仕事量に給料が見合っていない
そもそも給料が低い
というような不満を抱き転職を考える人も多くいます。
ケアマネは他の介護職に比べると給料は高い水準にありますが、勤務先によって必要とされる経験やスキルは異なるため、基本給に違いが出ます。
このように給料に対して不満がある場合には、転職時の求人欄はよく確認して、実際に働いている人の意見を聞いたり、口コミをリサーチしたり、転職サイトなどを活用することがおすすめです。
前職の人間関係が悪かったから
介護業界では、ケアマネに限らず他の職員とのコミュニケーションをしっかりと取って、連携して仕事を進めることが大切です。
そのため、職場の人間関係が悪いと、心身の負担になるだけでなく、仕事の進捗や安全にも関わってくるため、転職を考える理由にもなります。
職場の方針と合わない場合や、上司や同僚との人間関係がうまくいっていないと、ストレスにも繋がるため、転職を決意したときは新たな職場の人間関係をしっかりリサーチする必要があります。
前職の仕事量が多かったから
前職の仕事量が多く、転職を決意する人もいます。
ケアマネの仕事は、勤務先によっても担当する利用者の人数が変わっていきます。
そのため、任される仕事量は転職先の職場と、自分のスキル次第で異なります。
ミスマッチにも繋がりかねないので、仕事量に不満があって転職する場合には、受け持つ利用者の人数をしっかり把握することが大切です。
ケアマネ資格を活かして独立を視野に入れるため
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得すると、他の介護職以上に独立の可能性が高まります。そのため、独立の前段階の経験ができるような職場への転職をする方や、独立の準備のために副業OKの職場へ転職する方もいます。
介護支援専門員の資格を取得した方は、独立も視野に入れてみるといいかもしれません。
ケアマネ転職でノイローゼに?ケアマネに向かない人の特徴
介護業界でのキャリアアップに人気のケアマネですが、転職に失敗するとノイローゼの症状が出てしまう人もいます。
この見出しでは、ケアマネ転職に失敗しやすい人の特徴や、ケアマネに向かない人の特徴を解説します。
給料を重視
給料は働く条件として大切な部分です。
しかし、給料の高さだけに惹かれて応募してしまうと、公開することも多くあります。
たとえば、給料が高い裏側には厳しい営業ノルマがあったり、ケアマネ以外の業務が多く任されて負担になったりする、というようなことがあるかもしれません。
介護報酬は上限が決まっているため、明らかに他の施設に比べて給料が高い場合には、何か事情があるのかもしれない、と考えるようにするといいです。
情報収集が疎か
介護業界の中でも、給料は高い水準にあるケアマネをキャリアアップの目標として考えている人も多いでしょう。
しかし、実際のケアマネの働き方では、夜勤が多い介護職と比べると、ケアマネは夜勤をすることは基本的にないため、給料が下がるケースもあります。
収入面やキャリアアップの目標としてだけ見るのではなく、勤務条件や平均収入、施設の特徴など、幅広い角度からしっかりと調べることが大切です。
自己分析不足
転職を志す際には、必ず自己分析を事前に行っておきましょう。
転職は自分を売り込んでいくことになるので、過去の自分の経験をしっかりと見直し、自分の得意分野や不得意なところ、それをどうカバーしてきたのか、といった点を整理しておく必要があります。
自分の価値観をしっかり洗いだして、自分がどんな仕事に適正を持っているのか、これまでのキャリアの棚卸をしながら、じっくり自己分析をすることが重要です。
この自己分析が不十分だと、転職先でも仕事にやりがいを感じられなかったり、仕事のミスマッチに繋がり、すぐに辞めたくなる可能性もあります。
また、勤務先には必ず経営理念や介護方針があります。
こうした施設の方向性と自分の価値観が合わないと、不満を感じながら勤務を続けることにもなります。
