ケアマネージャーのやりがいや大変なところは?魅力や必要なスキルも解説
更新日時 2024/01/05
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「ケアマネージャーのやりがいや大変なところを知りたい!」
「ケアマネージャーとして転職するとき、どうすればいいんだろう?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ケアマネージャーは「介護支援専門員」とも呼ばれる、介護のエキスパートです。ケアプランの作成をはじめ、介護現場に欠かせない業務を行っています。
社会的に重要な役割を果たしており、ケアマネージャーはやりがいを感じやすいでしょう。
一方で、仕事で大変なところがあるのも事実です。
こちらの記事では、ケアマネージャーの仕事のやりがいや魅力、必要なスキルなどを解説します。ケアマネージャーを目指している方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 感謝される場面が多く、やりがいを感じられる場面は多い
- 関係各所との調整で苦労しがち
- 介護業界でのキャリアアップを目指すならケアマネ資格の取得がおすすめ
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ケアマネージャーとは?
まずは、ケアマネージャー(介護支援専門員)がどのような仕事を行っているのか解説します。
要介護者とその家族との連絡調整をはじめ、最適な介護サービスを提供するなど、ケアマネージャーが行う業務は多岐にわたります。
ケアマネージャーに求められることは?
ケアマネージャーは、要介護認定を受けた方とその家族のサポートを行います。要介護者の状態やニーズに応じた適切な介護サービスプランである「ケアプラン」の作成が主な業務です。
利用者が自立した日常生活を送れるように支援すること、その土台となる環境を整備することがケアマネージャーの重要な役割です。
また、市区町村やサービス提供者などの関連機関と連携を取りつつ、適宜ケアプランの見直しも行います。
要介護者と家族、市区町村、介護サービス事業所との間で橋渡しの役割を果たしていると言えるでしょう。
ケアマネージャーがしている仕事内容は?
続いて、ケアマネージャーの具体的な仕事内容について解説します。
相談対応
ケアマネは、介護が必要な高齢者や障害を持つ方(要介護者)への相談業務を行います。
相談業務を通じて、必要な介護サービスを把握し、要介護度に応じた最適なケアプランを作成します。利用者の心身の状況や生活環境を考慮しながら、最適な介護サービスについて立案することはケアマネージャーの重要な役割です。
他にも、日常生活の支援や生活介助を行ったり、必要に応じて医療や福祉サービスへ案内することも大切な相談業務です。
ケアプランの作成とその準備
ケアマネは、要介護者や家族から情報を収集し、必要としている介護サービスを把握します。収集した情報に基づいて、できる限り自立した生活を送れるように支援する「ケアプラン」を作成します。
介護の専門家として、健康状態・家庭環境などを鑑みて、最適な介護サービスを決定することはケアマネージャーの大切な業務です。
要介護者の自宅を訪問して健康状態や介護の必要性を調査し、生活上の課題や難渋している行為を把握し、ケアプランを作成します。
また、一度決定したケアプランは、要介護者の状況を見ながら適宜修正する必要があります。
介護サービスの実施の確認
ケアマネは、ケアプランに基づいたサービスが適切に提供されているかを定期的に確認することも仕事の一つです。
ケアマネは、介護サービスが役割を果たしているか、作成したケアプランが最適かを評価します。
要介護者を定期的に訪問し、提供されている介護サービスの質と効果を測定することもケアマネージャーの仕事です。
必要に応じて要介護者や家族と相談し、ケアプランを修正することもあります。モニタリングを通じて、随時最適なケアプランにアップデートすることも求められていることがわかります。
要介護認定の申請を代行する
ケアマネは、必要に応じて要介護者に代わって要介護認定の申請を行います。要介護者の中には、自力で手続きができないケースもあり、必要に応じて手伝う必要があるためです。
具体的には、主治医の意見聴取や要介護者の訪問調査など、要介護認定に関わる一連の流れに参加します。
また、要介護者や家族の代わりに必要な申請書の記入、提出も行います。要介護認定を受けるための面談にも同席し、利用者の状態やニーズを適切に伝えることも大切な仕事です。
介護サービスの給付管理
介護サービスの給付管理業務も、ケアマネージャーの重要な仕事です。基本的に、ケアマネージャーは介護関連の事業所に勤務しますが、介護事業所にとって介護保険からの給付は貴重な収入源です。
介護保険の給付申請に関わる一連の作業について、ケアマネージャーが担当するケースは多くあります。
- 利用者に提供した介護サービスの管理
- 提供した介護サービスの点数評価
- 請求書の作成
具体的には、上記のような請求関連事務を行います。介護保険は、利用者負担が1割となっているため、残りの9割は国民健康保険団体連合会(国保連)に請求しなければなりません。
ケアマネージャーは、介護保険給付に関する書類作成や実際の請求まで担当するケースが多く、介護保険制度に関する知識も求められます。
ケアマネージャー資格の取得方法は?
