東京都の老人ホームの特徴
東京都の老人ホームの特徴と、東京都の老人ホームの現状について解説します。
東京都の地理的特徴と介護施設の特徴
東京都はどのような都市なのか、また、東京都の介護施設の特徴について解説します。
東京都の地理的特徴
東京都は日本の首都であり、人口は2021年11月1日現在で1,404万3,239人です。
東京は政治の中心であることや、さまざまな商業施設、観光地などがあることから「穏やかには住めない」「住みにくい街」といったイメージがある方もいるのではないでしょうか。
しかし、実際にはバリアフリーやユニバーサルデザインなど関する条例があり、誰もが住みやすい街づくりが目指されているため、高齢者でも住みやすい街が多いと言えます。
特に、高齢者対策では、東京都が 「高齢者保健福祉計画」 を推進しています。
地域で支え合いながら、高齢者がいきいきと心豊かに、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる東京の実現
引用:東京都
高齢者保健福祉計画は、この理念のもと高齢者が暮らしやすい街になるようさまざまな施策を実施するものです。
東京都の介護施設
東京都の介護施設は全国で最も多いため、どの介護施設に入居するかは幅広い選択肢があります。
また、医療ケアの体制が整っている施設も多いので、持病がある方や、入居後の健康に不安をお持ちの方も、安心して住める施設を選びやすいでしょう。
しかし、東京都の介護施設は、他の地域と比べると費用が全体的に高めである点には注意が必要です。
特に東京都内でも、高級住宅街が並ぶ地域にある施設などは、入居一時金が億単位であることも珍しくはありません。
もちろん、このような高収入の利用者を対象とした施設では、月額利用料も高くなっています。首都圏にある他の県の平均と比べると、月額利用料も2万円~3万円は高いのが一般的です。
ただ、23区内でも、一般住宅が並ぶ区であれば、入居一時金や月額利用料が支払える範囲内である安めの施設もあります。
とは言え、東京都の施設は全体的に費用が高めであり、他の地域の施設並みに安く入居できる施設はほとんどないと考えた方がよいでしょう。
比較的安めの施設であっても、23区内の一部や、23区外にある市の一部の施設に限られます。
東京都の介護施設価格概観
東京都にあるココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値を、全国のものと比較した結果は以下のとおりです。
<入居金>
地域 |
平均値 |
中央値 |
東京都 |
619,880円 |
248,000円 |
全国平均 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
東京都 |
208,430円 |
200,350円 |
全国平均 |
169,518円 |
158,250円 |
表を見てわかるように、全国のココファンの施設の中でも、東京都にあるココファンは入居金・月額費用ともに、施設のご利用をするよりも高めの費用がかかってしまいます。
ただ、提供されるサービスは信頼できるものであり、安心して利用できます。
東京都の高齢者人口
2021年度9月時点で、東京都の高齢者人口は311.5万人と発表されています。
20年前の2001年度は、高齢者人口が195.9万人でした。
2006年からは200万人台となり、2016年には300万人を突破しました。東京都の高齢者人口は年々増加していることがわかります。
人口に占める高齢者の割合を占める高齢化率は2021年度は23%以上です。生産人口(15歳~64歳)の減少に伴って、高齢化率は今後も増加していく見込みです。
出典:東京都公式ホームページ
東京都の介護施設の状況
以下の表は、東京都にある75歳以上千人あたりの施設数を、東京都と全国で比較したものです。
<東京都の種類別施設数>
種類 |
施設数 |
75歳以上千人あたりの施設数(東京都) |
75歳以上千人あたりの施設数(全国) |
訪問型介護施設数 |
4,544 |
3.09 |
3.25 |
入所型介護施設数 |
1,683 |
1.15 |
2.17 |
特定施設数 |
723 |
0.49 |
0.32 |
居宅介護支援事業所数 |
3,112 |
2.12 |
2.41 |
福祉用具事業所数 |
858 |
0.58 |
0.80 |
介護施設数(合計) |
14,868 |
10.12 |
12.40 |
東京都は介護施設が多い都市であるとは言っても「75歳以上千人あたり」の施設数・事業所を割り出すと、全国よりも数が足りない状態です。
特定施設は全国よりも0.17ポイント上回っていますが、それ以外の施設・事業所は全国よりも少なくなっています。
ただ、介護施設の合計も全国よりも2ポイント以上低いものの、10は超えていますので、介護施設数自体が少ないわけではありません。
東京都の要介護認定者数
2019年度時点で、東京都の要支援・要介護認定者数は312万人です。
2007年度からの調査では、要介護認定者と認定率(65歳以上の人口に占める要介護認定者の割合)はともに年々増加しています。
ただ、東京都によると、認定者数は今後減少すると推測されます。一方、人口の減少に伴って、認定率は増加が見込まれます。また、サービス利用者数も増加の一途を辿っています。
出典:東京の高齢者と介護保険 東京都公式ホームページ(令和2年)
東京都の高齢者相談窓口は?