自分に合った施設形態を把握していない
ケアマネの働き方は、様々なものがあります。
たとえば、介護施設で勤務したり、利用者の自宅に訪問したりすることもあります。
それぞれの働き方によって、勤務時間帯や業務内容にも違いがあります。
自分が希望している働き方はどのようなものか、まずははっきりと把握して、希望に近い働き方が出来るのか、しっかり情報収集をして転職活動を行うのがおすすめです。
ケアマネ転職に失敗したと感じたら
この見出しでは、実際にケアマネの転職に失敗してしまったと感じたおときに、どのような行動をしていけばいいのかを、具体的な案として紹介していきます。
再び介護職員として働く
介護職員からケアマネにキャリアアップの一環として転職をした場合には、もう1度介護職員として働くチャンスがあります。
キャリアアップとして考えていた場合には、介護職に戻ることは不満があるかもしれません。
しかし、ケアマネとして勤務をして得た経験や知識は、介護職員として働くことでも、十分役に立てることが出来ます。
他の職員とは知識の量が異なるため、差別化にも繋がります。
介護職員に戻ることは、ステップダウンではなく、ケアマネとしての知識やスキルを武器にして、以前よりもレベルアップした働き方が出来ると、プラスに思える日が来るはずです。
職場異動を申告する
ケアマネの仕事自体には不満がなく、職場の人間関係の悪さなどから転職に失敗したと感じている場合には、施設内で部署異動をしたり、系列施設への異動などで悩みが解決出来る場合があります。
周りを取り巻く環境を変えて、別の部署で働くことが出来るなら、ケアマネの仕事を有意義に続けることが可能です。
まずは1度職場の上司などに相談をしてみて、部署を異動したり、系列の施設が他にあるなら、他に異動することが出来ないか相談してみることがおすすめです。
すぐにケアマネを辞めてしまうのではなく、まずは職場内で出来ることから探して実践してみるとこが大切です。
ケアマネとして働ける別の職場を探す
現在の職場の経営方針や、介護理念に合わなかったり、人間関係が悪かったり、給料に不満があるといった、職場そのものに不満がある場合は、転職をして所属する施設を変えるのも有効です。
このような場合には、職場選びは慎重に行うことが大切です。
今の職場のどんなところが不満なのか、どういう働き方をしたいのか、次の職場に求めることは何か、というのをしっかりと把握して、慎重に転職先を見つけるのがおすすめです。
求人情報で判断できることもありますが、人間関係や内部事情はなかなか分からないことでもあります。
施設見学をしてみたり、実際に働いている人の話を聴いたり、転職サイトなどを活用して、見極めることが大切です。
ケアマネ転職を成功させるポイント
この見出しでは、ケアマネの転職を成功させるポイントを解説していきます。
求人情報の収集をしっかりとする
給料が高いというのを理由に転職を決める人もいます。
しかし、給料が高いと求人情報から判断するのは一般的なことであり、勤務する施設によっては前職の職場よりも給料が低くなるケースもあります。
働き方も、居宅ケアマネとして働きたいのか、施設ケアマネとして働きたいのかによっても、仕事内容や給料は大幅に異なります。
ネットに掲載されている求人情報だけでは判断できない場合には、施設見学をしてみるのもおすすめです。
気になった求人があれば、徹底的に情報収集をすることで、やりがいのある働きやすい職場が見つかるでしょう。
希望条件を明確にする
どのようにして働きたいのか、自分の希望をしっかり把握しておくと、転職がスムーズにいくことが多いです。
具体的には、
給料(最低貰いたい範囲を明確に)
通勤時間や通勤手段
勤務時間
福利厚生
有給日数
介護職との業務の掛け持ち有無
夜勤の有無
こういった点を中心に、希望条件を明確にしておくようにしましょう。
