【最新】介護職員の給料が上がる?2024年の月額6000円の賃上げを解説

「介護職員の給料は本当に上がるのか?」

「介護士の給料や給料アップ方法を知りたい!」

このように介護職員の給料は2024年に上がるのか、上がるとしたらどの程度上がるのか、知りたいという方も多いでしょう。

また、そもそも介護士の給料事情や給料アップの方法について、詳しく知っておきたいという方もいるでしょう。

この記事では、介護職員の給料はこれまでに比べてどのように改訂されるのか、最新の2024年の賃上げ政策をわかりやすく解説します。また、転職を含めた給料アップの方法についても紹介します。

この記事をご覧になれば、最新の介護職員の給料や介護士の給料事情・給料アップの方法などがよくわかります。

介護職員の給料が上がるについてざっくり説明すると
  • 岸田政権の目玉政策である介護職の賃上げ9,000円が2022年2月から始まった
  • 賃上げ対象は、介護職員処遇改善加算のⅠ~Ⅲを算定する事業所の介護職員
  • 2024年2月には6,000円の賃上げが開始
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2024年2月から介護士の給料が上がる?

給料

政府の発表から、2024年2月から介護職の賃上げ政策が行われることが決定しました。

しかし、この賃上げは「誰でももらえるのか?」「具体的にいくらもらえるのか?」など、気になるところでしょう。以下では、今回の賃上げの経緯や理由、実際に賃上げの対象になる介護職と賃上げの内容について説明します。

2024年2月から6,000円の賃上げ

政府は、2024年2月から介護職の賃上げ政策が行うことを決定しました。具体的な額としては、職員一人あたり6,000円の賃上げです

この賃上げの対象には、一般的な介護施設の職員から、訪問介護や看護助手、障がい福祉系の介護職員も含まれています

パートの職員も支給対象となりますが、労働時間数に応じた賃上げが行われると考えられます。

2024年は、介護・医療・障がい福祉サービスの全てで診療報酬の改定が行われる年であり、大きな変化が起こる可能性があります。

出典:厚生労働省「令和5年度厚生労働省補正予算案の概要」

2022年から始まった介護職の賃上げ政策

岸田政権は介護職などの賃上げ政策を2022年2月から行なっています。介護職員の給料について、2022年2月から1人あたり月額約9,000円の手当が支給されています。

2022年2~9月は全額国の交付金として支給され、10月以降は介護報酬に組み込まれて恒久化されました。

2021年発足の岸田政権による目玉政策

一連の賃上げは、2021年9月の自民党総裁選に出馬した岸田首相が分配政策の目玉の1つとして発表したものです。

そして、岸田政権発足直後の2021年11月19日の閣議決定で、「新しい資本主義」の経済対策の一環として保育士や介護・障がい福祉職員などを対象とした、収入の3%程度(月額9,000円)引き上げ措置が正式に打ち出されました。

引き続き、翌週に閣議決定された2021年度補正予算では、1,655億円が計上されています。そのうち約1,000億円が介護職の賃上げに充てられることとされたのです。

賃上げの対象になる介護職

今回の賃上げは、一定の条件を満たす事業所に国の補助金が交付され、その事業所の従業員の給与に反映される形になっています。

具体的には「介護職員処遇改善加算のⅠ~Ⅲを算定する事業所」に勤める介護職員が対象です。パートやアルバイトの職員も対象になります。

一方で、介護職員処遇改善加算対象外の、居宅介護支援・地域包括支援センター・訪問看護・訪問リハビリテーションは、今回の賃上げの対象外です。さらに、賃上げの対象事業所であっても、今回の賃上げの対象にならない職種があるので注意が必要です。

具体的に言うと、介護職は利用者や入居者の介護を行う職員だけが対象で、同じ事業所の職員であっても、ケアマネジャーや相談員、看護師・リハビリ職、栄養士・調理師、事務職などは対象になりません。

ただ、後ほど詳しく説明しますが、賃上げ対象外の職員に対して補助金の一部を割り当てることは認められています。

因みに、「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、令和3年9月30日時点での介護職員処遇改善加算の取得状況は、下の表の通りです。

