主任ケアマネージャーとは?要件や求められること・メリットについても解説
更新日時 2024/01/04
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「主任ケアマネって何?」
「主任ケアマネージャーの要件や求められることは?」
こういった疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?
現代の日本では、介護職の中でもケアプランを作成するケアマネはなくてはならない存在です。
なかでも、主任ケアマネージャーは、ケアマネ(介護支援専門員)をまとめる重要な資格となっています。
そこで、この記事では主任ケアマネージャーについて詳しく解説していきます。
- 主任介護支援専門員の資格が必要
- その他の介護職よりも給料が高いことが多い
- コミュニケーション能力やマネジメント能力が必要
主任ケアマネージャーとは何?
主任ケアマネ(主任ケアマネージャー)は、ケアマネージャー(介護支援専門員)のまとめ役のような存在となる専門職です。
主任介護支援専門員の資格を取得しないと、主任ケアマネージャーになることはできません。
主任ケアマネージャーは、2006年の介護保険法改正とともに、生まれた比較的新しい資格なので、あまり深く知らない方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、主任ケアマネがどういう仕事を行っているのか、主任ケアマネの役割も紹介します。
主任ケアマネの仕事
介護支援専門員(ケアマネージャー)のまとめ役である、主任ケアマネージャーの仕事は、新人のケアマネージャーの育成を行ったり、ケアマネージャーのケアプラン作成の手伝いを行うことです。
ケアプランの作成で、支援を必要とする高齢者に対して、介護保険サービスやその他のサービスを組み合わせたプランを作り、質の良い暮らしをサポートしているのです。
主任ケアマネの役割
主任ケアマネジャーの役割は、ケアマネジャーとして働くことだけでなく、地域の包括的なケアを行うための活動や交流を指揮することです。
そのためにはスキルアップを目的とした、地域のケアマネージャーの交流会や事前の検討が求められることがあります。
また、ケアマネジャーへの助言や指導、より質の高いケアを提供できるよう、介護に関するサービスや福祉、医療介護保険などのネットワークを向上させる役割もあります。
主任ケアマネの給料は?
令和4年度の介護従事者処遇状況等調査結果では、=ケアマネジャーの平均給与は約26万円、年間賞与その他特別給与が約62万円で、他の介護職員よりも給料が良くなっています。
これは介護職員処遇改善で加算されたことが理由の一つです。
ケアマネージャーをまとめる役割があり、求められることが多い主任ケアマネージャーは、一般的なケアマネージャーよりも年収が高いことが多くなっています。
就職する職場の給与体系によって多少変化しますが、資格手当が支給されるケース、主任ケアマネジャー用の基本給が設定されるケースなど、給料アップに繋がることがあります。
主任ケアマネとケアマネとの違いは?
ケアマネージャーの主な仕事は要介護認定調査とケアプランの作成の2つです。
ケアマネージャーは、要介護認定調査では、利用者が日常生活でどの程度の介護が必要か決めます。
その後、居宅介護支援事業所や施設で利用者やそのご家族と面談をしてケアプランを作成し、介護の目標を決め、達成できるように計画を立てます。
ケアマネージャーは、主任ケアマネージャーと求められていることは違いますが、介護職として同じ職場で働けます。
無資格からケアマネジャーを目指す場合は、介護福祉士国家資格取得に最短3年かかります。
その後、介護福祉士として登録して5年の実務経験があればケアマネージャーになる試験を受験できるので、ケアマネになるのに最低8年かかるので、その点は注意が必要です。
ケアマネージャーに関しての詳細な情報は、以下の記事で紹介しています。
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは?選び方や仕事内容・ケアマネになる方法まで解説
【2024年版】介護職向けのおすすめ転職サイト20選|求人数・評判を基に徹底比較
主任ケアマネージャーの要件は?