東京都で設置している高齢者相談窓口には、東京都福祉サービス運営適正化委員会があります。
福祉サービスを受ける際は 「スタッフの態度が悪かった」「聞いていたサービスと違った」 などの理由で満足いくサービスが受けられないことがあります。その場合の苦情の伝え方には三種類あります。
- 担当者や事業所の苦情担当者に伝える
- 住んでいる市区町村や、施設がある市区町村の担当者に伝える
- 市・区の機関に伝える
しかし、担当者や事業者、市区町村の担当者には伝えられない方や、第三者機関に苦情を解決してほしい方もいるでしょう。
その場合に利用できるのが、東京都が設置している福祉サービス運営適正化委員会です。
東京都福祉サービス運営適正化委員会では、以下の対応をしています。
相談は匿名ですることができ、解決方法の提案や、他の機関の紹介などを行います。
苦情申し立ては、相談だけでは終われない内容に対して調査を行い、虐待などの問題がある場合には、東京都に対して行政指導を要請します。
参考:東京都社会福祉協議会
東京都独自の介護サービスについて
東京都では、これまで利用者の介護予防に力を入れていました。しかし、介護予防に集中するあまり、利用者が社会の一員であると実感できるようなサービスは足りなかったのが実情です。
そこで、現在では高齢者が地域住民同士で交流できるサービスが多数実施されています。
また、東京都では、介護予防は引き続き行いながらも、高齢者の生活支援もすることで、より支援側と高齢者とのコミュニケーションを密にする計画です。
そのためには、都全体ではなく、市・区や地域単位での支援が必要です。 東京都の各地で行われている、新たな介護サービスに関する活動をご紹介します。
大学、喫茶店などに、高齢者の方が集まりコミュニケーションが取れる居場所づくりをしています。
介護予防運動、子供と高齢者の交流などを行っています。
地域住民が、高齢者の方の困りごとを助けるボランティアを行っています。
東京都の地域包括ケアシステム
東京都では「東京都保険福祉計画」に基づき、2025年までに地域包括ケアシステムの完成を目指しています。
地域包括ケアシステムとは、高齢者への住まい・医療・介護・予防・生活支援といったサービスを、地域で一体的に提供できるシステムです。
地域包括ケアシステムの完成は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途にされています。
地域包括ケアシステムは、要介護認定をされた方でも、以前から暮らしている地域で、最期まで自分らしい暮らしができることを目的としています。
地域包括ケアシステムは、都道府県や市区町村が地域の自主性に基づき、地域の特色に合わせたシステムを作り上げることが必要です。
東京都の場合、一人暮らし高齢者が孤立しないよう、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が多く用意されています。
また、先ほども述べたように、高齢者の方が孤立しないよう、ボランティアによる生活支援、見守り活動があります。
このボランティアには高齢者の方々も参加しています。高齢者が高齢者を支える仕組みも出来つつあるのです。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
サ高住は安心・快適に暮らせる高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の方に安心して暮らしていただくための住環境、及び安否確認・生活相談などのサービスを備えた住宅です。
一般に「自立・支援タイプ」と「介護・認知症タイプ」の2種類に分かれており、入居者の要介護度に合わせて最適な住宅を選択することができます。
入居一時金0円で初期費用が抑えられる
サービス付き高齢者向け住宅は、多くの場合入居一時金0円で利用することができます。
ほとんどの施設で初期費用は敷金のみですので、他の種類の施設よりも利用を開始しやすいです。
月額費用は賃料・サービス料金・光熱費などが必要となり、外部の介護・医療サービスを利用する量が多くなるほど料金が高くなります。
なお、学研ココファンのサ高住は月額費用も厚生年金額を基準とした価格設定となっているため、他社よりも月々の費用を抑えることが可能です。
在宅酸素療法とは
この記事は医師に監修されています
中部脳リハビリテーション病院 脳神経外科部長
