居宅ケアマネは辛い?仕事内容や施設ケアマネとの違い、転職についても解説
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)
「居宅のケアマネは大変?」
「居宅ケアマネと施設ケアマネとの違いは?」
居宅ケアマネの仕事についてこのような悩みや疑問を持っている方は多いのではないでしょうか?
この記事では、居宅ケアマネの仕事内容、施設ケアマネの仕事や違いについて解説していきます。ケアマネの資格を活かして自分自身が輝ける職場を探しましょう。
※記事中でケアマネージャーの略称として「ケアマネ」と言う表現を用いています。
居宅介護支援事業所へ勤務する介護支援専門員のこと
ケアプランを作成し、在宅の利用者やご家族を支えている
仕事内容によっては業務量が多く、辛いと感じているケアマネは多い
居宅ケアマネとは
「居宅ケアマネ」は通称であり、居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員のことを指しています。
ここでは、居宅ケアマネの勤務先と役割について解説していきます。ケアマネは勤務先によって対象の利用者が異なるため、気をつけましょう
自宅での介護サービスの支援
居宅ケアマネは、要介護認定を受けている利用者を対象に自宅で介護サービスを受けるための支援を行っています。勤務先は居宅介護支援事業所になります。
利用される利用者が多い事業所は、ケアマネが複数人所属し、支援にあたります。一方で、ケアマネ1人が担当できる利用者の人数が決まっているため、1人で事業所を運営することも可能です。
居宅ケアマネの役割とは
居宅ケアマネの役割は、利用者の生活全体のマネジメントです。
利用者やご家族の状況を確認し、希望に沿ったケアプランを作成します。またサービス事業者によってケアプランに沿った介護が提供されているのかの確認を行います。
一方で居宅介護支援は利用者の自己負担がなく、すべて介護保険で費用は賄われています。利用している介護サービスの給付管理、介護報酬の請求なども事業所によっては、ケアマネが行っていることがあります。
居宅ケアマネの仕事内容
居宅ケアマネの仕事内容は多岐にわたりますが、ここでは具体的にどのような業務を行っているのかについて解説していきます。
ケアプランを作る
介護保険を利用する際に必ず必要となってくるのがケアプランとなります。
ケアプランとは、利用者の心身状況を把握し、利用者やその家族の意見や要望に沿って作る介護計画のことをいいます。
介護保険サービスだけでなく、ご家族からの支援や他のサービスなども含めて作成しています。
利用者やその家族との相談
居宅ケアマネは、利用者やその家族の要望を聞くだけでなく、在宅介護に関する相談窓口にもなります。
つまり、利用者の悩みごとや、どのようなサービスや支援を希望しているのかなどの評価を行います。業務として相談を受けているため、しっかり記録に残しましょう。
その他、利用者やご家族は困りごとに対して何をしたらよいのかわからないことが多いため、介護保険制度や利用できる介護サービスの説明を行います。
基本的には月1回は訪問し、翌月の介護サービスの確認や在宅介護に関する心配事がないかを確認しています。
要介護認定手続き
ケアマネは介護保険のプロとして、要介護認定手続きを利用者やご家族に代わって代行しています。利用者やご家族でも手続きは可能ですが、面倒なことが多いため、ケアマネージャーが代行することが多いです。
特に、要介護認定は申請してすぐにもらえるものではありません。認定結果が届くまでに時間を要するため、ケアマネは認定結果が届くまでの流れをしっかりと利用者側へ説明することが必要となります。
給付管理
ケアマネは、介護保険の給付管理も行います。これはケアプランに従って介護サービスの料金が決定するためです。
利用者は、要支援や要介護度によって、介護保険サービス利用できる限度額が決まっています。
サービスの利用制限はありませんが、利用できる限度額を超えてしまうと、介護保険が利用できません。その結果、全額自己負担になり、経済的な負担が大きくなります。
利用者が利用できる単位数内でのサービス提供の調整を行うのはケアマネの大切な仕事です。利用者やご家族と相談しながら単位数内で調整できるように努めましょう。
サービス担当者会議
要介護認定の更新、介護保険サービスを利用する、新しいサービスを利用開始など、状況が変わった場合にはサービス担当者会議を行います。
その上で、ケアプランのサービス内容に合わせた事業所を選択します。それぞれサービス事業者など専門家の意見をいれながら、ケアプランの見直しも担当者会議と一緒に行われます。
居宅ケアマネと施設ケアマネに違いはあるの?
