看護師がクリニックに転職するには?給料や仕事内容、ポイントや口コミまで解説!
この記事は看護師に監修されています
看護師
城戸あき(しろと あき)
「クリニックでの看護師の仕事内容は?」
「看護師がクリニックに転職する方法を知りたい!」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
クリニックは職場の数が多く、看護師にとってメジャーな就職・転職先です。
その分、就職後のミスマッチを防ぐためにも給料事情や仕事内容などを把握しておくことは非常に重要です。
こちらの記事では、看護師がクリニックに就職・転職する方法や仕事内容などを解説していくので、クリニックへの転職を検討している方は参考にしてください!
自分が働きたい科や働き方を整理することが重要
病院とは仕事内容が異なるので、ギャップに注意しよう
クリニックは看護師が少ないので、人間関係が超重要
求人情報を集める際には転職サイトの利用がおすすめ
看護師が転職でクリニックを選ぶ主な理由
転職を目指す際にクリニックを選ぶ看護師は多くいます。
クリニックを選ぶ理由としては、下記のような理由が挙げられます。
夜勤や残業が少ない
家庭と仕事の両立がしやすい
ルーティンワークが多い
病院勤務に適性がないと感じた
仕事内容に対して比較的給料が良い
上記のように、家庭の事情や働き方を理由に挙げている人が多いようです。
クリニックは開業している医師の判断によって医療方針が決まり、開院日や時間帯も院長である医師が決めています。
一般的には、夜勤が無かったり、土日祝日の中で診察するのは土曜の午前中のみであったり、総合病院よりも働きやすい環境と言えるでしょう。
また、昼休みや長期休みもしっかりと取れるので、長く安心して働きたいと考えている方に人気があります。
クリニックは小規模な医療機関なので重症者が来院するケースは少なく、来院したとしても規模の大きい病院に紹介することがほとんどです。
そのため、大人数で夜勤や残業をしながら働くことが多い病院とは異なり、クリニックであれば急患などの対応がほとんどありません。
ただし、クリニックは少人数体制で働くので、研修や指導体制が大規模病院ほど充実していないというデメリットがあります。
つまり、即戦力になる人材を探しているケースが多いので、実務経験が不足している場合は採用される可能性が低くなってしまう点には留意しましょう。
クリニック勤務の看護師の仕事内容
クリニックで働く看護師は、下記のように医師の診察をサポートすることが主な仕事です。
診察前の問診
注射、採血、点滴
診察器具の洗浄や消毒
レセプトの作成と管理
カルテの整理
備品の補充、在庫管理
クリニックの清掃
電話対応
上記のように、クリニックであれば問診や注射などといった看護師特有の仕事以外にも様々な付随業務をこなす必要があります。
総合病院であれば、他の職種の人がやっていた仕事や雑用を行うこともあるので、この点のギャップに関しては知っておくと良いでしょう。
特に、備品管理や清掃などは裏方作業と思われがちですが、医療機関を運営する上で非常に重要な仕事です。単純な仕事ですが、丁寧に行うことが求められます。
クリニック勤務の看護師のタイムスケジュール
まずは、一般的なクリニック勤務のタイムスケジュールについて見ていきましょう。
時刻 | 業務 |
---|---|
8:30 | 出勤 |
8:30~9:00 | 予約確認、清掃、物品の補充など開院準備 |
9:00~12:00 | 午前診療 |
12:00~15:00 | 午前診療のカルテ整理や清掃、午後診療の準備、昼休憩 |
15:00~18:00 | 午後診療 |
18:00~18:30 | 午前診療のカルテ整理や清掃、片付け |
18:30頃 | 退勤 |
多くのクリニックでは、午前診療と午後診療の間に「中抜け」と呼ばれる休憩時間があるのが一般的です。
3時間程度の中抜け時間を設けているクリニックが多いですが、この間に午前診療の書類整理や午後診療の準備、昼休憩を行います。
大病院と比較すると休憩時間に余裕があるので、比較的ゆっくりと休めるケースが多いです。
透析クリニックと健診クリニックの特徴
