川口市の老人ホームの特徴
最初に、川口市の老人ホームの特徴と動向を紹介します。
川口市の地理的特徴と介護施設の特徴
川口市は、埼玉県の東南部に位置する人口60万6,353人(令和3年11月1日時点)を数える、埼玉県有数の都市です。
荒川を隔てて東京に隣接しており、江戸時代には「川口宿」として賑わいました。その後川口市は、鋳物工業で有名な工業都市として発展し、さらに近年は東京のベッドタウンとして注目されています。
また、古くから交通の要衝にあり、鉄道はJR東日本の京浜東北線・武蔵野線や埼玉高速鉄道などが通っています。
道路も、東京外環自動車道・東北自動車道、それに首都高川口線が通る、交通アクセスが抜群の立地です。
ただ、地理的条件が良いため、地価も高く、老人ホームなどの介護施設料金は高くなりがちです。
施設の料金相場を関東近県と比べると、北関東の栃木県・群馬県・茨城県よりは高めで、東京都や神奈川県と同程度とかなりの高水準になっています。
とは言え、費用的に折り合えば、川口市は高齢者の方にとって暮らしやすい住み心地の良い街です。
そのため、近隣都県から川口市に転居してきて介護施設に入居する方も多いです。
川口市の自治体も介護支援や介護予防支援に力を入れており、以下のようなサービスを提供しています。
- 「川口市介護予防ギフトボックス事業」
- 「健康体操教室」
- 「筋力トレーニング、転倒骨折予防教室」
- 「ウォーキング教室」
- 「認知症予防のための教室」
ただ、特別養護老人ホームなどの公的な介護施設は十分足りているとは言えません。有料老人ホームを含め、さらなる増設が望まれています。
川口市の介護施設価格概観
ここで、川口市の介護施設価格を概観しておきましょう。
川口市内にあるココファン介護施設の入居金・月額費用の平均値と中央値は、以下の表の通りです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
川口市 |
144,333円 |
144,333円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
川口市 |
145,589円 |
145,589円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
上の表の通り、川口市の介護施設の入居金・月額費用は、ココファン施設の全国平均と比べると、いずれもかなり安くなっています。
川口市の高齢者人口
川口市の65歳以上の高齢者人口は、13万9,418人で、市の全人口の23.0%を占めています(2021年11月1日時点)。
ちなみに、全国の高齢化率は、28.8%(令和3年度時点)です。
全国の状況に比べれば、川口市の高齢化率は低い方と言えます。
もっとも、川口市でも高齢化が進んでいることは事実です。
市の推計によれば、上のグラフのとおり2025年には高齢者人口は13万9,767人になり、高齢化率は23.5%に達するとされています。
近年の動きを見ると、高齢化が一段と進んでおり、高齢化率がより高くなる可能性も大きいです。
出典:「かわぐちの人口第4表年齢別人口」(令和3年11月1日時点)川口市
川口市の介護保険事業者・施設の状況
川口市の介護保険事業者・施設の状況は、次の表の通りです。
種類 |
事業所数 |
居宅介護支援事業者 |
154 |
訪問介護 |
130 |
訪問入浴介護 |
7 |
訪問看護 |
42 |
デイサービス |
84 |
通所リハビリテーション |
11 |
ショートステイ |
45 |
有料老人ホーム等 |
50 |
福祉用具貸与 |
29 |
特定福祉用具販売 |
28 |
特別養護老人ホーム |
30 |
介護老人保健施設 |
7 |
介護療養型医療施設 |
11 |
介護医療院 |
2 |
グループホーム |
31 |
出典:「介護予防・日常生活支援総合事業を行っている事業者の一覧/川口市ホームページ」
上の表の事業所数は、令和3年11月1日時点の情報です。
表に記載した事業所のほかに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護などの支援や介護予防を行っている事業者もあります。
上記の川口市ホームページの「介護予防・日常生活支援総合事業を行っている事業者一覧」で確認できます。
川口市の要介護・要支援認定者数
川口市の要介護・要支援認定者数は、令和2年5月末時点で2万3,033人です。
うち、男性は8,232人、女性は1万4,801人と、女性が圧倒的に多くなっています。
要介護・要支援度の区分別に見ると、男性も女性も要介護1の認定を受けている方が20%以上と最も多いです。
川口市の要介護・要支援認定者数は、2016年に2万人を超えて以来増え続けており、今後も増加するものと見込まれています。
出典「川口市 介護保険 要介護・要支援認定者 実数」
要介護認定者の介護サービスの利用状を見ると、要介護1~3の方は「通所介護(デイサービス)」が最も多いです。
一方で、要介護4・5と介護度が高くなるにつれて、「福祉用具貸与」が多くなり、「訪問介護」や「訪問入浴介護」「訪問リハビリテーション」など、訪問支援の利用割合が高くなっています。
川口市では、このような状況に応じて、ショートステイや24時間体制での訪問介護看護の充実を目指しています。
川口市の高齢者相談窓口と社会福祉協議会は?