ケアマネの資格としてはどちらも同じであり、利用者の生活をマネジメントすることに変わりはありません。
一方で居宅と施設では対象の利用者が異なります。ここでは、居宅と施設との違いや仕事内容について具体的に解説していきます。
居宅ケアマネの方が担当件数は少ない
1人のケアマネが担当できる利用者の人数は介護保険にて定められています。施設ケアマネの場合、ケアマネは最大100件まで担当することができます。
一方で居宅ケアマネの場合は、35人に対して1人と基準が定めされています。
居宅ケアマネは、35人以上担当することも可能ですが、担当する件数が40人を超えると介護報酬が減ります。
また居宅ケアマネは、利用者の在宅生活のマネジメントを行っており、知識や技術が一層求められます。
居宅ケアマネは個人で判断する事項が多い
居宅介護支援事業所で働いているケアマネは、事業所の規模によって異なりますが、複数人所属しているところもあれば、ケアマネ1人で対応しているところもあります。
利用者の希望に沿って日程の調整やケアプランの作成を行います。ケアマネ個人で決めることが多く、プレッシャーはかかりやすいですが、やりがいも大きいです。
居宅ケアマネは移動が多い
施設ケアマネは基本的に施設内で業務が完結します。
一方で、居宅ケアマネは利用者の家に訪問したり、サービス事業所との打ち合わせなど移動が多いです。外出も多く、1日外回りをしているという日もあるでしょう。
利用者宅への訪問時など、約束の時間を守るのは信頼関係を築く上で大切です。効率よく動けるようなスケジュールの可視化が大切となります。
居宅ケアマネは様々なサービスに対応
施設ケアマネの場合、提供できるサービスは基本的に施設内でできるサービスのみです。
一方で居宅ケアマネは自宅でのサポートになります。個々人の状況に合わせたケアプランの作成、サービス事業所との連絡調整が必須です。
そのためには、普段から介護保険サービスだけでなく、様々なサービスの情報を集めておく必要があります。
施設ケアマネの詳細な情報は以下の記事で紹介しています。
居宅ケアマネが辛いと感じる理由9選
居宅ケアマネはケアプランの作成やサービス事業所との連絡調整だけでなく、それに伴う知識や技術の修得が求められます。
また、業務内容が多岐にわたるため、居宅のケアマネを続けることが辛いと感じる人が多いです。
ここでは居宅ケアマネが特に辛いと感じる9つの理由について説明していきます。
業務量が多い
居宅ケアマネが辛いと感じる理由に「業務量の多さ」があげられます。
ケアマネ業務として、利用者の状況把握、ケアプランの作成、サービス事業者との担当者会議、訪問記録などがありますが、書類作成が主になります。
介護の現場でも記録は重要でしたが、それ以上に書類作成が求められます。書類作成が大切なことは十分にわかっているものの、辛いと感じているケアマネは多いです。
本来の仕事をする時間がない
居宅ケアマネが辛いと感じる理由に、「雑務が多くて本来やりたいと思っている仕事ができない」があげられます。
居宅ケアマネを志した想いには、利用者と向き合って求められているものを一緒に考えたい、在宅生活を大切にしていきたい、支えになりたいなどがあるでしょう。
その一方で業務量の多さや新しいサービス利用に関する調整などに時間がかかり過ぎて、本来やりたかった仕事ができないと感じているケアマネは多いです。
計画を立てること、記録に残すこと、給付の管理など大切ですが、利用者やご家族の思いがわからなければケアマネ本位のプランになってしまいます。そういった部分で、納得のいく仕事ができていないと感じる場合が多いようです。
やりたいこととやらなければならないことのバランスが難しいと言えるでしょう。
