「准看護師のくせに」と言われる理由は？看護師との違いやよくある後悔も解説

「准看護師のくせに偉そう、とか言われるとショックだな...」

「准看護師は看護師から蔑視されるのかな...」

このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

准看護師は実態として看護師の下位資格にあたるため、医療現場において「准看護師のくせに」と言われてしまうことがあるようです。

准看護師は看護師と比べて行える業務が狭く、できない行為もあります。肩身が狭い思いをする場面もあり、「准看護師になって後悔している」という声が見られるのも事実です。

こちらの記事では、「准看護師のくせに」と言われてしまう理由や、よくある後悔事例について解説します。

准看護師資格に興味がある方、現に准看護師として働いている方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

准看護師とは？

准看護師とは、病院やクリニックなどの医療機関、高齢者施設において看護業務を行うスタッフです。

准看護師は医療業界や福祉業界で重要な役割を果たしており、活躍できる場が多い魅力があります。しかし、准看護師と正看護師の違いについて理解できていない方も多いのではないでしょうか。

まずは、正看護師と准看護師の違いについて解説します。

准看護師とは

准看護師は、医療機関において医師や看護師の診療補助を行っています。医師や看護師の指示のもと、患者に対して必要な看護を提供する医療従事者です。

高齢化の進展に伴って看護サービスを提供する高齢者施設も増えているため、医療機関だけでなく高齢者施設でも活躍する准看護師が増えています。

准看護師の免許を取得するためには、准看護師の養成学校で2年間学ぶ必要があります。必要な知識・技術を習得し、准看護師試験に合格すれば、都道府県知事から准看護師免許が発行されます。

准看護師は「医師や看護師の指示」を受けなければ看護を行えないため、看護師と比較して業務の幅が狭い点は否めません。しかし、医療・福祉業界は社会で必要不可欠なので、将来性は高いと言えます。

准看護師は廃止される？

近年、准看護師の数は減少しており、実際に「准看護師を廃止する」旨の議論も行われています。

日本看護協会によると、准看護師学校養成所への入学者数は2000年～2020年の間に、約25,000人から約7,000人に減少しています。

准看護師ではなく正看護師を目指す人が増えていることから、「准看護師資格は廃止してもいいのではないか」という議論が起こっています。

実際に、入学者の減少に伴って准看護師学校養成所の数も減少しています。2000年時点で529校あった養成所が、2020年では214校に減少していることから、准看護師のニーズが減少していると言えるでしょう。

なお、日本医師会は「准看護師は必要である」という立場で、日本看護協会は「准看護師は不要」という立場です。すぐに准看護師が廃止されるわけではありませんが、今後の進展には注意を払う必要があるでしょう。

また、看護師は自分の判断で看護業務を行える一方で、准看護師は「医師か看護師の指示」が必要です。

いちいち指示を受けなければならない手間があることから、准看護師よりも正看護師のほうが採用されやすいでしょう。

准看護師は正看護師に比べて求人も少なく、給料も安く抑えられているのが現実です。そのため、看護師を目指す側としても「正看護師になったほうが合理的」と判断する人が増えています。

准看護師の現状や廃止の可能性については以下の記事で紹介しています。

准看護師はいらないと言われている？廃止の可能性や今後のキャリアについても紹介

「准看護師のくせに」と言われてしまうのはなぜ？

准看護師は正看護師よりも「格下」の資格である点は否めません。そのため、医療現場において「准看護師のくせに」という難癖をつけられることも少なくありません。

以下で、准看護師が正看護師から「准看護師のくせに」と言われてしまう理由や背景について解説します。

准看護師は国家資格ではないから

正看護師は厚生労働大臣が認定する国家資格ですが、准看護師は都道府県知事が発行する免許に過ぎません。

准看護師の免許を取得するには、各都道府県が実施している准看護師試験に合格し、都道府県知事から免許を受ける必要があります。

一方で、看護師になるには国家試験である看護師試験に合格し、厚生労働大臣から免許を受ける必要があります。

准看護師は最短2年で受験資格をクリアできますが、看護師は受験資格をクリアするには最短でも3年必要です。資格取得までのハードルも、正看護師のほうが高いことがわかります。