<介護職員処遇改善加算の取得状況>

取得(届出)している 加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 加算(Ⅲ) 取得(届出)していない
全体 94.5% 80.5% 7.7% 6.3% 5.5%
介護老人福祉施設 99.3% 92.4% 4.2% 2.7% 0.7%
介護老人保健施設 97.4% 82.9% 9.1% 5.4% 2.6%
介護療養型医療施設 63.1% 38.9% 10.8% 13.5% 36.9%
介護医療院 85.0% 57.7% 8.8% 18.5% 15.0%
訪問介護事業所 92.7% 75.2% 9.9% 7.5% 7.3%
通所介護事業所 95.5% 79.8% 8.1% 7.6% 4.5%
通所リハビリテーション事業所 77.0% 63.8% 7.2% 6.0% 23.0%
特定施設入居者生活介護事業所 98.7% 92.8% 3.2% 2.7% 1.3%
小規模多機能型居宅介護事業所 99.1% 90.7% 5.4% 3.1% 0.9%
認知症対応型共同生活介護事業所 99.3% 88.3% 6.3% 4.7% 0.7%

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

令和4年12月時点での状況を見ると、今回の処遇改善の対象になる処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得している事業所は90%を超えています。

保育士・幼稚園教諭・看護職員も対象

2022年の賃上げは介護・障がい福祉職員のほかに、保育士・幼稚園教諭・看護職員も対象となっています。

これらの職員も、2022年2月から9月までの間は、収入の1〜3%程度に当たる月額平均4,000円〜9,000円ほど給料が上がることになっているのです。

職種 施設 交付額
介護・障がい福祉職員 処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得する事業所 月額平均9,000円(収入の3%程度)
保育士・幼稚園教諭・放課後児童支援員ほか 国や自治体の定めにより運営される所定の教育・保育施設 月額平均9,000円(収入の3%程度)
看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師) コロナ医療など一定の役割を担う医療機関 月額平均4,000円(収入の1%程度)

参考:内閣府「令和4年度予算案における公定価格の対応等について」

対象外でも事業所次第で給料アップの可能性

先ほども説明しましたが、今回の賃上げは対象事業所の介護職員だけが対象で、対象事業所の職員であっても介護職員以外のケアマネジャーや事務職などの職員は、原則賃上げの対象ではありません。

しかし、事業所の判断で、場合によっては、対象外の職種でも給料アップの可能性があります。

なぜなら、事業所に支給される金額は処遇改善に活用するのであれば、事業所の判断により柔軟に運用できるとされているからです。

ですから、本来なら賃上げの対象とならない職員であっても支給金額の一部を割り当てられることがあり得るのです。

ただし、介護職員以外の賃上げに充当した金額分は、介護職員への分配分が減少することになります。

月収はどの程度アップする?

それでは、本当に1人あたり月収が賃上げ分アップするのでしょうか。結論から先に言うと、必ずしも6,000円分の月収・年収が上がるわけではありません

なぜなら、賃上げ対象事業所に交付される金額は、最低人員配置基準**をもとに計算されることになっています。しかも、交付額は、介護業務がメインの介護職員の人数分だけです。

ですから、まず基準より職員が多い事業所の場合は1人当たりの配分金額が少なくなってしまいます。

また、上で説明した通り、支給額の配分は事業者の判断で決めて良いことになっていますので、リハビリ職員など介護業務以外の職員の賃上げに充当した場合、その金額分は介護職員への配分額が減ることになります。

そうは言っても「補助額の2/3以上を収入のベースアップ等に使用することを要件とする」と明確に指定されていますので、金額の多寡は別として確実に給料アップにはつながるものです。

なぜ介護士の賃上げが行われるのか?

今回の賃上げの目的は、介護士や保育士といったエッセンシャルワーカーの慢性的な人材不足の解消です。介護職などの人材不足の基本的な原因・背景には、賃金水準の低さがあるとされています。ですから、賃上げによって人材の確保や定着を促すことにしたのです。

加えて、コロナ禍で介護士や看護師の重要性があらためて強く認識させられたところです。そこで、今回の賃上げにより介護士などの給料が上がることを明確にして、離職の防止・新規雇用につなげることをねらったのです。

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介護職員の待遇は改善された?