主任ケアマネージャーになるには、主任介護支援専門員研修を修了し、資格を取得する必要があります。
特別な資格試験はありませんが、一定の実務経験が必要となっており、主任介護支援専門員研修の受講の要件は、自治体によって異なります。
主任介護支援専門員研修の受講要件
主任介護支援専門員研修は、下記の4つの条件のいずれかを満たさなければいけません。
- 専任ケアマネージャーとして通算60ヶ月以上の実務経験がある
- ケアマネジメントリーダー養成研修を修了したのち、専任ケアマネージャーとして36ヶ月以上の実務経験がある
- 地域包括センターで主任ケアマネージャーに準する者として配置されている
- ケアマネジャー業務に関して、知識と経験を十分に持っていて、都道府県によって認められた人
ただし、受講要件は都道府県で異なってくるので、事前に確認しておくことが大切です。
主任介護支援専門員研修の受講費用
主任介護支援専門員研修の受講費用の平均は50,000円となっていますが、都道府県によって差があります。
例えば、令和4年度の受講費用は東京都で52,800円、大阪府で60,000円、愛知県で61,000円、福岡県で40,000円、北海道で55,500円です。
要件と同様に都道府県によって大きな幅があるので、受講する前にあらかじめ費用を確認しておきましょう。
主任介護支援専門員研修の内容
主任介護支援専門員研修の内容は、介護保険サービスを含めた関連サービスの提供者とのコーディネート、適切なアドバイスや指導です。
また、地域包括ケアシステム構築のための、地域づくりも含まれています。
概要は下記を参考にしてください。
- 主任介護支援専門員の役割と視点
- ケアマネジメントの実践における倫理的な課題に対する支援
- ターミナルケア
- 人材育成と主任ケアマネージャーの行う業務管理
- 運営管理やリスクマネジメント
- 講習・演習・地域援助技術
- ケアマネジメントに必要な医療との連携
- 多職種協働の実現
- 対人援助者の監督指導
- 介護支援専門員への指導、支援
主任介護支援専門員研修は平均で12日間、おおよそ70時間の研修で、演習と講習に分かれています。
更新研修が必要な点は注意
主任ケアマネージャーの資格は2016年に更新制で導入されました。
資格の有効期間は、主任介護支援専門員研修または、主任介護支援専門員研修の修了証明書に記載されている日付から5年間です。
有効期間内に更新しなければ資格が失効してしまう可能性があるので、忘れずに更新研修を受講しましょう。
失効してしまうと、主任ケアマネージャーに再びなるためには、主任介護支援専門員研修を受講し直さなければいけません。
主任ケアマネージャーの資格取得についてもっと知りたい方はこちらの記事も参考にしてください
主任ケアマネージャーに求められることは?
主任ケアマネージャーは、ケアマネージャーとしての基本的なコミュニケーションやスキルはもちろん、他のケアマネジャーに対するアドバイスやフォローアップを行う必要があります。
まずは、主任ケアマネジャーとして活躍するために、専門職のスキルだけでなく、社会人としての基礎力もしっかりと身に着けておきたいところです。
また、主任ケアマネージャーに求められているスキルは下記のように、大きくわけて4つあります。
ケアマネとしての十分な経験値
主任ケアマネージャーは、利用者のニーズに対して最適なケアプランを作成するためのアドバイスを的確にする必要があります。
そのため、ケアマネージャーとして、基本的なスキルや経験が必須です。自らの経験が新人ケアマネージャーの育成や指導に役立ちます。
また、豊富な経験を持っていると相談にのりやすく、ケアマネージャーとして困ったことや工夫してきたことをアドバイスしやすいでしょう。
高いレベルのコミュニケーション能力
主任ケアマネージャーは、利用者だけでなく他のケアマネージャー、各種機関、ご家族とスムーズに連携する必要があります。
利用者やそのご家族との連絡調整も行うため、小まめな報連相が重要です。
お互いの信頼関係を築くためには、高いレベルのコミュニケーション能力が必要で、円滑なコミュニケーションが重要になってきます。
高いマネジメント能力
主任ケアマネージャーは、地域の医療機関や各種行政機関とも連携する必要があります。
そのため業務の円滑化を図る必要があり、ケアマネージャーをまとめたりと、高いマネジメント能力が求められています。
主任ケアマネとしての統括力や判断力、指導力がなければ業務は円滑に進まず、滞ってしまう可能性があります。
施設で提供する介護の質を向上させるためには、管理者としてのマネジメントが重要です。
困難な問題に対する解決能力
主任ケアマネージャーは地域の自治体や行政機関、医療機関から提示されるさまざまな難題に取り組みます。
介護スタッフや医療スタッフを束ねて問題解決に取り組む必要があり、その際にはさまざまな分野のエキスパートと関わります。
地域から持ち込まれた困難なケースを解決する問題解決能力が必要のため、総合的な能力を問われるでしょう。
主任ケアマネージャーになる4つのメリット
ここでは、主任ケアマネージャーになるメリットの紹介します。
実務経験や専門知識の証明になる
1つ目のメリットは、実務経験や技術、専門知識を持っている証明ができることです。
主任ケアマネージャーは、責任のある仕事を任されます。そのため、仕事にやりがいを感じられ、介護職におけるキャリアアップに役立つでしょう。
また、主任介護支援専門員は介護支援専門員の上位資格の位置づけがあるため、ケアマネージャーのまとめ役をしながら、さらに介護分野の知識や技術を得ることが可能です。
高齢化社会の中で需要が高い
2つ目のメリットは、少子高齢化が進む現在、介護が必要な高齢者のサポートを担うケアマネジャーの需要が年々増えていることです。
なかでも、居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーである必要があります。
居宅介護支援事業所は、サービスの調整を引き受ける事業所となっているため、主任ケアマネージャーの需要が高くなっているのです。
安定して働くことができる
3つ目のメリットは、主任ケアマネージャーは安定して働けることです。
先ほども説明したように、少子高齢化が進んでおり、介護が必要な人が増えています。ケアマネージャー不足も相まって、職場が見つかりやすい傾向があります。
また、主任ケアマネージャーの職場は居宅介護支援事業所や地域包括支援センターです。
管理者としての位置づけになるため、給料アップやキャリアアップに期待ができるでしょう。
転職に有利
4つ目のメリットは、転職に有利なことです。
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターには、主任ケアマネージャーの配置が義務付けられているので、資格を取得しておけば、転職を考えた際にもつまづきにくいでしょう。
また、専門知識や実務経験がある証明にもなるので、ハイキャリアな求人に応募できる可能性も高くなります。
主任ケアマネージャーの職場は?