透析クリニックや健診クリニックでは、下記のような3つの特徴があります。
診療開始の時間が早い(7時半~8時には出勤していることもある)
中抜けを設けず、午前と午後を通しで診療しているクリニックが多い
診療終了時間が早い(夕方には終わるクリニックが多い)
夕方の時間を多く確保したい人であれば、透析クリニックや健診クリニックで働くのがおすすめです。
なお、透析クリニックでは穿刺や透析機器の管理・モニタリングなどの専門的なスキルが求められる点には注意しましょう。
美容クリニックの特徴
美容クリニックと一般的なクリニックを比較すると、下記のような違いがあります。
土日祝日も診療を行っているクリニックが多いため、シフト制勤務が一般的
診療開始時間が遅く、診療終了時間も遅い(10~20時など)
中抜けの時間はなく、予約が入っていない時間に交代で休憩を取ることが多い
美容クリニックは「クリニック」ではありますが、保険適用外の診療が多いので医療提供よりサービス業という性格が強いです。
来院者のニーズに合わせて様々な提案やサービスを紹介するので、看護師としてだけでなく、営業や接遇のスキルも求められます。
看護師のクリニック勤務におすすめの診療科
続いて、クリニック勤務を考えている人におすすめの診療科を紹介していきます。
各診療科で特徴が異なるので、自分との相性をチェックしてみてください。
美容クリニック
美容クリニックは、美容目的で来院した人に対して必要な美容医療を提供します。
保険診療の枠組みを超えた美容医療を提供しているクリニックでは、「接客」という形で来院者と接することになるので、美容に関心があり接客が好きな人におすすめです。
また、夜勤がなく残業も少ないため、プライベートと両立しやすい点も人気を得ている大きな理由です。
基本的に美容クリニックが行う美容医療は自由診療なので、年収は高い傾向にあります。
しかし、クリニックによっては営業ノルマが課せられていることもあるので、営業ノルマのプレッシャーが苦手な人は要注意です。
内科クリニック
内科クリニックは医院数が多く求人数も多いので、転職しやすい魅力があります。
様々な診療科がある中で内科は最も件数が多いので、自宅の近くでも簡単に求人が見つかるでしょう。
休日が決まっているクリニックが多く、夜勤がなく残業も少ないため仕事とプライベートを両立しやすい点も大きな魅力です。
働きやすさや求人数の多さを鑑みると、子育て中の人や家族の介護が必要な人でも安心して働けるでしょう。
眼科クリニック
眼科も件数が多いクリニックですが、緊急事態への対応が少ない特徴があります。
内科的な疾患を取り扱うクリニックと比較すると、容体急変や命に直接的に関わる状態の患者が少なく、ルーティンワークが多いです。
しかし、視力検査や眼圧チェックなどの検査業務を行うこともあり、器具の取り扱いや検査方法を身につける必要があります。
眼科クリニックの採用にあたっては、病院の勤務経験が重視される可能性は低いので、未経験分野へ挑戦したいと考えている人にもおすすめできます。
小児科クリニック
小児科クリニックは、小児がかかりやすい疾患や感染症の専門知識が求められます。子どもは自分の症状をうまく伝えられないため、看護師の観察力が重要になってくるためです。
また、月齢ごとの予防接種のスケジュールについても把握しておく必要があるでしょう。
子どもを相手にするのが好きな人や観察力がある人、小児看護に興味があり幅広い知識を身につけたいと考えている人におすすめです。
クリニックによっては、小児内科や小児外科などの専門知識が習得できるので、クリニックが行っている診療内容については要チェックです。
休日となる曜日が決まっていることが多く、夜勤がなく残業も少ないためプライベートの時間を大切にしたい人にも向いています。
看護師がクリニックに転職するためにするべきこと
続いて、クリニックに転職する際に行うべきことを紹介していきます。
下記で紹介することをやっておくことで、転職が成功する確率を高めることができます。
自分に合った診療科を考える
クリニックの科や診療内容によって、看護師が行う仕事も変わってきます。
また、多くのクリニックでは即戦力を求めていることを考えると、自分の看護師経験が活かせる科に応募すると採用されやすくなります。
