介護福祉士から取れる資格は?スキル・キャリアアップに適した資格と取得方法まで解説

「介護福祉士から取れる資格には何がある?」 「キャリアアップするためにおすすめの資格や方法について詳しく知りたい!」 このようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?

介護福祉士は、介護の分野で唯一の国家資格です。介護福祉士の資格を取得することで介護に関する知識や必要な技能を習得しているということを証明することができます。 しかし、介護福祉士からキャリアアップしたいけれどどうすればいいか分からないという方も多いかと思います。 そこで今回は、介護福祉士から取れる資格について徹底的に解説します。資格取得以外のキャリアアップ方法についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。 この記事を読めば、介護福祉士から取れる資格について把握し、自分に合ったスキルアップ方法を見つけることができるでしょう。

介護福祉士から取れる資格についてざっくり説明すると
  • 介護福祉士から資格を取得する場合は目的を明確にすることが大切
  • より専門的な知識・技術を学ぶことで転職に有利になる
  • 介護福祉士の知識や経験を活かし、さらに仕事の幅が広がる資格を取得することで様々な場所で活躍できるようになる
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介護福祉士のスキルアップのために取れる資格

介護士

介護福祉士は、排泄介助や入浴介助などの身の回りの介助を行いながら、介護ニーズのある方の生活に向き合うことでその方の生き方や生活全体を支援・サービスの提供を行う役割を担います。 介護福祉士資格は介護分野における唯一の国家資格です。 では、介護福祉士からステップアップするためにはどのような資格を取ればいいのでしょうか。 資格の取得に悩む場合、「どのようなステップアップを望んでいるのか」ということを具体的に考えることで、自分に必要な資格やとるべき行動が明確になります。 この見出しでは、介護福祉士としてスキルアップしたいと考えている方におすすめの資格について紹介していきます。

喀痰吸引等研修

「喀痰吸引等研修」とは、介護職員が「喀痰の吸引」と「経管栄養」を行えるようになるための研修のことです。

  • 喀痰の吸引:口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部
  • 経管栄養:胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養 実務者研修の「医療的ケア」で喀痰の吸引や経管栄養などについての学習及びシミュレーターでの演習の機会があるため、「喀痰吸引」という名前を聞いたことのある人は多いかと思います。 しかし、介護福祉士の資格を持っていても喀痰吸引等研修の資格がないと「喀痰吸引等」の実施はできません。 喀痰吸引研修は、実施可能な治療方法や治療を行える患者さんの症状などによって、第1号・第2号・第3号研修に分類されます。研修期間はそれぞれ1ヶ月~4ヵ月程度です。 また、実際に当該処置が行えるようになるためには「申請を出して認定を受けること」「就業処置が喀痰吸引の許可を受けていること」などの条件があります。実際に活用するためには制約も多いスキルとなっていますが、介護福祉士としてのスキルを上げるためには非常に価値のある資格です。 実践的ですぐに役立つ資格を取得したい人や、介護職としての仕事の幅を増やしたい人にはおすすめの資格だと言えるでしょう。

受験資格・取得方法

喀痰吸引等研修を受けるにあたり、受験資格は特に必要ありません。ただし、実務者研修や介護福祉士の資格を持っていることで有利に働くでしょう。 研修に必要な費用はそれぞれ以下の通りです。

  • 第一号研修:23万6,500円(税込)
  • 第二号研修:18万4,800円(税込)
  • 第三号研修:4万480円(税込)

喀痰吸引等研修は講義と演習の基本演習、そして実地研修からなっています。この2つを修了することで、医師の指示や看護師との連携のもと喀痰吸引や経管栄養の実施が可能になります。