利用者の生活を左右するケアプランの作成
利用者やご家族の状況把握、要望をもとにケアプランを作成していますが、内容次第では利用者の生活が左右される恐れがあります。
結果的にうまくいくときもあれば、利用者に負担となることもあるため、作成するケアマネのプレッシャーが大きいと言えます。
加えてケアプラン作成の際、居宅ケアマネは施設ケアマネ以上に個人の裁量が多く、判断力が求められます。
責任が大きい分やりがいはありますが、本当にこれでよかったのかと悩まれるケアマネがいるのも事実です。
資格更新の研修を受けなければならない
2006年よりケアマネの資格は5年ごとの更新研修が義務化されたため、資格更新の研修を受けなければならなくなりました。
通常業務が大変な上に資格更新のための勉強、また更新費用の負担が重なり、ケアマネが辛いと感じる人は多いです。
資格更新をしなければケアマネの業務を続けることができなくなるため、無理をしてでも受けなければならず、負担になっているのが現状のようです。
資格更新の研修は、ケアマネとしての資質の維持や向上を目的としていますが、普段の業務に加えての勉強になるため、負担は大きいと言わざるを得ません。
ケアマネの資格更新に関する詳細な情報は以下の記事で紹介しています。
介護保険以外の知識も必要
利用者の生活や介護サービスをマネジメントしていく上で、介護保険制度だけでなく、幅広い知識が求められます。医療保険などの制度や日常生活上の介助や福祉用具まで相談に乗ることがあります。
専門の業者を紹介する場合もありますが、検討の段階である程度の知識は求められるため、辛いと感じるようです。
事業所と利用者の間で板挟みになる
ケアプランを作成する上で、利用している事業者と利用者の間で板挟みになることがあり、お互いの話を聞きながら解決に向けて調整を行っていくのですが、板挟みを辛いと感じるケアマネは多いです。
サービス事業者は大勢の利用者がいるため、「個別の対応が難しい」と言われる、利用者は「私だけだから○○して欲しい」なんて言われることは多々あります。
利用している事業者と個別に相談してもらえばよいだけの話ですが、折り合いがつかないとケアマネに解決を委ねられることも考えられます。
特に居宅ケアマネの場合、施設ケアマネ以上に、個人への負担が大きいため、板挟みに耐えられないという人もいるでしょう。
単身の高齢者のお世話をすることも
一人暮らしの高齢者が増えている今、ご家族が遠方である、すぐに動くことができないなどの理由により、緊急時は担当ケアマネが呼び出され、対応する事業所も少なくありません。
居宅のケアマネの場合は、緊急時の呼び出しなどを考えると気が休まらず、辛さの要因となっているようです。
クレーム対応でストレスがたまる
利用者やご家族がいつも求めるサービスが提供できるわけではないため、居宅ケアマネはクレームや支援困難事例について対応することがあります。
クレームや支援困難なケースは、必ずしも事業者が悪いばかりではなく、理不尽な言い分に振り回されるときもあります。クレーム対応が精神的負担となり、辞めたいと考える居宅ケアマネは多いです。
人間関係が煩わしい
福祉業界に限ったことではありませんが、職場の人間関係が煩わしく、辛いと感じるケアマネは多いです。居宅介護支援事業所の場合、規模によって異なりますが、もともと所属しているケアマネは多くはありません。
数人の中で考え方が合う、合わないは精神的なストレスとなります。考え方を変えるだけで煩わしさが軽減できる場合もありますが、反対に考えすぎて悩みに変わることもあります。
人間関係が悪いときは、自分の負担もよく考えて、行動しましょう。
居宅ケアマネとしてうまくやっていくには?