採血や皮下注射などの基礎的な看護経験はもちろん、特有の技術(消化器科であれば内視鏡の介助、整形外科であればギプスや包帯巻きの介助など)のスキルが習得できていれば、当該クリニックに転職しやすくなるでしょう。
経験が長ければ長いほど「即戦力としての期待値」は高まるので、自身の強みを活かすように心がけてください。
もし経験がない科に転職したい場合は、セミナーに参加したり自習していることをアピールして、能動的にスキルを身につけようとしている姿勢を示しましょう。
クリニックの方針を調べる
クリニックは個人開業医が多いので、一般的な病院に比べて院長個人の意思が病院の方針に直接影響します。
つまり、院長との性格の良し悪しが職場との相性の良し悪しに直結するので、クリニックの方針については必ず確認しておきましょう。
また、院長の雰囲気に関しても調べておき、自分が心地よく働けそうかどうかを判断するための材料にしてください。
クリニックを見学する
クリニックの方針を調べることと通じる話ではありますが、クリニックの見学も行うことをおすすめします。
実際に足を運んで見学することで、クリニックの雰囲気やスタッフの様子を確認できるので、働くイメージも湧きやすくなるでしょう。
また、クリニックの表面的な部分だけでなく、バックヤードやロッカーなどが整理整頓されているかを確認することで、「細かいところまで気が配られているか」把握できます。
実際に見学しないと分からないことも多いので、面倒でも先方に連絡して見学のアポを取るべきです。
なぜ転職したいのかを明確にする
転職を検討するに至った動機や理由についても明確にしておきましょう。
「どうして転職したいのか」を自分の中で明確にしておかないと、転職の軸ができずに求人情報の収集も非効率になってしまいます。
自分の中で譲れない条件を考えたり、妥協できる条件の中にも優先順位を付けておくと良いでしょう。
理由が曖昧なまま転職してしまうとミスマッチのリスクが高くなってしまい、結果的に後悔することが多いので気を付けましょう。
転職サイトを活用する
1人で転職活動を進めることも不可能ではありませんが、基本的には転職サイトや転職エージェントの利用をおすすめします。
転職サイトに登録すると、専任のキャリアアドバイザーのサポートが受けられるので、自分の価値観や優先順位を整理する際にも役立ちます。
また、履歴書や職務経歴書などの応募書類の添削や面接対策のフォローも行ってくれるので、転職経験が浅い人や初転職の人でも安心です。
転職を成功させる可能性を少しでも高めたい場合は、転職のプロからのアドバイスを受けて転職活動をすることをおすすめします。
なお、転職サイトによって強みや特徴が異なるので、2~3つの転職サイトに登録することをおすすめします。
クリニックへの転職をサポートしてくれる転職サイト3選
それでは、クリニックに転職したい人におすすめの、サポートが手厚い転職サイトを紹介していきます。
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)
相談のしやすさNo.1を獲得
求人数は日本最大級の15万件以上
LINEでも相談可能
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)は、相談のしやすさNo.1に選ばれた実績が示す通り、サービスの信頼性が非常に高いサービスです。
出典:看護師転職サイトを対象としたインターネット調査(株式会社エクスクリエ)
取り扱っている求人数は15万件以上(2024年10月時点)に上り、クリニックの求人も多くあるため自分にマッチする仕事が見つけやすいでしょう。
求人情報の提供や相談をLINEでできるので、在職中の人でも使いやすいエージェントです。
ナース専科 転職(※旧ナース人材バンク)
※画像出典:ナース専科 転職(※旧ナース人材バンク)公式サイト
求人数20万件以上で業界最大級
累計100万人以上の看護師が利用
キャリアパートナーは看護師専門、地域専任
ナース専科 転職(※旧ナース人材バンク)は、累計100万人以上の利用者がいる大手の転職サイトです。