認定介護福祉士

認定介護福祉士は、介護福祉よりも上級の資格として位置づけられている資格です。介護福祉士が国家資格であるのに対し、認定介護福祉士は2015年12月から開始した比較的新しい民間資格となっています。 認定介護福祉士の研修カリキュラムは、認定介護福祉士養成研修Ⅰ類と認定介護福祉士養成研修Ⅱ類に分類されており、それぞれ受講条件が異なります。 研修に必要な時間は600時間とされており、期間にすると資格取得までに約1年半~2年かかります。 その分、現場をまとめる指導力やマネジメント能力、より専門的な介護スキル、キャリアアップに有利となるスキルの習得など、広範な役割を担うことが可能です。 スキルアップだけではなく、介護現場のリーダー的存在へとキャリアアップを狙う方にもおすすめの資格と言えるでしょう。

受験資格・取得方法

認定介護福祉士の研修カリキュラムは2種類あります。受講期間は1年半~2年程度で、それぞれの受験資格は以下の通りです。 <認定介護福祉士養成研修Ⅰ類>

  • 介護福祉士資格を取得し、さらに5年以上の実務経験があること
  • 介護職員を対象とした現認研修の受講歴が100時間以上あること
  • 研修実地団体が課すレポート課題、または受講試験で一定水準の成績を修めること

<認定介護福祉士養成研修Ⅱ類>

  • 認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を修了していること
  • 介護職の小チームリーダーとして実務経験を積んでいること 受講費用は、研修を受ける介護福祉士会の会員の場合が30万円前後、非会員の場合が60万円前後となります。 認定介護福祉士養成研修Ⅰ類・認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の両方を修了することで認定介護福祉士の資格を取得することが可能です。

ガイドヘルパー

ガイドヘルパーは、正式名称を「移動介護従事者」と言い、視覚障害や全身障害、知的障害などの理由により1人での移動が困難な方の移動の支援を行います。 日常生活を送る上で欠かせない移動の支援はもちろん、患者のプライベートでの外出などのサポートも行います。施設内での誘導、買い物の付き添い、通勤・通学など、様々な場面で活かせる資格です。

受験資格・取得方法

ガイドヘルパーの受験資格は、各都道府県ごとに異なります。受験の際は、必ず各都道府県の資格要件を確認しましょう。 ガイドヘルパーになるためには、以下のいずれかを修了する必要があります。

  • 同行援護従業者養成研修
  • 全身性障害者ガイドヘルパー養成研修
  • 行動援護従業者養成研修

それぞれの研修ごとに対象としている患者が異なります。資格取得の際は、自分に必要のある研修を選択して受講してください。それぞれの研修期間は2~3日程度です。

介護予防運動指導員

介護予防運動指導員は、利用者が年をとっても自分らしく生きられるようなサポートを行う職業です。筋力トレーニングや介護予防プログラムの作成などを通し、高齢者の方の運動や生活習慣に関する適切な支援を行います。 講座では、筋力トレーニングの方法や転倒予防、認知症予防、栄養改善、航空機能改善など、様々な内容を学ぶことが可能です。資格取得に必要な期間は31.5時間。比較的短い研修時間で健康維持や予防に関する内容を学ぶことができます。 運動や食事といった面から人々の暮らしに対してアプローチしたい方や、高齢者の方の自立した生活をサポートしたい方などにおすすめの資格と言えるでしょう。

受験資格・取得方法

介護予防運動指導員の研修期間は31.5時間で、講義と実習からなります。介護予防統計学や転倒予防、失禁予防、筋力トレーニング、口腔機能向上の方法論などの講習を通し、知識と実践力を養います。 資格取得に必要な条件は以下の通りです。

  • 初任者研修(ホームヘルパー2級)の資格取得に加え、2年以上の実務経験
  • 介護職員基礎研修課程修了者、実務者研修修了者
  • 介護支援専門員の資格を保持している方
  • 健康運動指導士等の資格を保持している方
  • 医師・保健師・看護師・社会福祉士・介護福祉士など介護・医療分野の国家資格や公的資格を保持している方

資格取得に必要な費用は9万前後となっています。

レクリエーション介護士(1級・2級)