続いて、ケアマネージャー資格の取得方法について解説します。介護業界でのキャリアアップやステップアップを目指している方は、参考にしてみてください。
実務経験を積む
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員試験の受験資格をクリアしなければなりません。
ケアマネージャーの受験資格は、保健医療福祉分野での実務経験(医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士等)が5年以上かつ900日以上あることが求められます。
実務経験はパートやアルバイトの雇用期間も含まれるため、すでに経験を積んでいる方はケアマネージャー資格の取得を検討しましょう。
介護支援専門員実務研修受講試験
受験資格をクリアできたら、年一回都道府県ごとに実施される「介護支援専門員実務研修受講試験」を受験しましょう。
試験に合格し、介護支援専門員実務研修を受けることで、正式にケアマネージャーとなります。
ケアマネージャー試験の合格率は10~20%前後となっているため、難易度は高いです。一般的に半年以上の勉強期間が必要と言われているため、計画的に勉強することが大切です。
介護支援専門員実務研修
介護支援専門員実務研修受講試験に合格したら、合計87時間の介護支援専門員実務研修を受講する必要があります。
実務研修で学ぶ内容に関しては、下記のとおりです。
研修形式 | 学習内容 |
---|---|
講義形式 | 介護保険制度の理念や現状について 実習オリエンテーション ケアマネジメントにかかる法令等の理解 地域包括ケアシステム及び社会資源 ケアマネージャーに必要な医療との連携及び他職種協働の意義 人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理 ケアマネジメントのプロセス |
演習形式 | ケアマネジメントの基本 相談援助の専門職としての基本姿勢及び相談援助技術の基礎 ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術 実習の振り返り 利用者、多くの種類の専門職等への説明及び合意 介護支援専門員に求められるマネジメント サービス担当者会議の意義及び進め方 ケアマネジメントの展開 |
現場実習 | 基礎技術の実習 |
介護保険の専門家として働くうえで必要となる、さまざまな内容を学びます。
ケアマネージャーのやりがい・大変なところは?
ケアマネージャーは、高齢者人口が増加する日本において、ますます重要性が高まっていく資格です。
以下で、ケアマネージャーのやりがいや大変なところを解説します。
ケアマネのやりがいは?
ケアマネージャーは、適切な介護サービスを提供するためのケアプランの作成だけでなく、実際に介護サービスを提供することもあります。
要介護者や家族から感謝を伝えられる機会も多く、やりがいを感じやすい点は大きなメリットです。
また、自分が作成したケアプランが適切に実行され、その結果として利用者の健康状態が良くなったときも、やりがいを実感できるでしょう。
介護を必要としている方に寄り添い、不安や心配事に対応して最適なケアを行うことで、社会的に大切な役割を果たしていることを実感できるでしょう。
ケアマネの大変なところは?
ケアマネージャーをはじめ、介護職に就いている方は給料や待遇が仕事の責任や重要性と見合っていないことがあります。収入面で不満を感じやすい点は、ケアマネの大変なところと言えるでしょう。
また、介護サービスの利用者と家族だけでなく、介護事業者や市区町村と各種調整を行う必要があります。要介護者の希望と制度上の折り合いを付ける必要があるため、精神的に疲れてしまうこともあるでしょう。
意見の食い違いを調整することは大変なので、心身が疲弊してしまうケアマネージャーも少なくありません。
ケアマネの資格を取る魅力
仕事で大変な部分もあるケアマネージャーですが、資格を取得することでさまざまなメリットが期待できます。
介護業界でのキャリアアップや収入アップなどが見込めるため、興味がある方はケアマネージャー資格を取得を目指しましょう。
①給料が高い
令和4年賃金構造基本統計調査によると、ケアマネージャーの収入は下記のとおりです。
項目 | 給料 |
---|---|
所定内給与額 | 27.4万円 |
きまって支給する現金給与額 | 28.5万円 |
年間賞与 | 64.3万円 |
年齢 | 51.6歳 |
勤続年数 | 10.5年 |
労働者人数 | 89,370人 |
平均月収とボーナスをトータルすると、ケアマネージャーの年収は約400万円程度となります。
ケアマネージャーは難関資格なので、事業所によっては資格手当などの上乗せも期待できるでしょう。
ケアマネージャーと他の介護職員の違いは?