給料の低さが指摘されてきた介護職員ですが、待遇は徐々に改善されてきています。

最近では、介護職員の確保・定着のため、「介護職員処遇改善加算」や「介護職員等特定処遇改善加算」が設けられなど、介護職員の賃金を改善する動きが出てきているのです。

介護職員の待遇改善の動向については、以下の記事で詳しく解説しています。

介護処遇改善手当とは?職員への支給額・分配方法や特定処遇改善加算についても解説

介護職員処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算は、人材不足対策として2012年から始まった制度です。文字通り介護職員の賃金や職場環境改善の取り組みを行っている事業所に、介護報酬を加算して上乗せ支給します。

対象事業所は、賃金体系や研修制度・昇給制度などを整備していると認められた事業所です。満たしている処遇改善項目が多ければ多いほど、加算される金額も増えます。

その加算金額が介護職員に配分されることで給料が上がることになるのです。

介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの違い

今回の賃上げ政策の対象となるのは、「介護職員処遇改善加算のⅠ~Ⅲを算定する事業所」ですが、介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの違いは、取り組みの内容と数の違いです。

取り組み数が多いほど取得の難易度が高くなっていきます。加算Ⅰが、取組み数が1番多く取得の難易度も高いです。次いで加算Ⅱ、加算Ⅲの順になります。

そして、取得の難易度が高いほど、支給額が増える仕組みになっているのです。

具体的には、加算Ⅰは介護職員1人あたり月額3万7,000円相当、加算Ⅱは介護職員1人あたり月額2万7,000円相当、加算Ⅲは介護職員1人あたり月額1万5,000円相当になります。

対象職員と配分の決まり

今回の賃上げの対象は、実際に利用者や入居者の介護業務を行う介護職員です。パートや派遣社員も対象です。また、他の職種の方でも介護職員と兼務であれば対象になります。

配分の仕方の決まりは、2022年から始まる賃上げと同様です。基本的に介護職員が対象ですが、介護職だけでなくほかの職種にも柔軟に配分できます。

配分に際しては、勤続年数などの基準を用いることもできます。具体的な配分方法は、事業所によって異なりますので確認してみましょう。

特定処遇改善加算

介護職員等特定処遇改善加算は、経験やスキルのある介護職員の処遇改善を目指した加算制度です。

勤続年数が長く技能を身につけた介護職員の給料を上げるための仕組みとして、2019年にスタートしました。長く働きやすい給与体系とすることにより、介護職員の離職を防ぐことを目的としています。

2020年の調査によれば、介護職員処遇改善加算I~Ⅲを取得している事業所のうち、63.3%が特定処遇改善加算も取得しています。

実際に介護職の給料は2022年も上昇

これまで説明してきた加算措置などの効果もあって、実際に介護職の給料は2022年も上昇しました。

厚生労働省が毎年公表している「介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員の平均給与額(月給・常勤)は、ここ数年以下の表のように推移しています。

2021年9月 2020年9月
323,190円 315,410円 +7,780円

出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」

2020年2月 2019年2月
325,550円 307,430円 +18,120円

出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」

2018年9月 2017年9月
300,970円 290,120円 +10,850円

出典:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」

上の表からもわかるように、介護職の給料は年々1~2万円近く増加しています。

給与の上昇幅について

下の表は、令和3年9月時点と令和2年9月時点の職種別・介護従事者等の平均給与額と、両時点の給与額の差額をまとめたものです。

<職種別・介護従事者等の平均給与額>

令和3年9月 令和2年9月
令和3年-令和2年
介護職員 316,610円 309,230円 7,380円
看護職員 369,210円 362,800円 6,410円
生活指導員・支援相談員 338,370円 330,120円 8,250円
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 350,080円 341,780円 8,300円
介護支援専門員 353,560円 345,900円 7,660円
事務職員 301,940円 295,770円 6,170円
調理員 259,270円 253,640円 5,630円
管理栄養士・栄養士 311,190円 303,800円 7,390円

介護職員の平均給与額は、令和3年9月時点で316,610円ですが、令和2年9月よりも7,380円増えています。

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2022年の賃上げに対する介護現場の声

ここでは、2022年の賃上げに対する介護現場の声を紹介します。

不安・懸念の声や期待外れという声も

まずみられるのが、不安・懸念の声や期待外れという声です。たとえば、次のような声があります。

  • 「処遇改善というが、給料にきちんと反映されて本当に上がることになるのか不安」
  • 「賃上げするのはよいことだが、9,000円増は激務の対価として見合っていない、期待より少ない」
  • 「賃上げの前に環境改善が必要」
  • 「賃上げよりも人員配置の緩和方針を見直してもらいたい」

喜びの声や今後の進展に期待する声も

上記のような懸念や期待外れの声がある一方で、喜びの声や今後の進展に期待する声もあります。たとえば、次のような声です。

  • 「9,000円のアップは少額とはいえ、少しでも進展があったことはよいことだ」
  • 「今後も更なる賃上げに期待している」
  • 「9,000円アップになれば嬉しいが、たとえ5,000円でもアップすればありがたい」

以上のように、賃上げの具体的な内容が十分周知されておらずに、不安に感じる方や不十分と感じた方もいますが、少なくとも介護職の待遇改善を進める一歩と評価する声もあるのです。

介護職員の給料は今後改定がある?