介護施設で働く場合、ほとんどの人がレクリエーションの企画や実行を担当することになります。そんなときに役立つ資格がレクリエーション介護士の資格です。 レクリエーション介護士の講座は、高齢者とのコミュニケーション能力やレクリエーション企画についての知識及び実施方法に明るい介護士を養成することを目的としています。 レクリエーション介護士の資格を取得することにより、施設介護の場面で頻繁に行われるレクリエーション企画を利用者の方に常に楽しんでもらえるような企画力・技法を習得することが可能です。 また、前述したようにコミュニケーションの方法に関しても学習内容に含まれるため、総合的な意思疎通能力を向上させることもできるでしょう。 この資格には2級と1級があり、1級の方が上位の資格となっています。2級の場合、取得に必要な期間は通学で2日間、通信講座で約3ヶ月程度。1級の場合は3カ月~6ヶ月程度の期間が必要です。

受験資格・取得方法

レクリエーション介護士の資格は1級と2級に分類されます。 2級の研修期間は通学講座の場合は2日程度、通信講座の場合は3ヶ月程度となっています。受験資格は特になく、希望者なら誰でも受験することが可能です。 1級の研修期間は3ヶ月~6ヶ月程度で、以下の内容となっています。

  • 通学もしくは動画にて4日間の講座
  • 筆記+実技の試験
  • 計3施設での現場実習
  • 必要書類の提出 1級の研修を受けるためには、レクリエーション介護士(2級)の資格を所有していることが条件となります。 それぞれの受験費用は以下の通りです。
  • レクリエーション介護士(2級):3万5,000~4万円
  • レクリエーション介護士(1級):9万1,300円
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介護福祉士としてのキャリアアップに役立つ研修

介護福祉士としてのキャリアアップに役立つ研修

次は、介護福祉士としてのキャリアアップに役立つ研修を3つ紹介していきます。

ファーストステップ研修

ファーストステップ研修とは、小規模のチームリーダーを養成することを目的とした研修です。 この研修では、チームリーダーとしてのリーダーシップの向上、そして介護の専門性を高めることができます。 さらに、自己分析により実際の自分の業務を振り返ることも可能で、研修を通して利用者や職場の仲間からの信頼をより得られる仕組みとなっています。 ファーストステップ研修の対象者は、介護福祉士資格を取得し、2年程度の実務経験を積んだ方です。全国社会福祉協議会から認定された養成施設にて受講することができます。

研修を通じて習得する知識やスキルは、チームリーダーとしての役割を果たす上で非常に重要です。ファーストステップ研修を受講することで、より一層の成長とキャリアの発展が期待できます。 カリキュラムの総時間数は232時間で、履修科目領域は以下の4つに分類されます。

  • ケア領域
  • 連携領域
  • 運営管理基礎領域
  • 総合評価 受験に必要な費用は14万円(日本福祉会会員の場合は9万円)です。

介護福祉士基本研修

介護福祉士基本研修は、介護福祉士資格取得後2年未満の方を対象とした研修で、ファーストステップ研修の前に受ける必要のあるものとなっています。受験のために実務経験を積む必要はありません。 介護福祉士基本研修は都道府県の各介護福祉会から申し込み可能です。近年、オンラインでの受講も対応しているため、比較的取りやすい研修と言えるでしょう。 研修にて学ぶ内容には以下のようなものがあります。

  • 介護福祉士の役割の理解と介護視点
  • 自立支援の考え方
  • 災害における役割 など

認定介護福祉士養成研修

認定介護福祉士養成研修とは、介護福祉士の上位資格にあたる認定介護福祉士の資格を取得するために必要な研修です。Ⅰ類とⅡ類に分類されており、それぞれ受講要件や講義の内容が異なります。

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類

  • 介護福祉士養成課程では学ばない医療・リハビリ・認知症などの知識の習得
  • 小チームのリーダーへの指導に必要な知識の習得

<受講要件>

  • 介護福祉士資格取得後5年以上の実務経験
  • 現認研修受講歴100時間以上
  • レポート提出または試験で一定の成績を修めること

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類

  • 認定介護福祉士に必要な基本的知識に基づく応用力の養成
  • サービス管理に必要なツール・業務の改善
  • 地域の介護力を高める力の獲得 など

<受講要件>

  • 認定介護福祉士養成研修Ⅰ修了者
  • 介護職のリーダーとしての実目経験を有すること これらの研修を修め、介護福祉士資格取得後5年以上の実務経験を有することで認定介護福祉士の資格を取得することが可能です。