ケアマネージャーは専門性の高さという強みがあるため、他の介護職員よりも収入が高い傾向にあります。
職業 | 平均月給 | 平均基本給 |
---|---|---|
介護職員 | 317,540円 | 186,190円 |
看護職員 | 373,750円 | 233,820円 |
生活相談員・支援相談員 | 342,330円214,470円 | |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・機能訓練指導員 | 354,770円 | 228,610円 |
介護支援専門員(ケアマネージャー) | 361,770円 | 220,050円 |
事務職員 | 307,960円 | 204,600円 |
調理員 | 260,090円 | 180,040円 |
管理栄養士・栄養士 | 316,320円 | 208,140円 |
介護職員とケアマネージャーの平均月給を比較すると、約5万円の差があります。
年収に換算すると約60万円になることから、収入アップを目指している方はケアマネージャー資格を取得するメリットが大きいです。
ケアマネージャーの年収に関するさらに詳細な情報は以下の記事で紹介しています。
ケアマネージャーの年収は?他職種と比べ安いのかや収入アップの方法・将来性まで解説
②日勤が多い
ケアマネージャーは、一般的な介護職員よりも日勤が多い特徴があります。
介護サービスは24時間体制で提供するため、交代制で勤務するのが一般的です。
しかし、ケアマネージャーは相談業務やケアプランの作成、モニタリングが主な業務です。日勤の時間帯に働くことが多いため、夜勤が少なく生活リズムを保ちやすいでしょう。
また、仕事内容が事務作業中心なので、介護現場のスタッフと比べて体力的な負担が少ない点もメリットです。
③できることが増える
ケアマネージャー資格を有していれば、介護業界でできることが増えます。
ケアマネージャーは、介護の専門家として、介護サービスを提供するための一連の仕事を担当します。要介護者の生活介助だけでなく、介護保険サービスを利用するための手続きや介護報酬請求などを任せられるケースが多いです。
介護施設の責任者としてリーダー的役割を求められることもあるため、キャリアの可能性が広がると言えるでしょう。
④キャリアアップしやすい
ケアマネージャーは介護関連の資格の中でもトップクラスなので、キャリアアップにつながりやすいです。
できることが増え、責任がある仕事を任せられれば、経験を積むことでをスキルが伸びます。 スキルが伸びれば自分の能力が高まりキャリアアップしやすくなるため、好循環が生まれるでしょう。
キャリアアップは年収アップとも関連が深いことから、ケアマネージャー資格の取得には経済的なメリットもあります。
ケアマネージャーのキャリアアップモデルは以下の記事で紹介しています。
介護職のキャリアアップ方法|経験年数や資格の有無に応じたキャリアパスモデルも紹介
ケアマネとして働くために必要なスキル
ケアマネージャーは、介護サービスに関するさまざまな業務を行います。
さまざまな業務をこなすうえで必要となるスキルがあるため、確認しておきましょう。
状況判断スキル
ケアマネージャーは、ケアプラン作成する際に要介護者のニーズを把握しなければなりません。状況判断を的確に行わないと、最適なケアプランを作成できないでしょう。
また、在宅医療を受ける要介護者がいる場合、医療チームと連携する必要があります。
介護サービスだけでなく、適切な医療サービスを提供するためにも、状況判断スキルが欠かせません。
統率スキル
ケアマネージャーは、介護現場のリーダー的な役割を求められることが多く、統率スキルも求められます。
作成したケアプランが的確に実行されるかのマネジメントや介護報酬請求の事務をはじめ、各職種の動きを統率する場面は多いです。
要介護者と家族が直面する問題に対して、関係者の意見をまとめたうえで、ケアマネージャーは最適な選択をしなければなりません。
タイムマネジメントスキル
ケアマネージャーには、タイムマネジメントスキルも求められます。
要介護者の訪問や介護サービス事業所の巡回など、ケアマネージャーはさまざまな人とコミュニケーションを取らなければなりません。
介護職員のように「介助だけすればいい」というわけではなく、さまざまな業務を並行してこなすことが求められます。
効率よく時間を使い、自分の役割を果たすためにも、タイムマネジメントスキルは非常に重要です。
コミュニケーションスキル
ケアマネージャーには、コミュニケーションスキルも欠かせません。
- 要介護者のその家族との面談でニーズを探る
- 医療職員・介護職員と連携する
- 介護サービス事業者と連携する
適切なケアプランを作成するためには、関係者との調整を行う必要があります。
要介護者とその家族にケアプランの内容や介護保険制度を説明するのはもちろん、介護サービス事業者や市区町村との橋渡し役を務めることもあります。
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ケアマネージャーにはさまざまなスキルが求められるため、仕事を通じて「大変」と感じる場面も少なくありません。
しかし、ケアマネ資格があればキャリアアップや収入アップが見込めるため、介護業界でのキャリア構築を考えている方は資格取得を目指すと良いでしょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
株式会社学研ココファン品質管理本部マネジャー。介護支援専門員、介護福祉士。2011年学研ココファンに入社。ケアマネジャー、事業所長を経て東京、神奈川等複数のエリアでブロック長としてマネジメントに従事。2021年より現職。
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