居宅ケアマネは業務量が多く、大変と感じながらもやりがいを持って働いている人ももちろんたくさんいます。
辛い気持ちを軽減させ、うまくやっていくためにできることは以下のことがあげられます。
現在の状況・心境を客観視する
居宅ケアマネを辞めたいと思うことはいろいろあるでしょう。人によっては業務量の多さ、その他は責任について、人間関係について、給与面など理由はさまざまです。
以上のような辞めたい理由を書き出すことで現在の状況を把握し、心境を客観視する必要があります。
辞めたい理由が解決できなければ、何をやっても居宅のケアマネとしてうまくいきません。困りごとの解決策を見つけていくことで居宅ケアマネとしてうまくやっていけるようになるでしょう。
ケアマネになった理由・利点を再度確認する
ケアマネになった理由や利点を再度確認してみましょう。意外と、仕事に追われているうちに忘れてしまっていることも多いです。
ケアマネとしてケアプランを作ることは利用者の人生を左右することにもなるので精神的な負担は大きいかもしれません。
一方で、その利用者の人生をまるごと抱えられるほど、全力で仕事ができ、やりがいは大きいです。
居宅ケアマネとしてうまくやっていくためには、まずは自分の原点に返って、本当にやりたい仕事なのかどうかについて考えましょう。
ケアマネの仕事が好きか確かめる
居宅ケアマネとしてうまくやっていけるかを悩むのであれば、まずはケアマネの仕事が好きか自分の中で確かめてみましょう。
ケアマネの仕事は業務量も多く、事務作業ばかりで、やらなければいけないことに押しつぶられそうになることもあります。
一方で、利用者が望む生活が送れるように支援ができたり、利用者のできなかったことができるようになるお手伝いができたりした場合には、自分のことのようにうれしさが込み上げてきます。
自分が居宅ケアマネを辞めたいのか、ケアマネージャーとして働くのを辞めたいのか、よく考えてから転職するようにしましょう。
自分ができることを把握する
居宅ケアマネとしてうまくやっていくには、まずはできることが何なのかを確認する、できることには限界があることを知ることが大切です。やりたいことや支援したいことは山のようにあってもケアマネジャーとしてできることは限られます。
夢を持つことは大切ですが、利用者もあまり夢のような目標を立てられても何をしてよいか困ってしまいます。まずはできるところから一歩ずつ始めることが基本となります。
仕事とプライベートを上手に分ける
居宅ケアマネを長く続けていくためには、仕事とプライベートは上手に分けましょう。これはケアマネだけに限らず、どのような仕事でも同じです。
どこまでが仕事でどこからがプライベートかわからなければ、自分がどの立ち位置で仕事をしているかわからなくなります。
がむしゃらに仕事をしているうちはそのまま続けることができますが、ふと考えたときに仕事とプライベートが分けられていないと、精神的なストレスが増し、続けることが困難になる恐れがあります。
仕事は仕事、プライベートはプライベートとして上手に分けることは、ケアマネとして仕事を続けていく上で大切です。
施設内で相談相手をみつける
居宅ケアマネとしてうまくやっていくために、一人で業務や責任を抱え込まないようにすることが大切です。一人で何でも解決できるわけではありません。
施設内で相談相手を見つけ、精神的な負担にならないように気をつけましょう。
仕事のスケジュールを可視化し効率を高める
居宅ケアマネとしてうまくやっていくためには、業務をスケジューリング化させることが大切です。
ただ何となくしている仕事は始まりも終わりもなく、どこで辞めてよいのかわからないなる恐れがあります。
多岐にわたっている業務について、本日中に行うこと、1週間以内に行うこと、1カ月間で行うことなど順序立てて考えていくとよいでしょう。
知識とスキルを向上させる
居宅ケアマネとしてうまくやっていくためには、知識の習得が欠かせません。
わからないことが多いとサービス調整がうまくいかないため、ひたすら学びましょう。再度知識を安定させることで、日頃の業務がスムーズに運び負担軽減につながるかもしれません。
介護保険制度は3年に1回、改定があります。その他、介護保険外のサービスも市町村によってさまざまです。ケアマネとして常に知識とスキルを向上させていくことが求められます。
社内間で異動する
居宅ケアマネとしてうまくやっていくためには、法人内に複数の事業所があれば、社内間で異動を申し出るのも手段の1つです。
利用者、同僚との人間関係や遠い施設への通勤の辛さから解放される可能性がある一方で、同じ法人内での異動のため、今まで培ってきたキャリアも引き継ぐことができます。
ケアマネージャーとして異動できる場所があれば、そちらに異動できるか確認してみるのも良いでしょう。
居宅ケアマネに向いてる人は?