管理職・施設長などへのキャリアアップにおすすめの資格

介護福祉士と資格

次は、管理職など施設内でのキャリアアップを目指す際に役に立つ資格について紹介していきます。 これらの資格は介護福祉士とダブルライセンスすることでできる仕事の範囲がより幅広くなるため、施設内で出世したい人におすすめです。

精神保健福祉士

精神保健福祉士とは、精神に疾病や障害などを抱える方の社会復帰を支える職業です。資格を取得することで、心に病気を抱える方やその家族が社会に復帰し、健やかな日常を送ってもらえるような支援の技術を学ぶことができます。 また、医療分野や障碍者福祉分野、行政分野など幅広い分野で活躍することが可能になるため、様々なアプローチから利用者の方を支援することができるでしょう。 精神保健福祉士の資格を取得するためには、まず大学などで精神保健福祉士養成課程を修了する必要があります。

課程修了後、精神保健福祉士国家試験に合格するための受験資格を得るためのプロセスがあります。

例えば、国家資格取得支援制度や地方自治体の支援制度を活用することができます。詳細な受験要件や手続きについては、各試験の機関や関連組織のウェブサイトなどで確認することが重要です。

ケアマネージャー

ケアマネージャー(正式名称:介護支援専門員)とは、介護保険制度を利用している方やその家族、医療機関などと連携を取りながら利用者に合ったサービスを選択・提案することで利用者の生活のサポートを行う仕事です。 資格を取得すると、利用者に最適なケアプランの作成や利用者の方と施設との調整役としての仕事を行うことができるようになります。また、施設によっては介護などの業務を兼任する場合もあります。 資格を取得することで、キャリアアップや給料のアップにつながるというメリットがあります。知名度の高い資格で施設からの評価も高いため、就職時や転職時にも有利です。 研修は前期研修・実習・後期研修から構成され、受講期間は約18日間となっています。受講する場合、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 特定の国家資格を保持しており、5年以上の実務経験、900日以上の従事日数がある方
  • 生活相談員・支援相談員・相談支援専門員・主任相談支援員として通算5年以上の従事期間、900日以上の従事日数がある方

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社会福祉主事任用資格

社会福祉主事任用資格とは、都道府県や市町村の各行政機関で社会福祉に関わる仕事を行うために必要な資格です。主に全国約1,200ヶ所に設置された福祉事務所にて相談・指導・援助を中心とした支援を行っています。 社会福祉主事任用資格を取得した後、地方公務員試験に合格することで社会福祉主事として活躍することが可能です。 困っている方の相談を受け、寄り添いながら解決方法を考えていく仕事のため、責任感が大きい代わりに非常にやりがいを感じることのできる仕事と言えるでしょう。また、資格を取得することで、福祉施設で働く場合に有利になります。 社会福祉主事任用資格は以下のいずれかの条件を満たすことで取得できます。

  • 大学等で科目を3科目以上履修して卒業すること
  • 指定の学校の通信課程を修了すること
  • 指定の養成機関を修了すること
  • 都道府県等講習を受講すること
  • 社会福祉士もしくは精神保健福祉士の資格を取得すること

社会福祉士

社会福祉士とは、「社会福祉及び介護福祉法」で位置付けられた国家資格です。 社会福祉業務に関する専門的な知識・技術の習得を目的としており、取得することで身体・精神上に障がいがある方や環境上の理由により日常生活を送ることが困難になった方の相談を受け、助言や指導を行うことができるようになります。 社会福祉の主な仕事は相談業務です。社会福祉業務自体は無資格でも行うことができますが、資格を取得することで「社会福祉士」として社会的な信用を得ることができます。 職場によっては公務員として従事することも可能なため、安定した給料を得ることができるでしょう。さらに、給与水準が高いという特徴もあるため、給料アップを目指している方におすすめの資格となっています。 社会福祉士の資格の取得条件はルートごとに異なります。12通りのルートが存在するため、興味がある方は一度確認してみてください。受講期間や費用もルートごとに異なります。