給料

今回の賃上げは、2022年2月から9月までの暫定措置とされていましたが、政府の資料では、2022年10月以降も、今回の賃上げと同水準を維持することが前提となっています。

ただ、介護サービスは、国が定める介護報酬が見直されない限り継続的な賃上げは難しいです。

そこで、介護職員について介護報酬改定を行い、2022年10月以降も新たな恒久的な介護報酬加算措置を講じる方針が示されています。

財源は異なるものの、報酬改定後の対象職種の条件や交付額は、2月開始の賃上げと同じ内容になる見込みです。

さらに、内閣官房の公的価格評価検討委員会が2021年12月にまとめた中間整理の「処遇改善の方向性」では、最終的な目標を「職種毎に仕事内容に適正な水準まで賃金が上がり、必要な人材が確保されていること」としています。

また次なる目標を経験・技能のある職員について「他産業と遜色のない賃金水準とすることを目指すべき」と明記しています。

したがって、今後も処遇改善が継続され介護職員の給料アップが期待できるでしょう。

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そもそも介護士の平均給料はどれくらい?

お金

介護職員の給料アップの方向性を紹介しましたが、そもそも介護士の平均給料はどれくらいなのでしょうか。

もちろん、施設や勤続年数などによって違いがありますが、ここでは、勤務形態や施設形態、勤続年数・年齢・男女別などの平均給料を紹介します。

以下のデータは主に2022年12月の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」をもとにしています。また、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所のデータとなります。

介護従事者の常勤・非常勤の平均給与

まず、介護従事者の常勤・非常勤の平均給与です。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護従事者等の平均給与額は、下の表の通りとなっています。

介護職員の平均給与は月給で常勤の方で月給318,230円時給で非常勤の方で月給120,330円です。

介護従事者全体で見ると給与はやや低い方ですが、看護職員や理学療法士など専門性が高い職員は給与が高くなりやすいです。

<2022年12月の介護従事者等の平均給与額>

職種 平均給与(月給・常勤) 平均給与(時給・非常勤)
介護職員 318,230円 120,330円
看護職員 372,970円 131,330円
生活指導員・支援相談員 342,810円 136,710円
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 355,060円 126,790円
介護支援専門員 362,700円 142,420円
事務職員 308,430円 107,760円
調理員 262,540円 81,550円
管理栄養士・栄養士 316,820円 119,140円

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

施設形態で比較した介護職員の平均給与

次に、施設形態で比較した介護職員の平均給与です。同じく厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、施設形態による介護職員の平均給与額は、下の表の通りとなっています。

介護老人福祉施設や介護老人保健施設などのように利用者の要介護度が高く、高いスキルが必要で身体的負担も大きな施設の場合は、給料が高い傾向が見られます。

<施設形態別・2022年の介護職員の平均給与額(月給)>

施設形態 平均給与(常勤) 平均給与(非常勤)
介護職員全体 318,230円 196,660円
介護老人福祉施設 345,720円 212,260円
介護老人保健施設 338,280円 278,930円
介護療養型医療施設 285,100円 -
介護医療院 321,120円 283,360円
訪問介護事業所 317,800円 194,040円
通所介護事業所 276,680円 170,080円
通所リハビリテーション事業所 305,100円 247,500円
特定施設入居者生活介護事業所 313,850円 194,430円
小規模多機能型居宅介護事業所 291,440円 216,010円
認知症対応型共同生活介護事業所 293,270円 210,500円

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

勤続年数で比較した介護職員の平均給与

次に、勤続年数で比較した介護職員の平均給与です。厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、勤続年数別・2021年の介護職員の平均給与額(常勤)は、下の表の通りとなっています。

勤続年数1年の場合の平均月給は、277,350円です。その後は勤続年数が増えるにつれ上昇しており、10年以上になる342,490円と、実に7万円以上の違いがあります。