オリコン顧客満足度も3年連続No.1であり、サービスのクオリティに関しても申し分ありません。
出典:2025年 オリコン顧客満足度®調査 看護師転職
20万件以上の求人を取り扱っており、クリニックの求人も多く用意しているのでクリニックへの転職を目指している人は登録することをおすすめします。
キャリアパートナーが最適な求人を紹介してくれるのはもちろん、給料や勤務条件などの交渉も代行してくれます。
マイナビ看護師
※画像出典:マイナビ看護師公式サイト
看護師転職サイト認知度No.1
8万件以上の豊富な求人
キャリアアドバイザーが面接対策から条件確認までサポート
マイナビ看護師は、看護師の転職サイト認知度No.1に輝いた実績を持つ転職サイトです。
出典:看護師を対象とした人材紹介サービス14ブランドにおける調査結果(GMOリサーチ株式会社)(2021年7月)
2024年10月現在、求人数が約8万件にも上り(独占求人を含む)、クリニックの求人も取り扱っているので様々な選択肢から求人を探ることができます。
プロのキャリアアドバイザーが必ず付いて、条件確認や退職交渉までサポートしてくれるので、スムーズに転職活動できるでしょう。
オンラインで簡単な登録をした後、電話・web面談・対面面談の中から好みの方法で面談ができるため、相談しやすい方法を選べる点も魅力です。
看護師がクリニックに勤務するメリット
続いて、看護師がクリニックに勤務するメリットについて紹介していきます。
下記で紹介するメリットに魅力を感じる場合は、ぜひクリニックでの勤務を検討してみてください。
勤務時間が決まっている
多くのクリニックでは診療時間が決まっているので、クリニックに勤務する場合は勤務時間がほぼ決まっています。
診察とその前後の時間帯となるので、基本的に働く時間は日中となります。
夜勤や残業が少なく、ワークライフバランスを保ちやすい魅力があるので、仕事と家庭の両立をしたいと考えている人には最適です。
また、クリニックは休診日が決まっているので、仕事以外の予定が立てやすいメリットもあります。
病院で勤務しており、「急な出勤で休日が潰されてしまった」という経験がある人にとっては魅力的でしょう。
プライベートとの両立がしやすい
クリニックは勤務時間や勤務日が決まっているので、仕事以外の計画を立てやすいメリットがあります。
つまり、プライベートの時間を確保しやすいので、精神的な負担は軽いと言えるでしょう。
さらに、夜勤や残業がなく体力的にも楽なので、休日はしっかりとプライベートな時間を楽しめるでしょう。
プライベートな時間を楽しめないと仕事のパフォーマンスも高まらないので、自分の時間を確保できる点は大きな魅力でしょう。
職場がアットホーム
クリニックは医師や患者との距離が近く、アットホームな雰囲気であることが多いです。
地域密着型のクリニックが多いので、患者に寄り添った看護をしたいと考えている人におすすめの職場と言えるでしょう。
同じ患者と何十年も関わったり、家族ぐるみで診察することもあるので、患者との関係を築きやすい点も魅力です。
患者との距離が近いと患者が回復していく様子を間近で見られるので、看護師の仕事にやりがいを感じられるでしょう。
業務内容に飽きがこない
クリニックは働いている人数が少ないため、必然的に様々な業務を任されることになります。
看護師の仕事内容以外にも、電話対応やレセプト、清掃のような業務も行う必要があるため、良い方に捉えれば「飽きがこない仕事」と言えます。
看護スキルはもちろんですが、要領よく様々な仕事をこなす段取りの良さなども培うことができるので、社会人として大きく成長できるチャンスがあります。
採血や点滴はする機会が多く、看護師のスキルを活かせるのはもちろん、重症者の対応をすることが少ないので精神的に楽である点も人気です。
看護師がクリニックに勤務するデメリット
続いて、看護師がクリニックに勤務するデメリットについて見ていきましょう。
デメリットについても把握することで、ミスマッチを防ぐことができます。
休みが取りづらい
クリニックは病院よりも規模が小さいので、少人数のスタッフで回しているところがほとんどです。
そのため、急な休みや有給休暇を取るのが難しいケースも多く、突発的な休みの対応が難しい特徴があります。