さまざまな知識や技術が求められる居宅介護支援事業所の介護支援専門員ですが、仕事には向き、不向きがあります。
ここでは、居宅ケアマネに向いている人について解説していきます。
仕事の選り好みをしない人
居宅ケアマネは、どんな仕事にも取り組める人が向いているといえます。
居宅ケアマネは、利用者やそのご家族の状況を把握し、ケアプランを作成、サービスの調整、事業所との調整など業務は多岐にわたります。
そのため、話を聞くことは苦手、ケアプランを作るのは得意、事業所との調整は得意など、得意不得意があっては利用者に迷惑をかけてしまう恐れがあります。
どんな仕事でも嫌な顔をせず、取り組め、複数の調整を負担なく、行えることが求められるでしょう。
人と接することが得意な人
人と接することが得意や好きな人も居宅ケアマネに向いているといえます。福祉の仕事は人と人との信頼関係から成り立っており、コミュニケーションが欠かせません。
言葉だけでなく、しぐさや態度など非言語の部分でも相手の気持ちを読み取ることができます。
人ととの関わりの中で、声のトーンが低いのは調子が悪いからなのか、明るい挨拶が返って来るのは体調がよい証拠なのか、などと考えていきます。
人との関わりが大切な居宅ケアマネは、小さな変化も見逃さず、関わり合いが持てる人が向いているといえるでしょう。
人脈を築くことが得意な人
居宅ケアマネとして成長していくには、常にアンテナを張り、多方面の人脈を築くことが大切です。
さまざまな場に顔を出していろいろな関わりを持ったり、施設や介護に関する新しい知識を収集する能力が求められます。
フットワークが軽くスピード感をもって仕事をこなせる人
居宅ケアマネとして、迅速な対応とフットワークの軽い人は重宝されます。
サービスの調整にはスピードが求められる場面があります。相談内容によってはすぐに駆け付け、対応することで大事に至る前に済むことも多々あります。
また連絡や報告だけで利用者の状況を決めるのではなく、直接現場に赴き、自分の目で確かめることも大切です。
居宅ケアマネに向いていない人は?
居宅ケアマネに向いている人がいれば、性格や状況から不向きな人もいます。ここでは不向きの原因などについて解説していきます。
感情の起伏が激しい人
居宅ケアマネに向いていない人として、感情の起伏が激しい人があげられます。
居宅ケアマネだから向いていないのではなく、感情が激しく、気持ちに左右される人の場合、利用者の生活に対するマネジメントを行うことはでしょう。
利用者によっては利用者自身が日々の状況によって感情の起伏が激しい人がいます。居宅ケアマネが同じように感情のアップダウンが激しいと感情のぶつかり合いが起こり、収拾がつかなくなる恐れが出てきます。
ケアマネであることに驕る人
居宅ケアマネに向いていない人として、ケアマネが偉いと思っている人もあげられるでしょう。
ケアマネは利用者の生活全体のマネジメントを行っているだけであって、どちらの地位が高いということはありません。
難しい試験を受けてケアマネになったかもしれませんが、私達は仕事として状況を伺い、ケアプラン作成などを担っています。
ケアマネの言葉が絶対ではありませんし、利用者やご家族に寄り添った介護支援が大切といえます。
自己中心的で固定観念に縛られている人
自分の考えにこだわる人も、ケアマネには向いていないかもしれません。居宅ケアマネは誰のために、何の仕事をしているのかをしっかり理解する必要があります。
ケアプランは利用者の生活を左右します。利用者やご家族の状況を把握し、要望を最大限聞いて作成します。
自分の考えを持つことは大事である一方で、自分の考えにこだわる人はケアマネとしても勝手に利用者が求めているものを決めてしまう恐れがあります。自己中心的で固定概念に縛られている人は、柔軟な対応が困難といえるでしょう。
ケアマネージャーの転職理由として多いのは?