川口市では、高齢者の方の様々な悩みに応えるために各種の相談窓口を設けています。
まず、川口市社会福祉協議会があります。高齢・障害・児童などの分野の事業を行う、地域福祉を進める民間の福祉団体です。
川口市社会福祉協議会は、市内に19の地区社会福祉協議会があります。
高齢者の方のための事業としては、たとえば、次のような事業を行っています。
ボランティアスタッフの方が、一人暮らしをしている65歳以上の高齢者の方に定期的に電話をします。
高齢者の健康状態や安否を電話で確認するだけでなく、孤独になりがちな高齢者の話し相手になり、悩みなどの相談にも対応しているのです。
年賀状を送るなど高齢者の方の孤独感を少なくするための取組みも行われています。対象者は、川口市から老人福祉電話を貸与されている人です。
青木地区に住んでいる65誌以上の高齢者の方を対象に、介護・医療・福祉などの総合的な相談支援を行っています。
社会福祉協議会では、福祉サービス手続きなども代行しています。
成年後見制度により、家族や親族が代行できない手続きも、代行できるのがメリットです。
各種申請や支払い手続きなどが困難になった時は、悩まずに相談してみましょう。
他にも、川口市の高齢者在宅サービスセンターには、認知症高齢者相談所があります。
認知症を患う高齢者の方を介護する家族の悩みや相談に対応しています。医師による専門的な相談も可能です。
地域にお住いの高齢者の方に関する相談も可能ですので、「ちょっと様子がおかしい」といった連絡・通報もできます。
川口市の地域包括ケアシステム
川口市の地域包括ケアシステムを紹介します。
川口市では、2021年7月時点、地域包括支援センターを20箇所設置し、地域で暮らす高齢者の方に対して無料で総合的な支援を行っています。
地域包括ケアシステムとは、高齢者の支援を目的として、介護や福祉・保健・医療などのサービスを地域で包括的に提供する仕組みです。
具体的には、「住まい・介護・医療・生活支援・介護予防」が一体となったシステムです。
この地域包括ケアシステムは、厚生労働省の推奨のもと行われています。
戦後のベビーブーム時代に生まれた団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、全国的な構築が目指されています。
地域包括ケアシステムができ上って入れば、本格的な介護が必要となった高齢者も、住み慣れた地域で自分らしい生活を継続できるのがメリットです。
特に、これから認知症高齢者の増加も見込まれますが、認知症高齢者の生活をそれぞれの地域で支えていく上で地域包括ケアシステムの早急な構築が望まれています。
ただ、人口が密集している都市部と過疎化が進んでいる地方では、高齢化の状況は異なります。ですので、地域の状況に応じた対応を進めていくことが必要です。
高齢化が進む中で特に重要なのは、「介護予防」です。川口市では、以下のような介護予防事業を行っています。
- 健康アップ教室(体操等)
- 口腔教室
- 生き生きデイサービス(体操・講話・レクリエーション等)
- 介護予防ギフトボックス(市内の介護予防教室等を紹介)
- 老人大学
- 元気づくり推進リーダー養成講座・介護支援ボランティア
他にも、市内20箇所の地域包括支援センターでネットワーク会議や個別支援の地域ケア会議を随時開催しています。
川口市の緊急通報装置の貸与制度
川口市には、緊急通報装置の貸与制度があります。「疾患要件あり」と「疾患要件なし」の2つのタイプがあります。
「疾患要件あり」の対象者は、慢性疾患・発作性疾患などで容態が急変するおそれのある、おおむね65歳以上の単身高齢者・高齢者世帯の方です。対象となる傷病は、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・脳出血などです。
何らかの緊急事態があった時に緊急通報装置のボタンを押せば受信センターにつながります。必要があればすぐに救急車を要請してもらえます。機器の貸与は、無料です。
「疾患要件なし」の対象者は、おおむね65歳以上の単身か高齢者世帯の方です。緊急を要する非常事態があった時は、受信センターに通報し、必要なら救急車を要請できます。
固定型と携帯型があり、事業者一覧(固定型・携帯型)の中から1社を選び契約を結びます。こちらは有料です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
サ高住は安心・快適に暮らせる高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の方に安心して暮らしていただくための住環境、及び安否確認・生活相談などのサービスを備えた住宅です。