また、働き方がシフト制ではないため実質的な拘束時間が長く、繁忙期になると残業せざるを得ない状況も起こりえます。
例えば、内科の場合であれば風邪やインフルエンザが流行する冬場は特に忙しいので、年間の繁忙期に関しても把握しておくと良いでしょう。
看護師としてのスキルが活かせないことも
医師や患者との距離が近く、信頼関係を築きやすい点がクリニック看護師のメリットです。
看護以外の仕事も多く任されるので成長に繋がりますが、その一方で看護師らしい仕事は採血や点滴、検査などに限られています。
そのため、学生時代に専門的に学んだような看護スキルは活かしづらいので、せっかく学んだ知識をフルに活かしたいと考えている場合は向かない可能性があります。
良い人間関係を築かなければならない
クリニックは規模が小さいため、良好な人間関係を築くことが非常に重要です。
医療機関においては、医師や看護師間の連携が仕事をする上で非常に重要となるので、多少「合わないな」と思う相手とも人間関係を築かなければなりません。
クリニックは、院長の人柄によってかなり雰囲気が変わるので、院長の雰囲気などはできるだけリサーチしておきましょう。
クリニックによっては、院長夫婦が権力を持っていたり看護師間の雰囲気が悪く風通しの悪い場所もあるので注意してください。
待遇面は病院勤務の方が良い
クリニックは個人経営が多いので、待遇面に関しては院長の意思で待遇が決められているという特徴があります。
給料の基準や労働条件などに疎い院長も少なくないので、相場と比較して条件が悪い求人は多いです。
また、総合病院に比べると財務基盤が不安定なので、年収や福利厚生は低いのが一般的です。
グループ展開しているクリニックであれば、福利厚生や施術の割引などが受けられますが、完全に個人経営の場合は福利厚生に関しては期待できません。
なお、クリニックに勤める看護師の平均年収については後述していくので、参考にしてください。
衛生管理が甘いクリニックがある
先述したように、クリニックは総合病院よりも財務基盤が不安定で資金が少ないため、消耗品や医療機器が不足している場合があります。
実際に、大病院からクリニックに転職した人の中には「設備が古くて驚いた」という声もあり、また衛生管理が不十分という声も見られます。
院長などの方針や経営状態によっては、衛生管理が甘く医療機関として不適格なところもあるので、入職前に確認しておく必要があるでしょう。
看護師から転職してクリニックで働くやりがい
ここでは、看護師から転職してクリニックで働く際のやりがいについて紹介します。
もしクリニックに転職した自分をイメージしやすくなると思うので是非参考にしてください。
患者との深い関わり
クリニックでは定期的に訪れる患者さんとの関係が築きやすく、個々の健康状態を長期的に管理することが可能です。
これにより患者さんとの信頼関係が深まり、患者さんの健康をサポートする実感が得られます。また、患者さんから直接感謝の言葉をもらえることが多く、看護師としてのやりがいを強く感じることができます。
こうした一人ひとりの患者に寄り添うケアは、クリニックならではの魅力です。
ワークライフバランスの向上
クリニックでの勤務は一般的に訪問看護や病院勤務に比べてシフトが安定しており、休日も確保しやすいです。
これにより家庭や趣味の時間が確保できるため、ワークライフバランスの向上が見込めます。特に、夜勤がないクリニックでは体力的な負担も減り、長く働き続けられる環境が整っています。
このバランスの良さが、看護師としてのキャリアを続ける上で大きなやりがいとなります。
多様なスキルの活用
クリニックでは、幅広い診療科目に対応することが多いため、様々な医療知識や技術を習得する機会があります。
また、医師や他の医療スタッフと密に連携することで、チーム医療のスキルが磨かれます。さらに、患者教育や予防医療に携わる機会も多く、看護師としての成長が促進されます。
このように、クリニックでの勤務は、自身のキャリアアップに直結する経験を積むことができるため、非常にやりがいがあります。
クリニックに勤める看護師の給料
続いて、クリニックに勤める看護師の平均年収を見ていきましょう。