矢野 大仁 先生
在宅酸素療法とは、何らかの疾患や症状により、血中の酸素が不足している方に、空気より濃い濃度の酸素を投与する治療法です。
入院中だけでなく自宅で酸素療法が行えるように、自宅に酸素濃縮装置を設置したり、持ち運び出来る小型の液化酸素装置を使用したりします。
在宅酸素療法は、英語で「Home Oxygen Therapy(家・酸素・治療)」というため、頭文字を取りHOT(ホット)と呼ばれることがあります。
在宅酸素療法が必要な人・疾患
在宅酸素療法が必要な疾患名 |
主な症状 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
慢性気管支炎と肺気腫をまとめた疾患。喫煙などの有害物質や大気汚染が原因。気管支、細気管支、肺胞などに慢性の炎症が生じ、肺機能が破壊されて上手く息が吐けなくなる病気。咳、痰や体動時の息切れがみられる。
|
肺結核後遺症 |
結核は結核菌による感染症であるがその後遺症のこと 結核が治癒しても、重い後遺症で肺機能が低下し、慢性呼吸不全になる場合がある |
肺癌 |
肺の悪性腫瘍。肺切除術あるいは腫瘍の進行により息切れが起こる |
間質性肺炎 |
肺の間質に炎症や損傷がおこり、壁が厚く硬くなって、酸素と二酸化炭素のガス交換がうまくできなくなる。乾いた咳や体動時に息切れが見られる |
慢性心不全 |
血液を送り出すポンプの役割を持つ心臓が、各臓器に十分な血液や栄養を送ることができなくなる状態が、長期間にわたって起こる |
肺高血圧症 |
心臓から肺に血液を送るための血管である肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなることで、心臓と肺の機能障害をもたらす。倦怠感や体動時に息切れが見られる。進行性で予後不良。 |
上記のような疾患や症状によって、身体にとって十分な酸素が補充出来ない場合に在宅酸素療法を取り入れます。
酸素濃縮装置を使用し、身体に十分な酸素を取り込むことで、呼吸困難の症状が軽減されたり、QOLが向上することが期待されます。
在宅酸素療法を行っている人の数は年々増加傾向にあり、2020年現在は約16万人以上の患者がいます。
在宅酸素療法の保険
長く続ける必要もある在宅酸素療法では、専用機材を使用し、ボンベの交換などもあるため、費用を気にする方もいると思います。
費用については、社会保険や介護保険を利用することで、負担を減らすことが出来ます。
社会保険
在宅酸素療法は、条件を満たした場合に健康保険の対象となり、個人負担は1~3割で利用することが出来ます。
適用条件は下記の通りです。
医師が在宅酸素療法が必要であると認めた、在宅酸素療法導入時に動脈血酸素分圧55mmHg以下あるいは動脈血酸素分圧60mgHg以下の方で睡眠時もしくは運動負荷時に著しい低酸素血症を来たす方。
NYHA III度以上であると認められた方のうち、睡眠時にチェーンストーク呼吸があり、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上で確認されている方。
- 肺高血圧症
- チアノーゼ型先天性心疾患
- 高度の群発頭痛 群発期間中の患者で1日1回以上の群発発作を認める方
以上が健康保険が適用される条件です。
毎月の費用目安は、機材のリース・ボンベ交換などで、下記の金額が目安になります。
- 1割負担 7,680円
- 2割負担 15,360円
- 3割負担 23,040円
上記金額は症状などによっても異なりますが、高額療養費制度を利用すれば、減免措置を受けることが出来ます。
介護保険
在宅酸素療法を行う方で、何等かの支援が必要になった場合は、介護保険を利用し、介護サービスを受けることが出来ます。
介護保険は、要支援1~2・要介護1~5まで区分が分けられ、それぞれ介護が必要な状態等を判断し、認定されます。
介護保険の等級によって受けられるサービスが異なります。
また、なかでもCOPDの方は老化が原因とされる病気の1つに認められているため、医療保険加入者で介護保険法が定める要介護状態もしくは、要支援状態になった方であれば、40歳から第2号被保険者として介護サービスを受けることが出来ます。
在宅酸素療法を行う患者数
在宅酸素療法を行う方は、約16万人以上と言われています。
そのうち、約7割の方が呼吸器系の疾患を持っている方です。