また、ある程度妥協しなくてはならない場合もあります。
希望する条件の中から、優先順位を決めておくことで、スムーズな転職に繋がり、転職後のミスマッチを減らすことが出来ます。
自己分析をもとに自分の強みを把握する
ケアマネの資格取得は誰でも出来るものではなく、合格率は20%前後と取得が難しい資格です。
ケアマネとして採用される場合に、自己分析をしておくことは重要で、なぜここで働きたいのか、ケアマネとしてどういう未来を想定しているのか、という理由を明確にしておかないと、せっかく難関資格をクリアをしてケアマネになっても、不採用になる可能性もあります。
採用面接を受ける際には、なぜケアマネの資格を取ろうと思ったのか、原点に返って考えなおすとともに、自己分析をしっかりと行い、自分の強みやケアマネとして生かせるポイントを把握しておくことが必要です。
最適な退職のタイミングやケアマネ転職成功の手順
この見出しでは、退職してからケアマネとして新しい職場で勤務をするまでの流れを解説します。
退職したい旨を上司に伝える
退職したい旨を伝えるのは、退職を希望する日の1~3ヵ月前には、退職の意向を伝えるようにしましょう。
退職を申告するタイミングは、それぞれの職場の就業規則に記載があるため、よく確認をしてから申告をします。
一般的に1~2ヵ月前と記載がある場合が多いですが、引継ぎ等の状況も考慮しておくのがいいでしょう。
退職の意向を上司に伝える場合には、唐突に退職したい旨を切り出すのではなく、「今後についてお話がしたいので、お時間をいただけますか?」と事前に伝えて、アポを取るようにしましょう。
アポを取るのは、メールでも失礼には当たりません。
ここで重要なポイントは、退職したい理由に対して、職場の不満などお述べることは極力避けて、あくまでも退職は個人の事情としておくのがおすすめです。
引き止められる可能性もありますが、退職を決意したらしっかりと自分の意思を最後まで伝えるようにしましょう。
具体的な退職日を決定させる
上司に退職の意向を伝えたら、具体的に退職する日を決定します。
上司に伝えている時点で、ある程度の退職する時期を決めておくことがベストです。
具体的な日取りについては、後任の選出状況や、後任への引継ぎの準備や実施なども踏まえて決定するのがおすすめです。
引継ぎについては、次の項目で詳しく紹介します。
また、退職前に消化する有給休暇の取得などがあれば、上司と相談して決定しましょう。
職場によっては、退職届の提出などが必要になることもあります。
退職届も決められた書式が職場にある場合もあるため、退職にあたってのルールを確認しておきましょう。
業務を引き継ぐ
退職の具体的な日取りが決定したら、自分の業務は通常通りこなしながら、自分の後任になる職員に仕事の引継ぎを行います。
最低でも1ヵ月前から引継ぎをスタートするといいですが、後任が決まった段階から、資料の整理や名刺の整理、必要なPCデータなどがあれば、しっかりフォルダ分けをするなど、準備を進めておきます。
スムーズな引継ぎを行うためにも、まずは具体的な業務内容を書き出して、それぞれの業務を項目ごとに説明出来るよう、引継ぎ資料を作成するのもおすすめです。
引継ぎが終了したことは、上司にも丁寧に説明しておきましょう。
退職の際に関わる書類
退職する場合には、職場から受け取る書類と、職場に返却するものがあります。
それぞれをしっかり確認し、スムーズに退職が進むように把握しておくことが大切です。
【職場から受け取るもの】
雇用保険被保険者証
雇用保険の申請や、転職先で必要になります。受け取り漏れがないか確認が必須です。
源泉徴収票
最終勤務月の給料の支払いが済んだあとに、職場から郵送される場合もあります。受け取り忘れがないか確認しましょう。
離職票
年金手帳
【職場に返却するもの】
社員証
健康保険被保険者証
通勤定期
名刺
会社から借りている備品類
ケアマネのベストな転職時期は?