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介護福祉士から取得すると免除される資格

介護福祉士の国家資格を活用して新たな分野の資格を取得したいと考えている方もいるかと思います。そんな方におすすめなのが、「保育士」資格です。 保育士の資格を取得するのに必要な試験は全9科目ありますが、介護福祉士の資格を持っている場合、以下の3科目の筆記受験が免除となります

  • 社会福祉
  • 子ども家庭福祉
  • 社会的養護
これらの試験内容は、介護分野と保育分野で重複する内容です。そのため、介護福祉士の資格を取得している場合、必要な知識が身についていると判断され、試験が免除されます。 保育士資格を取得することで、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」などの領域を意識して小さな子供の保育に関わることができるようになります。 身体的状況だけではなく、心情や感情などの内面からそれぞれのニーズをつかみ対応することで、子供の成長に立ち会えることが最大のやりがいと言えるでしょう。

保育園で働く看護師の仕事内容は?園内の役割や通常のナースとの違いを解説

保育士が活躍できる場は保育園だけではありません。 特に、介護福祉士の資格を保有している場合は、障がいのある子供を対象とした放課後デイサービスや児童発達支援センター、介護施設に併設されている保育所などでも重宝される存在となるでしょう。 子供に関わる仕事がしたいと考えている方や子育ての経験を活かしたいと考えている方は、おすすめの資格となっています。 保育士資格の取得条件は以下の通りです。ルートにより異なりますので、資格取得を検討している方は確認しておきましょう。
  • 保育系大学や短大、専門学校などを卒業すること
  • 大学、短大、専門学校に2年以上在学し、保育士試験に合格すること
  • (最終学歴が高校卒業の場合)2年以上の実務経験+保育士試験に合格すること
  • (最終学歴が中学卒業の場合)5年以上の実務経験+保育士試験に合格すること

その他のキャリアアップ方法

上記の資格を取得する以外にも介護福祉士の人がキャリアアップする方法はあります。この見出しでは、例として以下の二つの方法について紹介していきます。

  • 看護師になる
  • 個人として独立する

看護師になる

介護福祉士からキャリアアップを目指す場合、看護師になるというのも一つの方法です。 決して簡単な道ではありませんが、看護師という選択をすることで介護福祉士からステップアップすることができるでしょう。また、看護師の資格を取得することで業務の幅も広がります。 看護師になるためには、看護大学・看護短大・専門学校を卒業する必要があります。卒業までに必要な期間は3~4年程度です。なお、准看護師学校の場合は2年で卒業することができます。

個人として独立する

自分で訪問介護事業所などを開業し、個人として独立することもキャリアアップを図る上で有効な手段と言えるでしょう。独立の一番のメリットは、自分の理想の介護が実現できるという点です。 ただし、介護保険の指定事業者になるためには法人格が求められます。独立する場合は人材の確保や独立資金などがある程度必要になるということを念頭に置いて計画的に進めていきましょう。

介護の現場で役に立つ資格

ここまでは介護福祉士の資格を持っている人がキャリアアップのために取るべき資格を紹介してきました。 ここからは、介護福祉士の資格を未所持の人が介護の現場で活躍するために役立つ資格について紹介していきます。 これらの資格を持っていると介護の現場でできることが広がるため、介護系の資格を持っていない人はまず取ることをおすすめします。