このように長く働くほど給料が上がるだけでなく、役職につけば更なるアップも期待できるのです。

<勤続年数別・2022年の介護職員の平均給与額(常勤)>

勤続年数 平均月給
1年 281,990円
2年 288,190円
3年 297,630円
4年 303,510円
5年〜9年 311,850円
10年以上 346,510円

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

年齢・男女別の介護職員の平均給与

次に、年齢・男女別の介護職員の平均給与を紹介します。

常勤(正社員)の場合

まず、常勤(正社員)の場合です。「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、年齢・男女別の常勤の介護職員の平均給与額は、下の表の通りです。

年齢別にみると、40代までは年齢を重ねるにつれて給料が上がっていますが、40~49歳がピークで、その後は下がっています。

男女別では、各年齢層を通じて男性の給与額が高くなっています。これは、男性の労働時間が長いことも影響しているでしょう。

<性別・年齢別の介護職員の平均給与額等(月給・常勤)>

年齢 男性・平均給与額 女性・平均給与額
全体 335,400円 309,630円
29歳以下 293,410円 284,170円
30~39歳 338,680円 307,660円
40~49歳 358,380円 319,620円
50~59歳 340,750円 317,870円
60歳以上 280,350円 293,110円

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

非常勤(パートやアルバイト)の場合

次に、非常勤(パートやアルバイト)の場合です。「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、年齢・男女別の非常勤の介護職員の平均給与額は、下の表の通りです。

年齢別にみると、男性は、常勤の場合と同じように、40~49歳までは年齢を重ねるにつれて給料が上がっていき、その後は下がっています。一方で女性は、年齢を重ねるにつれて実労働時間数が減少する傾向にあり、平均給与も次第に下がっています。

男女別では、非常勤の場合も各年齢層を通じて男性の給与額の方が高い傾向が見られます。

<性別・年齢別の介護職員の平均給与額等(時給・非常勤)>

年齢 男性・平均給与額 女性・平均給与額
全体 134,210円 119,880円
29歳以下 147,690円 135,800円
30~39歳 139,060円 128,340円
40~49歳 152,370円 124,370円
50~59歳 141,840円 123,900円
60歳以上 124,280円 113,200円

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

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介護職員の収入が少ないと言われる理由

ここでは、介護職員の収入が少ないと言われる理由について解説します。

専門性や資格が重視されないから

介護職員の収入が少ないと言われる理由の1つは、介護職員は専門性や資格がそれほど重視されないことです。

介護職員は、それぞれの利用者の方に合った介護サービスを提供するために、経験やスキルがあるに越したことはありません。ただ、資格は必要とされておらず、経験もそれほど重視されるわけではありません。未経験者を含め、比較的誰でも働きやすい職種です。

これに対して、介護福祉士やケアマネジャー・ハビリ専門職員などは、いずれも専門性が高く、介護に関する高い知識・技術が求められます。そして、専門的なスキルや経験を持つ職員を定着させるために、給与が高く設定される傾向があるのです。

介護報酬には上限がある

もう1つの理由は、介護報酬に上限があることです。

介護施設・介護事業所の職員の給料や運営費その他の経費は、基本的に国から支給される介護報酬から支払う仕組みになっています。この介護報酬は、介護サービスを提供する対価として支給されるものです。

この介護報酬を増額するとなると、増税などが必要になり国民負担の増大につながります。そのため、介護報酬には上限が設けられているのです。

ですから、介護報酬を安易に増やすことはできません。結果として介護職員の給料も上がりにくい実態があるのです。

アルバイトやパートは昇給が困難

介護職員の中には、正職員だけではなく、アルバイトやパートなどの非正規雇用職員が多くいます。

現状では、非正規雇用職員は正職員と比較して福利厚生や昇給制度をうけることができる環境が十分に整備されていません

したがって、パートやアルバイトは給料がアップしにくく、正社員より低い賃金しかもらえないケースが多く存在します。

介護職員として給料アップさせるコツ

介護士

介護職員の収入が少ないと言われる中で、給料をさらにアップさせるためは、どのよう対策・方法があるのでしょうか。ここでは、介護職員として給料をアップさせるコツを紹介します。

介護職員として有利な資格を取得

給料を上げる方法として、まずおすすめしたいのは、介護福祉士などの資格を取得することです。

介護資格の種類一覧|スキルアップのために取るべき資格などを徹底解説!