ケアマネは資格があればいつどこででも働くことは可能です。実際に転職理由として多いのは、以下の理由があげられます。
残業時間が過多である
ケアマネの仕事は好きてやりがいを持って取り組んでいるが、残業時間が多すぎると転職したい原因の1つになります。仕事を行っても業務が終わらず、残業になってしまうことが続くと、体調にも支障がでてきます。
ケアマネ自身が体調を崩してしまっては利用者も困りますし、本末転倒です。業務が偏り過ぎていることも問題になりますが、残業が常用化している職場はよいとはいえないでしょう。
ストレスによる身体的症状が見られる
ケアマネとしてやりがいを持って仕事に取り組んでいたとしても、ストレスによる身体的症状が見らえる場合は、転職など少し休む時間を取るべきです。
利用者やご家族と相談しながらケアプラン作成やサービス調整を行うことにやりがいを感じる一方で利用者の安全は守られているのかなど責任は重大です。
実際、プレッシャーに押しつぶされそうだと感じている人がいるのも事実であり、プレッシャーから吐き気や不眠など身体的症状が出てきた場合に転職を考える人が多くなります。
人間関係がうまくいってない
職場での人間関係がうまくいかないという問題は、居宅介護支援事業所に限らず、どこでも起こり得ることです。
居宅介護支援事業所の場合、所属している介護支援専門員が何十人もいるわけではないものの、少ない人数の中で意見が合わない人がいるとストレスから精神的なダメージを受けることもあります。
人の考え方はそれぞれですから、合うか合わないかはどうしようもないことです。人は人、自分は自分と考えらえるならよいですが、人に左右され、人間関係にストレスを感じる場合は、体調を崩す前に転職するのがよいでしょう。
憂鬱な気分が続く
仕事をしていても憂鬱な気分が続き、何もやる気が起きない場合は、精神的な負担のシグナルです。身体的に異常がないから続けていると、心が病んでしまい、立ち直れなくなる恐れがあります。
どこも悪いところがないにもかかわらず、やる気が起きない、憂鬱な気分が続く場合は、メンタルヘルスや専門医へ相談しましょう。精神的な落ち込みの原因が仕事であるならば、転職も視野に入れて考える必要があります。
ケアマネを辞めたいときには何をすべき?
ケアマネを辞めたいと考えたとき、いきなり辞めるのではなく、周りの状況をよく確認してください。まずは以下のことについて自分なりにゆっくり考えましょう。
休職が可能か確かめる
ケアマネを続けていくことが精神的に辛いと感じているなら、まずは職場に休職が可能か確認をしましょう。やめることは簡単ですが、解決方法がないまま、退職をしても同じことを繰り返す恐れがあります。
単に忙しさから辞めたいと感じているのか、職場の人間関係から精神的に辛いと感じているのかなど要因はさまざまです。
辞める前にゆっくり自分を見つめ直す時間が持てるように努めましょう。休職して何が要因だったのかを自身で考えることで新たなスタートをきることができます。
職を辞めたい意思を早めに上司に伝える
介護支援専門員としての仕事を辞めたいと思っているなら退職したい旨を早めに上司に伝えましょう。自分の中で考えているだけでは何も進みません。
退職を決めたのであれば、上司へ伝え、かかわりのある利用者やご家族、関係機関が困らないように段取りする必要があります。
繁忙期に退職することにならないように
退職の決断は自身で行うことですが、担当していた利用者やご家族、関係機関に迷惑をかけないように繁忙期は避けて退職しましょう。退職は所定の期日内に会社へ伝えることでできますが、介護支援専門員は人とのかかわりの大きい仕事です。
繁忙期で通常業務が忙しい上、引き継ぎを行うのは難しく、乱雑になってしまいます。お互い、時間に余裕が持てる時期を選ぶとよいでしょう。
自身の心身の健康を優先すべきではありますが、こうした配慮は社会人としての最低限の責任ともいえます。
業務内容の引き継ぎはしっかりとする
退職するにあたって、次の介護支援専門員へ引き継ぎをしっかり行い、円満退職を目指しましょう。細かい引き継ぎができないと利用者やサービス事業者も困ってしまいます。
また新しく担当になった介護支援専門員も同じことであっても何度も聞き取りを行わないといけなくなります。利用者やサービス事業者が困らないように現在のかかわっていた内容はきちんと引き継ぎを行い、円満に退職しましょう。
ケアマネになる前の職に戻る
介護支援専門員の仕事が辛いと感じるのであれば、介護福祉士や看護師など以前の職に戻ることもよいでしょう。福祉業界は慢性的な人手不足に陥っています。