介護福祉士

介護福祉士は、数ある介護資格の中でただ一つの国家資格です。 介護福祉士の資格取得を通し、深い専門知識と技術力を習得することで、利用者の方に対してよりレベルの高い精神・身体ケアを提供することができます。 また、現場の職員の育成・指導により、介護現場全体の介護レベルを上昇させるという役目も担っています。 介護福祉士の資格を取得することで、実際に利用者の方の身体に触れる身体介助や利用者の家事を全般的に担当する生活援助を実施することが可能になります。 また、現場のヘルパーへの指導やアドバイスを通し、介護サービスを引っ張っていく立場として活躍することができます。 介護という仕事をより高いレベルで行いたいという方や、自分が中心となって介護の現場を盛り上げていきたいというモチベーションを持つ方に非常におすすめの資格と言えるでしょう。

受験資格・取得方法

介護福祉士の研修期間は3カ月~6ヶ月程度です。国家資格であり、介護現場では重宝される資格のため、取得することで今後の給料アップやキャリアアップが期待できるでしょう。 介護福祉士の受験資格は以下の通りです。

  • 実務者研修+実務経験3年(1,095日)以上+十字日数540日以上
  • 介護職員基礎研修&喀痰吸引等研修+実務経験3年(1,095日)以上+十字日数540日以上 毎年1月に実施される筆記試験、そして3月に実施される実技試験に合格することで介護福祉士の資格を取得することができます。

介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)

介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)は、介護を始めて行う方が最初に取得するのに最適な資格です。 入門的な位置付けの資格となっており、研修では介護に関する基礎知識を学ぶことができます。また、身体介護や生活支援の場で求められる基本的なスキルを習得することもできます。 資格取得に必要な期間は最短1ヶ月。長くても4ヵ月程度となっています。働きながら資格を取得することもできるため、ヘルパーとして働くことを検討している方にはまず最初におすすめしたい資格と言えるでしょう。

受験資格・取得方法

介護職員初任者研修の資格取得には年齢や学歴の制限がありません。そのため、幅広い年齢の方が未経験から介護に関する研修を受けることが可能です。 研修のカリキュラムは130時間となっています。終了後、筆記試験に合格することで資格を取得することができます。

実務者研修(ホームヘルパー1級)

実務者研修とは、旧ホームヘルパー1級にあたる資格です。介護福祉士を目指す上で取得必須な研修となっており、研修では介護職として働くために必要な介護のプロセスや、認知症など考慮すべき疾患について学ぶことができます。 実務者研修を修了することで、訪問介護事業所において必須の役職となるサービす提供責任者になることが可能になります。 また、経管栄養や痰吸引などの基礎知識を身に付けることができるため、さらなるスキルアップへの橋渡しともなるでしょう。 研修期間は2ヶ月~6ヶ月程度。介護福祉士の資格取得に挑戦したいと考えている方はぜひ受講を検討してください。

受験資格・取得方法

実務者研修の受講費用は15万円~20万円程度です。なお、介護職員初任者研修を修了している方であれば3~5万円程度の費用で受講することができます。 受講にあたり必要な資格などはありませんが、初任者研修を取得しておいた方が有利になるでしょう。 実務者研修のカリキュラムは450時間となっています。各科目全ての講座を受講して終了判定を貰うことで資格を取得することが可能です。

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認知症のケアの助けとなる資格

介護全般の知識の他にも、専門的な知識を得ることで介護の現場で重宝される存在となるでしょう。中でも認知症は、介護の現場において特に考慮すべき病気の一つです。 ここでは、認知症の方と関わる上で助けとなる資格について紹介していきます。

認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修とは、認知症への深い理解と基礎的な知識及び技術を習得するための研修です。認知症患者の増加への対策として、2021年4月から無資格の介護職員全員に受講が義務化されました。 「認知症の人の理解と対応の基本」に基づくカリキュラムにより、認知症の人を取り巻く現状や病状に関する知識、そしてケアの技術などの基礎について学ぶことが可能です。 また、研修を受けると、チームケア実践の場で基本的な認知症ケアの提供を行うことができるようになります。 受講方法は以下のようなパターンがあり、住んでいる都道府県ごとに異なります。