実際に「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、月給・常勤の場合は下の表の通り、**保有資格が有るか無いかで平均給与額が 月に5万円近く差**があります。因みに、平均勤続年数は、有資格者が8.9年、無資格者は5.2年になっています。

<保有資格別・介護職員の平均給与額(月給・常勤)>

保有資格の有無 平均給与 平均勤続年数
有(全体) 321,120円 8.9年
有(介護福祉士) 331,690円 9.5年
社会福祉士 352,560円 8.5年
介護支援専門員 376,240 円 12.7年
有(実務者研修) 302,500円 6.5年
有(介護職員初任者研修) 302,910円 8.0年
無(全体) 270,530円 5.3年

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」

また、非常勤の場合も、常勤ほどの差ではありませんが、下の表の通り保有資格が有る方が無い場合より少ない実労働時間で平均給与が高めになるような資格もあります。

<2022年の保有資格別・介護職員の平均給与額等(時給・非常勤)>

保有資格の有無 平均給与 平均勤続年数 実労働時間数
有(全体) 121,750円 8.2年 85.6時間
有(介護福祉士) 135,130円 8.5年 92.4時間
社会福祉士 134,350円 8.1年 97.3時間
介護支援専門員 137,030円 8.6年 95.3時間
有(実務者研修) 125,290円 6.7年 89.3時間
有(介護職員初任者研修) 114,850円 8.4年 79.9時間
無(全体) 111,320円 5.5年 92.5時間

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」

介護福祉士に転職したら初任給もアップ

介護士の平均的な初任給は、夜勤も含む正社員で約24万円です。介護福祉士の資格を持っていれば、さらに資格手当や処遇改善額が上乗せされます。

つまり、介護福祉士に転職した場合、合わせて2万円程度の給料アップになることが期待できるのです。ですから、介護福祉士への転職を選択肢の1つとして考えることもおすすめです。

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介護福祉士の資格を取得するには?

介護福祉士の資格を取得するためには、介護福祉士試験に合格しなければなりません。試験は、毎年1月に筆記試験、3月に実技試験があります。

ただし、介護福祉士試験には受験資格が必要です。3年以上の実務経験があることと、介護福祉士実務者研修を修了しているか、あるいは介護職員基礎研修か喀痰吸引等研修のいずれかを修了している必要があります。

ケアマネージャーになる

ケアマネージャーになることも、給料を上げる1つの方法です。

ケアマネージャーになるためには、5年以上の実務経験及び介護福祉士の資格取得が要件として必要です。

介護職未経験の人にとっては特に困難に感じられるかもしれません。

一方で、ケアマネージャーになると、給料が上がるだけではなく、やりがいも一層増すでしょう。

ケアマネージャーの年収は?他職種と比べ安いのかや収入アップの方法・将来性まで解説

管理職へキャリアアップ

給料を上げる方法として、次におすすめしたいのは、主任やリーダー、サブリーダーといった管理職にキャリアアップすることです。管理職になれば、基本給が上がるだけでなく、役職手当も支給され、さらに収入を増やせます。

ただし、介護施設の管理職は、施設の種類ごとに資格要件などが決まっています。また、地域ごとで資格要件が異なることもありますので、勤務先のルールを確認しておきましょう。

夜勤の頻度を増やして夜勤手当を得る

給料を上げる方法としては、夜勤の頻度を増やして夜勤手当を得る方法もあります。夜勤がある特養や老健などでは、夜勤手当が出ますので給料アップにつなげることが可能です。

夜勤手当は、1回につき3,000円~6,000円です。常勤の介護職員は、月に4〜5回ほど夜勤に入ります。

もちろん、夜勤の回数を増やせば月収が増えますので、回数を多くする方もいます。さらに、夜勤専従として働けば、単価が高いので勤務回数が少なくても給料が上がるのがメリットです。

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長期的に勤務する

給料を上げる方法としては、シンプルに勤続年数を増やすということも挙げられます。

正社員は勤続年数に比例して給料が高くなっていく傾向にあるので、むやみに転職を繰り返すのではなく、一つの職場で長期的に勤務する方が給料アップする可能性は高まるでしょう。

一つの職場で働き続けると、周りとの人間関係を構築でき、信頼されるようになるでしょう。

やりがいや目標をもって、仕事に取り組み、マンネリを防ぐことも大切です。

収入や待遇が良い施設に転職する

収入や待遇が良い施設に転職することも、給料を上げる1つの方法です。

現在の職場で長期間働いていても、期待通りの給料アップにつながらないこともあります。たとえば、仕事の都合で資格取得が難しい場合やキャリアアップしても給料が上がらないときは、思い切って転職を考えてみると良いです。