一般に「自立・支援タイプ」と「介護・認知症タイプ」の2種類に分かれており、入居者の要介護度に合わせて最適な住宅を選択することができます。
入居一時金0円で初期費用が抑えられる
サービス付き高齢者向け住宅は、多くの場合入居一時金0円で利用することができます。
ほとんどの施設で初期費用は敷金のみですので、他の種類の施設よりも利用を開始しやすいです。
月額費用は賃料・サービス料金・光熱費などが必要となり、外部の介護・医療サービスを利用する量が多くなるほど料金が高くなります。
なお、学研ココファンのサ高住は月額費用も厚生年金額を基準とした価格設定となっているため、他社よりも月々の費用を抑えることが可能です。
インスリン注射とは
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
健康な人であれば、体内では常に必要な量のブドウ糖が調整され、血糖値が安定しています。
食事により血中に取り込まれたブドウ糖に対して、膵臓からインスリンが分泌されることで、血糖値が正常な状態に保たれますが、この血糖値のコントロールにインスリンが必要な患者に対して、外部から注射でインスリンを補う治療法がインスリン注射です。
インスリン療法と呼ばれることもあり、注射でインスリンを補うことで、健康な人のインスリン分泌パターンを再現します。
インスリンを注射するペースは個々の状態で異なり、1日1~4回注射が必要になります。
インスリン注射が必要な疾患の種類
インスリン注射が必要になる疾患で代表的なものは糖尿病です。
糖尿病には、下記の2種類あります。
疾患名 |
主な症状 |
1型糖尿病(インスリン依存型) |
インスリンの分泌が絶対的に不足・欠乏 |
2型糖尿病(インスリン非依存型) |
遺伝的素因と生活習慣によりインスリンの効きが悪くなる |
1型糖尿病
1型糖尿病は、子供や若い方に多く見られる糖尿病です。
インスリンを分泌するβ細胞が破壊され、膵臓でインスリンが生成できない状態になり、高血糖状態が続きます。
そのため、インスリン注射によってインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌はありますが、正常な量が分泌されていなかったり、働きが悪かったりして血糖値が下がらない状態になります。
遺伝的な要因の他、生活習慣によって発症することがあり、主に中高年での発症が中心です。
注射によってインスリンを補うこともありますが、生活習慣の改善が治療の中心になります。
糖尿病患者は増加傾向にある
日本で糖尿病にかかっている患者は1990年代後半には、厚生労働省調査によると690万人でしたが、年々増加傾向にあり、2016年の糖尿病人口は糖尿病予備群と呼ばれる人も含めると2,000万人以上になるともいわれ、日本人の5~6人に1人が糖尿病予備群以上の状態と推察されます。
年齢別に見ると、60歳以上の患者が多く、70代以上では糖尿病患者は400万人以上となり、高齢になるほど発症確率が上がる疾患でもあります。
そのため、老人ホームなどの介護施設でも、インスリン注射が必要な方の受け入れが増加傾向にあります。
インスリン注射が必要な方の介護施設選びのポイント
インスリン注射が必要な方でも、介護施設に入居することが出来ます。
入居する場合の施設選びのポイントを紹介します。
血糖値を適切に保とう
糖尿病の方にとって、低血糖状態は命にかかわる事態になります。
患者本人による、運動や生活習慣の改善などで血糖値を適切に保つ努力も重要ですが、施設に入居する場合には、
- インスリン注射をしっかり継続出来ること
- 食事療法が行えたり、適切な摂取が出来ること
- 低血糖による急変時に対応がしっかりしていること
こうした対応で、血糖値を正常に保つための管理をしている施設や、低血糖による緊急時の対応がしっかり出来る施設を入居条件にしましょう。
自己注射できる状態か念入りに確認しよう
インスリン注射は医療行為になるため、接種出来るのは医師か看護師、もしくは本人、病院で指導を受けた家族になります。
介護施設に入居後も本人が継続して自己注射が出来れば問題はないのですが、身体に麻痺が出たり、認知症になったりして、本人による自己注射が出来なくなった場合の介護施設の対応は十分に確認する必要があります。
老人ホームなどの入居施設でも、接種出来るのは医療従事者のみなので、介護職員は摂取することが禁止されています。
そのため、施設に入居する場合は、看護師が常駐しており、インスリン注射の対応が可能なことが絶対条件になります。