  • eラーニング(講義)
  • eラーニング半日+集合型半日
  • 集合型研修 など

研修期間は6時間程度。受験資格は特にありません。研修に必要な費用はテキスト代や受講費を含めて無料~5,000円程度となっています。

認知症介護実践者研修

認知症介護実践者研修は、国が定めている認知症ケアに関して学ぶことができる研修です。認知症の方やその家族の方が安心して日常生活を送ることができるようなケアの知識・技術を持った職員の養成を目的としています。 基礎研修よりも深く、体系的に認知症介護について学ぶことができるため、研修を受けることでレベルの高いサービスの提供が可能になります。 また、施設によっては重宝される存在として資格手当が支給されるなどのメリットもあります。 認知症ケアに関するリーダーや指導者を目指す場合、必要な資格となっていますので、認知症介護に関してステップアップを図りたいという方はぜひ受講を検討してください。 費用は都道府県ごとに異なりますが、無料~2万5,000円程度が目安となっています。研修期間や受験要件も研修が実施される自治体によって異なります。

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修は厚生労働省が指定する研修で、認知症介護実践者研修の上位資格にあたります。 実践者研修を修了した方が、認知症介護におけるさらなる知識や技術、そしてチームで効果的に認知症介護を進めていくための指導力を養成することを研修の主な目的としています。 施設によっては配置が義務付けられている場合もあるため、就職・転職に有利に働く資格であると言えるでしょう。 研修を受けるには、「5年以上の実務経験+認知症実践者研修終了後1年以上」という受講資格が設けられていますが、各都道府県によって条件が異なる場合があります。 研修スケジュールや申し込み時期、費用なども各都道府県によって異なるため、受講を希望する場合は事前にホームページ等で確認してください。 カリキュラムは講義・演習、他施設実習、自施設実習から構成されており、合計3ヶ月程度の期間を要します。

認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が主催している民間資格です。2005年制定された比較的新しい資格で、認知症ケアに対する学識と高度な技術、そして倫理観を備えた専門技術史の養成及び日本の認知症ケア技術の向上を目的としています。 資格を取得する際は、「認知症ケアのプロ」と称されるほどの専門知識と技術を学ぶことが可能です。そのため、介護や医療、福祉業界において知名度が高く、就職・転職時に非常に有利な資格となっています。 受験資格は「試験実施より過去10年間に認知症ケアに関する施設や団体、期間などで認知症の方に関わる3年以上の実務経験を有する方」です。試験は第1次試験と第2次試験からなり、それぞれの概要や受験料は以下のようになっています。

受講料 概要
第1次試験 1分野3,000円(4分野合計で1万2,000円) 4分野(認知症ケアの基礎・認知症ケアの実際1・認知症ケアの実際2・認知症ケアにおける社会資源)のマークシート式問題で各70%以上の正答率の場合合格
第2次試験 8,000円 論述問題と面接試験の総合評価で要件を満たした場合合格

上記の認定試験に合格したあと、認知症ケア専門士として登録申請を受けると資格を取得することができます。

転職を考える際におすすめの資格

現在の職場に不満がある、別の場所で活躍したいなどの理由から転職を考える方も多いかと思います。そこで、この見出しでは転職の際に有利になるおすすめの資格について紹介していきます。

理学療法士・作業療法士

理学療法士と作業療法士は、日常生活をスムーズに送るためのリハビリテーションを提供する職業です。どちらも国家資格で、具体的なサービスの内容は以下の通りです。

  • 理学療法士:身体に障がいのある方に対し「立つ・歩く・座る」などの基本的動作の回復を目標としたリハビリテーションを行う
  • 作業療法士:身体または精神に障がいがある方に対し、食事や入浴などの応用的動作や社会適応能力の回復を目標としたリハビリテーションを行う 理学療法士の資格を取得すると、理学療法に基づいたリハビリを実施することが可能です。また、作業療法士の資格を取得すると、身体機能だけではなく精神に対してのケアを行うことができるようになります。 どちらも国家資格のため、一度取得すればライフスタイルに合わせた就職・転職活動に有利になるというメリットがあります。 また、介護施設などと深い関わりのある資格のため、介護福祉士からキャリアアップを図りたいという方には非常におすすめの資格と言えるでしょう。 資格を取得するためには以下の条件を満たす必要があります。
  • 高校を卒業していること
  • 文部科学大臣に指定されている養成施設にて既定のカリキュラムを修了し卒業すること 学習期間は、大学の場合4年、短大の場合3年、専門学校の場合3年~4年となっています。