また、准看護師は国家資格ではないことで「大したことない」というマイナスの印象を持たれやすい点も否めません。

その結果、正看護師から「准看護師のくせに」と言われてしまうことがあるのです。

准看護師は自己判断で医療行為ができないから

准看護師は、自己判断で医療行為ができません。具体的には、以下の行為は准看護師は行えません。

• 自己判断による看護業務
• 看護計画を立てる
• 看護師への指示出し

准看護師はあくまでも「医療補助者」という位置づけなので、看護業務や医療行為を行う際には医師や看護師からの指示を受ける必要があります。

なお、以下の行為は准看護師でも行うことが可能です。

• 血圧、脈拍、体温の測定
• 採血、点滴路の確保
• 排泄介助
• シーツ交換
• 手術、処置の補助
• 夜勤巡回、夜間患者対応
• 患者さんの送迎
• 点滴の作成、投与
• 食事介助
• 入浴介助
• 配薬、セット
• 体位変換
• カンファレンス参加
• カルテ入力業務

准看護師でも、行える業務は多くあります。しかし、自己判断で医療行為ができないことで「准看護師よりも正看護師を採用したほうが業務がスムーズに進む」と考える医療機関が多いです。

准看護師の悩み・後悔

准看護師は医療機関において大切な役割を果たしていますが、悩みや後悔を抱えることも少なくありません。

以下で、実際に准看護師の人が悩んでいることや後悔していることについて解説します。

自分の判断で行動できないことが多い

准看護師は、自分の判断で看護業務を行えません。十分な経験を積んで知識を有していたとしても、法令上の問題から自己判断で行えないことが多いのです。

准看護師は医療補助者として「医師や看護師の指示を受ける」ことが前提となっているため、肩身が狭い思いをすることもあります。

自己判断で医療行為を行えないことで「患者にも医師にも迷惑をかけている」というジレンマから、「看護師になればよかった」という後悔を感じることもあるでしょう。

正看護師と似た業務をしているのに給料が違う

実際には、准看護師は正看護師と同じような業務をしています。しかし、以下の表のように、准看護師と正看護師では給料に大きな違いがあります。

参考：厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

准看護師も正看護師も「患者に対する看護業務」を行っています。「指示が必要かどうか」という違いがあるだけで、業務内容はほとんど変わりません。

しかし、待遇面では年収で約90万円の差がついてしまっているため、「准看護師ではなく看護師になればよかった」と考えるのは自然な感情と言えるでしょう。

求人が少ない

准看護師は、正看護師に比べて求人数が少ないデメリットがあります。特に、総合病院や大学病院などの大規模な医療機関では、看護師を対象とした求人しか出さないことも多いです。

准看護師が応募できるのは個人診療所やクリニックなど、かなり限られてしまうのが現実です。

近年は高齢者施設における求人も増えていますが、正看護師と比較して選択肢が少ない点は知っておきましょう。

研修など勉強の機会が限られている

准看護師は、正看護師に比べて研修など勉強の機会が限られてしまうデメリットがあります。大規模な病院が行っているセミナーや勉強会は正看護師を対象としているものがあり、准看護師は参加できないものが少なくありません。

「准看護師から正看護師を目指すために学びたい」と考えていても、参加できなければ、せっかくの機会を逸してしまいます。

研修など勉強の機会が限られていることで、仕事へのモチベーションを失ってしまうこともあるでしょう。

キャリアアップが難しい

准看護師は、医療機関におけるキャリアアップが難しいです。管理職へ就くことや専門看護師、認定看護師を目指すことができず、准看護師として現場でのキャリアを積むしかないことも少なくありません。

医療機関でキャリアアップするには、看護師資格が「ほぼ必須」です。准看護師でもキャリアアップできる可能性はゼロではありませんが、看護師に比べて難しい点には留意しましょう。