介護支援専門員として仕事をしてみたが、自分には合わなかったと思っている人は、もとの職種に戻りましょう。介護支援専門員の経験は無駄にはならず、前職種に戻ったとしても自分にプラス要素となります。
介護福祉士や看護師に戻るということはサービスを提供する側に移ることになるため、利用者の思いやご家族の思いを汲み取ることができます。
両方の仕事を知った上で利用者に接することはよいことであり、利用者も安心して任すことができます。介護支援専門員が辛く、退職したいと思っている方はぜひ介護福祉士や看護師として働くとよいでしょう。
転職サイトで転職先を探す
自分で闇雲に求人を探しても仕事をしながらの求職活動は思い通りにはいかないため、転職サイトへ登録して探すと安心です。
転職サイトでは、希望の職種や給与などの待遇面、福利厚生、勤務条件など自分の希望に絞って探すことができます。
転職サイトによっては、転職のアドバイスをしてくれるアドバイザーがついて、新しい職場に就職できるまで対応してくれるところもあります。
細かい状況を把握せずに転職して失敗しないために転職サイトの利用はおすすめです。
居宅ケアマネの仕事先を選ぶときに気をつけることとは
居宅介護支援事業所を選ぶ場合は、まずは居宅介護支援事業所以外の併設サービスに注目しましょう。居宅支援事業所の場合、在宅系介護サービスと併設されていることが多いです。
訪問介護や通所介護などを運営している場合、自社のサービスを過剰に押し売りしていないかを確認するとよいでしょう。その他、同じ法人内の施設に異動をする場合も考えらえます。その事業所だけでなく、併設施設などもよく確認して決めることも大切です。
ケアマネージャーにおすすめの転職エージェント
ここでは、ケアマネジャーとして転職する際におすすめの、介護職専門の転職エージェントを3つご紹介します。
マイナビ介護職
画像出典:マイナビ介護職公式サイト
認知度の高い介護職エージェント
20万件を超える求人
都市部の求人に強い
マイナビ介護職では、登録後に専門のアドバイザーが転職の相談にのってくれます。
認知度も非常に高い転職エージェントで、介護職としてのキャリアアップや、職場の詳しい情報を共有してくれます。
特に都市部の求人に強く、良質な求人が多いと高い評価を得ています。
給与アップの交渉などアドバイザーにお任せできるサポートの幅も広いため、都市部での転職をお考えの方に特におすすめできる転職エージェントです。
介護ワーカー
※画像出典:介護ワーカー公式サイト
年間転職成功実績1万件以上
面接対策や条件交渉などサポートも充実
求人数49,000件以上(2025年3月現在)と豊富
介護ワーカーは、評判、実績ともに優れている介護系の転職サイトです。求人の数が多く、正社員への転職や半年以内で転職をしたい人など、自分の希望に合わせた求人を見つけるサポートをしてくれます。
ケアマネの求人も豊富に用意されており、ケアマネの資格取得支援制度がある施設も紹介してくれます。
資格勉強をしながら働ける施設や、手当や福利厚生がしっかりしている施設など、資格取得を目指す人・資格取得後に転職を目指す人など、各個人の希望に合わせた転職先を提示してくれて安心です。
カイゴジョブ
※画像出典:カイゴジョブ公式サイト
専任キャリアパートナーが転職をサポート
職場環境・福利厚生も考慮可能
全国の求人を掲載
カイゴジョブエージェントでは、ケアマネの求人数は11000件以上ある、介護職専門の転職エージェントです。
給与や残業の有無など転職希望者のそれぞれの希望の働き方・条件に合わせて、担当者が懇切丁寧なサポートをしてくれるます。
ケアマネは心身の負担が多い仕事なので、職場の雰囲気や内部事情を考慮してくれるカイゴジョブは特におすすめです。
転職経験があまりない方・転職に不安を持つ方でも安心して利用できます。
居宅ケアマネが辛いと感じる理由についてまとめ
仕事が多岐に渡り、裁量も大きい
仕事の仕方を変えたり、職場の上司などに相談する
自身の体調を崩す前に相談し、ケアマネではない職種や転職を考える
居宅ケアマネの仕事は、業務量が多く、大変な部分もありますが、利用者やご家族と向き合うことができ、やりがいの大きい仕事です。
一方で責任が重い分、決断するにあたって悩みや不安が生じることもあります。
心身ともに健康で働き続けるためには、自分の中に悩みを溜めない、誰かに相談することも大切です。自身の体調に不安を感じたら、前職種で働くことや転職も一つです。
転職する際は、転職エージェントを活用して、条件にあった職場を探しましょう。
この記事は専門家に監修されています
介護支援専門員、介護福祉士
坂入郁子(さかいり いくこ)