退職を伝える最適なタイミングについては上記の通りですが、ケアマネの転職のベストな時期は具体的にいつなのでしょうか。
周りに迷惑をかけない時期
転職の際は、働いてきた職場になるべく迷惑をかけないで退職できる時期を見つけることが重要です。例えば新入社員が入社する4〜5月や人事の見直しの時期に転職すると、職場にとって大きなダメージとなってしまう可能性があります。
職場の転換期を避けて退職し、働いていた職場の負担をなるべく避けることが、円満かつスムーズな転職につながります。
繁忙期は不向き
自分の仕事が忙しい時期に転職することはおすすめできません。自分の仕事をやりながら転職活動もすることはただでさえ大変ですが、繁忙期であれば両立は不可能に近いと言えます。
余裕を持って転職活動に専念できなければ、最適な転職先も見つけられず、後悔してしまうかもしれません。繁忙期がいつになるかをしっかりと把握して、余裕のある時期に転職活動に尽力しましょう。
求人が多くなる時期
ケアマネの求人数は時期によって変動し、求人が多い時期を知ることが重要です。介護業界は新年度に合わせて多くの企業が新戦力を求めるため、2〜3月に転職市場が活発に動くと考えられます。求人数が多ければ自分に合った職場が見つけやすく、採用もされやすいためおすすめです。
ケアマネの働き方
この見出しでは、ケアマネの働き方を詳しく解説します。
ケアマネの種類
一口にケアマネといっても、所属する勤務先で仕事内容が若干異なります。
まずはケアマネの種類を確認していきましょう。
居宅ケアマネ
居宅ケアマネは訪問介護事務所に所属するケアマネです。
自宅で自立した生活を目指す利用者の支援がメインになります。
実際に担当する利用者の自宅を訪問したり、介護施設の担当者との打ち合わせを実施し、自宅で暮らす利用者をサポートします。
1人での単独行動をすることが多いのが特徴になり、自分でスケジュール管理をするため、仕事量を調整しやすいのが特徴です。
担当範囲も自分の裁量で決められるため、行動範囲が広くなるのも特徴です。
施設ケアマネ
特別養護老人ホームなどの介護施設で勤務するケアマネを、施設ケアマネと言います。
主に担当するのは、所属する施設を利用している方に対してケアプランを作成するのが主な仕事です。
施設内での勤務になるため、施設ケアマネの勤務は施設のスケジュールに合わせて勤務することになります。
施設ケアマネのメリットは、実際にケアプランを作成する入居者の状態を近くで見ながら状態に合わせたケアプランが作成出来ることです。
施設内の入居者を担当するため、居宅ケアマネよりも受け持つ件数は多くなる傾向にあります。
住宅系入居施設で働く
住宅系入居施設とは、サービス付き高齢者住宅や、有料老人ホーム、グループホームといった施設を指します。
このような施設でもケアマネを配置している場合があります。
基本的には施設ケアマネと同じような仕事内容になり、担当するのはその施設の入居者になります。
入居者のケアプランを作成する他にも、利用者家族の対応などの相談業務や、他の介護職員の補助に就くこともあります。
ケアマネとしての仕事の他にも、こうした業務を行う場合があるため、仕事量は施設によって多くなる場合もあります。
介護業界の別業種で働く
ケアマネの資格は、ケアマネージャーとして勤務する以外にも活用することが出来ます。
代表的な職種には「認定調査員」があります。
認定調査員は、介護を必要とする人に対して、区分申請や新規申請を出す場合の、要介護認定において、1次判定に必要な情報の調査を行うことが出来る職員です。
仕事内容
ケアマネの仕事内容は、大きく分けて以下の3つがあります。
要介護認定者のサポート
要介護認定は、介護の給付を受ける指標となるもので、介護の必要具合に応じて要支援1~2、要介護1~5の7段階に分かれています。
要介護支援の認定診断を受けるために、要介護者とその家族のサポートを中心に行うのも、ケアマネの仕事の1つになります。
介護支援サービスの計画
上記の見出しで紹介した要介護認定が下りると、それぞれのレベルに応じて、要介護者が自立した生活を送れるように、適切な介護サービスを利用することが出来ます。
どのようなサービスを受けるのか、要介護者の状態に応じてケアプランを制作するのは、ケアマネの職務の代表的なものです。
ケアマネ一人で決定するのではなく、要介護者に関わる関係機関と連携しながら、サービス担当者会議などを開催し、各専門家の意見を反映してプランを作成します。