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員とは、福祉用具を使用する方やその家族、担当のケアマネージャーなどに対して福祉用具に関するや相談を受けたり、選び方についてのアドバイスを行ったりする職業です。 福祉用具はバリエーションが豊富です。しかし、福祉用具専門相談員の資格を取得すれば、利用者の状態や使用環境に合わせたものを選べ部ことができるようになります。 また、福祉用具について知ることで、より質の高いレベルで利用者の方の支援を行うことができるようになります。キャリアアップや転職を目指す方におすすめの資格と言えるでしょう。 受験資格は特になく、研修期間も講義・実習の約5日程度となっているため、比較的取りやすい資格です。資格を取ることで、

  • 福祉用具貸与事業所
  • 福祉用具販売店
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設 など、様々な職場で活躍することができます。

介護事務管理士

介護事務管理士とは、介護業務に関する民間資格です。研修では、介護施設における事務業務全般に関する知識を習得することができます。 介護事務管理士は「介護報酬請求業務」と言われる介護報酬の計算・請求書の作成を主な仕事とします。資格がなくても業務をすることはできますが、所有していると介護報酬請求についてのスキルを証明することが可能です。 また、全国的に需要が見込める職種のため、就職時や転職時の自己アピールとしても有効です。比較的募集を見つけやすいというメリットもあります。 研修期間は通信講座で約4ヵ月程度。受験に必要な資格は特にありません。

キャリアアップを目指せる介護転職サイト

転職

上記の内容を踏まえ、キャリアアップを目指す方におすすめの介護転職サイトを2つ紹介します。 以下で紹介する転職エージェントでは、担当者に相談しながら転職活動を進めることが可能です。そのため、志望動機の書き方などについてのアドバイスを受けることもできます。

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資格の取得が昇給に直結しないケースもある

この記事では、スキルアップや昇給アップに有利な資格についてまとめてきました。 初任者研修、実務者研修、介護福祉士など明確に資格のステップアップが分かるものは、ある程度介護施設で給料水準が決まっているため確実に給料アップを期待することができるでしょう。 しかし、今回紹介した資格の全てが昇給に直結するものとは限りません。所有しておくことで就職や転職に有利になったり重宝される存在となったり、施設によって資格手当がついたりする場合はありますが、必ず給料がアップするというわけではありません。 また、施設によって手当てがつかない場合や金額に差がある場合もあるでしょう。資格取得後に一定の役職に就くことで昇給が見込めるというケースもあります。 現在の職場で思うようにステップアップできない場合や給料のアップが見込めない場合は、思い切って転職してみるのも一つの方法です。後悔しない転職のためには、将来の自分の将来設計を明確にすることが重要になります。

介護福祉士から取れる資格についてまとめ

介護福祉士から取れる資格についてまとめ
  • 資格を取る場合は将来設計を明確にし、取得した資格をどのように生かしたいのかを考えることが大切
  • 「保育士資格」は、介護福祉士の資格を持っていることで一部試験が免除になる
  • 資格の取得はステップアップに重要なことだが、必ず給料アップに直結するわけではない

今回は、介護福祉士から取れる資格やキャリアアップの方法などについて解説しました。介護に関する資格には豊富な種類があります。そして、従事する施設や職種によって必要な資格・有利となる資格は異なります。 資格の取得が必ず給料アップにつながるとも限りません。資格を取る際は、自分のキャリアや将来設計を見つめなおし、必要な資格を選択して取得するようにしましょう。 また、場合によっては転職するという方法もスキルアップに有効な手段となります。ぜひこの記事を参考にして自分にぴったりの資格・職業を見つけてください。

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