転職には不安があるかもしれませんが、条件の良い転職を目指すのであれば、転職サイトや転職エージェントを利用するのがおすすめです。自分の希望に合った求人先を見つけてくれるだけでなく、応募書類の書き方や面接対策などもしてくれます。

介護職で転職する際におすすめの転職サイト

転職サイトや転職エージェントを利用すると言っても、どのサイトやエージェントが自分に向いているのかわからない、という方もいるでしょう。ここでは、介護職で転職する際におすすめの転職サイトを紹介します。

介護ワーカー

介護ワーカー

※画像出典:介護ワーカー公式サイト

介護ワーカーの特徴
  • 年間転職成功実績1万件以上
  • 面接対策や条件交渉などサポートも充実
  • 求人数も9万件以上と豊富

介護ワーカーは、年間転職成功実績が1万件にも上り、実績のある信頼度抜群の転職サイトです。

正社員転職から未経験可まで求人数も多いので、幅広い選択肢の中から自分に合う職場を見つけやすくなっています。

担当者のサポートも好評です。たとえば、履歴書の添削、面接の日程調整と対策など、転職まで丁寧にサポートしてくれるとの口コミもあります。

項目 内容
求人の数 9万件以上
対応エリア 47都道府県
特徴 口コミ評価も実績も抜群のサイト
登録がおすすめの人 豊富な選択肢から求人を選びたい人
手厚い転職サポートを希望する人
介護ワーカーで求人を探す!

カイゴジョブ

カイゴジョブ

※画像出典:カイゴジョブ公式サイト

カイゴジョブの特徴
  • 専任キャリアパートナーが転職をサポート
  • 職場環境・福利厚生も考慮可能
  • 全国の求人を掲載

カイゴジョブは、介護専門の転職サービスです。カイゴジョブの転職支援サービスには、サイト型のカイゴジョブと、エージェント型のカイゴジョブエージェントがあります。

転職に不慣れな方には、経験豊富な担当エージェントのサポートがあるカイゴジョブエージェントがおすすめです。給与などの条件面はもちろん、職場の雰囲気・相性なども考えてくれます。職場の人間関係が気になる方にうってつけです。

カイゴジョブエージェントの求人数は1万件以上です。全国各地の求人情報から転職先を探すことができます。

項目 内容
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対応エリア 47都道府県
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登録がおすすめの人 職場の雰囲気などの内部情報も知った上で転職したい人
都市部だけでなく全国各地の求人を見たい人
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3つの介護資格の違い

介護資格はいくつかの資格がありますが、現場の介護実務に活かせる主な資格は、次の3つです。

  • 介護職員初任者研修:文字通り介護業界でこれから働こうとしている方が、まず取得したい資格です。介護の仕事は無資格でも始められますが、食事・排泄介助などの身体介護は、初任者研修資格がないとできません。
  • 介護職員実務者研修:研修内容は、介護現場の実務が中心です。初任者研修の資格があれば、研修時間が一部免除されます。介護福祉士になるために必要な資格です。
  • 介護福祉士:介護現場で重宝される唯一の国家資格です。介護福祉士を持っていれば、給料アップ・キャリアアップの可能性が高まります。

なお、一般的に介護士と言いますが、介護士とは介護の仕事に従事している方の総称で、介護士という資格があるわけではありません。

介護職員の給料が上がるについてまとめ

介護職員の給料が上がるについてまとめ
  • 介護職員の収入が少ない理由は、介護報酬に上限があることや、専門性や資格が重視されないこと
  • 給料アップのコツは、資格取得、管理職へキャリアアップ、夜勤の増、転職など
  • 介護職で転職する際におすすめの転職サイトは、介護ワーカーとカイゴジョブ

今回は、最新の2022年の賃上げで介護職員の給料はどのように改訂されたのかについて、介護士の給料事情や給料アップのコツを含めて解説しました。

介護職員の給料は低いと言われていますが、待遇は改善してきています。今後も処遇改善が継続され給料アップすることが期待できます。

ただし、2022年の賃上げに対しては評価する声がある一方で、期待外れという声があるのも事実です。さらなる給料アップを目指したいという方は、この記事を参考にして、転職サイトやエージェントを活用して転職についても検討してみてください。

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