2004年の診療報酬改定から、慢性心不全の患者さんも在宅酸素療法が保険適用となり、さらに2018年からは群発頭痛の方へも保険適用で在宅酸素療法が行えることになりました。
現時点では、呼吸器以外の疾患でも在宅酸素療法の有効性が認められており、在宅酸素療法を行う方は増加傾向にあります。
患者の年齢分布では65歳以上の割合が多く、在宅酸素療法を受け入れられる施設の増加も期待されています。
在宅酸素療法が可能な介護施設を探すポイント
在宅酸素療法を行っている方でも、老人ホームなどで介護施設に入居することが出来ます。
老人ホームは基本的に、バリアフリー設計がされていることがほとんどで、移動用のポータブルボンベを使用していても、快適に移動することが出来ます。
動悸や発熱、むくみや息苦しさといった体調の変化にも気を配ってもらえるため、安心して生活をすることが出来ます。
ただし、入居にあたってはいくつかのポイントをしっかり確認する必要があります。
酸素ボンベが十分に備えられているか
在宅酸素療法の方を受け入れている老人ホームなどの介護施設では、施設が直接酸素取扱い業者と提携しており、ボンベ交換や補充など、酸素の管理を施設が行っています。
補充用や、緊急時に必要なボンベ類は、施設で管理されているため、万が一装置が壊れた場合などに予備の装置やボンベがしっかり備えられていると安心出来ます。
在宅酸素療法は医療行為のため介護職員は管理できない
在宅酸素療法の治療に関わる部分は医療行為になります。
そのため、介護スタッフが行うことは出来ないため、ご本人か看護師が日常の管理をすることになります。
居室用の酸素濃縮装置から、移動用のポータブルボンベへの切り替えは、介護スタッフがサポートしてくれますが、医療に関わる管理を行うことは出来ません。
介護施設に入居を検討する場合は、
- 看護師などの看護スタッフが24時間常駐している
- 医療機関との連携がしっかりされている
- 医師が24時間対応できる体制が整っている
こうした施設を選ぶようにしましょう。
医療機関との連携をチェック
在宅酸素療法を行っている方は、月に1度程度の定期的な検診が必要です。
また、息苦しさなどの体調不良や、異変があった場合に、すぐに医師の診察を受けられる環境であることが大切です。
酸素流量や吸引時間などは医師から指示があるため、看護スタッフが行います。
体調の変化に伴った対応がすぐに出来る環境であることが重要になるため、近隣の病院と連携し、医師と24時間連絡が取れる体制が取れている施設など、医療ケアに力を入れている施設だと安心出来ます。
在宅酸素療法が必要な方の入居条件は?
在宅酸素療法の方を受け入れている老人ホームは増えてきていますが、入居にあたってはいくつかの条件を設けている施設が多いです。
その一例は、
- 自分で在宅酸素の管理が出来ること
- 管理が難しい人工呼吸器などを使用していないこと
このような例では、入居を制限される場合があります。
また、酸素ボンベは取扱いに注意が必要です。
火気厳禁となるため、持ち込める酸素ボンベの量に制限があったり、施設から保管位置を指定されたりすることもあります。
在宅酸素療法が可能な施設の費用相場
在宅酸素療法が可能な、ココファンの介護施設の入居金・月額費用それぞれの平均値・中央値は以下のようになる
<入居金>
施設の種類 |
平均値 |
中央値 |
在宅酸素療法に対応可 |
267,567円 |
194,250円 |
全ての施設 |
297,256円 |
194,500円 |
<月額費用>
地域 |
平均値 |
中央値 |
在宅酸素療法に対応可 |
162,088円 |
156,578円 |
全ての施設 |
169,518円 |
158,250円 |
学研ココファンでは、多くの施設で万全な医療体制を整えていますので、在宅酸素療法に対応可能であっても利用費用が高くなることはありません。
【注意点】認知症の方は入居を断られる場合も
在宅酸素療法を行っている方を受け入れている施設でも、
このような場合に、入居を断られる場合があります。
また、入居後でも身体状況が大きく変わった場合、退去せざるを得なくなることもあります。
施設で対応できる医療ケアは、想定される内容以外もしっかり確認しておくと安心出来ます。
緊急時や、夜間の対応についても確認が必要です。
そして、医療機関との連携体制を確認すると共に、提携している医療機関の診療科目なども調べておくといいです。