また、糖尿病と認知症には、実は深い関わりがあります。
高血糖状態が長く続くと、認知機能が低下しやすくなることが分かっています。
糖尿病の方と、そうではない方を比べると、
- アルツハイマー型認知症には約1.5倍
- 脳血管性認知症には約2.5倍
糖尿病の方のほうが認知症を発症しやすいという報告があります。
また、軽度の認知障害がある場合は、認知症へと発展する可能性があります。
高血糖状態だけが認知症に直結しているわけではなく、実は重症な低血糖状態でも、認知症になるリスクが高くなると言われています。
認知機能の低下によって、糖尿病の治療の必要な内服やインスリン注射、食事の管理などが出来なくなると、糖尿病の悪化にも繋がるため、施設に入居する際は十分な確認が必要になります。
インスリン注射の頻度も施設選びに重要
インスリン注射を行う回数は、患者それぞれで異なり、1日複数回必要な方もいます。
1日の中で接種するタイミングも異なります。
本人による自己注射が出来ない場合には、看護師に接種してもらう必要があるため、自分が接種するタイミングに看護スタッフが勤務していることが入居条件になります。
たとえば、1日2~3回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設や、看護師が常時勤務している施設を選びましょう。
1日4回接種が必要なら、24時間看護師が常駐している施設を選ぶようにします。
治療も兼ねてくれる施設を選ぼう
単に糖尿病患者でも受け入れてくれる、という施設ではなく、食事、運動療法にも力を入れている施設を選ぶことが望ましいです。
糖尿病の治療には、インスリン注射や服薬を行っていても、運動療法や食事療法も継続して行うことが大切です。
食事療法のために、糖質の管理やカロリー制限などに対応している施設や、運動も出来る施設を検討しましょう。
また、糖尿病によって起こる、潰瘍や感染、壊疽など糖尿病足病変を予防するフットケアなどを行っている施設も魅力的です。
インスリン注射が出来る介護施設の費用のポイント
インスリン注射に対応可能な、ココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになります。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
267,567円 |
194,250円 |
全国 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
city |
162,088円 |
156,578円 |
全国 |
169,518円 |
158,250円 |
学研ココファンでは、多くの施設で充実の医療体制を整えています。
そのため、インスリン注射に対応できる施設で探した場合でも、費用が高くなることはありません。
インスリン注射が必要な方の入居条件
インスリン注射が必要な方に対して、施設側から入居条件を指定することは特にありません。
ただ、インスリン注射を行う回数によっては、施設側の対応が課題になることもあり、入居が難しくなることもあります。
糖尿病の進行によっては、現在と異なる症状がみられることがあり、著しい高血糖になった場合、口の乾きや多飲・多尿・体重減少・昏睡などの症状が出ることがあります。
また、治療によって低血糖を起こす可能性があることや、糖尿病の三大合併症を引き起こす可能性もあります。
変化する症状に対して、様々な状態を過程した上での施設選びが重要になっていきます。
まずは入居を検討した段階で、症状をしっかりと伝えて相談してみることが大切です。
介護施設に入居する際のリスク
いくら食事、運動療法に力を入れている老人ホームでも、看護師が24時間常駐している老人ホームでも、老人ホームはあくまでも生活をする場所です。
病院とは異なるため、専門的な治療を行うことは出来ません。
そのため介護施設に入居中、もし症状が悪化した場合や、医療ケアが常時必要になった場合、入居する施設では対応しきれずに退去しなくてはならない場合もあります。
入居を継続出来た場合でも、病院ほど専門的なケアが受けられたり、常に医師や看護師がいる病院とは異なるため、生活の場として安らげる老人ホームか、医療面で安心できる病院か、という判断が必要になる可能性があります。
QOLの低下により、老人ホームでの暮らしにくさを感じることもあるかもしれません。
想定出来る様々な状況に応じて、ご本人が納得出来る適切な判断が出来るように、入居する施設の医療スタッフとは、しっかりコミュニケーションをとっておくようにしましょう。