診療科別の平均年収を紹介していくので、参考にしてください。
クリニックに勤める看護師の給料
日本看護協会の「2021年 看護職員実態調査」によると、診療所(クリニック)に勤める看護師の平均基本給額は約25.9万円でした。
病院の看護師の平均基本給額は27.7万円なので、クリニックに勤める看護師の給料は病院勤務と比較するとやや低いと言えるでしょう。
また、同調査によると、施設ごとの平均基本給与額は下記のようになっています。
職種 | 平均年収 |
---|---|
看護師全体 | 27.7万円 |
病院 | 27.7万円 |
クリニック | 25.9万円 |
介護施設 | 25.7万円 |
訪問看護ステーション | 26.9万円 |
助産場 | 24.0万円 |
行政 | 31.4万円 |
病院よりクリニック勤務の看護師の年収が低くなってしまう原因として、クリニックは夜勤や残業があまりないという点が挙げられます。
ただし、クリニックで働く看護師の平均年収は、令和5年度に行われた調査によると400万円程度であることが分かり、看護師全体の平均年収と同じ程度なので、そこまで気にするレベルではありません。
働き方と収入のバランスが見合っていると感じる場合は、魅力的な勤務先と言えるでしょう。
診療科別の給料
看護師ワーカーの調査によると、看護師全体の診療科別の平均年収は下記の表の通りです。
クリニックの看護師のデータでは無いので、あくまでも参考程度に留めておくと良いでしょう。
診療科 | 平均年収 |
---|---|
内科 | 420万円 |
美容外科 | 439万円 |
心療内科 | 408万円 |
形成外科 | 444万円 |
眼科 | 435万円 |
耳鼻咽喉科 | 439万円 |
小児科 | 425万円 |
産婦人科 | 446万円 |
皮膚科 | 429万円 |
歯科 | 437万円 |
形成外科や産婦人科などの年収が高めで、心療内科や内科、小児科などの年収は低くなっています。
業務量や専門性の高さが影響しているので、自身の働き方や強みを鑑みて勤務先を選んでください。
クリニックへの就職は難易度が高い
看護師の転職先として、クリニックは有力な候補となります。
しかし、クリニックへの就職は難易度が高い場合があります。その理由について見てみましょう。
転職人気が高い
クリニックは残業が少なく休日が固定して確保しやすいため、子育て中の人でも働きやすいという魅力があり、その分転職希望者は多いです。
人気があると言うことは倍率が高くなってしまうことを意味するので、転職を目指す方は、しっかりと自分の価値や強みをアピールしなければなりません。
自身の強みを分析する際には、転職エージェントを通じてキャリアの棚卸しをするのが効果的です。自己PRについて困っている人は、転職エージェントに登録して、相談してみると良いでしょう。
クリニックにこだわると空白期間が長引いてしまう恐れもあるので、転職人気があるという事実は知っておき、余裕をもって転職活動に挑むことをおすすめします。
求人が少ない
クリニックそのものは非常に多いのですが、肝心のクリニックの求人枠は少ないです。
「若干名」や「1名」という採用枠であるケースが多いので、せっかく求人を見つけてもすぐに埋まってしまう可能性があります。
特に、人気のある診療科や開院して年数が浅いきれいなクリニックは人気が高いので、すぐに求人を締め切ってしまう可能性があります。
クリニック勤務に向いている人
続いて、クリニックに勤務することが向いている人の特徴を紹介していきます。
自身が該当するかどうか、転職先を検討する参考にしてみてください。
地域に密着して看護をするのが好き
クリニックの多くは地域密着型なので、地元に根付いて外来通院の方の長期的な健康管理をすることに興味のある人に向いています。
患者と顔なじみになることが多く、治療や看護を通して元気になっていく様子を見られることで大きなやりがいを感じられるでしょう。
また、顔なじみになった患者から直接お礼を言われる機会も多いので、信頼関係を築きながら医療を通じて地域貢献したい人にとっては最適な仕事と言えます。