介護保険の給付管理
介護保健制度において定められた支給限度額や、介護負担額の確認を行うのも、ケアマネの仕事です。
ケアプランを作成したら終わりではなく、利用している介護サービスが適しているかを判断し、必要なら途中でケアプランを修正していく対応力や、臨機応変に対応します。
介護福祉士との違い
介護福祉士とケアマネの違いを説明すます。
仕事内容や役割の違い
介護福祉士の主な業務は、食事や入浴、排せつ、外出の補助など、利用者の生活に関わる介護全般を扱います。
ケアマネは介護保険制度に応じて、利用者が適切な介護サービスを受けられるよう、ケアプランを作成するのが主な仕事となります。
介護福祉士は利用者に対して直接サービスを提供するのに対して、ケアマネは利用者と実際にサービスを提供する介護福祉士や介護サービスに繋げる役割をしています。
必要資格の違い
介護福祉士は介護職唯一の国家資格です。
3年以上の実務経験
実務者研修を修了していること
というのが条件になります。合格率は60~70%ほどになります。
ケアマネは
法的資格を有している
5年以上の実務経験
これらが受験の条件になります。
介護福祉士に比べると合格率は非常に低く、2023年度の合格率は21.0%でした。取得するためには勉強はもちろんですが、介護業界での経験も重要になります。
ケアマネは介護福祉士からのキャリアアップとしても位置付けられている上位資格です。
介護福祉士として実務経験を積み、ステップアップの一環として資格取得を目指す人もいます。
介護の現場では、ケアマネと介護福祉士は上司と部下の関係になることも多いです。
出典:第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
給料
ケアマネの給料は、令和4年に厚生労働省が行った介護従事者処遇状況等調査結果によると、平均月給は常勤で約36万円でした。
一方で介護職員の平均月給は31万8,230円です。
ケアマネは介護業界の中でも難易度が高い資格でもあるため、一般的な介護職と比較すると、給料が高い水準にあります。
また、ケアマネは介護の知識と併せて医療に関する知識も必要になります。
求められる知識やスキルが多い分、経験年数に応じて給料は高くなる傾向にあります。
ケアマネ未経験者が転職する際の注意点
介護業界は、全体的に人手不足が深刻な業界です。
そのため、即戦力として転職後すぐに多くの仕事を任されることもあります。
これは介護職全般にいえることで、ケアマネも即戦力としての勤務が求められる場合が多いですが、未経験の場合には丁寧に業務を教えてもらいたいと思う人が多いでしょう。
ケアマネ未経験から転職する場合は、個人経営の小規模な施設よりも、多くのケアマネが在籍している施設のほうが、教育体制が整っている場合が多くおすすめです。
職場を探す際には、教育制度がどの程度充実しているかもしっかり確認をして判断することが重要です。
ケアマネの資格取得方法
ケアマネの資格取得方法について詳しく解説します。
ケアマネージャーの資格とは
ケアマネ資格は、正式名称を「介護支援専門員実務者研修受講試験」と言います。
難易度の高い資格になり、介護業界では優遇される資格ですが、国家資格ではなく民間資格・公的資格に分類されます。
ケアマネージャーとして転職するためには、資格の取得が必須になります。
試験は年に1度開催され、例年秋頃に実施されます。(2023年度は10月8日実施済)
願書提出は5月~6月頃に行われます。
出題内容は、
介護支援分野 25問
医療保険福祉分野 35問
上記の合計60問がマークシート形式で出題され、試験時間120分間で回答します。
試験は全国同一日程で、都道府県単位で実施されますが、受験運営団体が都道府県で異なるため、受験料には地域差があります。
6,000円~9,000円で地域ごとに異なるため、リサーチが必要です。
受験資格
介護支援専門員実務者研修受験試験は、誰でも受験できるものではなく、受験条件が設定されています。
2017年までは法定資格を所持していなくても、介護業界での実務経験が10年以上あれば誰でも受験することが出来ました。
しかし、2018年度に受験資格を制限されるようになり、受験資格が以前より厳しくなっています。
現在の受験資格は、医師や看護師ななどの法定資格を所持している人、もしくは生活相談員や生活支援専門員といった相談援助義務を所持し、専門的な業務についていることを前提に、介護業界での実務5年以上の人のみ受験が可能とされています。