主任ケアマネージャーとして活躍できる職場は、大きくわけて4つです。
- 居宅介護支援事業所
- 地域包括支援センター
- 介護老人福祉施設
- 介護療養型医療施設
基本的に、ケアマネージャーに馴染みある事業所やケアプランを作成する必要がある場所となっています。
ケアマネージャーとして働いていた職場をイメージすると分かりやすいです。
なかでも、主任ケアマネージャーの職場は地域包括支援センターが代表的となっており、活躍できるでしょう。
主任ケアマネージャーが、さまざまな職種と連携して調整することにより、円滑なサービス提供を行います。
主任ケアマネージャーの資格を取得することで、ケアマネージャーよりも多様な選択肢の中から職場を選択できるようになります。
ケアマネージャーの魅力や将来性についてもっと知りたい方はこちらの記事も参考にしてください
主任ケアマネージャーの魅力ややりがいは?
ケアマネージャーの育成や、地域全体のケアシステムの提案業務は、主任ケアマネージャーにしかできません。
主任ケアマネになることで、介護のスペシャリストとしてケアマネではできない業務に携われる魅力があります。
主任ケアマネになることで、ほかのケアマネや利用者からの信頼も厚くなるでしょう。
また主任ケアマネージャーになることで、責任が増える分、キャリアアップできたり、年収アップに期待できます。
ほかにも、介護に関することだけでなく、医療機関や自治体と連携して仕事をするため、仕事の幅や視点が広がり、視野が広くなります。
人との交流や育成が好きな人にはやりがいを感じる仕事です。
主任ケアマネージャーの資格取得には時間と手間がかかりますが、ケアマネジャーと比較して就職先の選択肢が広がります。
ケアマネージャーのやりがいについてもっと知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
ケアマネージャーのやりがいや大変なところは?魅力や必要なスキルも解説
主任ケアマネージャーを目指すには?
主任ケアマネージャーになりたいと考えている方は、主任介護支援専門員研修の受講が必須です。
なかなか仕事の時間もあって研修を受講しにくいと考えている方は、介護業界専門の転職エージェントにキャリアプランを相談してみるのも良いでしょう。
介護業界専門の転職エージェントでは、主任ケアマネージャーの資格取得後の転職のサポートしてくれるのはもちろん、資格取得に協力的な職場も紹介してくれるでしょう。
キャリアアップにおすすめの転職エージェント
ここでは、主任ケアマネージャーとして転職する際や、ケアマネージャーとしてキャリアアップするためにおすすめの転職サイトを2つ紹介していきます。
介護ワーカー
- 転職成功実績多数!
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- 主任介護支援専門員の資格が必要
- その他の介護職よりも給料が高いことが多い
- コミュニケーション能力やマネジメント能力が必要
主任ケアマネージャーは、ケアマネージャーとは違い、求められることが多く、自分自身のキャリアアップにつながる資格です。
少子高齢化の現在、主任ケアマネージャーの需要は高く、転職に有利であったり、安定した職場に就くことができます。
ケアマネージャーとして長い間働いているのなら、主任ケアマネージャーの資格取得を検討してみてはどうでしょうか。
また、介護の仕事をしてみようと思っている人は、まずはケアマネージャーとして働き、主任ケアマネも目指してみましょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。
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