患者の家族全員を診察しているクリニックは多く、地域の健康づくりに貢献している実感が得られるのはクリニックならではの魅力です。
患者と家族ぐるみの診察ができるなど、地域社会に貢献している実感が得られるのはクリニックならではの魅力です。
医師や患者とコミュニケーションを取るのが好き
クリニックは、医師や患者との距離が近いため自然とコミュニケーションを取る機会が増えます。
大きな病院では、医師と距離があったり短い入院期間では患者と信頼関係を築けないケースもあるので、このような点をネックに感じている人はクリニック看護師がおすすめです。
また、医師とコミュニケーションを取る機会が多ければ有意義な学びを得られるので、自身のスキルアップにも繋がるでしょう。
医師や患者とコミュニケーションを取るのが好きで、信頼関係を築きたいと考えている人はクリニック勤務を検討してみてください。
仕事とプライベートを両立したい
基本的に、クリニックは休診日と診療時間が決まっているので、プライベートの時間を確保しやすいメリットがあります。
また、突発的な出勤もほとんどないので、計画的に休日のプランを考えることも可能です。
クリニックによっては、時短勤務やパート勤務といった形で働くことも可能なので、小さい子どもがいる家庭や要介護者がいる家庭でも安心して働けるでしょう。
クリニックで働く看護師の口コミ
続いて、クリニックで働く看護師の口コミについて紹介していきます。
リアルな声なので非常に参考になるはずです。
口コミ1
常勤で3年・バイトで2年の合計5年間クリニックで勤務しましたが、やはり夜勤がない上に残業も少ないので体力的に楽でした。
また、急変対応はほとんどゼロなので精神的にも楽です。
仕事量の割にはそこそこの給料がもらえるので、待遇に関しても大きな不安はありませんでした。
デメリットとしては、少人数体制なので急に休みにくい点と、退職金制度が無い点でしょうか。
口コミ2
泌尿器や皮膚科のクリニックと耳鼻咽喉科の医院で働いていましたが、週に1回は休診日があり日曜は必ず休みになるので、自分の時間を確保できていました。
また、職場の人間関係も良くチームワークよく働けたので、快適な職場でした。
患者さんと顔なじみになり、自然と親しくなるので人と話すのが好きな人にはおすすめです。
日勤のみで中抜きの時間は家に1回帰れる余裕もあるので、家事との両立もしやすかったです。
医療用品や薬剤の在庫確認や発注などの事務作業や、冬場のクリニック繁忙時期には仕事がハードになりますが、総じて働きやすかったと思います。
ちなみに私の勤務先に退職金制度はありませんでした。
口コミ3
泌尿器科のクリニックで2年半働いていましたが、注射や点滴、採血が無いので仕事は非常に楽でした。
家から近く人間関係も良かった上に、日曜・祝日休みで週に3回は午前診のみなので家事をこなしながら働ける点も大きな魅力でした。
院長の考えに振り回されてしまう難しさがあるのは確かですが、基本的に院長の人柄が良ければ心地よく働けます。
環境の変化には注意しよう
大きな病院からクリニックに転職すると、働く環境がガラッと変わります。
人が新たな環境に慣れるまでには一般的に約3ヶ月程度の期間を要すると言われているので、無事にクリニックに転職を果たした後も環境の変化に注意しましょう。
転職に限らず、結婚や出産などで生活環境が変わるタイミングはストレスを感じやすい時期となっているので、「慣れるまで3ヶ月」という事実は覚えておくと良いでしょう。
新しい職場環境に身を移した場合、新しい仕事のやり方を覚えるなど多くの情報を収集することになります。ほとんどの人が「早くこの環境に慣れなければ」というプレッシャーを強く感じるでしょう。
当然、環境適応力は人によって異なるので、「数カ月かけて徐々に慣れていこう」という心構えでいることが重要です。できるだけ早い段階で、質問しやすい先輩や相談できる相手を見つけておくと心強いでしょう。
転職して間もない時期は何かとストレスを感じてしまいがちなので、無理することなくどっしりと構えるように意識してみてください。
クリニックに転職を考える看護師のQ&A
最後に、クリニックに転職を考える看護師のよくある疑問を見ていきましょう。
クリニックに転職する際に必要なスキルはあるの?