実務経験が必要になるため、介護士などとして勤務しながら受験を目指す人も多くいる資格です。
合格率・難易度
ケアマネ試験の合格率は、平均20%前後となっており、比較的難しい資格であることがわかります。
過去の合格率の推移を示した下の図を見てもわかるように、ケアマネ試験の合格率は平均20%前後であるものの、年度によって差があります。
過去5年のデータを見てみると、令和3年度のケアマネ試験は平均よりも高い傾向にあり、合格率は23.3%でした。
しかし、平成30年度は10.1%と平均より低い値が出ています。
この結果から分かる通り、ケアマネ試験の難易度は受験年度によって若干の変化があることを理解しておくといいです。
出典:厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等」
また、ケアマネ試験は第1回目から年々合格率が下降傾向にあります。
この背景には、厚生労働省が発表している「介護支援専門員実務研修ガイドライン」において、ケアマネの専門性を高めていく必要があるという記載があることが挙げられます。
年々専門的な知識まで掘り下げて出題される傾向にあり、専門知識を求められるようになった結果からと言えるでしょう。
受験する際の注意点
ケアマネ試験は、2018年度に大きな転換期を迎えました。
これまで介護職員として勤務している人が10年間の実務経験を得た上で受験出来る、といった受験基準から、法的資格を所持している人や専門知識を持ち従事している相談員などが、実務経験を5年以上得て受験出来るとする、といったように受験資格の変更がありました。
ケアマネ試験は平成10年に1回目が開催され、2024年度に27回目を迎える、比較的新しい資格でもあります。
そのため、今後もケアマネ試験の受験に関する情報が大幅に変更される可能性も考えられます。
ケアマネ試験は各都道府県で運営団体が異なるため、受験地域の運営団体の情報をしっかりチェックすることが重要です。
ケアマネとして転職するときの流れ
この見出しでは、転職の流れを詳しく解説していきます。
大まかな流れ
転職の大まかな流れを確認していきましょう。
1:転職の準備
まずは転職するにあたっての準備を進めます。
転職するにあたって、希望条件を整理して優先順位を決めます。
職場には退職の意向を伝えて、退職時期に合わせて書類を準備したり、履歴書を用意したりしましょう。
転職の準備のポイントは以下を参考にしてみてください。
履歴書を用意する
希望条件の整理
退職の意向を伝える
資格証明書のコピー
2:転職先への応募
退職へ向けての準備を進めたら、求人情報をチェックして情報収集を行います。
この段階は退職の準備と同時に進めることも出来ますが、希望する業界や希望する働き方など、明確にした上で進めるのが大切です。
気になる求人があれば、応募して面接などの日程調整を行います。
転職先を探す段階では、以下のポイントを確認しましょう。
志望動機の整理
転職先の情報収集
必要書類の整理、作成
面接日などの日程調整
3:面接
希望する求人に応募したら、面接が行われます。
面接のポイントは、
身だしなみを整える
基本はスーツで向かいます。平服と指示があった場合でも、ラフな格好は控えて、ジャケットを羽織るか襟付きのシャツを着用し、色味は落ち着いたものを着用します。
自己アピールをしっかりと
経歴や自分の特徴をしっかり棚卸し、こんな状況でどのように対応出来るのか、具体例と合わせて伝えられるように準備を進めます。
不明点をしっかり確認する
求人情報などを見ても分からなかった不明点や、働き方の希望などは、面接時にしっかり伝えるようにして、分からないところは確認をしましょう。入職後のミスマッチにも繋がるため、確認を取ることは重要です。
就職
採用が決定すると、決められた日取りで採用通知が届きます。
メールや電話などで採用の連絡がある場合もあります。
採用決定後は、労働契約を交わします。
ほとんどの企業で、出社日より前に来所して契約を交わすことになります。
この時点で、働き方に疑問があれば必ず確認をしておきましょう。
特に、勤務時の服装や特別な持ち物はないか、提出物で用意するべきものなど、必ず確認を取りスムーズに入職出来るように準備を進めます。
ケアマネージャーとして働ける職場とは?