准看護師は医療現場で欠かせない大事な仕事

准看護師は、正看護師よりも扱いが劣っている点は否めません。しかし、医療業界や福祉業界で重要な役割を果たしているのも事実です。

日本医師会も「准看護師がこれまで果たしてきた功績は、誰にも否定できるものではありません。」と、准看護師も立派な仕事を行っている点を主張しています。

また、「准看護師は初期医療はもちろんのこと、高齢者の療養の分野での活躍も大変期待されています」とも述べており、准看護師の活躍の幅が広い点に言及しています。

日本では今後ますます少子高齢化が進む公算が高いことを考えると、准看護師が果たす役割は重要になっていくでしょう。

「准看護師のくせに」と言われることはあっても、実際には大切な役割を果たしており、将来性も高いと言えます。

現状に悩みがある准看護師の方がすべきこと

頑張って働いている中で「准看護師のくせに」と言われると、ショックですよね。

現状の待遇に悩みがあり、肩身の狭い思いをしている准看護師の方が、悩みを解決するためのアクションを解説します。

准看護師としてのキャリアを築く

准看護師として、愚直にコツコツとキャリア・経験を積むという選択肢があります。

准看護師でも、着実にキャリアを積むことで、医師や看護師から頼られる存在になれます。准看護師は医療機関にとって欠かせないため、准看護師でも「貴重な存在」になることは可能です。

十分な知識と経験があれば医師や看護師から蔑視されることもなくなるため、やりがいをもって仕事に取り組めるでしょう。

正看護師にキャリアアップする

待遇アップなどを目指して、正看護師にキャリアアップすることも有力な選択肢です。看護師になれば自分の判断で看護業務を行えるため、職場内での立場を向上できます。

准看護師から正看護師を目指す方法は下記のとおりです。

• 看護師養成所で学んで受験する
• 3年以上実務経験を積んだ後に看護師養成所で学んで受験する

看護師になれば、仕事に責任も大きくなりキャリアアップがしやすくなります。給料アップというわかりやすい待遇改善も見込めるため、さまざまなメリットが期待できるでしょう。

准看護師から正看護師になるための詳細な情報は、以下の記事で紹介しています。

准看護師から正看護師になるには？働きながらなる方法や正看護師を目指す理由も解説

キャリアアップなら転職も視野に

「転職して環境を変える」ことも検討しましょう。具体的には、正看護師へのキャリアップをサポートしてくれるような職場への転職が挙げられます。

准看護師としての経験豊富な人材を求めているクリニックや病院も多くあるため、さまざまな職場の情報を調べることは有意義です。

准看護師におすすめの転職サイト

「准看護師のくせに」と言われないようにするために、キャリアアップをすることは重要です。

職場によっては、正看護師へのキャリアアップを支援してくれるところや、准看護師として給料アップが見込めることもあります。

ここでは、准看護師としてキャリアアップを目指すのに、おすすめの転職サイトをご紹介します。

レバウェル看護（旧：看護のお仕事）

レバウェル看護（旧：看護のお仕事）は、利用者からの評価が高い日本最大級の看護系転職サイトです。

レバウェル看護は、年間4000回以上職場訪問を実施しており、転職後に「思っていたより、雰囲気が悪かった」と感じることも少ないです。

またLINEで相談することもできるので、キャリアアップなどで忙しい時でも転職活動を進めることが可能です。

ナース人材バンク

引用元：ナース人材バンク公式サイト

ナース人材バンクは、年間10万人以上の看護師に活用されている人気のサービスです。

利用者満足度も97%を誇っており、提供するサービスのクオリティが非常に高い点も大きな魅力となっています。

転職サポートを行ってくれるキャリアパートナーが、専門知識を生かした的確なアドバイスを行ってくれるため、准看護師のキャリアアップにも最適です。

ナース人材バンクは、相談やサポートの質が高いので、安心してキャリアアップを目指すことが可能です。

マイナビ看護師

引用元：マイナビ看護師公式サイト

マイナビ看護師は、大手人材紹介会社のマイナビが手がける看護系の転職サイトです。

大手ということもあり、准看護師向けの求人は28,000件に及びます。

実際に企業や医療機関を訪問して得た職場の情報が転職に役立つのは、間違いないでしょう。

「准看護師のくせに」と言われる理由まとめ

准看護師は看護師の下位資格で、自分の判断で行える業務も限られています。そのため、「准看護師のくせに」と蔑視されてしまうことも少なくありません。

しかし、准看護師は医療機関において重要な役割を果たしており、将来性も高いです。准看護師としてキャリアを継続するか、正看護師へのキャリアアップを目指せば、職業人生が充実するでしょう。

あわせて、現在の職場に不満を抱えている場合は転職も検討しましょう。環境を変えることでキャリアアップや待遇アップを狙えるため、ぜひこちらの記事で紹介した転職エージェントの利用を検討してみてください。