クリニックに転職する看護師に必要なスキルは、下記の2つです。
採血、皮下注射などの、どの科にも共通して必要とされる基礎的な看護技術
転職先クリニックの科に必要な技術
上記の経験があれば採用されやすくなるのはもちろんですが、経験がなくても転職は可能です。
ただし、クリニックは看護師の人数が少なく、1人で様々な仕事をこなす必要があることから、看護経験があるに越したことはありません。
また、クリニックでは人柄の良さも重視されるので、スキルと併せて人柄の良さもアピールしましょう。
新卒・第二新卒でクリニックに転職できる?
クリニックでは十分な教育体制が整っていないため、即戦力になれる人材が求められています。
しかし、下記のように1~3年目の看護師や第二新卒でも積極的に採用してくれるクリニックもあるので、それぞれ見ていきましょう。
大手医療法人のクリニック
健診センター
美容クリニック
経験のある診療科のクリニック
大手医療法人のクリニック
大手医療法人が運営しているクリニックは、人材育成にも積極的で教育体制が整っているところが多いです。
「経験不問」「第二新卒歓迎」など、経験年数が問われない求人も多いため狙い目と言えるでしょう。
大手医療法人はネームバリューもあり人気が高いですが、調べてみる価値は大いにあるでしょう。
健診センター
健診センターでは、健康診断の運営がメイン業務となるので、採血のスキルがあれば採用されやすいです。
また、健康診断の場で働くことになるので、接遇スキルが高い人も歓迎されやすい特徴があります。
経験が浅い看護師や第二新卒でも採用されるチャンスはあるので、こちらも狙い目です。
美容クリニック
美容クリニックは美容に関する処置を行うので、営業力やコミュニケーション力が求められます。
多くの美容クリニックでは、営業成績に応じてインセンティブ制度を導入しているため、営業が得意な人であれば高収入を目指すことも可能です。
経験のある診療科のクリニック
例え短期間でも、病棟での勤務経験がある場合は働いた経験のある診療科のクリニックを探すと採用される確率が高くなるでしょう。
多少でも経験があれば、基本的な疾患や薬剤治療の知識があるため、仕事を覚えるスピードが速くなります。クリニックとしても教育にかける時間やコストを下げられるメリットがあります。
また、前職での経験をそのまま活かすこともできるので、業務経験と関連のあるクリニックを探すのもおすすめです。
クリニックへの就職・転職方法まとめ
給料事情や働き方を把握した上で求人をチェックしよう
クリニックは競争倍率が高いので注意
地域に密着して看護をするのが好きな人や仕事とプライベートを両立したい人におすすめ
環境に適応できるまで苦労するが、この期間は耐え時とも言える
クリニックは看護師の就職先や転職先として人気ですが、病院との働き方の違いや給料の違いについて把握しておきましょう。
人気があるので倍率は高いですが、転職サイトやエージェントを活用すれば効率よく転職活動を進められます。
もし自分がクリニック勤務に向いていると感じている場合は、こちらの記事を参考にしつつマッチする求人を探してみてください!
この記事は看護師に監修されています
看護師
城戸あき(しろと あき)
国立病院・大学病院で消化器内科、整形外科、内分泌内科を経験。現在は子育てと両立できるようフリーランスに転身し、医療ライターとして活動中。