実際に応募先を決める前に、ケアマネが働ける職場にはどのようなものがあるのか、今一度確認をしましょう。
以下はケアマネが勤務する職場の代表的なものです。
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
居宅介護支援
小規模多機能型居宅介護
介護医療院
グループホーム
地域包括支援センター
それぞれの勤務先で、ケアマネが担当する要介護者が異なります。
どのような働き方がしたいのかも併せて検討するのがおすすめです。
退職を告げるタイミング
在職中に転職活動を行うことは問題ありません。
在職中に転職活動を行うことにもメリットが多くあります。
しかし、転職活動を行っている最中は、採用面接で
現職の退職日
実際に勤務開始可能になる日
などは必ず聞かれることです。
勤務可能になるタイミングは、転職先の採用にも関わることであり、曖昧に答えることでトラブルになる可能性もあります。
そのため、正確に答えられるように前もって決めておくようにします。
退職を伝えるのは、就業規則で決められているため、退職希望日の何日前に申告をすべきか、しっかり確認をしておきましょう。
採用面接の際の注意点
採用面接で気を付けるべきポイントをまとめました。
自分の長所をしっかり伝える
言葉遣いに気を配るのは社会人のマナー
前職を辞めた理由はポジティブに言い換える
面接の態度
ケアマネとして働く意欲があるかどうかは、採用側もまず見極めたいポイントになります。
そして社会人として、面接の態度は適切か、言葉遣いが丁寧かは最初に判断されてしまうポイントでもあります。
前職を退職した理由は必ず聞かれる質問でもあり、明確に答えることが重要です。
しかし、「仕事が辛かった」「人間関係に悩んでいた」といった理由でも、そのまま伝えてしまうと、またすぐに辞めてしまうのではないかと思われてしまい、デメリットになるため、ポジティブな理由に良い変えて伝えられるようにしましょう。
こちらの記事でも面接への対策について解説しています。
ケアマネが転職先の求人をうまく見つけるには?
転職先の求人を見つける手段は、
フリーペーパーや新聞
ハローワーク
転職サイトを活用
応募先のホームページ
などが代表的です。
それぞれ、メリットやデメリットがありますが、転職先で失敗したくない人は転職サイトの活用がおすすめです。
転職サイトのサービスも様々ですが、基本的には担当のエージェントが1人1人につき、希望にあった求人を見つけてくれたり、応募書類の添削や面接練習を実施してもらえます。
転職に失敗したくない方は、利用がおすすめのサービスです。
以下でおすすめの転職サイトを紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
マイナビ介護職
画像出典:マイナビ介護職公式サイト
認知度が非常に高い介護職エージェント
20万件以上の求人
都市部の求人も豊富
マイナビ介護職は、専任のアドバイザーがケアマネも含む介護の転職相談やサポートを担当してくれる介護職の転職エージェントです。
介護支援専門員の資格を取得したものの、これからどのように転職活動を進めれば良いか迷っている方に大変おすすめです。
大手の企業が運営していることもあり、求人数も多く信頼度も高いので、自分にあった求人もきっと見つかるでしょう。
レバウェル介護(旧きらケア)
画像出典:レバウェル介護公式サイト
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レバウェル介護は、Google口コミの評価が最も高い信頼のおける介護職向けの転職サイトです。
正社員だけでなくパートや派遣といった求人も探すことができるほか、「夜勤なし」のような条件を指定した求人探しも可能です。
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カイゴジョブ
※画像出典:カイゴジョブ公式サイト
専任キャリアパートナーが転職をサポート
職場環境・福利厚生も考慮可能
全国の求人を掲載
二つ目の転職サイトは「カイゴジョブ」です。カイゴジョブエージェントは、介護職や介護福祉士専門の求人を扱っている転職サービスとなっています。
なお、カイゴジョブが提供しているサービスには、サイト型のカイゴジョブとエージェント型のカイゴジョブエージェントが存在しますが、今回はカイゴジョブエージェントについて紹介していきます。
カイゴジョブエージェントでは、専属の担当者がつきます。これにより、利用者と職場の相性を考慮した上での転職サポートを受けられます。また、求人情報を見るだけでは分からないような情報を得ることもできます。
介護職には人間関係の悩みが多いと言われることが多いですが、カイゴジョブエージェントは転職後の人間関係に悩みたくない、順調なキャリア形成をしたいという方におすすめの転職サイトと言えるでしょう。
ケアマネージャーの転職についてまとめ
ケアマネに向かない性格を理解しておくことで、よりよい転職先が見つかる
転職を成功させるために情報収集や自己分析が重要
ケアマネの種類や働き方を理解しておく
ケアマネは勤務する施設の形態で担当する要介護者が異なるため、どのように利用者と接していきたいかで働く先を選ぶのがポイントです。
転職の流れをしっかり押さえて、スムーズな転職をすることも成功のコツです。
この記事の内容を確認して、ケアマネの転職が成功するように、もう1度働き方や転職の流れを確認していきましょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)